『風ノ旅ビト』とは
2012年にPS3向けに配信開始されたインディーゲーム。
アメリカのthatgamecompanyが開発したアドベンチャーゲームで、販売はソニー・コンピュータエンターテインメント。
thatgamecompanyは、『Flowery』や『Sky 星を紡ぐ子どもたち』を手がけたデベロッパーであり、どの作品も美しいビジュアルと独特なゲーム性が評判となっている。

発売後、高く評価され数々のゲーム賞を受賞している。
人気は今も衰えず、現在PS3/PS4でプレイ可能。
私はPS4版をプレイ。
ストーリー
ストーリーは、あるんだかないんだか、よく分からない。
というのも、ゲーム中には一切のセリフもテキストも登場しない。
広大な砂漠で目覚めた主人公が、高い山を目指して旅していくのみ。
何のために山へ向かっているのかは一切分からない。
ただ、黙々と山へ向かう様子、そして所々で石碑に祈りを捧げるような動作を見るに、聖地巡礼の旅だろうか。

どんな世界で、どんな物語なのかは、プレイヤーが勝手に想像するのみ
ゲームの特徴
ただ歩き、ただ飛ぶ
ただひらすら歩く。
山へ向かって歩き続ける、それだけ。
敵と戦ったり、難しい謎解きをしたりということは一切ない。
歩く以外に出来ることは、飛ぶこと。
主人公は、スカーフを巻いている。
このスカーフがジャンプ出来る力の源。
歩いていると、光り輝く象形文字のようなものを見つけることがある。
近づくと、光が主人公にまとわりつき、巻いているスカーフがニュッと少しだけ長くなる。
そして、このスカーフは光る。
スカーフが光っているときは、シューッと上空にジャンプすることができる。
×ボタンを押し続けると、より長く空中にいることができる。
しかし、ジャンプし続けていると、スカーフの光が先の方から消えていく
そして、スカーフの光が完全になくなるとジャンプできなくなってしまう。
つまり、スカーフに宿る光がスタミナのようなものだ。
光る象形文字を見つける毎に、グングンとスカーフが長くなっていくので、徐々に高く、より長くジャンプすることができるようになる。
細切れスカーフを解放する
歩いていると、主人公の身に付けているスカーフと同じ模様の布を見かけることがある。
そこで、○ボタンを押すと、主人公がなにか叫び白い波動が発生する。
白い波動によって模様のついた布に力が宿り、主人公自身のスカーフも光り、ジャンプパワーが溜まる。
光った布は主人公を上空へと押し上げてくれて、これにより遠くや高い場所に進めるようになる。

ジャンプでは届かない場所や道がない場所などでは、布に力を与え、自分自身も力をもらう。
布パワー+自分のジャンプで高く遠くへと進んでいく。
誰かがいる
探索していると、よく似たというか全く同じ格好の他の巡礼者に会うことがある。
実は、NPCではない、他のプレイヤーが操作している。
といっても、意思疎通は出来ない。

ゲーム自体に備わっているオンライン要素。
PS Plusなどオンラインマルチプレイに加入している必要はない。
互いのIDなどが表示されることもない。
クリア後に、一緒になったプレイヤーのIDが表示されるのみ。
ジェスチャーもないし、もちろんチャットなんて一切出来ない。
出来るとしたら、○ボタンで叫んで注意を引くくらい。
ゲーム自体は、1人でもクリア可能になっているが、他の誰かと協力するとスムーズな旅になる。
なぜかというと、他のプレイヤーに近づいたり、他のプレイヤーの○ボタン押しによる叫びに触れると、お互のスカーフに力が溜まる。
つまり、フィールド上にある布がある場所ににわざわざ行ってスカーフに力を溜めてという作業をする必要がなくなる。
とは言っても、あくまでも知らない誰かが操作しているので、どうなるかは分からない。
特に近づきもせず1人で進む人もいれば、がっつり傍に付いてくる人もいるだろう。
どんな旅路になるかは、そこで出会った人によって変わる。

