『Donut County』レビュー: ドーナツの穴から哲学
『Donut County』とは、Ben Espositoさんが開発したカジュアルなパズルアドベンチャーゲーム。
独特な世界とゲーム性で、様々なゲーム賞にノミネートされているゲームだ。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PC、iOS、Androidでプレイ可能。私はNintendo Switch版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
穴を配達する
アライグマのBKが主人公。
BKは、Donut Countyという街のドーナツ屋で働いていて、注文した人のもとへドーナツをやる気なさそうに配達する毎日を過ごしている。
ところが、今日のBKが配達しているのは、ドーナツの穴。え、ドーナツって食べる部分じゃないのか?
細かいことは気にせず、ドーナツを注文した人の物や家だってペットだって、なんでもかんでも穴に落としていくBK。
いつもやる気がなかったはずの彼がせっせと働くのは、quadcopterという憧れのドローンを手に入れるためだ。
穴の底で
しかし、穴に落とされた住人たちやBKの友達であるMiraは黙っていられない。
自身も穴に落ちてしまったBKは、みんなに責められる。当たり前だ。
どうしてこんなことになってしまったのか。言い争いながらもDonut County一同は、知恵を絞って穴から脱出しようと話し合いを始める。
基本的には、住人たちが、いかにして穴に落とされたかというBKの回想で物語が進んでいく。
ゲームの特徴Features
穴に落とす、これだけ
地面に穴が空いている。
操作できるのは、この穴。
で、この穴に画面上にある物を何でもかんでも落とす。これだけ。
しかし、一気に全て落とせるわけではなく、物を落とす度に少しずつ穴が大きくなっていく。
小さな物から少しずつ落としていき、果てには家や巨大な岩まで落とせてしまう。
また、小さい状態の穴でも、テーブルの脚一本を引っ掛ければバランスが崩れて上に乗っていたものが割れて穴に落とせるサイズになるなど、段取りも必要。
また、ウサギを穴に二羽落とすと、穴底で子供が大量に産まれて、穴から噴出してきたり。
焚き火や火打ち石を穴に落とすと、穴から炎が立ち昇り近くにある物を燃やして穴に落としやすくしたり、ちょっとしたパズル要素も楽しめる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
冒頭から突拍子もない物語が展開する。ツッコミどころは死ぬほどある。
しかし、気にしない。「ドーナツって何」「ドーナツの穴って何」とか考えない。
ただ、イタズラ心だけ持ってプレイすればいい。そうすれば、本作を200%楽しめる。
しかし、終盤からは意外な展開が待っている。あたたかい気持ちになるオチが待っていて、奇想天外な展開だけではなくちゃんと物語が楽しめる。
キャラクターの魅力
4.5
住人たちは、みんな優しい常識人(ワニとかオポッサムとかだけど)だ。
でも、「そんな良い人たちの家も持ち物も全部穴に捨てちゃえ。どうせ無駄な物ばかりでしょ?」という態度のBK。
各チャプターの最後には、穴に落としたモノに対するアライグマ視点の感想を見ることが出来る。
これが意外と的を得ていて、現実の自分の持ち物についても考えさせられる。
あるのが当たり前だと思っていた物でも、よくよく考えてみれば変なものに囲まれて暮らしている。
ふざけた好き勝手アライグマ視点だからこそ見えてくる、なんだか深い真理に気づく。
しかし、感心してしまっては自分のやったことを正当化しようとするBKの思うツボなんだけど。
操作性
4.5
複雑なシステムは一切ない。
ポイポイと物を捨てるのって気持ちいい。それが操作でも感じることができる。
どりゃあああーっと豪快に穴を動かして、モノを吹っ飛ばしながら超高速穴落としするのは楽しい。一方で、1つずつ丁寧にポトン、ポトンと落としていくのも楽しい。
画面上にあるモノは物理演算で動くので、同じ動き方はほぼ2度と起こらない。
モノを落とすだけの単調そうに見えるシステムでも全く飽きない。
難易度バランス
4.0
ちょっと考えなければ穴に落とせない物もあるけれど、難しい謎解きはない。
自分なりに奇抜な方法を考えて物をぶっ壊して穴に落とすのも面白い。
「お、単純なゲームかと思いきや、ちょっと考えさせるじゃん」とフフッと笑えるいいスパイスになっている。
ゲームシステム
4.0
ゲームなんだけど、シュールなアート作品を体験しているような感覚になる個性的なゲーム。
ネタゲームだと思って侮るなかれ。
上述もしたけれど、意外と物語には考えさせられ、ひたすら気持ちいいゲームデザイン。巧くつくられたゲームだ。
やりこみ要素
3.5
やり込み要素や謎解きの方法が豊富というわけではない。
でも、本作のようなネタ的なゲームはテンポが命。
穴に落とす気持ちよさとモノが崩壊していくスピードが邪魔されることなく、いいくらいの謎解き要素に抑えられている。
グラフィック
3.5
ポップで大味なグラフィック。
このゆるさが本作のゲーム性と合っていてちょうど良い。
街の住人たちもみんな可愛くて、シュールでありつつ癒される。
サウンド
4.0
BGMはゲーム性と同じく、気の抜けた曲が多い。
全体的にアコースティックな曲調で、個人的に好き。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
穴に落とす操作感が気持ち良い
テンポよく攻略できる
残念なところ
謎解き要素は少なめ
オススメな人
笑えるゲームが好き
短時間で攻略できるゲームを探している
可愛いものが好き
オススメではない人
謎解きをしっかり楽しみたい
ゆるい雰囲気が苦手
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荷解きをしていくパズルアドベンチャーゲーム。荷物を上手く収納していく操作に癒される個性的なゲーム。引っ越しを通して主人公の物語も楽しめる。
鹿になって好き放題暴れ回るネタゲーム。街を破壊しまくったり、巨大な敵と戦ったり、何でもありな笑えるゲーム。
Donut County
ドーナツの穴から哲学
穴に物から建物まで落とす操作感が気持ち良い、シュールなアート作品のようなゲーム。
気軽に楽しめるゲームだけど、意外と深い物語も味わえる。
Donut County
© 2018 Labyrinth Mint LLC. Developed by Ben Esposito. Published by Annapurna Interactive. All rights reserved.
http://donutcounty.com/