『Planet of Lana』レビュー: 囮にされてもキミが好き
『Planet of Lana』とは、Wishfullyが開発したアドベンチャーゲーム。
2D横スクロールでプレイする。
本作は、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。今後PS版も発売予定。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
美しい星
豊かな自然に囲まれた村。
そこ住むラナという少女が本作の主人公。
ゲームが始まると、イロという名の友達(もしくは兄弟)を追いかけて、ラナは村外れへと走っていく。
キャラたちは喋ってはいるけれど理解不能な言語で、本作での明確なテキスト情報は操作方法のチュートリアルだけだ。状況から自分で想像するしかない。
原始的な生活を営む村でほのぼのと暮らす、それがラナ。とりあえず、そこまでは理解した!
機械襲来
ラナがイロと共に村外れにある誰かのお墓をお参りを終え、そこから見える雄大な景色を眺めていると、ゴォオオーーッゴォオオーーッと不穏な音が響く。
え!空からたくさんの機械が落ちて来ている!?
いや、落ちてきているのではなく、大量のものものしい姿をしたロボット達が着陸してきているようだ。
そして状況を把握する間もなく、イロとラナは1体のロボットに見つかってしまう。
こ、殺される!?
しかし、間一髪のところで、イロがラナを庇い、ラナは逃げることができた。が、ロボットはイロを攫って行ってしまった。
「どうしよう、イロが!」とラナは村に走って戻ったけれど、そこで他の村の住人たちもロボットに攫われていく光景を目にすることになる。
なんで?機械の目的は現地住民の誘拐?そして、この機械たちはどこから来たんだ?
ムイとの出会い
イロも村の人々もいなくなり、一人ぼっちになってしまったラナ。
でも、大切なイロを助けに行かなくては!
戸惑うことなくロボット達が飛んでいく方向へと走り出すラナ。
すると、その道すがらで、ラナはロボットに捕まってしまった可愛い小動物を見つける。
恐る恐るロボットの目を盗んで小動物を助け出してみると、その小動物はどうやらラナの言葉を理解できるようだ。しかも懐いてくれた!
ラナ側は小動物の言葉は分からないものの、コイツの名前がムイということはなんとなく分かった。
一人ぼっちではなくなったラナは、ムイと共にイロ救出のためにロボットの本拠地へと急ぐ。
ゲームの特徴Features
頑張るラナ
本作では、ラナを操作して画面右へと進んでいく。
ゲームはいくつかの章に分かれており、チャプターごとにリプレイ可能。しかし、同じチャプター内でもエリアの自由な行き来はできない。
ラナは移動とジャンプ、そして物陰に屈んでロボット達から隠れることが出来る。
また、木箱などを押したり縄を登ったりなども可能で、ギミックを利用して謎解きしたりステルスしながら進んでいく。
不思議なムイ
ムイは、自動でラナの後ろをついてきてくれる。
ムイは猫のような動きをするけれど、忠犬ハチ公並に忠実で、ラナからの指示を正確に遂行してくれる。
ムイには、その場で「待て」とラナのもとに「おいで」の指示が出来る。
また、ラナから一定距離内の任意の場所を指定すれば、ムイはそこに移動してくれる。ムイはジャンプが得意なので、高い足場からロープを下ろしてもらったり、簡単なスイッチを押してもらうことも出来る。
そんな有能ムイだけど、水が大嫌い。水場は丸太などの上にムイを乗せてラナが運ばなければならない。
また、ゲームが進行すると、ラナとムイはそれぞれ出来ることが更に増えていく。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
上述した通り、物語を理解するためのテキスト情報はなく、セリフは全く分からない(なんとなく推測はできる)。
物語は自分で想像することになるけれど、主線は分かりやすい。
キャラやロボットの描写はシンプルながらも、演出が素晴らしくて映画のような展開が続く。
各章がコンパクトにまとまっていて、中だるみすることなく良いテンポでどんどん物語が進み、一気にエンディングまでプレイしてしまった。
そして、「なんか泣きそう」と予感はしていたけれど、終盤では無事に(?)涙。「セリフの意味が明確に分からないからこそ泣ける!」という演出が素晴らしかった。
ラナとムイの絆や原始的な村といったあたたかさと、考察欲をくすぐる惑星の歴史やロボット達の目的など無機質に感じるSFっぽさという両極端な要素が混在していて、終始先が気になりながらプレイした。
キャラクターの魅力
4.0
ラナとムイが可愛くて微笑ましい。これに尽きる。
移動中には時々ムイが「プイプイー(文字にするのが難しい鳴き声)」と鳴いて、ラナがウフフと笑って応える。癒し。
「ここで待って」と指示すると、ムイは「プッ!」と返事をしてくれるけれど、これがなんだか置いていかないでという悲しそうな鳴き声に聞こえるし、「おいで」と言うと嬉しそうに駆け寄ってくる。可愛いが過ぎる。
しかし、そんな可愛くて仲良しなムイを、ロボットをやり過ごすための囮にすることも多くて、突然垣間見えるラナの非情さに驚くこともある。
そうは言っても、危険な状況にも関わらず前に進むことを諦めないラナの姿や、囮にされても忠実に指示を守るムイの姿にどっぷり感情移入してしまう。
操作性
4.0
