『Islets』レビュー: 5つに割れてしまったメトロイドヴァニア – アイレッツ 漂流の天空島
『Islets アイレッツ 漂流の天空島』とは、Kyle Thompsonさんが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
これまでにも『Sheepo』というメトロイドヴァニアゲームも手がけている。
本作はNintendo Switch、PCでプレイ可能。
私はPC版をプレイし、本稿のゲーム画像は英語版のものになっている。セリフは自動送りはされないし、短く簡単な内容のセリフが多いので、高い英語力は必要ない。
Nintendo Switch版では日本語でプレイできる。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
浮島の合体
その昔、空には5つの浮島があった。
そして、何の因果か5つがガッチャンと合体。
すると、5つは互いに相性抜群だったようで、合体島は豊かな環境に恵まれた1つの大きな浮島となった。
これは素晴らしい島だ。2度と離れないように、それぞれの島に巨大磁石を設置して、念のため合体してる力を強くしておこう。
これで安泰だ。めでたし、めでたし。
浮島の分裂
そう上手くはいかなかった。
巨大磁石を設置したことさえ忘れられるくらい長く平和な時が過ぎた頃、合体島はパッカーンと分裂した。
磁石の力が弱くなってしまったのだろうか。
誰もメンテナンスしていなかったのか。日々の安全対策チェックは決して怠ってはいけない。
いや、そんな教訓を噛みしめている場合ではない。
不甲斐ない主人公
合体島を取り戻したい、それがみんなの願いだ。
ということは、5つの島を1つに戻せば英雄になれる。そう考えた野心ある若者たちが大空への旅に出ていくようになった。
主人公Ikoもその1人だ。
しかし、今のところ浮島を1つも見つけられず、小さな飛空船に乗って空を漂っているだけ。
果てには、鼻持ちならない元同級生Snootにからかわれる始末。
しかも、Snootの大きな飛行船が飛び去る爆風に吹き飛ばされ、Ikoは小さな飛行船ごと墜落してしまう。
どこへ?地上まで真っ逆さま?いや、浮島だ!
幸運にも浮島の1つにたどり着いたIkoは浮島の探検を始める。
ゲームの特徴Features
合体していくメトロイドヴァニア
本作はメトロイドヴァニアゲームなので、各地でボス戦に挑んだり新たな移動スキルを習得して、進める道をどんどん探索していく。
そして、本作には大きな特徴がある。
各浮島の磁石のコアを見つけて起動すると他の島と合体する。
そうすると浮島が単体だった時には行き止まりになっていた島の端から別の島への道が繋がる。この繋がった道が、別の島の未到達エリアへの突破口になる。
こうして合体する浮島が増えるほど探索できるエリアが広がっていく。
また、探索の舞台となる浮島とは別に、拠点の街Sky Cityもある。
剣と矢
Ikoの武器は、近接攻撃するための剣と遠距離攻撃ができる弓。
矢には弾数の概念があるけれど、剣で敵に攻撃を当てると残弾数が回復していく。
また、ゲームを進めていくと、いくつかの種類の矢が登場する。
さらに、ローリング回避や2段ジャンプなど、メトロイドヴァニアあるあるなアクションも出来る。
各地にはセーブポイントとテレポーターがあり、セーブポイントでは体力も残弾数も全回復する。テレポーター間ではファストトラベルができる。
強くなるIko
本作では、敵を倒すと青い塊を獲得する。
これは通貨であり、拠点のSky Cityのお店に持っていくと、武器の攻撃力を上げたり、体力上限値を上げるなどIkoのアップグレードのために使うことができる。
また、各地にはIkoの顔そっくりな巨大ステッカーが浮かんでいて、それに触れると、3択から好きなアップグレードを選ぶことが出来る。
矢の弾数を増やしたり、スラム(ジャンプして下向きに攻撃)の効果範囲が広がるなど、様々なアップグレードが登場する。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
本作は、爽やかだ。浮島ということもあってか、開放感もある。心地良い雰囲気。
もちろん敵のモンスターはいるし、ちょっと不気味なエリアもある。
でも、殺伐とした感じはしない。
最初は磁石の電源が落ちて島が分裂したのかと思っていたけど、意外な真実が明らかになったり、各島の歴史などもちゃんと描かれていて、物語もしっかり楽しめる。
主人公Ikoには基本的にセリフがないけれど、NPCがにぎやかで色々と本作の世界について教えてくれる。
キャラクターの魅力
4.0
上述もしたけれど、本作はNPCがにぎやか。
出会ったNPCは、手紙を送ってきてくれることもある。拠点のポストで受け取ると、手紙には写真付きだったり内容が面白くて、旅の合間にほのぼのできる。
しかし、元同級生のSnoot。こいつは本当に嫌な奴だ。自尊心が無駄に高すぎるし、主人公のことを常に見下している。
絵に描いたような鬱陶しいヤツ。と、そう憎々しく思えるほど、彼は濃いキャラだ。ムカつくけど、笑える。
あと、ネタバレになるので詳細は伏せるけれど、ツアーガイドにはご注意を!
