『Cocoon』レビュー: カブトムシマンの収納術
『Cocoon』とは、Geometric Interactiveが開発したパズルアドベンチャーゲーム。
名作『LIMBO』『INSIDE』などの開発者さんが手がけている。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
カブトムシマン起動
どこかにある塔のような岩。
そこに一筋の光が降り注ぐ。
すると、塔が光り、内部で誰かが目を覚ます。
動き出したのは、人のように見えるけれど、カブトムシのような羽が生えている謎の生物。ツノはない。
特に自己紹介もないので、とりあえずカブトムシマンと呼ぶことにする。
オーブ
カブトムシマンが塔の外に出ると、そこは岩山のような場所。
しかし、あちこちに高度な文明のものと思われる機械や建物が点在している。
ひとまず散策していると、カブトムシマンの身の丈ほどある玉(オーブ)を見つける。透き通っていて綺麗だ。
なんだか良い物っぽいし持っていこう。
カブトムシマンは、オーブをヨイショと背負って散策を続ける。
玉の中へ
散策を続けていると、あからさまにオーブを置くのにおあつらえ向きな台がある。
置いてみると、廃墟かと思っていた機械が動いて、先に進めるようになる。
このオーブ、やはり良い物らしい。
ところが、とある台座にオーブを置いた時、オーブの正体を知ることになる。
ずぼぉおおおおおお…!!
な、なんとカブトムシマンがオーブの中に吸い込まれてしまった!
ここからカブトムシマンのオーブを使った壮大な謎解きが始まる。
ゲームの特徴Features
ひたすら進め
本作は、ひたすら道を見つけて謎解きしてギミックを動かして先へ進んで行くのみ。
チュートリアルも何をすべきかも指示は出されないので、プレイヤー自身が見て考えて進む。
また、基本的に後戻りは出来ない。
世界を収納するオーブ
本作で1番大事なのはオーブ。
いくつかのオーブが登場するけれど、各オーブ内にはそれぞれ異なる世界が広がっている。
水たまりのような設備にオーブを設置するとオーブ内へ、イソギンチャクのような設備からはオーブ外へといった感じでオーブ内の世界には出入りができる。
また、オーブを背負ったまま別のオーブ内へ移動することも可能。
その際、持って入ったオーブをその世界に置きっぱなしにしてオーブから出ると、1つのオーブ内に別のオーブが入ったままの状態になる。
カブトムシマンは一度に1つのオーブしか背負えないけれど、オーブ内に別のオーブを収納することで複数のオーブを一気に持ち運べるわけだ。
オーブの能力
各オーブ内ではボス戦が発生する。
無事にボスを倒すと、そのオーブの能力がアンロックされる。
例えば、赤いオーブは特定の足場からクリスタルで出来た道を出現させることが出来る。
こうした各オーブの能力を使い分けながら攻略していくことになる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
訳が分からない。セリフやナレーションどころか、文字さえ一切なし。
そして、徐々に謎が解明されていく、というわけでもなく、逆に謎は深まっていく。
機械だらけかと思いきや、奇妙な生物もたくさん登場する。しかも、気持ち悪めなヤツが多め。
なんだこれ、何なんだ、この世界は。
そもそも、なぜカブトムシマンはオーブを背負って走り回るのかも分からない。
でも、意味ありげな物や風景が目に入ってくるので、自然とストーリーが思い浮かんでくる。
そして、あれこれ想像しているうちに、「あっ…!」となる結末へと向かっていく。
プレイヤーを煙に巻き過ぎず、興味を惹きつつ、考察欲をかき立てる奇妙な世界や雰囲気づくりが上手い。
「訳が分からないのが良い」と思い始めるほど上手い。
キャラクターの魅力
3.5
特にNPCはいないので、ひたすらカブトムシマンを見つめ続けることになる。
オーブを背負ってせっせと走るカブトムシマンは、なんだか可愛い。
ボスやオーブに近づくと、ちゃんとそちらの方に目線を向けてるし、オーブを背負ってせっせと走る姿も可愛い。
ところが、エンディングまで行き着いた時、このカブトムシマンに対する想いは一変するので、ぜひ愛着を持ってカブトムシマンを見つめながら旅して欲しい。
操作性
4.0
操作性は良好。
