『The Last of Us part II』は、『アンチャーテッド』シリーズで知られるNaughty Dogが開発したサバイバルホラーのアクションアドベンチャーゲーム。
PS3で発売された(後にリマスター版がPS4で発売)名作と名高い『The Last of Us』通称ラスアス。

本作では、その後が描かれる待望の続編。
前作の冒頭で感染すると自我を失い他の人間を襲うようになってしまう菌が蔓延。感染者が溢れパンデミックとなり、政府も機能しなくなったアメリカが舞台。
前作では、菌に免疫を持つ少女エリーとエリーを絶対守るおじさんジョエル2人のアメリカ横断の旅が描かれていた。主にジョエルが主人公だったけれど、本作ではエリーが主人公になる。
本作は、PS5、PS4でプレイ可能。

本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。
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あらすじStory
色々あったけど、パンデミックで崩壊したアメリカで生き延びた前作のエンディング後、ジョエルの弟トミーが暮らす生存者たちの町ジャクソンに身を寄せたエリーとジョエル。
その4年後から物語は動き始める。
19歳になったエリーは、いつものように町のパトロールに出かける。町での彼女の役割だ。
イイ感じな関係になりつつあるディーナと共に町を出発する。
感染者の脅威はあるものの、いつも通りの日々だ。

しかし、ジャクソンの町に忍び寄る怪しげな集団。誰かを探しているようだ。
そんなことは知らず、ディーナとイチャイチャパトロールをしていたエリーは、他のパトロールルートで異変が起きているようだと報せを受ける。
エリーは、胸騒ぎを感じながら急行。
そして、そこで穏やかだった日々を一変させる悲劇を目撃することに。
その悲劇を引き起こした犯人たちを絶対に絶対に許さない!
復讐の鬼と化したエリーは、犯人集団を追いシアトルへ向かうことに。

シアトルには犯人たちだけではなく、軍のような組織やカルト宗教のような集団もいる。
また、これまで見たこともなかった進化した凶悪感染者にも遭遇することになる。
敵対する人間たちと感染者たちの狭間で、エリーはどう生き延びていくのか。そして、復讐を果たせるのか。
前作のストーリーは会話中に出てくるけれど、おさらい程度。前作の内容は分かっていることが前提で話が進む。
前作をプレイしておくか、動画やネットなどで、前作のストーリーを知った上でプレイするのが絶対にオススメ。

ゲームの特徴Features

本作はサバイバルアドベンチャーゲーム。
バトルでは、近接攻撃と遠距離攻撃がある。
新たな武器も道具も回復アイテムも全て現地調達。探索しながら見つけていくことになる。
近接武器となるバールやバットには耐久度があるし、弾数のストックにも上限値がある。
更に、レンガや空き瓶といった投擲武器もある。
また、クラフト要素もあって、アルコールや布などの材料を集めて、治療キットや爆弾を作ることもできる。
しかし、何でもかんでも入れておける「ふくろ」も「アイテムボックス」もない。しかも、ストーリーとともにエリアが移ると、資源を取りに戻ったりも出来ない。
出来る限り探索して現地調達し、節約して使い、次のエリアに備えて物資を温存しておく必要もある。

エリーの敵は多い。敵対する人間、感染者。しかも大体複数で攻めてくる。
真正面からぶっ飛ばしに行って生き延びれるほどエリーは超人じゃない。というか、そもそも、そういうゲームではない。
敵をどう切り崩していくか、戦略を練って立ち回る。これが基本。
地形を利用して敵に忍び寄りステルスキル。敵をおびき寄せて、お手製の火炎瓶や爆弾で一掃。
更には、敵対する人間と感染者を鉢合わせ戦い合っている隙にスルリと逃げていく。
しかし、もちろん思った通りには進まない。
敵の人間は組織的に動くし、犬を使って匂いを嗅いで捜索してくる。また、倒した敵の死体を発見されてしまうと、大声で他の敵にも知らせて重点的に捜索してくる。
また、感染者は何種類かいて、異常に耳が良いやつや毒ガスを撒き散らしてくる奴など、対処法もそれぞれ違う。

本作は、一定のエリアごと進んでいく。
ジャンプしてよじ登ったり、腹這いになって潜り込んだり、探索する場所はかなり多い。
探索中には、武器やクラフト材料以外にも見つかるものがある。
「遺物」と呼ばれる誰かの書いたメモ書きや、特徴的なオブジェクトなどを観察することが出来る。
貴重なアイテムが見つかるヒントだったり、物語をより深く味わえるエピソードを知ることができる。
また、探索で見つかる「サプリ」はエリーのステータスアップ、「部品」は武器のアップグレードに使用出来る。
新たなスキルを覚える「サバイバルガイド」も探索して見つけなければいけない。
敵を倒して経験値を稼ぐというシステムではなく、探索してアイテムを見つけることでエリーは強くなっていく。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.0
前作からの期待を裏切らない、いや期待を超えてストーリーが素晴らしい。
最初から濃密な展開続きで、先が気になってやめられない。
過酷な状況ばかりで残虐な場面も多いし、先を知るのが怖い気もしてしまうんだけど、でも気になる。どんどんプレイしてしまう。
残虐描写の多いゲームというと、「殺しまくってヒャッハー」とか「気持ち悪さ極めきったぞ」みたいな作品が多い。
しかし、本作では、そういう過激さには頼らない生々しい描写。心が締め付けられる、血の通った残虐さを感じる。
それでいて、エリーを取り巻く人々とのやり取りにはちゃんと温度があって、素直になれない気持ちや相手を思いやる気持ちをひしひしと感じる。
すごく過酷で人間くさい、それでいて愛の深さや葛藤までも、まるで自分が体験しているように胸に突き刺さるように体験できる。他のゲームではなかなか味わえないような本気で感情が揺さぶられるゲーム。
ただ、終盤がやや冗長気味になってたのが残念。
キャラクターの魅力