操作性
4.5
主人公はものすごくサクサク動く。
まず、通常の移動スピードが速く、2段ジャンプなど移動スキルの挙動も素早く、かなり軽快。
どんどん先に進むことができる。
飛空船に乗った状態での弾幕シューティングなボスバトルが何回かあるけれど、主人公の当たり判定となる部分が丸く示されていて親切。
本作には複雑なアクションやシステムは登場しないので、操作は分かりやすく、メインとなる探索に欠かせない地図も見やすい。
サクサクと探索できる気持ち良いゲームプレイが味わえる。慣れてくると、もはや摩擦係数0で平行移動してる感覚。
難易度バランス
4.0
本作はバトルもあるけれど、探索の方がメイン。
ただ、本作にはアイテムや魔法もなく回復手段はない。セーブポイントに辿り着くまで体力回復はできないわけだ。
これによって、適度な難易度バランスになっている。
ちなみに、難易度は3段階から選べて、私はノーマル難易度でプレイ。ボスの攻撃パターンはよく見ておかなければならないけれど、苦戦することはない。
基本的には地図を見て、行けそうな場所を自分で見つけて探索する。このメトロイドヴァニアならではの面白さがしっかり味わえる。
お金を払うと次に行く場所を教えてくれるNPCもいるけれど、地図を見ればちゃんと自分で分かるようになっている。
ゲームシステム
4.0
本作で1番面白いのは、島と島が合体した時に道が繋がる瞬間。
「あっちの島から、こう繋がるのか!」と地図を見るのが楽しい。寄り道もしっかり用意されている。
複雑さが排除されたゲームプレイになっているので、ひたすら道を探すことに熱中できる。
心地良い雰囲気でゲームプレイはストレスフリーだし、一気に攻略したくなる。で、実際のところ、そんな勢いのままエンディングまで目指せるゲームボリュームでもある。
やりこみ要素
4.0
より多くのIkoステッカーを見つけるのが、ゲームプレイにも直結するやり込み要素。
様々なチャレンジを攻略して獲得できることが多いけれど、それぞれそんなに難しくはない。
矢の弾数や連射スピードなど、お金では買えないアップグレードが多いので、寄り道しながら進むのがおすすめ。
また、NPCからの手紙を読むのもやり込み要素。
手紙は定期的に届き、なかには送り主の元に行くとボーナスが貰えることもあるし、NPCの意外な一面を知ることも出来る。
拠点にある郵便受けは、たまにチェックしておくのがおすすめ。
グラフィック
4.0
手描きイラスト調のグラフィック。
NPCのデザイン含め可愛くてほのぼのした雰囲気。色づかいも鮮やかで綺麗。
主人公は無表情っぽく見えるけれど、よく見ると攻撃時にものすごい形相になっていて笑ってしまう。
緻密な描き込みというわけではないけれど、背景にも思わずクスッと笑える部分がいくつかある。ゲームプレイ含め丁寧に作られているゲームだ。
サウンド
4.0
BGMは、エリアによって変わる。
不穏な曲のエリアもあるけれど、全体的におしゃれな癒しの音楽。
ちなみに本作の音楽は、開発者さんの兄弟のEric Thompsonさんが担当しているそうだ。兄弟揃って才能溢れてる!
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
地図同士が繋がる探索が面白い
快適な操作性
適度な難易度バランス
残念なところ
アクションの種類は少なめ
バトル要素はやや軽い
オススメな人
探索が好き
軽快な挙動が好き
物語を楽しみたい
オススメではない人
バトルの歯ごたえを味わいたい
長時間遊べるゲームを探している
弾幕ゲームが嫌い
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Islets アイレッツ 漂流の天空島
5つに割れてしまったメトロイドヴァニア
浮島同士がくっつくと新たな道が繋がるシステムが面白いメトロイドヴァニアゲーム。 サクサクとした挙動や、攻略しやすくもぬるすぎない難易度バランスも魅力。
Islets アイレッツ 漂流の天空島
© Kyle Thompson 2022
https://isletsgame.com