『アストラルチェイン』レビュー: お散歩スタイルで戦う生体兵器
『アストラルチェイン』とは、プラチナゲームズが開発したアクションゲーム。
プラチナゲームズと言えば、『NieR:Automata ニーアオートマタ』『ベヨネッタ』の開発元であり、気持ちいいアクションゲームが得意なデベロッパーだ。
本作は、Nintendo Switchでプレイ可能。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
双子
主人公は、近未来の人工島アークという都市で警察官として働く双子の兄妹(もしくは姉弟。プレイヤーが選んだ方が兄か姉となり主人公となる)。
主人公たちが暮らす人工島アークはめちゃくちゃ都会だが、実は、もはやこのアークにしか人間はいないらしい。
他の土地は全て壊滅したという、なんとも人類大ピンチな状況になっている。
人類の危機
双子は警察官ではあるけれど、戦う相手は犯罪者だけではない。
キメラと呼ばれるメカメカしいモンスターと戦うのも警察官としてのお仕事。
キメラとは、異次元から「ゲート」を通って突然現れた謎の生物。こいつのせいで他の街は壊滅してしまっているらしい。
キメラは、人類を攫ったり、禍々しい汚染物質を撒き散らして人間をモンスターに変えてしまう。
目的は分からないけど、とにかく凶悪で迷惑なヤツらだ。
秘密兵器レギオン
でも、やられっぱなしというわけではない。人類最後の切り札としてレギオンが開発されている。
キメラに鎖を付けて飼い慣らし、逆に人類のために戦ってもらおうプロジェクトで生み出された生体兵器。
主人公は、なぜか素質を認められ、レギオン使いで構成される警察の特殊部隊ネウロンへ人事異動される。
主人公は、レギオンを連れて事件捜査しキメラと戦ううちに、人類存亡の戦いに巻き込まれていく。
ゲームの特徴Features
警察署で身支度
本作は、最初から最後までストーリーはひと続きだけど、ファイルとして区切られている。
ファイル内は、さらに細かくチャプターに分かれている。
まずは、拠点である警察署で出動準備をするところから始まる。
見た目のカスタマイズから、チュートリアル的なトレーニング、アイテムの購入、そして主人公の武器の強化などが出来る。
任務に出るとケース(クエストのようなものでメインとサブがある)が表示され、各ケースをクリアすると業務成績がスコア化される。
ファイルの最後には、どれだけのケースをこなしたか、また、各ケースでの評価によって総合評価が決まる。
一度クリアしたファイルは、警察署にあるPCから再挑戦することが出来る。その際、難易度も選択できる。
捜査
ファイルを開始すると、大体の場合は事件の捜査から始まる。まずは捜査の基本「聞き込み捜査」から。
時にはレギオンを使って盗み聞き。実はレギオンと敵キメラは、レギオン使いではない一般人には見えていない。
また、事件に関係ありそうな痕跡を辿って行ったり、時にはレギオンの嗅覚や聴覚を使って捜査することも。
一定数の聞き込みが終わると、情報整理。ちょっとしたクイズで、プレイヤーの記憶力が試される。
異次元で捜査
捜査で見つけた痕跡を辿っていくと、異次元のアストラル界に移動することがある。
アストラル界では、レギオンの能力を使ってパズルのような謎解きしながら進むことになる。ギミックを使って壁や足場を動かして道を切り開いていく。
そして、最後はお待ちかねのボスバトル。
物理的な強さでねじ伏せてもいいし、場所によってはギミックを使って有利にバトルを展開することも出来る。
同時操作のバトルシステム
バトルでも探索でも、主人公とレギオンを同時に操作する。
左スティックで主人公が移動し、ZLを押しながら右スティックを操作するとレギオンが移動する。
レギオンは、いつでも呼び出せるけれど、出現していられる時間には制限がある。
レギオンのスタミナのようなもので、リミッターゲージが時間と共に減っていく。
タイムリミットになってレギオンが消えてしまったら、一定のクールタイムの後、また呼び出せるようになる。
一緒に戦う
敵がいる時にレギオンを出現させると、レギオンは自動で戦ってくれる。
レギオンには、いくつかのスタイルがあり、それによってバトル時の攻撃手段や技も変わる 。
基本は主人公を操作して戦うけれど、主人公の攻撃に合わせてタイミング良くレギオンを操作すると、同時攻撃するシンクアタックや体力も回復する強力なフィニッシュ技を発動できる。
そして、ゲームタイトルにもなっているチェイン(鎖)も有効活用する。犬の散歩のように主人公とレギオンを結んでいる鎖だ。
敵をチェインでグルッと巻いて一定時間動けないようにする「チェインバインド」、突進してきた敵をチェインで受け止めてパチンコのようにバイーンと跳ね返す「チェイントラップ」。
敵の位置に合わせて、主人公とレギオンを上手く動かさなければならない。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
人類救っちゃう系物語。よくある話。
ミッションごとに進むアクションゲームなので、そんなに物語が重要なゲーム性ではない。でも、ちゃんと物語はある。
起承転結がしっかりあって、予想がつきやすい展開ではあるものの、演出が派手で胸熱。
ただ、双子の片割れである妹からの当たりが妙に強いのが気になった。オープニングからずっと妹はツンツンしている。
物語の展開的に途中からツンツンしちゃうのは、分からなくはないけど。二人の関係性の肉付けがもう少し欲しかった。
キャラクターの魅力
3.0
NPCが残念。
「この人はどんな風に主人公と絡んでいくんだろう」とワクワクするくらい脇役のキャラ達の個性があるのに、いつのまにか空気化していた。
気づいたら、存在忘れてた。
そして、もう一つ残念だったのが、よく喋る。
いや、たくさん喋ってくれるのは大歓迎なんだけど。ただ「申し訳ないけど、どうでもいい!」ことばかりよく喋る。肝心なことは全然喋ってくれないのに。
個人的には、特にラッピーとハルの長い長いどうでもいいトークが、なかなか苦痛だった。
せめてクリア済みのファイルを再プレイする時には、会話まとめてスキップさせて欲しい!
