『DEATH STRANDING デス・ストランディング』とは、『メタルギアソリッド』シリーズで知られる小島監督によるアクションアドベンチャーでありオープンワールドゲーム。そして、小島監督が立ち上げたコジマプロダクションの第1作目。
超豪華俳優陣が共演する超美麗映像と小島監督による独創的な世界観とプレイスタイル。通称「デススト」。
PS5、PS4、PCでプレイ可能。私はPS4版をプレイ。

本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。
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あらすじStory
主人公は、サム。「伝説の配達人」という異名を持つ配達屋。
舞台は、いつか(たぶん未来)のアメリカ。
とはいっても、都市や街は無くなってしまっている。「デスストランディング」という原因不明の大爆発によって、消滅してしまったらしい。
生き残った人々は各地で小さなコミュニティを作って暮らすようになっている。
コミュニティ同士の連絡手段は無くなってしまっていて、文字通り「人々が分断されている」状態だ。
そこで、登場するのが配達人。依頼された色々なものを届ける、宅急便屋さんだ。

宅急便屋さんとはいっても、トラックに荷物をたくさん積んで「お届け物でーす!」と配達して回るわけにはいかない。
舗装された道はなくなっているし、何より、外には目には見えない危険な怪物BTや時雨(タイムフォール)などと呼ばれる過酷な自然現象が待ち受けている。
ちなみに、サムは全ての元凶である怪物BTの姿を見ることができる能力者だ。動植物全てを急速に老化させていく時雨ではダメージを受けてしまうけれど。
そう、この世界での配達は、超人でなければこなせない危険なお仕事だ。

分断された人々は、危険な外界を恐れてコミュニティ内に引きこもっている。他のコミュニティと繋がることには消極的な人も多い。
しかし、「みんなで団結しようぜ!アメリカ再建しようぜ!」と活動する「ブリッジズ」という団体もいる。
BTが見えるなど特異体質のサムは、ブリッジズから特命を受けることとなる。
しかし、ブリッジズのリーダーとなるアメリはブリッジズの敵対組織によって西海岸に捕らえられているという。
やる気のなかったサムだけど、「アメリを助けるためならば!」ということで、東海岸から出発することとなる。
そのついでに各地のコミュニティに物資を届けたり、ネット回線繋いだり、何なら「ブリッジズ」に加入してもらおうと奮闘していくこととなる。

ゲームの特徴Features

本作はオープンワールドなので、基本的にどこを歩いて進んでもいい。
全てのクエストは基本的に配達だ。依頼された荷物を目的の場所まで届ける。無事に配達出来れば、任務完了。これが基本のお仕事内容。
メインストーリーが進む依頼以外にもサブクエストである配送依頼もたくさんある。
しかし、依頼されたもの以外にも荷物は存在する。フィールドを歩いていると、「落とし物」が落ちている。
誰かの落とし物だったり、配送途中に放棄された物だったり。それを持ち主や受取人の元に届ければ、もちろん感謝されて報酬がもらえる。

肝心の荷物の運び方。
まず、荷物は大小様々なアタッシュケースのような箱に入っている。
それを背中に担いだり、サムが着ているスーツに固定したり、時には手に持つこともある。人間クリスマスツリー状態となりガシャガシャと歩いて行く。
サムは筋肉ムキムキだけど、生身の人間なので、体力、スタミナゲージがある。運ぶ荷物が多くなれば足取りも重くなるしスタミナも多く使ってしまう。
また、荷物が重すぎたり担ぎ方が下手だとバランスを崩してしまう。更に、地面が傾いていたり雨で濡れていたりといった地形の影響をしっかり受ける。
そのため、うっかり転んでしまうこともある。荷物に衝撃が加わると、荷物にダメージが蓄積されていく。少しなら大丈夫だけど、ケースの耐衝撃性を超えてしまうと中身の荷物が劣化してしまう。
中身が劣化してしまうと、ミッション失敗や報酬や少なくなってしまう。
では、バランスを崩さないためにはどうすればいいか。もちろん大量に荷物を担がなければいいんだけど、そうも生ぬるいことばかり言ってられない。
バランスを崩しそうになったら、「ふんばる」。PS版でのプレイだと、L2ボタン、R2ボタンを押すと、左側、右側へとふんばる。そうすることでバランスを保つ。

大荷物を担いで行くサムを阻むモノ。
まず、時雨(タイムフォール)は強烈な酸性雨みたいな感じなので、荷物が劣化していく。先を急がなければならない。
そして、雨が降ってくると、奴らが現れる。BTだ。
BTは、サムの気配を感じ取ると追いかけてくる。
気配を悟られないように、ゆっくり移動して、時には息を止めながら、そろりそろりとBT発生地域を抜けて行く。
でも、BTに捕まってしまうこともある。そうすると、あたりは黒い沼に一変する。その沼からたくさんの黒い人が現れて、サムを引き摺り込もうとする。
沼に引き摺り込まれたら?一巻の終わり。というわけではなく、そのBT地帯を牛耳る(?)親玉を倒すと生還することができる。
サムの血液で作ったグレネードなどを投げつけて退治することが出来る。武器は各拠点にで作製出来るけれど、武器も重さのある荷物としてカウントされるので注意。
また、執拗に荷物を狙ってくる敵「ミュール」もいる。自我を失った配達人たちだ。逆に彼らが溜め込んでいる荷物は奪うことも可能。

