『Evil Genius 2: World Domination』レビュー: 着実に確実に世界征服
『Evil Genius 2: World Domination』とは、Rebellionが開発したリアルタイムストラテジー要素のあるシミュレーションゲーム。
前作は2006年に発売されているけれど、特に物語が直接的に繋がっているわけではなく、本作からプレイしても問題ない。
本作は、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
現在、日本語版は配信されていないけれど高い英語力は必要ない。ミシュレーションゲームで使われる単語を知ってれば問題なくプレイできる。
本作には、キャンペーンモードとひたすら繁栄を目指すサンドボックスモードがあるけれど、本稿はキャンペーンモードのレビューとなっている。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
ちゃんと悪役
本作の主人公は、いわゆる悪役。
ヒーロー映画やスパイ映画でヴィランと呼ばれる悪役、もしくは、ゲームならラスボスになるヤツだ。
様々な種類の悪役から主人公が選べるけれど、本作の看板男はMaximillian。
万能な悪役だ。いや、万能な悪役って何だ。
賢さも筋力も万遍なく鍛えているバランス型の優秀なヴィランってことのようだ。
表現としては変だけど、悪役界のバランスがとれた勇者タイプだ。
ちゃんと組織
Maximillianの目的は、世界征服だ。悪役の基本中の基本。
でも、都市を爆撃するとか、黒魔術で魔物を世界中に放つとか、そういう過激派ではない。
めちゃくちゃ現実的に、着実に、安全に世界征服するのだ。
悪の組織をしっかり構築し、世界に少しずつネットワークを広げ、各国を少しずつ囲い込むのだ。
世界征服を夢見て、部下どもよ!私のために働け!
ゲームの特徴Features
素朴な悪人たち
本作は経営・運営系のシミュレーションゲームだ。
経営するのは悪の組織。
働くのはMinionと呼ばれる部下たち。作業服を着て笑顔を浮かべるMinionたちだけど、もちろん全員悪人だ。
彼らは指示に沿って、様々な施設を建設していく。
もちろん、睡眠欲や食欲などもある。
しかし、こうしたゲームでよくある幸福度はない。悪人なんだからハッピーである必要はない。
本作ならではのパラメーターは、MoralやSmartなど。
それらが低下すると、裏切ったり逃亡してしまう。
ちゃんと悪に徹してもらう環境作りが必要だ。
悪の本拠地
建設するのは、発電設備、Minionの控え室や食堂、金庫など。
組織運営に必要となる部屋を作っていくことになるけれど、まずは部屋の種類を決めて区画を作る。そして部屋の種類ごと決まっている家具などを配置する。
例えば、Minionの控え室にはベッドやロッカーを置けるけれど、食事のためのテーブルを配置することはできない。
そして、本作ならではの部屋もたくさんある。
Minionの特殊能力を引き出し、科学者や警備兵にするためのトレーニング施設。
捕虜を収容する檻や尋問設備。
そして、世界に我々の素晴らしさを布教するための放送設備などなど。
悪役はハードワーク
悪の組織を維持するにはお金が必要だ。
設備や家具を買うにはお金が必要だし、定期的に部下たちにちゃんとお給料も支払わなければならない。
ワールドマップモードでは、各地に犯罪ネットワークの拠点を作り、部下を派遣して犯罪行為に勤しんで稼いでもらう。
また、本作ではメインストーリーとサイドストーリーがあり、好きな順に攻略していけばいい。
サイドストーリーでは、Henchman(Minion達より格上の悪役)と呼ばれる特殊能力を持つ悪役が仲間になるクエストもある。
犯罪ネットワークを広げ、各国の指導者に賄賂を渡すなど様々な手段で征服していくことができる。これが本作の大きな目標だ。
正義のヒーローを許すな
本作にはリアルタイムストラテジー要素がある。
世界中で悪事を働いたり、拠点を充実させていると、たまにエージェントが拠点に忍び込んでくる。正義のヒーロー達だ。
ヒーローなんて邪魔でしかない。
監視カメラや罠を配置して警備体制を敷いておき、肉体派警備Minionたちに指示出しして、ヒーローを成敗するか、捕らえて尋問することができる。
尋問に成功すればMinionたちが賢くなる。
また、拠点の表玄関側にはカジノを作ることができる。表向きの商売だ。ちゃんと収入源にもなる。
ここを充実させ、エスコート役のMinionを配置しておけば、エージェントの気を逸らし、お帰りいただくこともできる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.5
