『Potion Craft: Alchemist Simulator』レビュー: 無心でゴリゴリ、グツグツ
何をどう混ぜってポーションを作るかはプレイヤー次第!調合する作業にも癒される『Potion Craft: Alchemist Simulator』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Potion Craft製品情報Game Info
- タイトル
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Potion Craft: Alchemist Simulator
ポーションクラフト: 錬金術師シミュレーター - 開発元
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niceplay games
- ジャンル
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シミュレーション, ライフシミュレーション, クラフト
- 対応機種
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PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC
本稿では、Xbox版のレビューを行なっている。
Potion Craftの内容Features
あらすじ
勝手に住みついた錬金術師
本作の主人公は、錬金術師。
どこからか旅をしてきた錬金術師は、とある村でボロボロの家を見つける。
中を覗いてみると、どうやら錬金術師っぽい誰かが使っていた形跡のある空き家だ。
「これはちょうどいい。よーし、ここを自分のお店にしよう!」と、恐らく主人公は勝手に空き家に住みつき、遂にはお店に作り替えて開店までしてしまった。
無計画な錬金術師
というわけで、勝手ながら無事にポーション屋さんを開店してみると、早速お客さんがやってくる。
この村にはポーション(薬)を必要とする人が多いようだ。これはビジネスチャンス!
ところが、主人公のポーションに関する知識は、チュートリアルに登場する回復薬くらいだ。本当に錬金術師なのだろうか。よくぞここまで無事に旅してきたもんだ。
そんな状態でポーション屋さんを開いた大胆な主人公は、手当たり次第に薬草を混ぜながら「何が出来るかな〜」と試しつつ、ポーションを売ってお店を繁盛させていくことになる。
ゲームプレイの特徴
錬金術師の生活
本作では主人公の姿は映し出されない。
移動は自宅兼お店の部屋から部屋へと画面を切り替えるだけ。つまり、本作のゲームプレイはお店の中で完結する。
- 作業場
- ポーションを調合するメインの部屋
- 裏庭
- ポーションの材料となる薬草を採取できる
- 毎朝ランダムな薬草が生えている
- 店舗
- お客様対応をする部分
- 作ったポーションを売ることができる
- プライベートルーム
- 主人公が眠るベッドが置かれている
- 地下室
- 怪しげな装置が置かれている
錬金術師は、朝起きて裏庭で素材を集めてポーションを作り、店に来たお客様と取引する。ここがゲームのメイン。
そして全てのお客様が帰ったら、ベッドに行って眠る。そうすると次の日になり、裏庭では新たな薬草が採取できるようになり、お店にはまた新たなお客様が訪れる。これが錬金術師の毎日だ。
レシピは毎回自由
メインとなるポーション作りは、ちょっと独特だ。
材料を追加するごとにポーションの種類が変わる。調合中の薬が一体何のポーションになるのかは錬金術ボード上で確認できる。
調合中のポーション(ボード上の瓶アイコン)は、材料を鍋に入れてかき混ぜるごとに錬金術ボード上を動いていく。そうしてボード上の各所に描かれている薬瓶の位置まで到達すると、そこに描かれているポーションとして完成させることができる。
ボード上でどう動くのかは加える材料による。材料ごとにボード上をどの方向にどれだけの距離動かすかが決まっている。
また、各材料は鍋に入れる前に乳鉢で念入りにすり潰しておくとボード上でポーションのアイコンを動かせる距離が伸びる。一方で、鍋に入れてどれだけかき混ぜるかによって、どこでアイコンを止めるか調整ができる。
つまり、各ポーションは、特定の材料を何個加えるかといったレシピが決まっているわけではない。同じ「火のポーション」を作る場合でも、どの材料使ってどんな工程で完成させるかはプレイヤー次第だ。
混ぜれば混ぜるほど見えてくる
錬金術ボードは、最初はほぼモヤに隠されていて全貌を見ることができない。
実際に調合しながらポーションアイコンがボード上を動くと、その周囲が少しずつ開示されていく。
また、ボード上には、目的地となるポーションの瓶(一度でも作製すれば何のポーションになるか開示される)以外に本のアイコンがたくさん描かれている。
ポーションアイコンが移動する際に本のマークを通過すると経験値を獲得する。つまり同じ作り方をしていては経験値は得られなくなってくるわけだ。
こうして獲得した経験値が一定量溜まるとレベルアップし才能ポイントという本作でのスキルポイントが手入る。
スキルポイントを消費すると、調合や商売でボーナスを得られるスキルツリーをアンロックしていくことができる。
値段を交渉できる商売
ポーションが出来上がったら、次は商売だ。
客はそれぞれ特定のポーションを求めており、希望していないポーションは買ってくれない。希望しないポーションを出してしまえば、怒って帰ってしまう。
一方で、客が希望するポーションなら、より良い品質や追加効果が付与されたポーションは高く売れるし、値段交渉もできる。
ちなみに、客は来た順どおりに対応しなければならないけれど、時間制限はない。注文を訊いてから作業場に戻ってゆったり薬を調合していても辛抱強く待ってくれる。
また、時には商人が現れて、裏庭では手に入らない素材や地下にある錬金術装置を直す部品などを売ってくれる。
こうして無事に客との商売が成立すると、お店の人気が上がっていく。
本作では「お店の人気レベルを3にする」などの目標がいくつか設定されており、その全て達成すると次の章に移ることができる。章が変わると、また新たな目標が提示される。
