『Somerville』レビュー: パパの右腕が異常事態
『Somerville』とは、Jumpshipが開発したパズルアドベンチャーゲーム。
Jumshipとは、高評価ADV『LIMBO』『INSIDE』の開発者さんも在籍するデベロッパーだ。
本作は、PS5、PS4、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
幸せファミリー
片田舎の一軒家(タイトルにもなっているので、たぶんSomervilleが舞台)。
そこに一台の車が停まる。お買い物から帰ってきた、この家の住人たちだ。
パパとママとヨチヨチ歩きの子供。そして元気いっぱいの犬。
一家の何気ない夕暮れ時。何の変哲もないけれど、幸せなひと時だ。
柱の襲撃
その後、家でくつろいぎテレビを見ながらうたた寝してしまった一家。
しかし、パパとママは子供の泣き声で目を覚ますことになり、赤ちゃんをお風呂に入れたりワンちゃんのエサやりなど家事にとりかかり始める。
と、その瞬間。
ドーーーーーーンッッッ!!
耳をつんざくような轟音とともに家全体が揺れる。
何!?何かが墜落した!?
急いで外に出てみると空に無数の柱のようなものが浮かんでいる!しかも、それが降ってきてるぞ!
パパ絶命!?
車が壊れてしまったので、とりあえず急いで自宅地下に避難した一家。
ところが、家に何かが直撃して地下にまで空いた穴に誰かが落ちてくる。激しい落下だったので、その人は残念ながら大丈夫ではなさそうだ。
しかし、この落ちてきた人は誰なんだ。ご近所さんではなさそうだし、しかも身体が光ってる?
で、その死にそうな誰かは必死に手を伸ばしている。
パパは思わず近づき、その手に触れてしまう。
バチィッ!
手に触れた瞬間に閃光が放たれ、パパもその誰かも絶命してしまった。
パパーーーッ!
ところが、しばらく経った後、絶命したはずのパパの右腕が光る。
そして、パパは立ち上がった。復活だ!
家族はどこだ?無事なのか?地球はどうなってしまったんだ?
いや、それよりも、パパさん!腕が変ですよ!
ゲームの特徴Features
進むのみ
本作は、上述の復活したパパが主人公であり、彼を操作することになる。
本作にはセリフやテキスト情報は一切なく、ヒントもない。
ひたすら進めそうな道を見つけて進む。
時には謎解きもあるけれど何もヒントはないので、周囲を観察して解いていくしかない。
ゲームはいくつかの章に分かれていて、章はいくつかのパートに分かれている。
それぞれのパートごとにリプレイも可能。
スーパーパパ
主人公は、復活とともに不思議な力を身につけている。
柱とともに現れた地球外生命体によって、そこかしこに大きな黒いブロック体が現れており行く手を邪魔している。
主人公は、電球など光を手にしながら右腕に力を込める(Xbox版ではLTを押す)と、大きなブロックを流動する小さなブロックに崩すことができる。
ゲームの途中からは、その流動化した小さなブロックを固める力も手に入れる。
こうして2つの力を使い分けながら、道を切り開いたり、足場を作ったりしながら進んでいくことになる。
記事はさらに下に続きます
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
本作にはセリフもテキスト情報も一切なし。見て感じるゲーム。
でも、そういったゲームって「言葉で語らなくても分かるんだよなあ、うんうん。胸に響いてくる物語だ!」ということが多い。
ところが本作は、分からない。もしかしたらセリフがあったとしても分からないかも。
見て感じて、更に考察して楽しむゲームだ。
訳は分からないけれど、ピンチな場面が続くので次は何が起こるんだろうというドキドキ感や、家族を想う気持ちが湧いてきて感情移入する。
でも、終盤はポカーンとしてた。「今、私は一体何をしているんだ」という不思議さが98%で、残りの2%は「今自分がやっていることは正解なのかな?」という心配。
中盤までは誰でも楽しめる。終盤は、考察大好きマンや煙に巻かれたい人向けといった感じだ。
キャラクターの魅力
4.0
印象的なシーンがいくつかあって、特に家族愛にグッとくる。
セリフがないので、キャラ同士のやりとりはほぼない。
だけど、メリハリのつけ方が上手くて、自然と主人公を応援したくなってくる。
走っていると息切れしたり、怪我をしたら苦しそうに歩く。それでも前へと突き進む。セリフはないけれど、過不足なく主人公の懸命さが伝わってくる。