ラナは普通の少女なので、ジャンプも移動も全てがゆったりめ。
ラナ自身の操作とムイへの指示出しが混ざっているので操作の種類は多いけれど、全体的にゆったりしたペースなので困ることはない。
が、その分、謎解きに何段階か操作が必要な場合には「もっとサクサク操作したい!」と思うこともある。まあ、キビキビしていたら本作の雰囲気がぶち壊しになってしまうだろうけれど。
また、ムイに特定の場所に行ってもらいたい時には、スティック操作(Xbox版)で画面上のカーソルを自分で動かす。その際には、ギミックがある場所にスッとカーソルが合うようになっているのが親切。
しかし、ラナもギミックなども滑らかに動くけれど、しっかり慣性がはたらく。その慣性をある程度考えて操作しなければならない場面では細やかな操作が求められる。
難易度バランス
4.0
謎解きもステルスも解き方自体は難しくない。
ヒント機能はないけれど、必要にもならない。
しかし、上述した通り、ラナの挙動がゆったりしているので、ゴリ押しは一切効かない。
タイミング良くギミックを動かしてロボットの隙を見てラナを移動させる、これら全てが正しい手順を順序良く踏まないと間に合わないようになっている。
ゲームが進むほどタイミングがギリギリになっていくので、一つずつ間違いなくこなしていかなければならない。「え、ギリギリすぎない?」と感じる箇所もあった。
考えて悩む難しさより、ラナとムイの操作を間違いなく正確に行う方がメイン。
とはいっても、かなり小刻みにチェックポイントが設定されているので、詰まることなく攻略できる。
ゲームシステム
4.0
本作は雰囲気や世界を楽しむゲームだ。
そこにステルスとムイへの指示出しという、良い意味で「ちょっと手間取る」が加わっていることでゲームとしても楽しみながら世界に入り込んでいくことができる。
システムとしては斬新なものがあるわけではないけれど、ラナとムイの絆を感じたり、ロボットの恐ろしさを痛感するなど、ゲームプレイが本作の物語そのものになっているのが良い。
やりこみ要素
3.5
道中には寄り道がある。
その先には石板が置かれていて、調べるとメニュー画面から確認できる神殿と書かれた画面に石板が埋まっていく。
結構分かりにくい場所もあるので、隅々を調べながら歩かなければならない。ゲームプレイ上のやり込み要素はこれだけ。
でも、もう一つ。ゲーム攻略には全く関係ないけれど最大のやり込み要素がある。
それは、ムイを撫でること!
ムイの近くで屈むと撫でることができる。ラナは「ムーイ」と呼びかけながらムイをワシワシと撫で、ムイは気持ち良さそう。意味なく撫でたくなる。可愛い可愛い可愛い。
グラフィック
4.5
スケッチブックに描かれた風景画のようなグラフィック。
自然豊かな緑に空の青色が映える。
細部まで緻密に描くアートスタイルとは違う良さがあり、青と緑で画面が埋まっているくらい厳選された色づかいが魅力的。とっても爽やかで心地いい風を感じるようなグラフィックだ。
その一方で、ロボットなどの機械は、ラナ達よりも繊細な筆使いで直線を多用して描かれている。
そのコントラストによって、より一層機械の異質感が高まり、自然と機械の違いが上手く表現されている。
サウンド
4.0
映画のような演出が多く、BGMは壮大な曲が多い。
本作では、とあるメロディが物語の鍵を握っていて随所で流れるけれど、これが美しく効果的に使われている。
また、環境音が素晴らしくて、風で木が軋む音や葉がざわめく音、遠くから響く鳥の声など、ロボットさえいなければ昼寝したくなる癒しっぷり。
そして、上述もしたけれど、本作ではセリフはあるものの意味は分からない。
けれど、ラナとムイの感情を乗せたボイスが素晴らしくて、理解できないのに意味が分かるし感情移入してしまう。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
あたたかく癒される雰囲気
感情移入する物語
ムイとの絆を感じる謎解き
残念なところ
ゆったり挙動+慣性で操作が難しくなる場面がある
考えがいのある謎解きではない
オススメな人
雰囲気を楽しみたい
癒しと感動を求めている
数時間で攻略できるゲームを探している
オススメではない人
ゆったりした挙動が苦手
物語を正確に理解したい
謎解きもステルスも歯ごたえが欲しい
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Somerville
こちらも突然侵略してきた宇宙生命体が登場するアドベンチャーゲーム。こちらもセリフはないけれど、主人公の男性が腕に宿した不思議な力を使って家族を守ろうと奮闘する物語を体験できる。
Planet Alpha
こちらも謎解きとステルスをしながら進む2D横スクロールアドベンチャーゲーム。時を操る能力を使ってギミックを利用して未知の惑星を進んでいく。こちらも見惚れてしまう惑星の風駅が魅力。
Planet of Lana
囮にされてもキミが好き
自然豊かで美しい風景に見惚れながら、ラナと小動物ムイの絆に心があたたかくなるアドベンチャーゲーム。 ムイと協力してステルスや謎解きで攻略するゲームプレイ自体も物語の一部になっていて、世界への惹きつけ方や映画のような演出が上手い。 ゲームとして楽しみつつ、雰囲気を味わうゲーム。
Planet of Lana
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