『Tinykin』レビュー: 珍妙生物を笑顔で投げ飛ばす
『Tinykin』とは、Splashteamが開発したパズルアクションアドベンチャーゲーム。
2Dアニメーションのようなグラフィックだけど、3Dアクションで操作する。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
人類の故郷とは?
イージスという惑星で考古学を教えて研究もしているマイロ(ゲーム内ではミロデインと呼ばれているる)。
彼は、人類の故郷はイージスではなく、他の惑星だと仮説を立て研究に勤しんでいる。
そして、遂に、その惑星を見つけた。
そう、地球だ。
どうやら、この世界では人類は別の惑星に移り住んで長年経過しているらしく、地球のことはみんな知らないらしい。
歴史としても習わないようだ。
出発!
地球で何か大変な事件が起こって人類は地球を離れたのかもしれない。
地球が安全なのか事前調査した方が良さそうだけど、地球を見つけて大興奮のマイロは早速地球へ出発!
で、目が覚めると、目の前には毛むくじゃらの生物が。いかにも長老って感じだ。
えーっと、ここ、地球ですよね?
なんだか全てが大きいんですけど。
あたりを見回すと誰かの家の中みたいだ。どうやらマイロが小さすぎるらしい。
なんだ、地球は平和そうじゃん。
さっきまでそこに人がいたような雰囲気なのに、人間の気配はない。
この家では、さっきの毛むくじゃら長老含め虫たちが暮らしているらしいんだけど、誰も住人の行方を知らないらしい。
タイニーキンになつかれる
この家には、不思議な生物がいる。ゼリーみたな卵から飛び出てくる奇妙な小さい生物タイニーキン。
タイニーキンたちは、なぜかマイロを気に入ってるようで、あとを付いてきてお手伝いしてくれる。
しかし、困ったな。事情を知ってる人はいないのか。家に帰れるのかな。
というところで、毛むくじゃら長老リドミーから提案というか強制クエストを押し付けられる。
リドミーはこの家から脱出するための装置を作っているらしく、タイニーキンを使役できるマイロにその手伝いをしてほしいと言う。
それがマイロの助けにもなるだろうという謎論理に気圧され、マイロは誰かの家の中を探索していくことに。
ゲームの特徴Features
マイロの冒険
本作では、家の中の各部屋をゲーム進行に伴って探索していく。
メインストーリーが進むアイテムを手に入れると次の部屋に進むことになる。でも、前の部屋との行き来は自由。
マイロは、石鹸に乗って素早く移動するソープボードや、ジャンプしてシャボン玉に包まれるバブルグライダーで滑空も出来る。
部屋の中に落ちている金色に輝く花粉を一定数集めると報酬として追加のシャボン玉が貰え、滑空時間を延ばすことができる。
タイニーキンが大活躍
ゼリー状の卵に触れるとタイニーキンがポンッと産まれて、マイロに付いてくる。
タイニーキンは色によって出来ることが違う。
例えば赤いタイニーキンは特定の物に投げると爆発して壊してくれる(そのままお別れ!)。
また、緑のタイニーキンは積み上がってハシゴになってくれる。
さまざまな種類のタイニーキンを使って謎解きしたり、時にはタイニーキンで道を切りひらいて、目的のアイテムを手に入れていく。
ちなみに仲間になったタイニーキンは部屋を越えてはついてきてくれない。各部屋で集めなければならない。
寄り道マイロ
各部屋には、サブクエストがある。
住人からサブクエストを受注したら、目的の人やアイテムを見つけ出す。
また、サブクエストとして明記はされないけれど、部屋内全ての照明を点けたり、各地に落ちている手紙をポストに届けるといった特定のアクションをすると、大量の花粉をもらえる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
伝説の地球に行ってみたら、1991年で止まってた!
しかも、主人公はめちゃくちゃ小さくて、人間は行方不明。
そんなの、何がどうしてどうなるのか気になりまくるじゃん。
というわけで、設定だけで既に面白い物語。
ところが、物語の展開が唐突。
良い材料が揃ってるんだけど、惹き込む演出が今ひとつ物足りない。
さらに日本語翻訳が不自然なところが多めで残念。うーん、もったいない!
