『Recompile』レビュー: コンピューターを壮大に再起動する
『Recompile』とは、Phigamesが開発したアクションゲーム。三人称視点でプレイする3Dアクションゲームだ。
今のところ日本語版が配信されていないため、本稿のゲーム画像は英語版のものとなっている。
自動的にスクロールしないテキストで表示されるので、自分のペースで読むことができる。デジタル関連の用語が多いけれど、英語としてはそんなに難しくはない。
本作は、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
ここはPCの中
ゲームが始まると、ピュッと現れる光の塊。人のような形をしている。
こいつが本作の主人公だ。その正体は、AIプログラム。そのまま「Program」と呼ばれている。
で、このプログラム君が現れた場所は、かなり不思議な空間。
実は、ここはメインフレームの中。メインフレームとは、ざっくり言うと、基幹業務をコントロールするコンピューターのこと。
とりあえず、色んなことができるコンピューターの電脳空間が舞台ってことだ。
何をすべきか
プログラム君は、Janusという人か何かによって生み出された。
声だけが聞こえてくるのみで、Janusの正体は不明。脳内に直接語りかける系なのは間違いないけど。
Janusが言うには、このメインフレームには問題が起きていてオフラインになっており、Janusが直接アクセスできなくなっている。
どうやらJanusは、このメインフレームに用事があるらしい。
で、Janusに派遣されたプログラム君は、メインフレームを内部から直接修復する任務を仰せつかったわけだ。
事件の予感(過去だけど)
Janusに促されるまま、プログラム君はメインフレーム内を走り回り、修復作業を進めていく。
しかし、所々で人間の会話のログを見つけることになる。
ログを読み進めると、事件の匂いがぷんぷん。
このメインフレームは何をするためのものなのか?なぜ壊れた?いや、本当に壊れているのか?
そして、ログに登場する人物たちに起きたこととは?
膨らんでいく疑問を抱えながら、プログラム君はせっせと修復作業を進めていく。
ゲームの特徴Features
自由なプログラム
本作の舞台はいくつかのエリアに分かれているけれど、どこから進んでもいい。
本作は、3Dプラットフォームアクションゲームでありつつ、メトロイドヴァニア要素もある。
つまり、新たな移動スキルを習得するごとに進める範囲が広がっていくというわけだ。
持っているスキルを組み合わせて行ける場所を見つけながら、あっちへこっちへと自由に探索していくことになる。
戦うプログラム
舞台はコンピューターなので、もちろんセキュリティシステムが働いている。
プログラム君は侵入者扱いされるので、さまざまなプログラムからウィルス駆除攻撃をされてしまう。
でも、プログラム君は銃(セキュリティを消すコードを撃っているらしい)で攻撃できる。よく狙って射撃。TPSだ。
弾数の概念はない。様々な種類の銃が登場し、挙動もそれぞれ違う。
知性を持つプログラム
様々な武器だけでなく、2段ジャンプ、空中ダッシュなど、メトロイドヴァニアあるあるなスキルを手に入れていくプログラム君。
そして、プログラム君ならではのスキルも登場する。ハッキングだ。これはさすがに凶悪ウィルス認定されても仕方ない。
で、このハッキングスキルを使って、Routineと呼ばれる電気の流れのような配管状のパズルを解く。うまく信号が流れるようにスイッチの向きを切り替える。
また、ゲームが進行すると敵をハッキングすることもできるようになる。戦術が広がるわけだ。
しかし、ハッキングには一定のBitsと呼ばれるエネルギーみたいなものが必要で、これは敵を倒すことで溜めることができる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
ゲームクリアを目指すだけならストーリー要素は軽め。Janusからの指示を聞くくらい。
しかし、各地で手に入れるたくさんのログ。これが物語の本体だ。
でも、ログを集めるか内容を読むかどうかは任意。ログをすっ飛ばしていくと、プログラム君の大冒険物語に過ぎない。
一応、ログの内容をネタバレにならない程度に書くと、人類が住める新たな地を探す部隊の物語が描かれている。
その部隊が集まった施設にはHypervisorというAIがあり、クルー達がAIに好き放題命令しているうちに少しずつ何かが崩れ始める。さらに、部隊のリーダーは、とある重大な秘密を隠していて…。
