『Lake』レビュー: 2週間という時間は長いのか短いのか
故郷で手紙を配達しているうちに、人生まで見つめ直してしまう癒しの休暇『Lake』をネタバレなしで要素ごとに詳しくレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
ゲーム製品情報Game Info
- タイトル
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Lake
- 開発元
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Gamious
- ジャンル
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アドベンチャー
- 対応機種
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PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC
本作には追加DLC「Season’s Greetings」も配信されているが、本稿では本編のXbox版をレビューしている。
Lakeの内容Features
あらすじ
都会の生活
本作の舞台は、1986年のアメリカ。
主人公のメレディスは、都会でソフトウェア開発を仕事にして忙しく暮らしている。
新しいソフトウェアが無事に仕上がり、メレディスは自室でホッと一息ついているところだ。
休暇は田舎の故郷へ
メレディスは、これから2週間の長期休暇に入る。
この2週間は、彼女自身の故郷であるプロヴィデンスオークスで過ごす予定だ。
ちなみにプロヴィデンスオークスは、アメリカ西部のオレゴン州にある田舎町だ。
休暇は郵便配達
メレディスは、プロヴィデンスオークスにある実家に滞在予定だ。
しかし、両親は旅行中で不在にしている。1人静かな休暇を過ごそうというわけだ。
ところが、そういうわけでもないようだ。なんとメレディスは、これからの2週間は町の郵便配達屋さんとして働くことになっている。
メレディスの副業計画!お仕事体験!ではなく、実はお父さんの代役だ。メレディスの父は町の郵便配達屋さんであり、父親が旅行で町を離れている間はメレディスがその役割を務めることになる。
郵便配達って家族なら代われるのか?という疑問は置いておいて、メレディスは早速郵便配達を始める。
配達しながら、メレディスは懐かしい人や景色を目にし、また新たな人ととも出会うことになる。
都会とは異なるゆったりした生活の中で、メレディスは一体何を思うのか。
ゲームプレイの特徴
郵便配達のお仕事
本作では、1日ずつゲームが進んでいく。1日が1章という感じだ。
1日の始まりは郵便局だ。
その日の配達計画が地図に表示され、その全てを終えたら郵便局に戻る。これで1日が終了する。
配達するものは、手紙と小包だ。メレディスの移動方法は郵便配達用の車と徒歩。
手紙は家の前のポストに、小包の場合は玄関の呼び鈴を鳴らす。応答がある場合もあるけど、留守の場合は玄関前に放置で良い。
連絡なしの置き配で大丈夫な治安の良い町だ。
住民と交流する
小包を届けた際には呼び鈴を鳴らすので、そこの住人と対面することになる。そこから個人的なお知り合いになることがる。
プロヴィデンスオークスはメレディスの故郷なので、もちろんメレディスの古い知り合いもいる。
彼らとは会話が発生することがあり、そのなかでは選択肢も登場する。
選択肢によっては仕事外の時間に会ったり一緒に何かする約束をとりつけることもある。
どう返答するかはプレイヤー次第。それによって物語が変化していく。
各要素の評価Review
物語の面白さ
懐かしい。
いや、ここはメレディスの故郷だし、メレディスの物語だ。しかし、なぜか一緒に「懐かしい」と思ってしまう。
疎遠になってた幼馴染や、大人になってから見る故郷の風景。
懐かしくて心があたたまるけれど、同時になぜか少し切ない。ああ、これが哀愁ってやつか。
悪魔が攻めてくるわけじゃないし、突然住民がゾンビになるわけでもない。
ドラマティックが刺激があるゲームではないけれど、主人公と共にしみじみと哀愁に浸れる癒しの物語が味わえる。