面白いゲームって、悪役が魅力的だ。
そんな悪役になれるという面白い設定のゲーム。悪役が実はいい奴だったとか、そんなことはない。
どこまでも悪い。
有能でカリスマ性に溢れた悪のボスになれる。
それに伴った世界設定がちゃんと作り込まれてて面白い。
悪だくみだらけの会話シーンも結構あるし、悪い顔しながらプレイするのが楽しい。
キャラクターの魅力
4.0
Maximillianは、絶対に現実社会に存在しちゃダメな超パワハラ理不尽ボスだ。
大勢の部下が見ている前で部下の誰かを殺すと士気が高まるという恐ろしすぎる要素まである。
Henchmanと呼ばれる、いわゆるネームドな悪役達は「うわ、こういう悪役ってよく映画や漫画で見るよなー」っていう奴ばかりで笑える。
Minion達の動きや表情も面白くて、ついつい視点をズームアップして眺めたくなる。
活き活きとした楽しい悪の組織。
操作性
3.5
私はコントローラーでプレイしたけれど、快適とは言えない。でも、操作は問題なし。
UIや統計を見る画面は、確かに必要な情報ばかりではあるんだけど、ゴチャッとして見える。
やれることや家具や部屋の種類も多いせいか、アイコンやフォントが小さめ。
PCでのプレイが想定されてるんだと思うんだけど、フォントの大きさとか調整出来ると良かったな。
難易度バランス
4.0
手下の1人が手取り足取りチュートリアルしてくれるのでゲームのシステムは分かりやすい。
教えてもらってる立場のにMaximillianはキレ散らかしてるけど。
本作ならではの要素も多いし、常にエージェントが攻めてくる緊張感もある。
でも、エージェントがやって来ても、自分が操作してる間はゲーム内時間を一時停止に出来る機能もある。
また、エージェントとの戦いでMinionが死ぬこともあるし、犯罪行為に派遣したMinionは帰ってこなくなるけど、新たなMinionがどんどん補充されるので詰まることはない。
というわけで、デフォルト難易度でそんなに厳しくなく攻略ができる。
Minion達はなかなか賢いので、警備を優先して拠点を作っていけば、ほくそ笑みながら世界征服出来る。
ゲームシステム
4.0
上述したけれど、設定が最高だ。
世界征服という、誰もが(?)憧れる一大プロジェクトなので、やる気が湧きやすい。
長丁場になりがちな経営ゲームでも、継続しやすい。
ゲームで悪役達が何度も何度も悪事を企む理由が分かる気がする。
なんだろう、悪いことしてるワクワク感(ゲーム内だけのお話です)。これが最高。
経営ゲームとしては、よくあるシステムが基本だけど、その味付けが個性的なおかげで面白ゲームになっている。
やりこみ要素
4.0
本作には追加DLCが複数配信されている。
他の悪役になるキャンペーンもあるし、利用できる物や施設が増える。
難易度を上げたり、ひたすら世界征服のシミュレーションが出来る。
グラフィック
4.0
Minion達もHenchman達やMaximillianも皆んな生き生きとしてる。
シミュレーションとはいえ、グラフィックのクオリティが高く、出来上がる部屋はなかなかリッチな見た目。
視点のズームアップもかなりキャラの近くまで可能なので、Minionたちの様子を眺めてるだけでも楽しい。
サウンド
3.5
BGMは控えめ。
シミュレーションゲームなので、BGMがうるさくても困るんだけど。
ゲームプレイを邪魔しない程度に楽しげな音楽が流れている。悪役が主役だからといってBGMは邪悪な曲調ではない。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
悪の組織で世界征服するという強烈な設定
本作ならではの要素が盛りだくさん
楽しく攻略できる難易度
ストーリーがちゃんとある
残念なところ
日本語版がない
UIがごちゃつきがち
オススメな人
シミュレーションゲームが好き
ブラックジョークが好き
悪役になりたい
実は世界征服したい野望を持っている
オススメではない人
短時間でクリアできるゲームを探している
敵と直接戦いたい
ゲーム内であろうと犯罪行為に手を染めたくない
不謹慎ネタてんこ盛りののシミュレーションゲームなら、こちらもオススメ。墓守となり、死体を扱うクラフトなどができるライフシム。本作よりももっとブラックジョーク度がきつめ。
独裁国家の独裁者になるシミュレーションゲーム。独裁政治とはいえ、結構マジメに統治しないといけない人気シリーズ。
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