『プレイグテイル レクイエム』レビュー: 圧巻のネズミ密度『A Plague Tale Requiem』
『A Plague Tale: Requiem プレイグテイル レクイエム』とは、Asobo Studioが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
高評価作『A Plague Tale Innocence プレイグテイル イノセンス』の続編にあたる。
本作は、PS5、Nintendo Switch(クラウド版)、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作はどんなゲームなのか、その魅力と実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
姉弟とネズミの関係
前作に引き続き、本作でも黒死病(ペスト)が蔓延していた時代のフランスが舞台。
前作では、主人公のアミシアと病に冒された弟ヒューゴが異端審問官の追手と戦い、最後は黒幕を倒して無事に逃げ延びたという物語が描かれた。
なぜ異端審問官に狙われていたかというと、ヒューゴの血は珍しい病によってネズミを操れるスーパーパワーを備えているからだ。
黒死病はネズミが媒介しているけれど、更に本シリーズのネズミは大群となって家畜や人間に襲いかかり、丸ごと食い散らかしてしまうほど凶暴化している。
「そんなネズミたちを操れるヒューゴを捕らえれば、絶大な力(権力)を手にできるに違いない!ふははははは!」という邪な考えを持つ異端審問官の悪い人にヒューゴは狙われていた。
平和な日々が壊れる
前作のエンディング後、錬金術師である母ベアトリスとその弟子となったルカ(前作にも登場)と共に旅をしているアミシアとヒューゴ。
前作のとんでもないネズミ合戦から一転して、穏やかな日々だ。
アミシアは笑顔だし、ヒューゴも元気そうだ。
ところが、とある田舎の村でアミシアが残虐養蜂一家に襲われたのをきっかけに、ヒューゴの力と病が再び暴走し始める。
再びのネズミ
一行は、母ベアトリスのツテで高名な錬金術師がいるという街へ辿り着く。そこに定住してヒューゴの病を治療する計画だ。
やれやれ、やっと落ち着ける。
しかし、街に到着した途端、ヒューゴの病が急速に悪化してしまい、アミシアは急いで錬金術師を迎えに行くことに。
ところが、その道中で、アミシアは街の隠された姿を目にすることになる。
黒死病はこの街にも蔓延しており、ネズミも大量にいる。しかし、兵士たちはそんな状況を感染していない街の人たちには隠しているようだ。
でも、ヒューゴの存在が更にネズミを呼び寄せてしまうだろう。
人々のために、そしてもちろんヒューゴのためにも、ヒューゴのネズミを惹きつけてしまう病を治さなくては。
笑顔が一気に消えてしまったアミシアは、弟を守るために非情な現実に立ち向かっていくことになる。
ゲームの特徴Features
ノンストップなアミシア
本作はいくつかの章に分かれていて、章によって場所が変わる。
エリア間を自由に行き来することは不可能で、物語に沿ってプレイしていくのみ。
1つの章のなかにはいくつか区切りがあり、ゲームオーバー時ややり直したい時は、その区切りの最初からか直前のチェックポイント(特定の場所に到達するとオートセーブされる)に戻ることになる。
また、メインメニューから攻略済みの章をリプレイすることも出来る。
アミシアの基本はステルス
本作は基本的にステルスプレイで攻略するアクションアドベンチャーゲームだ。
敵は、人間(主に兵士)とネズミ。
人間の敵は巡回していて、視覚と聴覚でアミシアを見つけてくる。逆にそれを利用して注意を逸らすことができる。
ネズミの方はというと、地面を覆い尽くすほどの大群で、触れてしまうと一気に食い殺されてゲームオーバーになってしまう。
食欲旺盛で凶悪なネズミたちだ。
しかし、ネズミは明るい場所が苦手なので、たいまつや焚き火など灯りが届く範囲には近づいて来れない。
というわけで、灯りを上手く使ってネズミをやり過ごしていくことになる。
戦うアミシア
アミシアは、単に隠れ回るだけではない。
