『風ノ旅ビト』レビュー: そこに誰かいる

『風ノ旅ビト』とは、thatgamecompanyが開発したアドベンチャーゲーム。
thatgamecompanyは、『Flowery』や『Sky 星を紡ぐ子どもたち』を手がけたデベロッパーであり、どの作品も美しいビジュアルと独特なゲーム性が評判となっている。

発売後、高く評価され数々のゲーム賞を受賞している。
PS4、PS3、iOSでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
旅
ストーリーは、あるんだかないんだか、よく分からない。
というのも、ゲーム中にはセリフもテキストも一切登場しない。
広大な砂漠で目覚めた主人公が、高い山を目指して旅していくのみ。何のために山へ向かっているのかは一切分からない。
ただ、黙々と山へ向かう様子、そして所々で石碑に祈りを捧げるような動作を見るに、聖地巡礼の旅だろうか。

ゲームの特徴Features
スカーフの成長

ただひらすら歩く。山へ向かって歩き続ける、それだけ。
敵と戦ったり、難しい謎解きをしたりということは一切ない。
歩く以外に出来ることは、飛ぶこと。
主人公は、スカーフを巻いている。このスカーフがジャンプする力の源。
道中で光り輝く象形文字のようなものを見つけることがある。近づくと、その光が主人公にまとわりつき、スカーフがニュッと少しだけ長くなる。
光の補給

スカーフには光が宿る。
この光がスタミナのようなもので、光を消費して主人公は長く遠くへジャンプできる。
道中では、主人公のスカーフと同じ模様の布を見かけることがある。
そこで、○ボタンを押すと、主人公がなにか叫び白い波動が発生する。そうすると、その布と主人公のスカーフに光が宿る。
そうして、スカーフの光を回復し、更に光が宿ったフィールドにある布の近くでジャンプボタンをすると、かなり高くジャンプが可能になる。
こうして、高い場所へと移動していくことができる。
誰かがいる

歩いていると、よく似た、というか全く同じ格好の他の旅人を見かけることがある。
この旅人は、実はNPCではない。他のプレイヤーが操作している。
でも、意思疎通は出来ない。
ゲーム自体に備わっているゆるいオンライン要素で、PS Plusに加入している必要はない。

クリア後に、同じ空間で旅を共にしたプレイヤーのIDが表示されるのみ。
ジェスチャーもないし、もちろんチャットなんて一切出来ない。○ボタンで叫んで注意を引くことができるだけ。
ゲーム自体は、1人でもクリア可能になっているけれど、他の誰かと協力するとよりスムーズな旅になる。
他のプレイヤーに近づいたり、他のプレイヤーの○ボタン押しによる叫びに触れると、お互のスカーフの光が回復するからだ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.0
ストーリーは、分からなかった。
でも、別にそれで良かった。
「これはこんな場所で、ここにはこんな意味があって、主人公はこんなこと感じてるんだろうなあ」なんて勝手に妄想しながら歩いていた。
そして、出会った人と具体的にコミュニケーションがとれないので、「隣を歩いているこの人は今何考えてプレイしてるのかなあ」と想像しながら歩いていた。
そんな妄想と想像で頭の中はいっぱいなので、ストーリーが謎でただ進んでいくだけのゲームだけど、頭の中が暇になることはなかった。
キャラクターの魅力

4.0
プレイヤーによって、そして、出会う他の旅人によって、旅の印象は変わるはず。いい意味で余白がたくさんある。
私が出会った旅人さんたちは、みんな協力的な人たちばかりで、言葉はなくてもゆるーく協力プレイをすることができた。
少しだけだけど、世界のどこかにいる旅人の方々、お世話になりました!
操作性

4.0
ジャンプした時も砂の斜面を滑り降りる時も、全て滑らかに動く。
それでいて主人公が着ているフード付きマントにかかる風の抵抗も感じる挙動になっていて、動かしていて気持ちいい。
特にふわりふわりと滑空する感覚は気持ち良すぎる。
難易度バランス

4.5
飛んで歩くだけ、ゲームボリュームは少なくて、サッとクリアできてしまう。
難しい操作も必要ないし、複雑なシステムも全くない。
ゲームシステム

4.5
上述したジャンプの気持ち良さを味わってしまうと、スカーフに光が宿っていない時にチビチビ歩くのがもどかしい!
だからこそ、出会ったプレイヤーと協力したくなる。お互いにスカーフに力を与え合って、気持ち良い感覚を長続きさせたくなる。
終盤では過酷な環境になってくるけれど、共に旅をする仲間がいるというだけで、すごく心強く感じた。
他の旅人が、単に近くを歩いてる人という認識から、同じ道を行く同志に変わる。
自然と他プレイヤーの存在が大きくなるように、少しずつ1人では進みにくくなるように作られている。
すごく巧いゲームデザイン。
やりこみ要素

4.5
やり込み要素はほぼないに等しい。
あるとしたら、どれだけ象形文字集めてスカーフを長くするか。
しかし、ゲーム側で用意された自由度よりも、他の旅人によって変わる体験の方が未知数。
2周目、3周目では、また違う誰かに出会って違った体験ができるんだろうな。時間が経ったら、またプレイしてみたい。
グラフィック

5.0
グラフィックは、「美しい」の一言。
細かく描き込まれてるわけではなく、だだっ広い砂漠に遺跡が点在している。
砂漠を作る大量の砂粒がサラサラ動く様子がすごく綺麗で、当初PS3向けゲームだったのが信じられないほど。
陽の光で砂粒がキラキラと輝く様子など、うっとりしてしまう瞬間が何度もあった。
サウンド

4.5
音楽は主張しない曲調だけど、砂の坂を滑り降りたり、大きく飛翔したりする時には、ババーンと曲調が盛り上がって、自然と気持ちが高揚する。
鑑賞してるだけで満足しちゃうくらい、すごく芸術的なゲームだ。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
雰囲気が抜群
誰かと付かず離れずになる独特なシステム
美しいグラフィック
残念なところ
他の旅人に出会えないと魅力が半減する
オススメな人
芸術的なゲームが好き
癒されたい
個性的なゲームをプレイしたい
オンラインプレイは苦手だけど興味はある
オススメではない人
バトルを楽しみたい
他プレイヤーの存在を感じたくない
他プレイヤーとがっつり絡みたい
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本作開発元の新作。基本プレイ無料のゲームになっており、本作と同じく誰かと共に旅ができる。本作より具体的なコミュニケーションをとることが可能。

本作の開発に携わった開発者さんが立ち上げたスタジオの高評価作。不思議な遺跡がある海中を探索していく、めちゃくちゃ癒されるゲーム。

風ノ旅ビト
そこに誰かいる
美しいグラフィックなど雰囲気が抜群に良い芸術性の高いゲーム。挙動も気持ちよくて癒される。
ゆるいオンライン要素が上手く活かされるデザインんになっていて、その時その人だけの旅の体験ができるのも魅力。
風ノ旅ビト
https://www.jp.playstation.com/scej/title/kazenotabibito/
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