『Sifu』レビュー: ジジイになっても諦めない
『Sifu』は、SLOCLAPが開発したアクションゲーム。三人称視点でプレイする。
ちなみに、『Sifu』は「師父」のことで、師匠や父ことを指している。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。
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あらすじStory
悲劇の夜
雨が降る夜。どこかのお宅を訪ねてきている男性。彼を操作することになる。
ところが、男性はドアを蹴破って乱暴に「お邪魔しまーす」しちゃう。よく顔を見ると、どう見ても悪人顔。
どうやらこの家を襲いに来た悪いやつだ。
師匠を裏切る
男性が押し入った家は、彼のお師匠の家らしい。
悪そうで強そうな部下たちと合流し、お師匠と対決。何かの目的のためにお師匠をぶっ倒しに来たようだ。
死闘の末、お師匠は敗れ死んでしまう。
感傷に浸ることもなく、この悪い男性は何かの小箱に夢中のようだ。
蘇る主人公
実は、そんな惨劇を物陰に隠れて密かに見ていた少年(少女を選択することも可能)がいる。お師匠の息子だ。この子が本作の主人公だ。
しかし、強キャラすぎる悪役には当然バレており、なんと子供にも関わらず無惨に殺されてしまう。
ところが、悪い一味が引き上げていった後、主人公は目を覚ます。どうやら彼が持っていたお守りのおかげのようだ。
奇跡なのか何なのか分からないけれど、そんなことより主人公にとっては復讐の方が最優先事項だ。
恨みつらみを糧にして、少年は父譲りのカンフーを磨きながら成長し、遂に一味討伐に乗り出す日を迎える。
ゲームの特徴Features
1人ずつシバく
街の各エリアにいる復讐相手を1人ずつ倒していくのが大きな流れ。順番は決まっている。
拠点である自宅(武館)から各エリアに赴き、敵を倒しながら進んで最奥にいる仇のボスを倒す。
ボスを倒すと次のエリアがアンロックされる。
一度クリアしたエリアに戻ってボスに再挑戦することも可能。これは単なるリプレイではなくて、後述する本作ならではのシステムに関係してくる。
カンフー
本作のバトルは、カンフーアクション。
弱攻撃と強攻撃、ガードと回避が出来る。
主人公にも敵にも、体力ゲージと体勢ゲージがあり、攻撃すると敵の体力は減り、体勢ゲージも溜まる。敵がガード状態だと体力は削れないけれど体勢ゲージは溜まる。
敵の体力をゼロにすればもちろん倒せるけれど、敵の体勢ゲージを溜めきるとテイクダウンで敵を一撃必殺出来るし主人公の体力が少し回復する。
敵の体勢ゲージを効率的に溜めて倒す、これが勝利の鍵だ。
また、敵の攻撃をジャストガードで「受け流し」したり、ガードしながら敵の攻撃を避ける方向に左スティックを倒すと「見切り」で避けることも出来る。ここからの反撃が敵に効きやすい。
老化して蘇る
主人公は敵陣に乗り込んでいくので、死ぬこともある。しかし、物語冒頭に登場した、あの不思議なお守りのおかげで死んでも生き返ることが出来る。
しかし、年老いて復活することになる。
例えば、一回死ぬと一歳年老いて蘇る。五回目に死んだ時は、五歳年老いて蘇る。死んだ時の年齢に死んだ回数が加算されて蘇るわけだ。
もちろん限界もあって、死ぬたびに消費されていくお守りの五円玉のようなコインがなくなると遂にゲームオーバー。自宅から再スタートになる。
老化は強さであり弱さ
死んで蘇る際には、スキルをアンロックできる。
敵を倒して溜まっていく経験値を消費して、コンボ技や急所を突くスキルを解放できる。
ちなみに特定のスキル発動には、敵を攻撃することで溜まっていくスキルゲージを消費しなければならない。
ゲームオーバーになるとスキルは忘れてしまうけれど、経験値をたっぷり注ぎ込めば永久アンロックも可能。
また、一定の年齢以上では、攻撃時の与ダメージ量が増える。が、最大体力は減る。
カンフー技術は極まっていくけれど、身体は衰えていくということだ。
何歳から出発するか
主人公は、スタート時点で20歳。
で、ボスを倒して次のエリアがアンロックできた時に57歳になっていたら、次のエリアは57歳からスタートすることになる。
ゲームオーバーになっても、一度でもアンロックしたエリアには自宅からすぐに再挑戦できる。が、そのエリアを57歳から始めることになる。
となると、「寿命近いおじいちゃんでスタートしてもクリア出来ないじゃん!」という事態も起こる。
それなら、前のエリアに再挑戦して、ボスをより若い年齢で倒せばいい。各エリアのスタート時年齢は、前エリアのクリア履歴で更新できるわけだ。
ちなみに各エリアには鍵で開けられるドアがあり、ショートカットを解放すれば、再挑戦時に攻略しやすくなる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
会話はあまりなく、あっても少なめで簡潔。
主人公も敵も、みんなカンフーに通じる者。無駄口はたたかない。最高にクールだ。
それぞれは多くを語らないけれど、メニュー画面などで見れるボードに貼られていく情報を見れば物語や舞台となる街の事情が分かってくる。
筋書きはシンプル。復讐!以上!あとは無駄なこと考えずに全員シバき倒せ!