彼女はスリングショット(石などを投擲する)や壺を投げることができて、敵の注意を逸らしたり無力化することができる。
また、宝箱などから手に入る素材を使って様々な種類の投擲物の錬金術クラフトも出来る。
例えば、点火剤を作るとスリングで遠くのたいまつに火をつけられるし、消火剤を入れた壺を兵士に投げると周囲の火が消えてネズミが敵を食い散らかしてくれる。
といった感じで、道具とクラフトとネズミを活用して攻略していく。
また、敵を直接攻撃することも可能で、ヘルメットを被っていない人をスリングでヘッドショットすると瞬殺出来る。
その他にも、敵の背後からステルスキルしたり、襲ってきた敵に反撃したり消耗品のナイフで刺したりなども出来る。
アミシアの潜在能力
本作では、敵を倒しても経験値は得られないけれど、アミシアがどう行動したかによって能力が伸びていく。
プレイヤーが攻略した方法に基づいて、ステルス、攻撃、錬金術(クラフト)の3種類それぞれのゲージが溜まっていき、より静かに行動できるといったスキルがアンロックされていく。
また、作業台がある場所では、素材を使ってスリングなど各道具をアップグレードすることが出来る。
アップグレードによって、より多くの素材を持つことが出来るようになったり、攻撃時の音がより静かになったりする。
どの武器からアップグレードしていくかはプレイヤーの自由だ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.5
「え、ちょっと待って待って!いやいや、ヤバすぎるだろ!え!?なんだと!?あ、静かに!静かにしないと!うわー!!」
これは、本作をプレイしている時の私の様子だ。誇張はない。
ネズミの狂った食欲よりも、激動続きで揺れるアミシアの感情よりも、病を抱えるヒューゴ不安よりも、その他の誰よりもプレイヤーである私の感情が激動。
感情移入しやすい演出で物語が描かれ、矢継ぎ早に目が離せない展開が連続する。「目まぐるしい」という表現がぴったり。
キャラの感情描写も驚愕展開の演出も全てが巧すぎて、もはや自分自身が大量のネズミの中に放り込まれた気分だ。常にピンチ!
史実である黒死病の蔓延と錬金術というファンタジーが上手くブレンドされていて、現実味がありつつも不思議がいっぱいで先が気になりまくるという極上の体験が出来る。
キャラクターの魅力
5.0
キャラクターの感情の描き方がとても丁寧。
アミシアのヒューゴを大切に思うがあまり狂気に陥っていく様子や、NPCそれぞれの想いや信念も手にとるように理解することが出来て、胸がキュッとなる場面も多い。
そして、ヒューゴがめちゃくちゃ可愛い。ゲーム始まって数秒で「守りたい、この笑顔!」となるはずだ。
そのおかげで余計にアミシアに感情移入しやすくなる。
敵は憎たらしいし、自然とゲームプレイへのやる気が湧いてくるように上手く描かれている。
操作性
4.5
操作性はかなり良好。
何らかのアクションができる場所ではボタン操作が表示されるし、道具の持ち替えもクラフトもリング上のメニューから選ぶので分かりやすい。
緊迫感のあるステルスが続くけれど、武器を選んだりクラフトする際はかなりスローモーションになるので余裕を持って切り替えが出来る。
エイムもしやすく、エイムアシストも効かせることもできる。
また、ネズミが近づけない明かりに照らされている範囲は厳密で、「ちょっとだけなら何とかなるでしょ」という甘さは通用しない。
目で見た通りそのままのネズミ当たり判定になっている。
難易度バランス
4.5
アミシアは少女ということもあり、ステルスキルや反撃など近接攻撃はあまり強くない。
動作自体にかなり時間がかかったり他の敵に見つかりやすい大きなスキになってしまうので敵を倒しまくるプレイはしにくい。やはり基本はステルスだ。
難易度は3段階から選択可能で、私はノーマル難易度を選択したけれど歯ごたえが味わえる。
人間の敵は目も耳も良いので、意外とすぐに見つかってしまう。初見殺しもある。
素材のやりくりや敵の動きを把握してタイミングを見極めるなど丁寧なプレイが求められる。
場当たり的な立ち回りではうまくいかず、ちゃんと考えなければならない。
でも、チェックポイントは小刻みにあるし、厳しすぎない良い難易度で楽しめる。
ゲームシステム
