『Axiom Verge 2』レビュー: 迷子の大富豪
『Axiom Verge 2』とは、Thomas Happさんが開発した2Dアクションのメトロイドヴァニアゲーム。
高評価作『Axiom Verge』のシリーズ第2弾だ。本作も個人開発というから驚き。
ちなみに、前作と物語が直接繋がっているわけではないので、本作からプレイしても全く問題ない。
本作は、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はNintendo Switch版をプレイ。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
大富豪の冒険
本作の主人公はインドラ。彼女は、大企業のトップを務める大富豪。
そんな彼女が南極に到着したところから物語は始まる。
南極に来たのは、仕事のためでも、富豪ならではの珍しい土地への旅行ってわけでもない。
実は、彼女は何者かからのメッセージを受け取り、その指示に従って南極まではるばるやった来たのだ。
そのメッセージの内容は、彼女の娘に関するもの。
「誘拐された!?」と予想したくなるけれど、インドラはあんまり焦っている様子でもない。どういうことだ。
見捨てられた施設
インドラが到着したのは、南極のとある施設。
エリザベス・ハモンドという、物凄い発明をした天才博士が作った研究施設らしい。
しかし、このエリザベスさんは行方不明になっていて、施設もそのまま放置されている。
そんな施設を見て回っていると、インドラはエレベーターを発見。
全く怖がらないインドラは意気揚々とエレベーターに乗り込む。
そして、辿り着いた先は…異世界!?
異世界の謎
全く怖気付かないインドラは、元の世界によく似ているけれど違う世界を進む。そうすると、誰かの声が聞こえてくる。
その声に導かれて進むと、インドラは大きな水溜まりに落下してしまう。
しかも水位がどんどん上がってきて。ぶくぶくぶく。
溺死。
ところが、次の瞬間。彼女は生き返る。
聞こえてきていた声の主は「アーム」という知能集合体の1人であるアマシラーマ。なんだかよく分からない話になってきたぞ。
理解不能なことを言われるけれど、インドラは娘のためにも元の世界に戻るのが最優先。
使えるものなら利用する。アームの力を借りて異世界を突き進んでいく。
こうして、怖いもの知らずの富豪の旅が始まる。
ゲームの特徴Features
メトロイドヴァニア
本作は、メトロイドヴァニア。
各地にある埋葬壺を壊すと新たなアームが解放され、新たなスキルを習得することが出来る。
これによって探索できる範囲が広がっていく。
途中からは、インドラがドローンに変身することが出来るようになり、インドラの人間の状態とドローンの状態それぞれのスキルをを駆使しながら道を切り拓いていく。
ブリーチを有効活用
インドラが旅することになるのはオーバーワールドと呼ばれる異世界。
本作では、違う次元と違う世界がいくつもあるという世界設定になっており、オーバーワールドと他の世界との狭間にあるブリーチという空間も探索することになる。
各地にある入り口からブリーチに移動ができるけれど、ブリーチ内ではインドラは上述したドローン状態でいることしかできない。
ブリーチとオーバーワールドのマップは似ているけれど異なる部分もあり、しかも連動している。これが攻略の鍵を握っている。
例えば、オーバーワールドでは壁があって進めない場所でも、プリーチでは壁がなく進むことができる。
そうして進んだ先からオーバーワールドに戻れば、壁の向こうに移動できるといった仕組みだ。
ハッキング
主人公は、近接攻撃も遠距離攻撃もできるけれど、ハッキングをうまく利用して有利に戦うこともできる。
一定範囲内にいる敵を瞬時にハッキング出来るという謎技術。
で、敵をハッキングすると、特定の行動を起こさせることができる。
味方化して他の敵を攻撃してもらったり、体力回復アイテムを落とすよう操作することもできる。
また、特定のドアや足場もハッキングで操作することが出来て、探索でもハッキングを活用することになる。
拾い物
上述した新たなスキルが習得できる埋葬壺以外にも各地で手に入るアイテムが何種類かある。
大切なのがアポカリプスノードと呼ばれる青い小瓶。
これはスキルポイントのようなもので、消費すると各スキルや主人公のステータスをアップグレードすることができる。
本作では、敵を倒しても経験値などは得られないので、このアポカリプスノードの瓶を割りまくって強くなっていく。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
インドラが元々いた世界、オーバーワールド、ブリーチ、そこから更に別の世界。
アームや兵器、さらに現地民が崇拝する高次生命体の正体。
うーん、なるほど、分からん。残念ながら、完璧に理解は出来なかった。
でも、「訳分からん!」で終わったわけではなく、完全に理解できなくても物語は面白い。
大筋は分かりやすくて先の展開が気になってくるし、別次元の概念には「もしかしたら、現実にもそんな別世界への入り口があるのかも」とワクワクしてくる。
キャラクターの魅力
4.0
あらすじにも書いたけれど、主人公のインドラは怖いもの知らず。
異世界に行っても、アームとか変な巨大機械生命体が現れても、動じない。これが大企業トップたる強さか。
次から次へとトラブルが起こるけど、「チクショウ」と吐き捨て、敵を追いかけていく。
頼もしい!
