『アルトのオデッセイ』レビュー: 砂漠を滑るという新たな禅 – Alto’s Odyssey
『アルトのオデッセイ Alto’s Odyssey』とは、Snowmanが開発したスポーツアクションゲーム。
美しい雪風景をスノボで滑り続ける『Alto’s Adventure』に続くシリーズ第二弾だ。
本作は、Nintendo Switch、iOS、Android、Apple Arcadeでプレイ可能。私はiOS版をプレイ。
Nintendo Switchでは、『Alto’s Adventure』と本作がセットになった『The Alto Collection』として配信されている。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
砂景色
特にストーリーはない。ゲームスタートしたら、すぐに滑り始めるだけ。
前作では雪景色の中スノーボードで滑っていたけれど、本作では砂漠が舞台。サンドボードでズサーーーーッと滑っていく。
背景は、一面の砂、オアシスといった砂漠ならではの景色が続くけれど、徐々に遺跡や神殿のようなものが現れる。
滑っていった先には一体何があるのか?
ゲームの特徴Features
ただただ滑る
操作キャラは、ノンストップで勝手に滑る。自動で画面左から右へと滑っていく。
ぶつかると痛い岩や谷や崖などに近づいてきたら、タイミングよく画面をタップして(画面のどこをタップしてもいい)ジャンプする。それだけだ。
ジャンプに成功しながら滑り続けていると、ぐんぐんスピードが速くなっていく。もちろん急な斜面になればもっともっとスピードは速くなる。
いくら速くなってもブレーキをかけることはできない。命知らずサンドボーダーだ。
謎のスカーフと砂漠
スピードが速くなると、首に巻いているスカーフが伸びていく。これがどのくらいスピードに乗れているかの指標になる。
広い谷間などでは、十分なスピードに達していないと飛び越えることができない。
谷に落ちたり、着地に失敗するとスタート地点からやり直し。ただし、プレイごとに地形が変わるのでコースを覚えるというわけにはいかない。
美しく滑る
サンドボード含め縦乗りスポーツと言えばトリックが欠かせない。
タップしてジャンプしたら、そのままホールド(タップしたまま指を画面から離さない)する。そうすると主人公はグルッと空中で一回転する。スピードにのって高い地点からジャンプすれば、着地までに何回転もできる。
そうすると、トリックポイントが加算される。本作では、どこまで滑れるか、どれだけ高いポイントが叩き出せるかが目的だ。
また、気球の上にジャンプしたり、縄の上を滑走したりしてもトリックポイントが加算されていく。
空中回転だけではなく、壁を滑ることもできる。
ドット模様のついた壁に近づいたらでタップ&ホールド。すると壁をザリザリザリッと滑ることができる。これもトリックの1つだ。
トリックを決めて着地に成功すると、グンッとスピードアップする。
実は目標がある
本作には、ただただ高スコアを狙って滑る以外にも、やる気を刺激してくれる要素がある。
特定のアクションをしたり、一定数のトリックポイントを獲得するなどの目標が掲げられている。で、全ての目標をクリアすると、次のレベル(目標)が登場する。
一定のレベルに達するごとに、新たな操作キャラをアンロックできる。
単に見た目が変わるだけではなく、キャラによって滑走スピードが違うなど特性が異なる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.0
ストーリーはないし、セリフだってないし、キャラに愛着が湧くというわけでもない。
でも、独特な雰囲気が最高で、アルトの世界に入り込んでしまう。スマホゲームなんだけど、没入感が凄い。
砂漠でスカーフ巻いてるところや雰囲気が抜群なので『風ノ旅ビト』に近いものを感じる。
キャラクターの魅力
3.0
本作で、より上手いプレイをしようと頑張る最初の目的は、新しい操作キャラのアンロックのため。
そんな格好で滑るの?もはや操作キャラにしていいの?というキャラも登場する。
ただ、彼らの物語が特別語られるわけではないので、すごく愛着が湧いてくるというわけではない。
操作性
4.5
タップとホールドだけなので、操作はこの上なく簡単シンプル。誰でも気軽にプレイできる。
だけど、奥深い。本当に奥深い。スピードやジャンプしたタイミングで挙動がちゃんと変わる。
タップ操作による反応も良いし、スマホ充電残量をグイグイ食ってしまうわけでもないので、スマホ向けゲームアプリとしても優秀。
難易度バランス
3.5
どのくらいのスピードか、どのタイミングでジャンプするか、どこでホールドをやめるか、その見極めが難しくて面白いところ。
ランダムマップなので、ステージ構成を覚えるというわけにもいかない。足場があるからといってジャンプしない方がいいこともあるし。臨機応変さが必要。
気軽にプレイできるけど、目標を全てクリアしようとするとしっかり集中力が必要。
高スコアを狙う時は、腰を据えてプレイした方がいい。
プレイを続けていると、背景が朝から夜に変わり、雨まで降ってきたりする。
で、ミニマルなグラフィックのせいか、目の前にある障害物がステージ上にある物なのか背景なのかが判別しにくくなる時がある。
ゲームシステム
4.5
めちゃくちゃシンプルなんだけど、奥深い。独特な雰囲気とアクションの挙動に心を鷲掴みにされたら、しばらく抜け出せない。
これこそ過不足なく美しいゲームデザイン。
そして、最高なのが禅モード。ミスしてもその場でやり直せるし、スコアもない。ただ滑り続けれらるモード。これがめちゃくちゃ良い。
これこれ!これだよ!開発者の人よく分かってるなあ。
滑る気持ちよさをたっぷり満喫できる、ひたすらに癒されるゲームモードだ。
やりこみ要素
3.5
目標のみ提示されるだけなので、やり込み要素みたいなのはほぼない。
ちなみに、ステージ上で手に入るコインを使うと、ショップで救済アイテムを買うことが出来る。
コインを集めまくり、高スコアに挑戦する。自分との戦いが最大のやり込み要素だ。
グラフィック
4.5
このゲームをプレイした人は、「美しい」と最低でも一度は感じるはず。
グラフィックはミニマルイラストレーション。最先端3DCGというわけじゃない。でも、どこを切り取っても幻想的で惚れ惚れしてしまう。
サウンド
4.5
サウンドは、瞑想系。画面見ずに音だけ聴いてたら、ヨガでもやってるのかと勘違いしそう。
主張しない程度の癒しのBGMで、シャーッ、ザザザーッていうボードと砂の擦れる音と、時折吹く風のヒュウウウッていう環境音がメインで聞こえてくる。これが耳触り良すぎて最高。
この雰囲気に圧倒されて見惚れてしまい、うっかりミスしてしまうことも多い。それくらいセンス抜群なゲームだ。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
シンプル操作だけど奥深い
滑走してる感じが気持ち良い
雰囲気が抜群
スコア気にせず滑り続けられるモードがある
残念なところ
障害物か背景が見分けづらい時がある
滑ることに飽きてしまったら、そこまで
オススメな人
芸術的なゲームが好き
複雑な操作が苦手
長く遊べるスマホゲームを探している
オススメではない人
同じことの繰り返しに飽きやすい
アクション性の高いゲームを探している
雰囲気抜群な砂漠を舞台にしたゲームなら、こちらもおすすめ。セリフやテキスト情報はなく、巡礼のように風に乗って旅していく名作。
こちらも砂漠を旅するアドベンチャーゲーム。バトル要素はなく探索とコミュニケーションや謎解きがメイン。移動方法がホバーバイクで、本作のように静寂を感じる砂漠を気持ちよく移動できる。
Alto’s Odyssey アルトのオデッセイ
© Team Alto
http://www.altosodyssey.com