キャラクターの魅力
あー、いるいる、こういう人いる。
町の住人たちは皆んな事情は違えど、帰郷すると遭遇しそうな人ばかり。
世話好きなおばちゃん、頼りになるおじちゃん、生意気で可愛いティーンエイジャー。
自分の知り合いに重なる人も多いんじゃないんだろうか。そのおかげで余計に感情移入しやすくなる。
故郷にいそうな人って万国共通みたいだ。
操作の快適さ
本作はゆったりプレイするゲームだ。精密な挙動である必要はない。
というわけで、特に操作性は問題なし。
でも、歩くスピードが他ゲームに比べてゆっくりだし(早歩きは可能だけど、そんなに早くない)、車の乗降でいちいちロード画面をはさむ。
他のゲームに慣れてると、もどかしく思うこともある。
アクションを行う表示が出なかったり、車に乗れなくなるバグに遭遇することがあった。アプデでの修正に期待したいところ。
難易度バランス
本作は物語を楽しむゲームであり、ゲームとして難しいことは何もない。
車は自動運転で進めるし、郵便を間違ったお宅に届けようとしても配達アクションが選択出来ないので誤配の心配もない。
迷うとしたら、会話の選択肢だろうと思う。
NPCからの誘いを断りまくってると、仕事以外ほぼ何も起こらなくなるので、積極的に他人に絡んでいく方がおすすめ。
ゲームシステムの面白さ
本作は、ゲーム性より、物語や雰囲気を楽しむゲームだ。
それが楽しめるなら、本作のゆったりした雰囲気に包まれて「ふぅーっ」とひと息つく癒し体験が出来る。
忙しない毎日の中、ふと足を止めさせてくれるようなゲームだ。
ただ、そこが楽しめないと「退屈じゃん」で終わってしまうと思う。ゲーム性に期待している人は、ご注意を。
やりこみ要素の楽しさ
特に探索や収集要素はない。
町の人との会話でどの選択肢を選ぶか、それが最大のやり込みだ。
でも、正直なところ、住人の皆さんが優しいので、自然と相手が嫌がりそうな選択肢は選びたくなくなる。「この冷たく突き放すセリフ選んだらどうなる?」と試したくはならない。
私はリプレイして他の分岐を見てみようとは思わなかったけれど、他の選択肢を試すことがやり込み要素である周回プレイだ。
また、本作には追加DLC「Season’s Greetings」が配信されており、こちらでは1985年のメレディスの父となって郵便配達をする本作の前日譚が体験できる。
グラフィックの芸術性
やや荒めの3DCGだ。
でも、遠くに見える山や本作のタイトルになっている湖の風景が美しい。
時間と共に陽が当たる角度も変わっていくし、自然豊かな町を彩る紅葉が美しい秋の風景が楽しめる。
サウンドの魅力
BGMのほとんどはメレディスが運転するトラックに流れてくるラジオだ。
土地柄もあるけれど、アメリカンカントリーな曲が多い。
これが風景と合っていて、最高の癒しが味わえる。
サントラはこちら
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A Short Hike
都会っ子(鳥だけど)が田舎でハイキングをする、かなり癒される高評価アドベンチャーゲーム。
本作と同じく、「ゆったりペースで良いんだよ」と思わせてくれる物語も魅力。
Death Stranding デスストランディング
配達がテーマのゲームなら、こちらもおすすめ。
道中は危険だしバトルもあるし、全然まったりできないけれど。
移動することがメインという独創的なゲームプレイと世界設定が魅力の高評価オープンワールドゲーム。
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まとめSummary
おすすめな人
- 物語を楽しみたい
- まったり癒されたい
- 故郷が懐かしい
- しばらく帰省できていない
おすすめではない人
- バトルや探索などを楽しみたい
- ゆったりしたペースが苦手
- 分岐要素が苦手
総合評価
- 感情移入しやすい物語
- ゆったり癒される雰囲気
- 選択肢によって物語が変わる
- 移動やアクションがもたつく
- バグがたまに発生する
Lake
Whitethorn Digital & Gamious 2021
https://www.gamious.com/portfolio/lake/