だけど、引きずっている後悔があるなど弱さも垣間見えて、結末ではちょっとウルッときた。
その場面はシークレットエンディングだったみたいなので、インドラの物語を追いかけるなら条件達成して是非見てみてほしい。
操作性
4.0
操作性は特に問題なし。
インドラの人間モードとドローンモードで操作感の違いがしっかりあり、挙動もキビキビしてる。
ピクセルアートグラフィックならではの大きめ当たり判定だけど、特にストレスに感じることもない。
本作では、ゲーム進行と共に様々なツールが登場するけれど、Nintendo Switch版では右スティック押し込みで使用する。
で、使用するツールを選択するのが結構面倒くさい。
種類が増えていくし、多種類を順番に組み合わせて使う場面が多いで、「これ選んで使って、えっと次はこれにして、で、次はこれで…」と、ツール切り替え操作のチマチマ感が面倒になることも。
難易度バランス
3.5
本作の難しさは道を見つけること。
「次はあそこに行ってね!」という目的地は地図上に表示されるけれど、そこまでの道は自力で見つけるしかない。
しかも、結構な遠回りをすることもある。このウロウロする感じが楽しい。
ブリーチとオーバーワールドという2つの世界を見比べて、どこでもう一方の世界に移動するか考えるのも面白い。
一方で、バトルは難しくない。一応ボス的なヤツもいるけれど、全くと言っていいほど苦戦しない。
ただ、雑魚敵の多くは、やたらと空中を飛び回るので攻撃を当てにくい。
これで「むむう」と思うこともあるんだけど。ハッキングを有効活用しろっていう開発者さんからのメッセージだと思う。
個人的には、もう少しバトルの歯ごたえが欲しかったところ。
ゲームシステム
4.0
探索を楽しむメトロイドヴァニア。
斬新なシステムがあるわけではない。
でも、2つの世界を行ったり来たりして迷子になる感覚とか、隠し通路とか、行けそうで行けない場所を最初から最後まで散りばめてくる感じとか。
探索が楽しすぎ。
ハマる。とにかく無我夢中で探索し続けてしまう。
習得していくスキルは、本作ならではのものばかりで、「ダブルジャンプの次に習得するならダッシュだろ」と次のスキルの予想が出来るメトロイドヴァニア慣れしてる人ほど新鮮に感じると思う。
よくあるスキルは登場しない。プレイしながら「くうぅ、なぜダブルジャンプ出来ないんだ」と何回も思った。
やりこみ要素
4.0
アイテムや世界に感するレポートなど収集要素はかなりある。
そんなにボリュームが大きいゲームではないけれど、隠されているアイテムは大量。
上述したシークレットエンディングは、どれだけアイテムを収集できたかが解放条件(80%以上達成が条件らしい)になっている。
特にレポートは、本作の世界やインドラ自身をより理解できる内容になってるので、出来る限り集めて読むのがオススメ。
グラフィック
3.5
レトロさを感じるピクセルアートグラフィック。
でも、大味というわけじゃなくて、各エリアごとにガラッと変わる風景も楽しめる。
ブリーチでは荒いピクセルアートになるんだけど、オーバーワールドとは違いかなり派手色になってて、見た目の変化が面白い。
サウンド
3.5
エリアごとにBGMが変わり、どれもカッコいい感じの曲。
ちょっと民族音楽っぽさも感じる。
で、ブリーチに入ると、オーバーワールドでのBGMがアレンジされていて、これまた変化が楽しめる。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
自力で道を見つける探索が楽しい
本作ならではのスキルが豊富
別世界が存在するというユニークな世界設定
残念なところ
ボスの歯ごたえがない
物語を完璧に理解するのは難しい
オススメな人
自力で道を見つけるのが好き
個性的なスキルを試してみたい
別次元や平行世界などに興味がある
オススメではない人
手厚いチュートリアルや順路などガイドが欲しい
分かりやすい物語がいい
歯ごたえのあるバトルを楽しみたい
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
Axiom Vergeシリーズ第1弾。物語は本作と繋がっていないけれど、別次元の概念やドローンを操作するなど似ている部分もある高評価作。こちらはボス戦の歯ごたえもあり。
2つの世界を行ったり来たりするメトロイドヴァニアならこちらもオススメ。こちらでは、いつでも好きに次元切り替えが出来る。プラットフォーム要素高めな高評価作。
Axiom Verge 2
迷子の大富豪
自力で道を見つけ出したり、取れそうで取れないアイテムがたくさん配置されていたり、二つの世界を行き来するなど、とにかく探索に夢中になる良質メトロイドヴァニアゲーム。
物語は難解だけど、別次元があるという概念が面白い。
Axiom Verge 2
©2021 Thomas Happ Games LLC
https://www.axiomverge2.com