レビュー【Keeper】世にも珍しい勇者 | 不思議であたたかいアドベンチャーゲーム

足が生えた灯台と海鳥の不思議な旅を辿る、独創的な世界のパズルアドベンチャーゲーム『Keeper』のネタバレなしレビューも攻略情報も詳しく掲載。
似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
- ストーリー
- 灯台と海鳥が、禍々しい何かに侵食された島を旅する物語
- 攻略
- 灯台の光と海鳥へ指示を出して謎解きしながら進むパズルアドベンチャーゲーム
- 評価
- ほんのりと謎解きや寄り道を楽しみつつ、世界の不思議ぶりを堪能する物語主導型ゲーム
Keeperの概要
タイトル | Keeper |
---|---|
開発元 | Double Fine Productions |
販売元 | Xbox Game Studios |
発売日 | 2025年10月18日 |
対応機種 | Xbox, PC |
ジャンル | アドベンチャー, パズルアドベンチャー |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | Xbox |
開発元の代表作は、Psychonautsシリーズ。
その他にも『BROKEN AGE』など様々なゲームジャンルで独創的な高評価作を手がけている。

Keeperのストーリー
目覚めた灯台

本作の世界は、かなり不思議だ。
しかも、ナレーションやテキスト情報もセリフさえなく、状況を見て自分で推測するしかない。
そんな本作の主人公は、人間が暮らしていたと思われる寂れた街の外れにポツンと建っていた灯台。
灯台という名前の何らかの動物ではなく、本当に灯台だ。
灯台のイメージそのままな建物ではあるもののなぜか意思を持っており、ゲーム開始早々に根本からボキッと折れたところ足が生えて立ち上がり歩き始めた謎生物、いや謎建物だ。
海鳥とともに山を目指す

灯台が目覚めたきっかけは、青緑色の羽を持つ海鳥トゥイグ。
トゥイグは仲間とともに空を飛んでいたところ、黒い何かに襲われて灯台に降り立った。
すると、灯台が目覚めたのだ。
不思議な力を持っているのは灯台なのかトゥイグなのか、そして彼らには共通の目的があるのか、なぜか灯台はトゥイグを乗せて島の奥にある山を目指して歩き始めた。
山の頂上では何かが光っており、島のあちこちはトゥイグも襲われた黒い何かのせいで汚染されているようだ。
この不思議な旅の果てに全ての謎の答えはあるのか、プレイヤーは一羽と一体(一本?)の奇妙なコンビの旅を見届けることになる。
Keeperの攻略情報
後戻りできない不思議な旅

本作は、各所で謎解きを攻略しながら道なりに進んでいくパズルアドベンチャーゲーム。
寄り道は少しあるものの、特定の場所で後戻りできなくなるようになっており、「前進するのみ!」なゲームプレイとなっている。
光と海鳥で謎解き

プレイヤーが操作するのは灯台で、移動しながら頭の部分にある照明の向きを変えることができる。
照明を当てると道端の蕾が花開いたりといった変化が起こり、さらに焦点を合わせて狭い範囲を強く照らす集中照射モードではギミックを照らして作動させることができ謎解きで活躍する。
また、キラリと光る場所には海鳥トゥイグを飛ばすことができる。
光っているのはハンドルだったり拾えるアイテムであることが多く、ギミックを操作したりアイテムを回収してくるよう指示を出すことができる。
こうして灯台と海鳥それぞれができることを組み合わせて謎解きを攻略して先へと進んでいく。
なお、上述もした通り本作にはセリフや操作方法のチュートリアル以外にテキスト情報はないため、状況を見てギミックの使い方やパズルの解き方を考えることになる。
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Keeperのレビュー
物語: とにかく不思議すぎて世界に吸い込まれる

灯台が歩いていることがまず最強に不思議だけど、それ以外も不思議なことだらけだ。
人間はいないけれど石やオモチャのような珍妙な種族(?)も登場し、いつのまにか灯台が歩いてることが普通になってくるぐらい不思議が詰まっている。
しかし、独創的でありつつも物語やプレイヤー目線の世界観はちゃんとまとまっており、あっという間に世界に魅了されてしまう。
セリフなどはないけれど複雑な物語ではなく、「不思議で、不思議だね」と煙に巻かれるようなこともない。
そして、灯台には表情さえないけれど、キャラクター化する動きの作り方が上手く、無機質なはずの建物に感情移入し始める(純粋で可愛い性格だと思う)。
確かにそこで灯台は生きている。いつの間にか「がんばれ、がんばれ」と灯台を応援しながらプレイしていたほどだ。
また、お互いに言葉を交わすことはないけれど、灯台とトゥイグが偶然会っただけの関係から友達になり、かけがえのない相棒になっていく様も言葉に頼らず上手く描かれている。
不思議ぶりが突き抜けていると同時に、心がホワッとあたたかくなる物語を味わえる。
操作性: もたつくけれど、それが本作の味