サムは、胸に保育器に入った赤ちゃん「BB」を装着して旅をする。子育てしながら旅をする父親、というわけではない。
BBは特殊能力を持つ赤ちゃんで、サムが怪物BTを見ることが出来るのはBBのおかげ。
怪物BTが近くに出現するとBBは「おぎゃ」と感知してくれる。BBのおかげで、怪物BTの位置や距離が分かる。
だが、やはり赤ちゃんなので、ストレスが加わると機嫌を損ねて泣き出してしまう。ストレス解消されないと「自家中毒」状態になって、BTが感知できなくなる。
BBの機嫌が悪くなってきたら、保育器を揺らしてあやしてあげたり、拠点で休ませなければならない。

本作では、他人からの「いいね」が経験値。SNSでおなじみの「いいね」だ。
荷物をを届けると依頼者から「いいね」がもらえる。荷物の状態が良かったり、一気にたくさん届けたり、早く届けたりすると、より多くの「いいね」がもらえる。
もらった「いいね」の累計数によって、サムの配達人としての評価が上がっていく。これが、レベルだ。
レベルアップするとより多くの荷物を担げるようになったり有利なステータスボーナスが付くようになる。
また、本作にはゆるいオンライン要素がある。
ゲーム内では、崖を登ったり川を渡るためのハシゴやロープを設置するが出来る。また、資源を集めて乗り物や国道まで作ることができる。
で、他のプレイヤーのサムが歩いて行った道や建造物や乗り物までもが、ランダムで自分のフィールドに反映される。そうしたものには「いいね」を送ることが出来る。逆もまた然り。
ちなみに、オンライン要素の反映は、単純にPS4がインターネットに繋がっていれば大丈夫。PS Plusに加入している必要はない。
もちろん、オンライン要素を含まない設定もできるし、がっつり出現させるようにもできる。誰のプレイが反映されるかは完全にランダムで時間によっても変わる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.0
ヤバい。とにかくヤバい。冒頭の30分くらいは、口開きっぱなし。怒涛のオープニング。
なになになになに、めちゃくちゃドキドキするんですが!
目に見えないBTが、地面に手形をドシンドシン打ちつけながら、サムのギリギリに迫ってくる。サムが息を止める。私自身も画面の前で、いつの間にか一緒に息を止めていた。
それくらい演出が素晴らしい。その後もイベントシーンでも、ずっと口開きっぱなしだった。
世界設定が独特だし、全然分からない単語や概念が飛び交うんだけど、ちゃんと徐々に「おお、なるほど!」と分かってくる。かなり独特だけど。
本作は豪華俳優陣たちの実際の演技が使われているだけあって、カットシーンの見応えは目を見張る面白さ。映画でしょ。まあ、正直「カットシーン長すぎじゃない?」と思うところもあるけれど。
オープンワールドなので、いっぱい探索したいところなんだけど、終盤は物語が気になりすぎて一気に進んでしまった。それくらい先が気になる面白い展開が続く。
キャラクターの魅力

5.0
ノーマン・リーダスとマッツ・ミケルセン。個人的に大好きな俳優さんなので、その時点で大満足ではあるんだけど。
でも、豪華俳優集めてみただけってわけじゃなく、ちゃんとキャラが作り込まれている。
サムは口数は少ないけれど、道中の温泉に入ると鼻歌歌ったり、拠点ではおどけた様子を見せてくれる。訳ありな過去を抱えて他人と距離を置くんだけど、徐々に感情が見えてきて。魅力的な主人公だ。
マッツ・ミケルセンは、かっこよさが爆発してて最高。ファンじゃない人でもきっと本作でファンになってしまうだろう。
他のNPCたちも俳優さんが演技しているので、会話や表情がリアルで感情移入しやすい。
そして、1番はBBだ。めちゃくちゃ可愛い。踊ったり泣いたり変顔してくれたり。もはやサムの体調よりBBのご機嫌の方が優先だ。
操作性

5.0
これまでプレイしてきたPS4ゲームの中で、ぶっちぎりでコントローラーの振動のさせ方が上手いと思う。
振動するタイミングや強弱が、映像とばっちりシンクロしていて、余計に『デススト』の世界に引き込まれる。
もはや体感出来る大作映画じゃん。
ぬるぬる動いて操作性が良い。
やれることが多いし、本作ならではの設定や操作が多いので覚えることはたくさんある。
でも、決して操作は複雑になっていなくて、乗り物に乗っても、BTやミュール相手にステルスしていても、すんなり操作できる。
難易度バランス