4.5
同じ場所でも攻略方法はいくつもあり、武器とネズミをどう利用するか考えるのが面白い。
例えば、消火剤は煙幕にもなる、タールは敵の足止めに使えるし点火すれば勢いよく燃えて目眩しにもなる。
武器と錬金術をどう組み合わせて使うか、頭を使うステルスはやりごたえ抜群。
そして、脅威であるネズミが最大の武器にもなるのが面白い。草に火をつけると敵を倒せるけれど、隠れ場所が減ってしまうなど、環境が武器にもリスクにも変わるのは、考えがいがあってどんどん夢中になる。
また、同行しているNPCにスキル使用やギミック操作を指示して謎解きも楽しめる。
そして、こうした複数ある攻略法を最大限活かせるマップ構造や敵配置になっているので、ずっと手に汗握るプレイが楽しめる。
やりこみ要素
4.0
フィールドには寄り道がいくつかある。
花や羽などヒューゴがコレクションするものを見つけるがやり込み要素の1つ。
また、特定の場所では、ちょっとした会話が発生する。これは記念品として実績解除となるし、あとから見返すこともできるようになる。
その場所や物にまつわるアミシアやNPCの意見が聞けるので、物語をより楽しめる。怪しそうなところがあれば寄り道してみるのがおすすめ。
グラフィック
5.0
めちゃくちゃ綺麗で高解像度な3DCGグラフィックだ。
キャラたちの表情が素晴らしく、カットシーンは映画のように見ごたえがある。
風景ももちろん高クオリティで美しい。
そして、ネズミだ。
とんでもない数のネズミが1匹ずつ活き活きとしている。
洪水のように溢れかえるネズミの大軍はかなりの大迫力。集合体恐怖症の方はかなり注意した方がいいと思う。
また、凄惨な場面も多く気持ち悪い光景も高品質。そのおかげで、本作の緊迫感や不気味さが増している。
残虐な演出が苦手な方には正直おすすめできない。それくらい生々しい。
サウンド
4.5
抑えめで不穏なBGMが流れている場面が多いけれど、敵に見つかったりネズミに追いかけられる場面では自然とパニックになる曲調のBGMが大きく鳴る。
そして、効果音が素晴らしい。
ネズミのチューチューという鳴き声から肉片を踏みつけていくグチャァッという音も、かなりリアル。
これにより更に没入感が増す。サウンド面の演出も素晴らしい。
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総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
惹き込まれる物語と演出
考えがいのあるステルスが楽しめる
美しいグラフィック
残念なところ
前作のおさらい等はない
成長要素の自由度がない
オススメな人
ステルスプレイが好き
感情が揺さぶられる物語を味わいたい
前作のファン
オススメではない人
集合体恐怖症
残虐な表現が苦手
敵と積極的に戦いたい
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どんどん惹き込まれていく物語と考えるステルスが面白いアクションアドベンチャーゲーム。 プレイヤー自身も極限状態に追い込まれるような映像美と演出が魅力。 ネズミを使って敵を攻略するといった本作ならではのゲームプレイにも夢中になる。 全要素が高クオリティ。
A Plague Tale Requiem プレイグテイル レクイエム
© 2022 A Plague Tale: Requiem, a game developed by Asobo Studio and published by Focus Entertainment. A Plague Tale: Requiem, Focus Entertainment and its logo are trademarks or registered trademarks of Focus Entertainment. The game and technology are the property of Asobo Studio. All rights reserved.
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