チャプターごとに出会う人は変わる。
1度に1人のみとマッチングされる。
私がプレイした際は、協力的な人たちばかりで、言葉はなくとも、ゆるーく強力プレイをすることができた。
評価
ストーリー [star rate=”4″]
キャラクター [star rate=”4″]
ストーリーは、分からなかった。
でも、別にそれで良かった。
これはこんな場所で、ここにはこんな意味があって、主人公はこんなこと感じてるんだろうなあ、なんて勝手に妄想しながら歩いていた。
そして、出会った人と分かりやすいコミュニケーションがとれないので、「隣を歩いているこの人は今何考えてプレイしてるのかなあ」なんて想像しながら歩いていた。
そんな妄想と想像で頭の中はいっぱいなので、ストーリーが謎でただ進んでいくだけのゲームだけど、頭の中が暇になることはなかった。
プレイヤーによって、またそこで出会う他プレイヤーによって、旅の印象は変わるはず。
いい意味で余白がたくさんあるゲームだ。
グラフィック [star rate=”5″]
音楽・効果音 [star rate=”4.5″]
グラフィックは、「美しい」の一言。
細かく描き込まれてるわけではなく、だだっ広い砂漠に遺跡が点在している。
砂漠を作る大量の砂粒がサラサラ動く様子がすごく綺麗で、当初PS3向けゲームだったのが信じられないほど。
陽の光で砂粒がキラキラと輝く様子など、うっとりしてしまう瞬間が何度もあった。
音楽は主張しない曲調だけど、砂の坂を滑り降りたり、大きく飛翔したりする時には、ババーンと曲調が盛り上がって、自然と気持ちが高揚する。
鑑賞してるだけで満足しちゃうくらい、すごく芸術的なゲームだ。
操作性 [star rate=”4″]
UI [star rate=”4″]
飛んで歩くだけ、ゲームボリュームは少なくて、サッとクリアできてしまう。
難しい操作も必要ないし、複雑なシステムも全くない。
ジャンプした時、砂の斜面を滑り降りる時、全て滑らかに動く。
それでいて主人公が着ているフード付きマントにかかる風の抵抗も感じる挙動になっていて、動かしていて気持ちいい。

特に空中を飛んでふわりふわりと滑空する感覚は気持ち良すぎる
ゲーム進行のテンポ [star rate=”5″]
難易度バランス [star rate=”5″]
バグの少なさ [star rate=”5″]
上述したが、ジャンプした時の気持ち良さを味わってしまうと、スカーフに力が宿っていない時にチビチビ歩くのが、もどかしい!
だからこそ、出会ったプレイヤーと協力したくなる。
お互いにスカーフに力を与え合って、気持ち良い感覚を長続きさせたくなる。
終盤では過酷な環境になってくるが、共に旅をする仲間がいるというだけで、すごく心強く感じた。
他プレイヤーの存在が、近くを歩いてる自分とよく似た人という認識から、同じ道を行く同志に変わる。
自然と他プレイヤーの存在が大きくなるように、少しずつ進みにくくなるように作られている。
上手いなあ。
自由度・戦略性 [star rate=”4″]
やり込み要素 [star rate=”4″]
やみつき度 [star rate=”4″]
小ボリュームの作品なので、やり込み要素はほぼないに等しい。
あるとしたら、どれだけ象形文字集めてスカーフを長くするかぐらい。
寄り道もなく、ひたすらに山を目指すのみ。
しかし、ゲーム側で用意された自由度というより、出会う他プレイヤーによって体験が変わる多様性がある。
2周目、3周目では、また違った体験ができるんだろうな。
時間が経ったら、またプレイしてみたい。
総合評価 [star rate=”4.38″]
おすすめしたい人/おすすめ出来ない人
- 芸術的なゲームが好き
- 短時間でクリア出来るゲームを探している
- 独特なゲームを探している
- オンラインプレイは苦手だけど興味はある

- アクション性や自由度の高いゲームを探している
- 他プレイヤーの存在を感じたくない
- 他プレイヤーとがっつり絡みたい

風ノ旅ビト
https://www.jp.playstation.com/scej/title/kazenotabibito/
©2015 Sony Interactive Entertainment America LLC. Developed by thatgamecompany.