キャラクターの魅力
4.0
上述の通り、日本語翻訳が不自然なので、キャラのセリフもやや残念な仕上がりになってしまっているところも多い。
でも、それを超えてキャラは魅力的。
NPCは虫ばっかりなんだけど、ネガティブで綺麗好きな性格のフンコロガシとか、トンボが崇められる司祭的立場とか、かなりユニーク。
しかも、本作には映画や有名海外アニメのパロディが仕込まれていて、随所で「フフッ」と笑える。
そして、なんといってもタイニーキンだ。
マイロ含めタイニーキンは常に満面の笑顔。
木箱に投げ飛ばされ笑顔で爆散していくタイニーキンの様子は、可愛くて面白くてシュールで笑えて、ちょっと切ない。
操作性
3.5
操作は分かりやすい。
タイニーキンを何かに投げつける時は、対象物に有効なタイニーキンを自動でマイロが手に持つ。
ある程度エイムアシストもあるので、ごちゃごちゃ操作せずにスイスイ攻略できる。
マイロの挙動はキビキビしていて良いんだけど、その一方でよく足元が滑る。
本作は3Dプラットフォーム要素もあるので、この滑りやすさのせいで落下しがち。
難易度バランス
4.0
メインストーリーを進めるだけなら、結構易しめ。
上述の通り、有効なタイニーキンが自動選択されるので、自分であれこれ悩んだり試行錯誤する必要はない。
でも、メインストーリーだけで終わらせるのはもったいなさすぎる!
それぐらい各部屋はしっかり作り込まれていて、収集要素も含めて隅から隅まで探索するのがおすすめ。
サブクエストもそんなに難しくはないけれど、花粉を全て集めるのはなかなか大変。
ゲームシステム
4.0
ここまで読んできたら、頭に浮かんでいる1つのゲームがあると思う。『ピクミン』だ。
文句も言わずせっせと指示通りに仕事してくれる小さな生物を笑顔でぶん投げる。
まさに『ピクミン』なゲームなんだけど、本作は探索と謎解きがメインだ。
落下死や溺死はあるけれど、バトルはなく、焦る要素もほぼなく、自分のペースで楽しく探索できるのが魅力。
そして、各部屋が上下左右にしっかり作り込まれているのも魅力。特に垂直的に入り組んでいてマップ構造が面白い。
虫たちは色んな小物を使って家を改造しており、トイレなどよくある家の風景が楽しい遊園地のようになっている。
しかも、それを小人目線で見れるんだから、楽しくて仕方ない。
やりこみ要素
4.0
上述した通り、サブクエストや花粉集めなどやり込み要素が用意されている。
また、サブクエストを攻略すると、アーティファクトと呼ばれるアイテムが貰える。収集要素だ。
実は、虫たちはこの家に住んでいた人間のことを神のように崇めていて、その人にまつわるアイテムがアーティファクトとして登場する。
手に入れたアーティファクトは博物館に展示され、そこで詳しい内容を聞くことができる。
本作は、物語の描写がやや軽めなので、アーティファクトによって補完するのがおすすめ。
グラフィック
4.0
本作はマップは3Dなんだけど、キャラは2Dアニメ調。
さらにマイロは、ユーザーへのアピールなのかファンサービスなのか、常にカメラ目線。
画面奥に向かって歩いててもずっとこっちを見てる。しかも笑顔で。
よく考えるとちょっと不気味だけど、常にニコニコなマイロとタイニーキンたちのおかげで視覚的にもずっと楽しい。
細部まで家が作り込まれてて、壁の落書きも面白いし(物語のヒントになるものも)、家具や調理器具ななどを見上げるのは新鮮。
サウンド
4.0
ゲーム内容に合った楽しい雰囲気のBGMばかり。部屋によって曲が変わる。
でも、あまりジャカジャカうるさくはなく、見た目とは裏腹にちょっと静かめの楽しい曲調。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
マップ構造が面白い
探索や謎解きが好きなペースで楽しめる
穏やかで楽しい雰囲気
興味惹かれる世界設定
残念なところ
日本語翻訳が不自然なところがある
試行錯誤する謎解きではない
オススメな人
探索が好き
3Dプラットフォームアクションが好き
穏やかで可愛いゲームが好き
気軽に楽しめるゲームを探している
オススメではない人
バトルを楽しみたい
複雑な謎解きを味わいたい
可愛く描かれていても昆虫が大嫌い
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本作と同じように小さな生物を引き連れていくアドベンチャーゲーム。こちらは謎解き要素が強めで、主人公と相棒キャラと精霊を駆使しながらバトルも交えつつ森を探索していく。心温まる物語も魅力。
こちらも小さな生物を使役して道を切り拓いていくアクションアドベンチャーゲーム。こちらはバトル要素が強く、難易度高め。号泣必死な物語や美しいグラフィックも魅力。
Tinykin
珍妙生物を笑顔で投げ飛ばす
一般家庭を小さい体で探索する目線が新鮮で、縦にも横にも作り込まれているマップ構造が面白い。 大量のタイニーキンを引き連れて楽しい雰囲気のなか探索できるのが魅力。
Tinykin
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