『8 Doors: Arum’s Afterlife Adventure』レビュー: あの世に逝ってもメトロイドヴァニア
『8 Doors: Arum’s Afterlife Adventure』とは、Rootless Studioが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
彩度が抑えられた手描き調グラフィックが特徴の探索がメインとなる2Dサイドスクロールアクションゲームだ。
本作は、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はNintendo Switch版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。
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あらすじStory
絶望の少女
冒頭から悲劇。
主人公のアルムの住む村では謎の突然死が相次いでいて、アルムの大切なお父さんも帰らぬ人に。
悲しみに暮れていたアルムだけど、父と思われる霊から何かのお告げを受け一念発起。
アルムはお告げに沿って、とある怪しげな船を訪ねる。
飛び込んでしまった
その怪しげな船に乗せてもらい、アルムは沖合へ。
アルムはどんなお告げを聞いたのか?海に何があるっていうのか。
…ザッパーーーン!
突如、アルムは真っ暗な海へ飛び込んだ。
えっ…!そんな!
不穏な冥土
アルムは絶望して身を投げた!?
というわけではない。実は海は冥土に繋がっていた。三途の川ならぬ、三途の海。
で、アルムは無事に冥土に辿り着き、お父さんの魂を探し始める。
しかし、冥土の様子がおかしい。
死人が異常に増加しているし、行方不明の魂が続出しているらしい。お父さんの魂も行方知れずに。
それでも諦めないアルムは、お父さんを探すうちに冥土の闇に近づいていく。
ゲームの特徴Features
あっちへこっちへ
本作はオーソドックスなメトロイドヴァニア。
ボスを倒したり新たなNPCと出会い、新たなスキルを習得し、行ける範囲が広がっていく。
基本的にはストーリー進行に合わせて探索していくことになる。
でも、新たなスキルを手に入れたら、前の場所に戻って取れなかった宝箱などを回収したり、隠し部屋を見つけるなど、行ったり来たりを楽しむことが出来る。
アルムとガマテン
アルムの頭の上にはガマテンという名前のカエルが乗っている。冥土で出会った相棒だ。
ガマテンは巨大化してアルムを乗せて移動することが可能で、アルムと切り替えながら攻略していく。
アルムは様々な武器を切り替えて戦うことが出来る。
ガマテンは、重いものを動かしたり、強力パンチで壁を壊したり出来て、ガマテン操作じゃないと進めない場所もある。
お金と死神の黎明
本作では、敵を倒すとお金が手に入る。
それを貯めて、ショップで体力上限や特殊スキルを使うゲージ上限を上げたり、回復薬の効果を上げることが出来る。
また、各地に隠されている死神の黎明を手に入れると、スキルツリーをアンロックしていくことが出来る。
更に各地には、逃亡霊という孤立した魂がいて、鎌で斬ると回収することが出来る。
回収した逃亡霊を管理者に届けると4体ごとに死神の黎明2つを報酬として貰える。
アルムとガマテン強化のためにも逃亡霊の捜索は欠かせない。
大切な寄り道
ストーリーに沿って進んでいると何体かのボスと戦うことになる.