これ、ちょっと気になるオマケの読み物ってわけじゃない。
本作の舞台であるメインフレームがオフラインになった経緯が分かる重要な物語だ。
しかし、残念ながら、今のところ本作は日本語版がリリースされていない。物語はテキストだけでしか語られない。
英語が苦手なら、ある程度ログが集まってから読むのがオススメ。断片的な会話が多いので、いくつかのログを通して読んだ方が文脈を理解しやすい。
キャラクターの魅力
3.5
無機質。プログラムなんだから当たり前だけど、主人公に愛嬌なんてまったくない。Janusも一方的に話しかけてくるだけだし。
しかし、上述のログに登場する人々は、読んでいるとどんな人なのか容易に想像できる。
よくこんな重大任務に選出されたなって不思議になるほど、結構いい加減なヤツもいる。
ログはミステリー小説のように楽しむことができて、いつのまにかプログラム君の冒険よりログの登場人物の行く末が気になってくる。
操作性
4.5
よく動く。ジャンプもダッシュ(回避っぽい瞬間的なダッシュ)もダイナミック。
プログラム君の動きはめちゃくちゃ良いので、勢い余って足を踏み外したり、うっかり滑り落ちたりすることが多い。
でも、着地やダッシュ時にバリバリッて火花が散るエフェクトが格好良くて、無駄に動いて無駄に転落事故を起こしてた。挙動が気持ちいい。
難易度バランス
4.0
ゲーム序盤で手に入る全てをスローモーションにできるスキルを手に入れてしまったら、バトルはそんなに難しくない。
配管が複雑に入り乱れるパズルは、一見難しそうな雰囲気を醸し出している。が、実際には、あっさり解けてしまう。
本作では「狭い足場に正確に乗る、高いところから落ちない」が最重要事項であり、面白いところ。
というわけで、3Dプラットフォーム難易度が1番高い。でも、高難易度というわけではない。
ゲームシステム
4.0
探索がメインであるメトロイドヴァニアゲームといえば、基本は2D横スクロールだ。
でも、本作は3Dアクションで上下左右の空間をモリモリ使うけれど、しっかりメトロイドヴァニアにもなっている。
特にヒントはないので、行ける場所を自分で探すのに1番時間を使うことになる。マップは猛烈にシンプルなので、結局は目視で探すことになる。
高低差があるマップも多いので、うっかり道を見落としていると迷子になる。メトロイドヴァニアの楽しさが存分に味わえる。
一方で、武器の種類が多いわりには、バトルの機会が少なくて残念。もう少しシューティングバトルを楽しみたかった。
やりこみ要素
4.0
ログをどれだけ見つけるか、これがやり込み要素だ。他は特になし。
ちなみに、本作はマルチエンディング。その条件はログが鍵を握っている。
真エンディングの条件は厳しすぎないので、やる気が湧きやすい。
グラフィック
4.0
シンプルな見た目なんだけど、光るエフェクトが効果的に使われていてかっこいい。
遠くの方の足場はバグったようにチラチラと輪郭が定まらないグリッチになっている。で、近づくと、それがしっかりした足場に収束する。
ゲームで読み込み速度が追いつかない時によく起こる現象が、逆に演出として使われていて面白い。
サウンド
3.0
ほぼBGMはない。ところどころでは流れるんだけど、落ち着いた物悲しい美しいメロディが多い。ピアノの音だけっていう時もある。
電脳空間というと、サイバーなテクノな感じの曲を連想するけれど、真逆。プログラムって意外と静寂なんだな。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
道を探す面白さが味わえる
アクションが気持ちよくて格好いい
真相が気になる物語
メインフレームの世界を具現化した世界を堪能できる
残念なところ
今のところ日本語版がない
物語がテキストを読むのみ
オススメな人
3Dプラットフォームが好き
探索するのが好き
電脳空間に興味がある
独特な世界設定のゲームをプレイしたい
オススメではない人
バトルをメインに楽しみたい
探索のヒントが欲しい
テキストを読むのが面倒くさい
3Dプラットフォームとシューティングが好きなら、こちらもおすすめ。物語は分かりやすい冒険活劇。バトル要素もしっかりあり、爽快で派手なバトルが楽しめる。
素早い3Dプラットフォームアクションが好きなら、こちらもおすすめ。重力も摩擦も無視した滑らかで高速な挙動が魅力。
Recompile
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