『SEKIRO : SHADOWS DIE TWICE』とは

『DARK SOULS』シリーズ、『Bloodborne』といえば、ゲーマーの心をへし折りまくる死にゲーの代名詞。
それを生み出したのは、死にゲーの老舗であるフロム・ソフトウェア。
そんなフロム・ソフトウェアが作る和風の新規IP。
同社の他作品は全く違ったゲーム性で、これまたゲーマーの心を折りまくる新たな死にゲーだ。
PS4、Xbox、PCでプレイ可能。
私はPS4版をプレイ。
ストーリー
舞台は、架空の戦国時代。
完全にフィクションなので有名武将とか史実は登場しない。
戦国時代末期で、長い戦が続きだいぶ荒れ果てた葦名城一帯を巡ることになる。
架空世界なので、鬼や巨大化した動物といった妖怪のような敵もいれば、巨人族かと思うようなデカすぎる人間も登場する。
主人公は、生まれながら特別な能力を持つ御子に仕える忍。

御子はまだ幼い子供だけど、その「特別さ」のために狙われまくっている超VIP。
主人公は、その命がけボディガードのはずが、なんたる不覚!ピーチ姫かのように御子は早々に連れ去られてしまう。
というわけで、主人公は、御子を取り戻すため死ぬ気で(実際は死にまくるんだけど)跳びまわる。

フロムソフトウェアの代表作『ダークソウル』シリーズは、ストーリーは難解で複雑だけど、『SEKIRO』ではストーリーがかなりハッキリしている。
主人公やNPCの感情も描かれているのでストーリーも楽しめる死にゲーになっている。

内容は理解しやすい。


ゲームの特徴
基本は刀でジャストガード
刀で、攻撃もガード行う。
で、バトルシステムはかなり独特なものとなっている。

ガードは2種類あり、純粋なガードと、敵の攻撃に合わせて刀を構えることで繰り出されるジャストガードである「弾き」。
この「弾く」が、1番重要なアクション。
「弾く」が成功すると、「ガード」よりエフェクトが派手に出る。

ガードとは違う音が鳴る
主人公は、豪腕、豪傑というわけではなく、攻撃力は高くないし体力も少ない。
真正面から斬り合いをしても、まず負ける。
というわけで、敵の攻撃を弾いて弾いて、敵のスキを狙って攻撃する。
何事もバランスが大切
上述の「弾く」を繰り返し、いいタイミングで攻撃を加えていくと、敵の体力を削れるとともに敵の「体幹」ゲージにダメージが蓄積されていく。
主人公も敵も体力ゲージとは別に体幹ゲージがある。

黄色い体幹ゲージが表示されている
主人公の体幹ゲージは画面下部中央
攻撃をしたり「弾く」が成功すると体幹ゲージが溜まっていく。
そして、敵の体幹ゲージが最大まで溜まると、敵の姿勢が大きく崩れる。

敵のロックオンマークは平常時は白い点だだけど、姿勢が崩れたり、奇襲(ステルスキル)が出来る時は赤い点に変わる。
それが「忍殺」可能なサイン。
一撃必殺の忍の技だ。
相手の体力がいくら残っていたとしても一撃で倒すことができる。
戦場では、大きなスキを敵に見せたら即死を意味するわけだ。過酷!
危険の「危」
「弾く」が成功しなくても、「ガード」していれば敵の攻撃を防ぐことは出来る(もちろん体幹ゲージは削られるけど)。
怖い敵とか、強そうな技はガードしてやり過ごそう!って思うけど。
そうは簡単に許してくれるはずもなく、ガードは敵の攻撃全てを防ぐことは出来ない。
敵が攻撃を繰り出した瞬間、主人公の頭上に「危」の文字が浮かぶ時がある。

それは、「ガード出来ませんよ攻撃」の合図。
ステップかジャンプで避けるか、絶妙タイミングで弾くしかない。
そして、敵の「掴み」攻撃は避けるしかない。
主人公が体勢を崩すと、敵は掴んできて大ダメージを与えてくるので、緊急回避しなければいけない。
死んだら1発アウトではない
主人公は、不思議な「回生」能力を持つ。
死んでしまうと、その場所で生き返ることができる。
もちろん、敵に与えていたダメージもそのまま。
所持金も経験値もそのまま、ムクリと起き上がる。

条件を満たせば再発動もできる
敵が、「こいつはもう死んだな」と思い込んで「やれやれ」と帰って行っていたら、生き返って後ろから奇襲という逆転劇もできちゃうわけだ。
しかし、「生き返ることができるなんて、死にゲーじゃないじゃん」となるわけだが。
ちゃんと、主人公はリスクを負っている。