「がんばれがんばれ、きっとあと少しだ」と声をかけたくなる。
操作性
3.0
操作性はあまり良くない。
何かに引っかかって進めない、すぐ目の前にあるのに手で掴んでくれない、かなり遠くからの視点で細かなギミックが見にくい、などなど。
ただ、ものすごくキビキビとスムーズに動いたら、あまり物語や雰囲気とは合ってないかもしれない。
主人公は一般人(腕にスーパーパワーは秘めてるけど)なので、もたつくくらいがちょうどいいのかもしれないけれど。
主人公が謎空間に落ちて操作不能になったり、画面が乱れるなど、バグがちょこちょこ発生したのも気になった。
難易度バランス
3.5
謎解きのヒントはないけれど、周りをよく見れば自ずと分かってくる。
壁の落書きや周囲の動きから、「ここらへんが怪しいぞ」というサラッとした誘導もある。
ただ、見にくいというのが難点。謎解きの難しさよりも、触ることが出来る物を見つける方に時間を使うことが多い。
ゲームシステム
4.0
謎解きと時にはステルスもあるけれど、ゲームとしてはシンプルに物語を楽しむのがメインのゲーム。
終盤はやや冗長になってるけれど、短時間でエンディングまで行き着ける。
全体通して、不気味で摩訶不思議な雰囲気が抜群。
あくまでも主人公目線で描かれていて、何が起こっているのか全貌が分からないまま右往左往しているのがゲームプレイからも感じられるのが面白い。
その分、ちゃんと理解したい人にとっては、もどかしく感じて「一体何なんだよ」となってしまうかも。
やりこみ要素
3.5
基本的に一本道なので、特に寄り道や明確なやり込み要素はない。
ただ、ところどころに小さなロボットのような奴が隠れていたり閉じ込められていて、見つけてあげるとちょっと懐いてくれる。ちょっと可愛い。
グラフィック
4.0
高解像度というわけではない。
荒めポリゴンなグラフィックだけど、視点が遠いので特に気にはならない。
地球外生命体によって突然荒廃した地球の風景は絶望的でありつつ、少し幻想的でもある。
一方で、地球外生命体はかなり禍々しく、紫色の光がかなり恐怖心を煽ってくる。
サウンド
4.0
BGMはほとんどない。印象なシーンで少し流れるだけ。
その分、効果音ががっつり仕事してる。
大きなブロックが細切れブロックに変わる時のメリメリメリッという効果音が耳触り良くて気持ち良い。
また、静寂の中、主人公の息づかいが聞こえてきてこちらまで緊張するし、地球外生命体はドォンッと大きな音が鳴らすのでびっくりする。
突然大きな音が鳴ることが多いので、驚かされる演出が苦手な方はお気をつけて。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
不気味で摩訶不思議な雰囲気
家族愛に感情移入できる
考察が捗る世界設定
残念なところ
操作性が良くない
細かいギミックが見づらい
終盤が冗長気味
オススメな人
奇妙な物語が好き
ドキドキハラハラしたい
短時間で攻略できるゲームを探している
オススメではない人
物語をちゃんと理解したい
操作性が良くないとイライラする
不気味だったり驚かされる演出が苦手
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
Little Nightmares II リトルナイトメア2
奇妙で不気味なパズルアドベンチャーゲームが好きなら、こちらもおすすめ。悪夢のような世界で謎解きしながら、時にはアクションも楽しめる人気作。
Far: Changing Ties
考察がはかどるアドベンチャーゲームが好きなら、こちらもおすすめ。本作と同じくセリフなど一切なく、かなり不思議な世界が舞台。水没した世界で謎解きしつつ航海していく。
Somerville
パパの右腕が異常事態
不気味さにハラハラしつつ、考察したくなる奇妙な雰囲気が魅力のパズルアドベンチャーゲーム。 地球外生命体に脅かされ緊張感が味わえる一方で、家族を想う主人公に感情移入するメリハリの効いた演出が楽しめる。
Somerville
©2022 Jumpship Limited • SOMERVILLE is a trademark or registered trade mark of Jumpship Limited. All rights reserved.
https://www.jumpship.co.uk