行ったり来たりする場面が多いけれど、カブトムシマンはサッササッサと走るので、移動が苦になることはない。
本作ではチュートリアルが表示されないけれど、移動と決定ボタンしか使わないシンプル操作。
時々タイミングよく操作しなければならない場面があるけれど、操作性が良いのでスムーズに攻略できる。
ちなみに、カメラ操作は出来ず、固定の見下ろし視点でプレイする。
難易度バランス
4.0
ヒントはないけれど、新しいギミックは一つずつ登場するので、見て触って理解しながら進むことが出来る。
難易度が突然跳ね上がることも、簡単すぎることも一切ない。
オーブの数が増えるごとに着実に複雑になっていくし、同じギミックでも応用した使い方が登場する。
更にオーブの中にオーブを入れて、更にそのオーブを他のオーブに持っていくといった、文章で書いていてもこんがらがるような事態にもなってくる。
でも、考え込んでしまうようなことはない。プレイヤーに考えさせて気づかせるのが本当に上手い。匠のゲームデザイン。
自分が今どのオーブの中にいるかを常に頭の中で整理しておくことが攻略の鍵。
力技とか腑に落ちない変な解き方はなく、質の高い謎解きが楽しめる。
ゲームシステム
4.5
世界の中に世界が入ってて、しかも持ち運べる。このアイデアだけでも面白い。
特に中盤くらいから、「オーブの中に別のオーブを置いてくる」戦法を多用し始めると、本作の面白さが倍増し始める。
オーブのシステムをしっかり活かした謎解きが連続していて、解き方が分かるたびに「おお、なるほど」と膝を打つ。
実際、プレイ中に一度、自然と膝を手でパシッと叩いて「なるほど!」と呟いてしまった時があり、「ことわざって確かに言い当ててるもんだな」とゲームとは関係ないところにまで感心してしまった。
それくらい唸らせてくれる良いギミックだ。
ネタバレになるので内容は伏せるけれど、カブトムシマンがいないオーブの中でも世界は動いている。この仕掛けが特に面白かった。
やりこみ要素
3.5
基本的に一本道。
ただ、所々に寄り道が少しだけある。
そこには、石化した虫のような誰かがいて、カブトムシマンがその前で祈るような動作をすると、その誰かの封印が解けて飛び去っていく。
彼らは、とある場所に集まっていく。
ただ、本作では後戻りが出来ないので、取り逃がすと回収に戻ることが出来ない。
細くて黒い柱があったら、この先に寄り道があるというサインなので、お見逃しなく。
グラフィック
4.0
3DCGグラフィックで描かれている。
高精細というわけではないけれど、遠めからの視点に固定されいることもあり、荒さは感じない。
オーブごとに中の風景は全く違っているけれど、必ず不気味さが漂っている。
カブトムシマンはじめ、ボスのデザインも昆虫や動物がベースになっている。不思議で奇怪でおぞましい。最高。
一部、集合体恐怖症の人にとっては気持ち悪いだろう場面があるのでご注意を。
サウンド
3.5
BGMは抑えめで、流れたとしても大体不穏な曲調だ。
ただし、本作ではBGMが唯一の答え合わせになっている。
BGMはかなり控えめだけど、正しい解き方をしているとBGMがしっかり流れ始める。
流れてくるのが不気味な曲だとしても、「お、この解き方でやっぱり合ってるんだな」と確認することが出来る。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
世界を持ち運ぶ独創的な謎解き
攻略方法の言葉に頼らない気づかせ方
考察欲ををかき立てる世界設定
残念なところ
特定の地点からリプレイが出来ない
オススメな人
謎解きやパズルが好き
独創的な世界を体験したい
考察するのが大好き
オススメではない人
物語をはっきりと理解したい
ヒントがしっかり欲しい
昆虫っぽいものが全て苦手
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Cocoon
カブトムシマンの収納術
それぞれ異なる世界をオーブとして持ち運んだり、そのオーブへ出入りするギミックを活かした面白くて質の高い謎解きが楽しめるパズルアドベンチャーゲーム。
言葉を使わずプレイヤーに気づかせる仕掛けが上手く、考察欲をビシビシ刺激する奇妙な世界や雰囲気づくりもセンス抜群。
Cocoon
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