操作性
4.5
「バトル楽しそうだな」とは思っていたけど、実際にプレイしてみたら、その期待をはるかに超える面白さ!
さすが、プラチナゲームズのアクション!
主人公とレギオンの同時操作なので最初は慣れが必要だけど、慣れてくると同時攻撃が気持よく決まる!しかも、連続でゴインゴイン決まる!
主人公とレギオンの連携攻撃のシンクアタックやジャスト回避が決まると、めちゃくちゃ爽快。
シンクアタックと回避のボタンの入力受付時間が結構長いので、バンバンと技が決まる。
難易度バランス
5.0
上述の通り、バトルでは爽快にアクションが繰り出せるけど、単純にボタンをポチポチ押してれば勝てるというわけではない。
敵に合わせてレギオンのスタイルチェンジや、主人公とレギオンの立ち回り(特に位置取り)を考えながら忙しく操作しなければならない。
また、異世界の探索ではプラットフォーム的なテクニックが求められるところも多い。
ファイルごとに難易度が選べるので、ゲームクリア自体は問題ない。
ノーマル難易度では苦戦するところもありつつ、単純には勝てない良い難易度。ちなみに高難易度をクリアすると報酬も豪華になる。
ゲームシステム
5.0
上述の通り、バトルシステムが斬新で面白い。とにかくバトルに病みつき。
そして、レギオンを使った探索や謎解きなど、本作ならではのレギオンがしっかり活かされてるゲームプレイになっていて新鮮で面白い。
また、予想外に探索要素がたっぷりあって、レギオンを駆使して寄り道を切り開いたり、ギミックを使った謎解きしたり。
バトル以外もしっかり面白い。
やりこみ要素
4.5
やり込み要素はかなり大量。
まず、オーダーと呼ばれるサブクエスト。写真撮影などから、クスッと笑えるストーリーが展開するものもある。
例えば、「トイレの妖精」。トイレの個室でピンチになっている「妖精」のため、各ミッションで拭くために使えそうな「紙」を手に入れてくるというもの。トイレでも深刻な人類の戦いが繰り広げられている。
寄り道も多くて、アイテムがたっぷり隠されている。
また、主人公とレギオンの強化やカスタマイズもしっかり用意されている。
レギオンは敵を倒して手に入るアビリティコードやジーンコードを使って強化して、自分のプレイスタイルに合わせてカスタマイズできる。
グラフィック
4.0
本作のキャラデザインを手がけている漫画家の桂さんの画風が活かされたグラフィックになっている。アニメ調。
レギオンだけでなく主人公の装備や都市の外観など、近未来SFという雰囲気がたっぷり。
サウンド
4.0
BGMも近未来SFっぽくて、かっこいい深刻な曲調が多い。
バトルでエフェクトが派手に飛ぶのに合わせて、効果音も派手に鳴るのでバトルの爽快感が半端ない。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
斬新で病みつきになるバトル
ボリュームたっぷり
謎解きもある探索
カスタマイズにハマる
残念なところ
空気化するNPCたち
おしゃべりが長い
オススメな人
アクションゲームが好き
独特なバトルシステムに興味がある
やり込めるゲームを探している
オススメではない人
忙しいバトルが苦手
JRPGっぽいノリが苦手
本作と同じくミッションごとに進む、ド派手なアクションが魅力の人気シリーズ最新作。カッコ良さを突き詰めてコンボをつなげる戦闘狂におすすめのアクションゲーム。
本作を開発したプラチナゲームズの大ヒット作。爽快なアクションと複雑で独創的な物語が味わえる。
アストラル チェイン Astral Chain
©2019 Nintendo / PlatinumGames inc. Main Character Design ©桂正和 / 集英社
https://www.nintendo.co.jp/switch/ab48a/