4.0
BTやミュールといった敵との対決も、戦術をたくさん考えることが出来る。
私は、ステルスが好きなので、こそこそ進むことが多かった。
BTが発生する不気味なエリアを進むのは、毎回ドキドキ。ミュールは、それなりに賢いので、ステルスがしっかり楽しめる。
ちなみに、マッツ・ミケルセン登場パートでは、バリバリの銃撃戦が楽しめる。
残念なところは、乗り物が開放されてからは移動の楽しさが爆上りするものの、通るルートが偏ってきてしまうこと。
本作はオープンワールドだけど、地形的にそこまで自由ではない。「どこでも好き放題行けてしまう」というのとは少し違う。
いや、実際には行けるんだけど、乗り物で通りやすい道、安全な道のりは、ある程度限られている。「ああ、このルート取りがいいんだろうなあ」というのを薄々感じてしまう。
ゲームシステム

5.0
重い荷物を担いでバランスとりながら歩く。欲張って荷物担いでしまうと、すんごいフラフラする。すぐ、つまずく。すぐ、滑る。
下り坂で勢いがついてしまうと「わああああ」と止まれなくなり、激しく転倒。あたりに荷物散乱。「登山は登るより降る方が危険」を痛感。
転んでしまって、荷物をぶち撒けてしまったときの絶望感。そして、それを拾い集める時の一抹の寂しさまで感じる。すごくリアル。
どのくらいの量の荷物を持って、次の一歩はどこに出そうか、自分なりの最適配送ルートを開拓しながら進むのがかなり面白い。
オープンワールドの1番地味な部分である移動することがメインになっていて、それがすごく面白い。他のゲームでは味わったことのない感覚だ。
私は、マルチプレイやオンラインゲームが苦手なんだけど、本作のゆるいオンライン要素は好きだ。
通ったことのある道に戻ったら、前にはなかったハシゴがあったり、道が出来ていたり、風景が変わっている。
具体的なコミュニケーションはなく、他プレイヤーの気配を感じるくらい。
このオンライン要素の出現率の調整がすごく上手い。「道路工事はすでに終了しています!さあ、歩いて行け!」というわけではなく、いい加減にほんのり楽になる。
とんでもない崖にハシゴがあると、「ああ、自分以外にもこんな悪路を通った人がいるんだなあ」と面白いやらありがたいやら。
やりこみ要素

5.0
どれだけたくさんのクエストに挑戦するか。どれだけ落とし物を見つけて届けるか。
国道建設に勤しんだり、他の便利な移動施設や拠点を建設したり。
やれること、やり込めることは大量にある。
特にサブクエストは、時間制限があったり、めちゃくちゃ大量のものを一気に運ぶとか、結構難しいものもある。やりごたえ抜群だ。
また、本作のDirector’s Cut版では、更なるミッションや追加ストーリーとサーキットが楽しめるミニゲームなど追加要素が盛り沢山だ。

グラフィック

5.0
カットシーンの見応えがたっぷりと上述したけれど、それはグラフィックの美しさも手伝っている。一級品だ。
俳優さんの表情が活かされたフォトリアルなグラフィックで、そのまま映画にしていいんじゃないかっていうクオリティ。
BTの不気味さやマッツ登場パートの世界大戦なフィールドなど、独特な世界を形づくっているデザインも素晴らしい。
サウンド

4.0
基本的にはジャカジャカとBGMがなるわけではないんだけど、要所要所で印象的な曲が流れる。
監督の好みなんだろうなと思うんだけど、穏やかで美しく切ないメロディの曲が多い。
物語も雰囲気も深刻だし、主人公サムは常に険しい顔してるんだけど、「いいね!」した時の効果音がコミカルで、そのギャップが毎回面白い。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
惹き込まれる演出
独創的で現実的なゲームプレイ
効率的な荷物積みと配送ルートを考える面白さ
映像美
様々な戦術が試せる
残念なところ
通ったことのある場所での作業感
オープンワールドだけど
どこでも行きやすいわけではない
プレイヤー人口が減った時に
プレイ体験が変わるかも?
オススメな人
広大なフィールドを移動するのが好き
ステルスが好き
個性的なゲームをプレイしたい
ストーリーを楽しみたい
映像美を堪能したい
長時間遊べるゲームを探している
オススメではない人
同じ場所を行ったり来たりするのが嫌い
おつかいクエストが嫌い
本作が好きならオススメRecommendation
本作と同じく崩壊したアメリカが舞台の名作オープンワールドゲーム。こちらの人類はかなり原始的な生活になっている。続編も登場する。


本作とゲーム性はかなり違うけれど、こちらも移動が楽しい名作オープンワールド。

DEATH STRANDING デス・ストランディング
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