本作には複雑なアクションはなく、移動とライトの方向を操るのがメインの操作となる。
灯台の足は全身に対して短いためサイズに比して動きは小さく、モタモタしていると感じやすい。
しかし、灯台はゲーム開始時にはじめて歩き始めたばかりなので、この操作感がたどたどしくも頑張る灯台の姿にぴったりだ。
もしアクションゲーム並みに素早く機敏に動いてしまったら、灯台の灯台らしさが薄れてしまっただろう。
また、ライトを当てる向きも扱いやすいとはいえない。
真正面に向きを戻す機能はあるけれど、灯台の真正面が視覚的に分かりにくいので直感的に操作しやすいとはいえない。
しかし、照射対象となるギミックは大きめで、さらにちゃんと照射できている時はコントローラーが振動して気づかせてくれるため、攻略に困るようなことはない。
難易度: ほぼ一直線

本作をプレイしていて難しさを感じる場面はない。
ヒントはないけれど悩むような謎解きはなく、状況からギミックの仕掛けもすぐに分かる。
各所の脇道にある壊れた石像を直すというやり込み要素はあるけれど、脇道は見つけやすく、迷子になるような道のりでもない。
急かされたり精密な操作が求められることもなく、のんびりプレイできるゲームだ。
システム: 世界を味わうゲーム

上述してきた通り、本作にはゲームとしての難しさや複雑さはほぼない。
ほんのり謎解きしながら独創的な世界を堪能する、物語主導型であり世界鑑賞型ゲームだ。
それで十分満足できるくらい世界の不思議さは魅力的で、ゲーム攻略とは関係ないけれどライトを当てると植物が育ったり奇妙な種族がリアクションしてくれたり、そこかしこで世界が反応してくれる。
本作をプレイしていると、テーマパークの物語を見る系のライド型アトラクションに乗っている気分になった。
ゆったりとしたペースではあるけれど、あっちにもこっちにも何かがあって全方位余すことなく見たくてグルグル頭を動かしながら眺めて楽しむ。
そんな不思議な世界に迷い込んでいく素敵な体験ができる。
ただ、こうした不思議な世界ぶりを堪能するのではなく、ゲーム性を求めている人にとってはテンポがゆっくりすぎたり、ゲームプレイが薄いと感じるとは思う。
芸術性: 圧倒的な独創性と芸術性の高さ

本作最大の魅力は世界自体。
生態不明な見たこともない植物に、可愛く奇妙な生き物たち、もちろん灯台が歩いているのが1番不思議なところだ。
パッと見ただけでも「何があるんだろう」と思わせる世界で、独創性レベルは最強ランク。
洞窟に入れば暗い曲がり道が続き先が見えすぎないようになっており、かと思えば遠くまで見渡せる見晴らしの良い場所もある。
本作では360°自由なカメラ移動はできず、カメラワークも含めて風景が計算されて作り上げられている。
色づかいも美しく、現実にはないデザインのものばかりで全方向に目を奪われてしまう。
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Keeperの総合評価
Keeper

総合評価
不思議な世界を堪能しつつ、ゆっくりとあたたかい旅路を楽しめるパズルアドベンチャーゲーム。ゲームプレイは軽めではあるものの独創性も芸術性も圧倒的に高い世界にどっぷり魅了される。
長所と短所
良いところ
-
かなり独創的で魅力的な世界
-
言葉に頼らずも心あたたまる物語
-
細部までリアクションが用意されている
残念なところ
-
ゲームプレイは軽め
こんな人におすすめ!
おすすめな人
-
芸術性高いゲームが好き
-
穏やかにプレイできるゲームを探している
-
物語を考察するのが好き
おすすめではない人
-
複雑な謎解きやバトル要素を求めている
-
ゆったりしたテンポが苦手
-
明確に物語を理解したい
Keeperに似ているおすすめゲーム

Psychonauts 2
本作開発元の代表作。
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こちらも独創的な世界で芸術性も高い。

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