5.0
主人公エリーは前作から成長していて、純粋無垢という感じは抜けて、たくましくなっている。
でも、それだけでは言い表せないくらい、エリーはいろんな感情を見せてくれる。
そして、登場するNPC達も、敵であろうと味方であろうと感情がよく分かる。ゲームどころか、そんじょそこらのドラマや映画よりも濃厚な人間ドラマ。感染者はもはや舞台装置だ。
ネタバレになるので伏せるけれど、エリーと同じくらいしっかり描写される、とあるキャラ。その人に感情が掻き乱される事になる。
恐らくそのキャラのことが「大嫌い!」という人も多いと思う。でも、私は、その人にさえ感情移入した。全員に良い面もあれば悪い面もあり、意外なところもあったりする。
全てのキャラが生きている。ものすごいゲームだ。
操作性

4.5
操作感は、かなり人間ぽい挙動。
銃を撃つ時はリアルな反動やブレが起きるし、軽々とダッシュやジャンプ出来るわけでもないし、武器の切り替えやクラフトにも時間がかかる。
操作性は問題ないし、敵が理不尽に主人公を見つけてしまうことも見逃してしまうこともない。
だた、たまにステルスキルするつもりがコマンドが表示されず、スッと敵の前に出てしまい「あ、こんにちは」みたいになってしまうことがあった。
敵の後ろに立ってから、ステルスキルのコマンドが表示されるまでに不思議な間が空くことがあるので注意。
難易度バランス

5.0
敵もちゃんと人間ぽく動く。
「草むらに隠れたぞ」「こっちにはいないぞ」と敵同士で会話して組織的に攻めてくる。誤魔化したりゴリ押しが効かない。
がっつりステルスが楽しめる難易度。
上述したけれど、操作感がリアルなので、真正面から大人数を無双することはまず無理。作戦を立てて進まなければいけない。
そして、感染者はちゃんと強いので、適切な対処をしないとすぐに食い殺されてしまう。バトルの歯応えもしっかりある。
で、やはりサバイバル。
お店で無尽蔵に資源が買えるわけでもなく、「資源が足りるかな?大丈夫かな?」と緊張感がずっと続く良いアイテム配置。
一つの資源がいくつかのクラフトに使えるので、後先考えずに進むと自分で自分の首を絞めることになる。ちゃんとやりくりも考えなければいけない
ゲームシステム

5.0
私はステルスキルで攻めていくのが大好きなので、本作のゲームプレイは楽しすぎる。銃弾がいつも余ってしまうほど、ステルスに没頭した。
地形や敵の動きが様々だし、単に見つからなければ良いだけではなく、時には思い切って走り抜けることも必要。かなり面白く本格的なステルスが楽しめる。
でも、武器や罠を駆使して積極的にバトルを楽しむプレイもできる。プレイヤーごとに好きな戦術がとれるようなマップ構造や敵の配置になっていて、いくつも正解があるのが面白い。
そして、本作の1番の魅力はストーリー。
怒涛の展開が続くなか、ちゃんと敵と戦わなくてはならない場面もある。感情が大渋滞しながら正確なアクションをして、精神削りながらプレイするという珍しい体験ができる。
やりこみ要素

4.5
収取要素や様々な景色やモノに注目してエリーの日記を書き込んでいくやり込み要素がある。
特にエリーの日記は、あまりベラベラと喋るタイプじゃないエリーの気持ちが分かるので、ちょくちょく読むのがおすすめ。
また、資源はたくさん落ちていて、寄り道やちょっとした謎解きをしないと手に入らないものも多い。
グラフィック

5.0
フォトリアルなグラフィックは美しく、キャラの表情もかなりリアル。物語に感情移入するのに邪魔になるものが何もない。
エリーが敵を倒す時の憎悪に燃える表情には恐ろしささえ感じる。
そして、世界の作り込みがハンパない。
荒廃した家やビルばかりで具体的な説明がないけれど、そこに住んでいた人の生活や、時にはその人がどんな最期を迎えたかまで分かるほど、細かいところまでしっかり作り込まれている。
サウンド

4.5
BGMはあまりないんだけど、劇中ではギターがキーアイテムとして出てくる。実際にギター演奏を操作することもできる。
ゲーム中では怖い曲や感染者のうめき声ばかりだけど、エリーがギターで弾く曲はどれも切なさを感じる良い曲。
特にエンディングで流れる曲は、号泣必至!
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
残念なところ
オススメな人
ストーリー性の高いゲームが好き
ステルスプレイが好き
サバイバルゲームが好き
探索が好き
前作『The Last of Us』が好きだった
オススメではない人
残虐な表現が苦手
探索が面倒くさい
爽快感を感じるバトルが好き
短時間でクリアできるゲームを探している
本作が好きならオススメRecommendation
本作の前の物語。エリーとジョエルが出会い、互いにかけがえのない関係になっていく模様を知ることが出来る。本作の前にプレイしておくのがオススメ!

モンゴルに攻め入られた鎌倉時代の対馬が舞台となるオープンワールドゲーム。本作と同じく主人公が1人でリベンジしようと奮闘する物語が描かれる。ステルスプレイも可能だし、正面から斬り合うことも可能。



The Last of Us part II
https://www.playstation.com/ja-jp/games/the-last-of-us-part-ii-ps4/
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