セーブポイントであり回復ポイントの「鬼仏」に辿り着くまでに完全に死んでしまうと、所持金と経験値を半分失う。
未来永劫取り戻すことは出来ない。
しかも、NPCたちに健康被害「竜咳」が起きてしまうというペナルティ付き。

かなり貴重品
移動にも逃走にもスイスイ鉤縄
本作にはスタミナの概念はなく、主人公は軽々とジャンプ出来る。
そして、更に忍らしく飛び回る便利アイテムである「鉤縄」もある。
マップ上に表示される「鉤縄かけていいよポイント」に鉤縄を投げて引っ掛けて、ピョーンとひとっ飛び出来る。

屋根の上や、遠く離れた木の枝へ飛んでいける。
上下移動が出来てしまうわけで、マップも高低差に富んでいる。
探索も楽しくなる要素だけど、戦いの最中にピンチになった時に「緊急脱出!」と、敵が来れない高い場所に逃走も出来る。
左腕の秘密器具
タイトルの「隻狼」とは、「隻腕」の狼という意味。
主人公の左腕には義手が付いている。

この義手はハンパない兵器。
忍具(パーツ)を付け替えると、さまざまな種類の攻撃が出来ようになる。
忍らしく手裏剣や、厨二心をくすぐる「仕込み斧」などなど、バラエティに富んだ兵器が使えるようになる。

ただ、特殊攻撃扱いで、「形代」を消費して使用する。
使い放題というわけではない。

忍の成長
本作には、レベルの概念は存在しない。
敵を倒して得る経験値を一定数貯めると「スキルポイント」を獲得できる。
スキルポイントを消費することで、技や能力を覚えることができる。

経験値は半分になってしまう
しかし、経験値は、雑魚敵との戦闘でも手に入るけれど、体力や攻撃力といった基礎ステータスはボスを倒さなれければ強化できない。

ボスを倒さないと強くなれない
評価
主人公は、ただひたすらに御子に忠実。
「御意」「御意」言いまくって、死にまくって、それでも御子を助けたい。
で、それに感情移入するくらい御子も良い子だし。
それぞれが過酷な立場でひたすら戦う、めちゃくちゃ切ない。
死にゲーだとアクションの難しさに目が行きがちだけど、ストーリーもすごく良かった。
とにかく切ない。狼、切ない。で、カッコいい。

NPCは少ないけれど、ボスがとにかく素晴らしい。
苦労させられたボスばかりだけど、敵も、それぞれ背負っているものがあって、めちゃくちゃ魅力的。
みんな、生き様がカッコいい。
惚れてしまうようなキャラばかり。
本作の独特な「弾く」というアクション。
これが、新規IPとは思えないほど、とんでもなく完成度高く作られている。
理不尽さやストレスは一切なし。
数ミリ避けれた!でちゃんとダメージは受けないし、死ぬ時は自分のミスでしかないし、アクションがボタン入力した通りにちゃんと反映される。

強敵には間違いなく初見でぶっ飛ばされて、「コイツこそは遂に無理だろ」と思っても、徐々に上達して、遂には撃破出来る。
「もう無理だ、疲れた」と思ってプレイをやめても、「あれ、あそこの立ち回りを変えてみたら上手くいくかも」と数10分後には、またPS4を起動している。
パズルのようにうまく立ち回れば、ほぼ全ての雑魚敵をステルスキルしていくことが出来る。
ボス相手には自分なりの立ち回り方を見つけていけるようになっている。
ゲームデザインとか、難易度バランスとか、本当にすごい。
開発者さん達は、人間の心理を知り尽くしているような気さえする。

『SEKIRO』は、楽しみだったけど、プレイするまで不安もあったタイトル。
『Hollow Knight』で死にゲーに目覚めて、遂に死にゲーの王様フロム・ソフトウェアのゲームに手を出してみようと思ってみたけど、根性なしなので「すぐ詰むかもしれない」と思っていた。
しかし、プレイ始めて約30分後、「やばい、面白い。やめられない」。
スタート30分後なんて少ししか経過しておらず、もちろん、ド下手。
それでも、めちゃくちゃ面白い!
やめられない、やめたくない。

諦めがちのくせに何度も挑めるのは、アクションの格好良さとその完成度だと思う。
忍殺が、本気でカッコいい。
血しぶき飛び過ぎだけど、雑魚敵でさえ死に顔と断末魔が凝っていて、ボスだと、倒したときの演出は更にド派手。
そのおかげで、余計に脳汁がドバァッドバァッと大洪水。

戦続きで荒れ果てている土地とはいっても、自然が多くて美しい和風な風景も多い。
殺伐な戦いとは対照的に、背景は厳かで美しくて静けささえ感じる。

BGMは過酷な戦いに合ってかっこいい曲ばかりで、そして、「弾く」時の刀と刀がぶつかる音が気持ち良すぎるて、サウンドだけでもバトルが楽しくなる。