が、実は、他にもボスがいる。
本作では、各エリアに地図屋さんがいて、地図を買うと詳細な地図が表示されるようになる(隠し部屋など未到達の場所は隠されてたままだけど)。
そこに怪しげなビックリマークが表示されるので、何とかしてそこまで辿り着くと隠しボスと戦うことができる。
本作はマルチエンディングになっていて、この隠しボスが真エンディングの条件の一つになっている。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
物語は、お父さんの魂を探すというアルムの超個人的な目的から物語が始まるけれど、どんどん壮大な物語になっていく。
カットシーンは紙芝居演出なので派手さはないけれど、しっかりまとまった物語が楽しめる。予想がつきやすいので、もう一捻り欲しかったけど。
また、本作は東洋の冥土がモチーフになっていて、魂が裁判にかけられたり、魂のための旅館があったり、死後どうなるかのシステムを知るのも面白い。
キャラクターの魅力
4.0
主人公のアルムは常に決意に満ちたキリッとした顔をしているけれど、NPCたちは表情豊か。
相棒のガマテンは、アルムの頭の上で全身で驚いたり、偉そうな台詞を吐いたり、楽しい旅のお供だ。
また、各地の冥土の施設には管理者がいて、もちろん重要な仕事をしている人達なんだけど、猛烈に人間くさい。完全に現代人。
死後の世界って、フレンドリーで明るい。
操作性
3.5
操作性や精度などは、やや大味な感じと動作がもったりする感覚になる時もあるけれど、特に問題なし。
プラットフォームなテクニックが求められるところでは、たまにこの大味な判定に「いーっ!」となることもある。
ただ、一番の問題は、データぶっ飛びだ。
特に問題なくプレイしてたんだけど、ある時ゲームがクラッシュして、再起動したらセーブデータが全て消えたという猛烈に悲しい事件が起きた。涙。
難易度バランス
4.0
テンポ良く攻略していける難易度。
ボスは歯ごたえがあって、初見殺しも多く、攻撃パターンを覚えて立ち回らなければならない。
プラットフォームなテクニックが求められるところも多く、アルムとガマテンを素早く切り替える難しさと面白さが味わえる。
でも、本作では画面切り替えで敵が復活するし、デスペナルティも厳しくない。
というわけで、主人公をどんどん強化出来るし、終盤で手に入る武器が強いので、特に詰まることはない。
ゲームシステム
4.0
マップの構造はそこまで複雑ではないけれど、隠し部屋や隠し通路が多いので、探索に夢中になる。
特に、主人公強化に必要な死神の黎明や真エンディングにつながる要素は、くまなく探索しないと揃えられない。
これは探索好きにとっては最高のシステムで、探索するほど報酬が貰えるので余計楽しさも増す。
新たなスキルが手に入るタイミングや、行ける範囲の広がり方など、バランスが良く作られているメトロイドヴァニアだ。
やりこみ要素
4.0
上述したけれど隠し部屋がたくさんあるし、主人公の強化や真エンディング解放条件まで、やり込み要素が用意されている。
難しすぎる内容ではないし、全コンプリートを目指しやすいボリュームなので、挑戦する気も湧きやすい。
特に、各地にある誰かの思い出を集める収集要素は、本作の物語の大事な部分に関わるので、積極的に集めるのがオススメ。
グラフィック
3.5
くすんだ白と灰色と赤色だけで描かれる手描き調グラフィック。
キャラは可愛いし、敵も見た目が様々。いかにも冥土って感じの敵が多い。
一方で、道中の背景はちょっと寂しい感じがする。あまり描き込まれてはいない。
サウンド
3.5
落ち着いたBGMが多い。いまいち盛り上がりに欠けるのが残念。
NPC達はコミカルな描写が多いので、NPCたちとのシーンでは明るい曲調にしても良かったんじゃないかなと思う。
グラフィックやサウンドなど芸術性は、荒削りな感じ。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
探索が楽しい
武器やキャラ切り替えで様々なアクションが楽しめる
世界設定やキャラが魅力的
残念なところ
データ吹っ飛びバグ発生
物語やマップは単純
オススメな人
メトロイドヴァニアが好き
全コンプリートしやすい難易度を求めている
手描き調グラフィックが好き
死後世界に興味がある
オススメではない人
精度の高いアクションを求めている
物語をしっかり味わいたい
オススメ関連ゲーム本作が好きならオススメ
本作よりもバトルもプラットフォームも歯ごたえを感じるメトロイドヴァニアを求めるならコチラがオススメ。マップ構造や物語も練られまくっている高評価作。
手描き調グラフィックで、個性的な世界設定に興味があるならコチラもオススメ。頭部が金魚鉢というロボットが戦う独創的な世界が魅力のメトロイドヴァニア。
8 Doors: Arum’s Afterlife Adventure
東洋の冥土が舞台のメトロイドヴァニア。
武器や相棒のカエルを切り替えて攻略していく、歯応えもやり込み要素もちょうど良く楽しめる。
8 Doors: Arum’s Afterlife Adventure
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