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Potion Craftの評価Review
物語の面白さ
朝起きて、薬草ゴリゴリ、鍋をグツグツ。お客様とちょっと世間話しつつ、せっせとポーションを売る。
それだけだ。物語要素はほぼない。
ただ、客の中には物騒な薬を求める人がいる。毒や盗みに役立つポーションなどだ。
一見ランダムに客が訪問してきているように見えるけれど、よく見ていると毒ばかり買いに来ている人がいる。
本作では客ごとに取引を断ることも可能で、悪い人ばかりに薬を売る悪い錬金術師にもなれる。人気は高くても評判が最悪というアブナイお店にもなれる。その逆ももちろんできる。
といった感じで、ほんのり物語要素を楽しむことができる。
キャラクターの魅力
主人公は身元不明で姿は分からない。客は要望を伝えて、ポーションを買ったらササッといなくなる。
物語を楽しむゲームではないので、それでいい。完全にシミュレーターだ。
欲を言えば、良いポーションを売ると客のリアクションが大きく変わったり、世間話がより豊富なら、もっと本作の世界に入り込めたと思う。
薬をかき混ぜる作業を無心で続けるのが楽しいゲームだけど、プレイしていると本当に無になる。無表情で無心でプレイしている状態になる(心の中では楽しんでるんだけど)。
操作の快適さ
私はゲームパッドでプレイした。ショートカットもあるし操作性に問題ない。
乳鉢で薬草をすり潰したり、鍋をかき混ぜるなどの操作は実際にスティックを動かして行う。
これが単純に楽しい。ちまちました作業が好きなら、絶対ハマる作業感だ。
UIも見やすく分かりやすい。一度作ったポーションは処方本に記録しておくと、次回からいちいち調合しなくても一発で同じ調合ができる。
本作はゲームプレイがポーション調合と商売に限られているので、操作もシステムも複雑ではなく分かりやすい。
それでも、マウスの方が操作はしやすいとは思う。
処方本(一回作った調合へのショートカット)を閉じるのがボタン1つで出来なかったりなど、ゲームパッド操作ではちょこちょこと面倒くささを感じることがある。
難易度バランス
章ごとに目標が細かく設定されており、とりあえず攻略しやすいものから始めれば、次の目標を達成する足掛かりになる。
「次の章が始まった途端に無理難題言われるんですけど!」みたいな突然の難易度跳ね上がりもない。
極悪ポーション屋さんになろうとか、全ての客にポーションを高く売りつけてやろうといった縛りプレイをしなければ、苦戦することはない。
ただ、お店の人気などの目標をどうやったら達成できるかヒントが示されることはないので、自分なりに試行錯誤は必要だ。
また、客の要望は分かりやすいけれど、たまに頑なに特定の材料だけで作られた薬しか認めない超こだわり派の客がいて、店先で「お客様、困ります」となることがある。
全員の希望を叶えるのは難しいし、一気にお金を稼ぐことも難しい。叶えられる要望をこなして細く長く商売すること。これがポーション商売の極意だ。
ゲームシステムの面白さ
本作は、薬の調合に焦点を当てた錬金術シミュレーター。
多くのゲームでは、クラフトといえば「あれとこれとそれを混ぜるとあの薬が出来ます」という「あれ」や「それ」を特定し、集まったらボタン一押しで完成!ということが多いけれど、本作では材料も調合方法も自由というのか面白いところ。
大量の材料をぶち込めば、最初から高度なポーションを作ることだって可能だ。
先が見えない錬金術ボードの上を「今度はこっちに行ってみよう」とワクワクしながら素材を加えていくので、調合が毎回楽しい。
こうした過程が自由な調合方法は珍しくて、夢中になる面白いシステムだ。時間を忘れて薬を練り練りグツグツしてしまう。
出来上がるポーションはどれも効果が気になるものばかりなので、お客さんが薬を使ってどうなったとか、もう少し物語要素も欲しかったところ。
やりこみ要素の楽しさ
材料の組み合わせが自由なので、どうやってポーションを作るか一つ一つがやり込み要素だ。材料節約しながら最短距離で調合するのもいいし、寄り道しまくって経験値を稼ぐのもいい。
でも、一番分かりやすいやり込み要素は、善い錬金術師になるか、悪い錬金術師になるかだ。
お店には人気とは別に評判(良い錬金術師として振る舞っていると上がっていく)というパラメータもあり、「絶対悪巧みしてるだろ」という客を見極めて薬を売るかどうかで変化していく。
評判+100か-100を目指すわけだ。
また、アプデによって新たなアップグレードや客やBGMなども追加されていっている。
グラフィックの芸術性
本当に錬金術の本があれば、その挿絵として描かれているようなクラシックな雰囲気のグラフィックで描かれる。
本作の雰囲気にぴったり合っていて、錬金術師の気分を高めてくれる。
また、出来上がったポーションは瓶の形やラベルや色もカスタマイズすることが出来るので、そこらへんまでこだわり始めると本気で時間が溶ける。
サウンドの魅力
本作のBGMは、錬金術師のポーション屋さんが店内BGMとして流れていそうな音楽だ。
ただ、常にずっと同じ曲が流れているので単調になってくる。
一方で、効果音はかなり気持ちいい。特に乳鉢で薬草をすり潰す時の音はもはやASMR。ゲームプレイの内容と相まって癒されるゲームだ。
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Potion CraftレビューのまとめSummary
おすすめな人
- 繰り返し作業にハマりやすい
- ゆったりプレイできるゲームを探している
- 癒されたい
- 悪巧みに加担したい
おすすめではない人
- 演出や物語に期待している
- 調合以外も楽しみたい
- 細かな作業に飽きやすい
総合評価
- 調合する作業が個性的で病みつきになる
- 段階的に上がっていく難易度バランス
- 調合以外に値段交渉含めた商売も楽しめる
- 物語要素が少なく単調になってくる
- 風景や音楽に変化が乏しい
Potion Craft: Alchemist Simulator ポーションクラフト: 錬金術師シミュレーター
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