というわけで物語というより、難易度の高さよって闘志が芽生えてくる方が強かった。
キャラクターの魅力
3.5
上述の通り、みんなクール。
特に主人公はクールの極み。家族の仇を目の前にしても「テメェエエエエ!」とか叫んだりしない。静かに「覚悟しろ」みたいな。強キャラ臭がすごい!
強敵の最期には、トドメのひと言をカッコ良くお見舞いしつつ、熱い復讐心をチラ見せする。かっこいい。
時々、会話の選択肢が登場するんだけど、そこではボスに関する情報などを聞くことができて、ボスの性格や事情を知ることが出来る。
ボスはそれぞれ営んでいるビジネスがあって、その内容までゲスい。倒したくなるボス達だ。
操作性
4.0
PSコントローラーの全てのボタンを使う。めちゃくちゃ忙しい。
実際のカンフーってダンスかのように素早く手と足を動かしてるけど、あれを自分で実際に操作するわけだ。しかも敵は大勢。指が疲れるゲームだ。
まず、操作が指に馴染み、ゲームのシステムを理解するのに少し時間がかかる。
そして、敵の攻撃のタイミングを覚える。本当にカンフーを習得するように(したことないけど)、鍛錬が必要。
本作は、他のアクションゲームと比べてもかなり複雑な操作になっていて、しかも素早く行わなくてはならない。
でも、操作性は良好で、当たり判定や見切るタイミングなどはそこまで厳しくない。
ただ、狭い空間で大勢の敵に囲まれると見にくいし脱出不可能になるし、攻撃する敵を選べなかったり(本作では近い敵を自動で狙う)、ストレスを感じることはある。
難易度バランス
4.0
本作は、難しい。難易度選択もできない(アプデによって難易度選択は可能になった)。間違いなく死にゲー。
死んでも寿命までなら蘇ることが出来るとはいっても、「もっと若い12歳くらいから復讐始めたい」「200歳まで生きたい」と思い始めるくらい、よく死ぬ。
とにかく大量の敵をさばくのが大変。
本作の敵の皆さんは、「1人の敵を攻撃してたら他の敵はあまり手を出してこない」っていうゲームの暗黙のルールを破りがち。数の暴力で死ぬことが多い。
そして、お爺ちゃん状態だとすぐ死ぬので、前のエリアをより若く通過するための再挑戦も欠かせない。
しかも、ショートカットはあるものの、そんなに小刻みじゃない。再挑戦だって、ひと苦労だ。
ゲームシステム
4.0
死んで老化して生き返る。このシステムが最大の特徴で、本作を面白くしている1番の要素。
そして、ガードしながら見切って戦うバトルシステムも面白い。
最初は「殴れ殴れ殴れー!」と脳筋プレイしていた。
ところが、徐々に難しくなってきて、本作のバトルシステムをもう一度修行。
そして、敵の攻撃を見切ったり、体勢を崩すタイミングが分かってくると、攻防含めた立ち回りが面白くなってくる。大勢の敵を次々とぶちのめしていく爽快感は最高。
「お前の技など全て見切った!」とカンフーマスター気取りになれる。まあ、次の瞬間にはボコボコにされてしまうことも多いんだけど。
やりこみ要素
3.5
ステージ上には調べられるモノがいくつかある。
そうすると、敵や街の情報が掲示されるボードが埋まっていき、物語の背景などがより詳しく分かるようになる。
また、スキルの解放はやり込み要素の1つ。永久アンロックを目指してコツコツと経験値稼ぎするのも良い。
でも、ゲームとしては一本道なので、そんなにやり込み要素が豊富というわけではない。
グラフィック
3.5
オリエンタルで治安の悪い街が舞台。雑多な場所からお金持ちエリアなど、雰囲気がガラッと変わる。
高精細というわけではない3DCGグラフィックではあるんだけど、やはり本作の特徴である主人公の老化がビジュアル面でも1番の目玉。
おじさんになってくると髪の毛を三つ編みにしたり、おじいさんになるとシワシワな顔になりつつ髭を生やして貫禄たっぷり。
年齢に応じたファッション楽しみながら蘇るオシャレ主人公だ。
サウンド
3.5
BGMもエリアごとに変わる。
こういう雰囲気のゲームだと、カッコイイ音楽がバリバリ鳴り続けそうだけど、音楽は意外と控えめ。
主人公たちと同じく、BGMの鳴り方もクールに抑えてる。
でも、瓶が割れる時や、敵をテイクダウンできる時などの効果音はコントローラーからも鳴るので、臨場感増し増し。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
カンフーアクションが本格的に楽しめる
高難易度アクション
老化して蘇る独特なシステム
残念なところ
狭い場所でのバトルは見にくくなる
攻撃対象は自由に選べない
手が疲れる
オススメな人
高難易度、死にゲーが好き
ハイペースなバトルが好き
カンフーに憧れている
オススメではない人
ハイペースなアクションが苦手
同じステージに何回も挑むのが嫌い
高難易度は心が折れる
本作と同じように体力ゲージと体幹ゲージがある。架空の戦国時代が舞台の高難易度アクションゲーム。高評価死にゲー。
こちらも体力ゲージとガードのゲージを崩していくバトルシステム。「スターウォーズ」世界でオリジナルストーリーと高難易度アクションが楽しめる。
Sifu
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