FFオリジンレビュー: カオスが好きすぎてカオス – 『Stranger of Paradise FINAL FANTASY ORIGIN』
『Stranger of Paradise FINAL FANTASY ORIGIN ストレンジャー オブ パラダイス FFオリジン』とは、スクウェアエニックスとコーエーテクモが開発したアクションRPG。
本作は、『仁王』シリーズを手がけたコーエーテクモのTeam NINJAが開発に加わっている。
本作は、PS5、PS4、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
唐突なはじまり
あるところに、「カオス」が口癖の強面の男がいました。
というナレーションでも欲しいくらいに突然物語は始まる。
事情は全然分からないまま、主人公ジャックは手に持っている黒水晶が震えてるという理由だけで、アッシュとジェドという気のいい2人と仲間になる。
で、3人で「カオス倒そうぜ!」とすぐに意気投合。
そんな軽い感じ!?
ちなみに、本作の舞台はFF1の世界が元になっていて、人々は闇をふりまくカオスという怪物に怯えて暮らしている。
4人のはず
で、冒頭から急展開。
超短気のカオス大好きマンであるジャックは、王国を統べるコーネリア王に「カオス討伐に行かせろ!」と直談判。
でも、「闇に対抗するのは4人の光の戦士」という言い伝えだが。
「1人足りないけれども」という大臣の助言むなしく、根負けしたコーネリア王に鍵をもらって、ジャックはカオス神殿に乗り込むことに。
その時、セーラ姫からガーランドという人を探してほしいと言われるが、適当に受け流しつつ出発する。
クリスタルは4つ
そこからなんやかんやあって(ネタバレになるため割愛)、ネオンという仲間も加入する。
しかし、カオスの行方は未だ不明。そもそもカオスって何なんだ。
ジャックは本能でカオスが分かる的な無茶苦茶な論理をかましてるけれど。
コーネリア王から闇を討ち払うには4つのクリスタルが必要だと聞かされた一行は、各地のクリスタルを手に入れる旅に出ることに。
そうすれば、カオスにつながる糸口も見つかるかもしれない。
カオスはどこだーー!?と訪ね回る旅が始まる。
ゲームの特徴Features
ミッションで進む
本作では、ミッションごとにゲームを進めていく。サブミッションもある。
ミッションを開始すると、舞台となるダンジョンを探索していき、最奥にいるボスを倒すとクリアといった流れだ。
リプレイも可能。
ワールドマップ上からミッションを選択する画面では、NPCとの会話や鍛冶屋を利用することも出来る。
ジョブ
本作はアクションRPG。
3人パーティで戦いに挑む。主人公ジャックを操作し、あとの2人は自動で戦ってくれる。
本作では、ジョブを2種類選択しておいて、バトル中にその2つを切り替えながら戦うことになる。ボタン一つで瞬時に変更可能。
敵を倒すとジョブレベルが上がっていく。ジャック本人のレベルが上がるというシステムではない。
つまり竜騎士ジャックはレベル25だけど、白魔導士ジャックはレベル5だったりするわけだ。
ジョブレベルが上がると、そのジョブになっている時の基礎ステータスが上がり、ジョブごとに用意されているスキルツリーならぬジョブツリーをアンロックしていくことが出来る。
ジョブツリーには、新たなジョブ解放の項目もあり、上位ジョブも存在する。
MPが大切
バトルでは、武器を使った通常攻撃とMPを使用するスキルを使って戦う。
MPは、敵に攻撃を与えるごとに回復していく。
敵にはHPと別にブレイクゲージがあり、ゲージを削りきると敵はブレイク状態になり、ソウルバーストというフィニッシュ技で一撃必殺できる。
スキルを使うと敵のブレイクゲージを削りやすいし大ダメージを与えられるのでスキル連発したいところ。だけど、MP回復が間に合わない。
でも、ソウルバーストを成功させるとMP上限値が上昇する。
敵を攻撃してMP回復しつつブレイクを狙い、ソウルバーストして更にMPを溜められるようにしていく。これがバトルで大切な立ち回りになる。
また、敵の特定のアビリティをガードすると奪って使用することができるようになるソウルシールドや、ジャストガードや回避なども活用できる。
自分のプレイスタイル
本作は、敵のドロップや宝箱などから大量の装備品が手に入る。
同名の装備でも追加効果や強さが異なるので、吟味して装備することになる。
装備品には、特定のジョブのJob Affinityが付いていることがあり、そのジョブの経験値を得たりステータスボーナスが付与される。
つまり、バトル中に使う2種類以外のジョブも同時に成長させたり、追加効果も得られるようになるというわけだ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
上述もしたけれど、物語は突然始まる。
徐々に種明かしするという流れだけど、さすがに乱暴すぎると言いたくなる構成。
話の展開も「カオスだからカオスなんだってば」という、よく分からない理屈で進む。
どういうことだろうと考える前に「はい、謎です!先に進みます!」と突き放される感じで、特にゲームに惹きつけていくはずの序盤はもう少し丁寧に描くなり「後々、謎が明かされますよ」としっかり匂わして欲しかった。
「カオス」というひと言で全てを押し切ろうとする大雑把マン(=ジャック)そのものな物語。
本作は、まずはFFの設定を使ったアクションゲームだと思った方が楽しめる。
FF1の物語は予め知っておいた方がいいし、謎が明かされてくるまで興味を持ち続ける辛抱強さが求められる。
キャラクターの魅力
3.0
正直、すんなり感情移入は出来ない。
上述したけれど、ジャックは口を開けば「カオスカオスカオス」。
ちょっと落ち着けと声をかけたくなるほど、もはや前転するレベルで前のめり。
「おいおい」って突っ込みたくなるところが多く、「これでいいの?」となぜかプレイヤーの私まで心配になる。
一方で、仲間はバトル中にも声かけたりしてくれるし良い人ばかりでジャックをヨイショしてくれる。
ジャックは、仲間にもやたらと偉そうだけど、カオス大好きなネタキャラだと思い始めると徐々に微笑ましくなってくる。
操作性
4.5
本作にはスタミナや装備重量の概念はなく、挙動は軽快。
スキルもコンボによって発動するので、操作は分かりやすい。
ソウルシールドも成功しやすく、当たり判定や武器の射程などもアクション精度は高い。
バトルが楽しくて、無心で戦いたくなる病みつきさがある。
ただ、敵と近づきすぎたり、飛び回る敵が複数いる時など、カメラが不安定になることがあるので注意。
難易度バランス
4.0
本作は、高難易度アクションRPGと銘打ってるけれど、3段階から難易度選択可能。
私は中間の難易度(アクション慣れしている人向けという設定)でのプレイだけど、死にゲー難易度ではない。もちろんヌルすぎなわけではないけれど。
装備品やジョブの組み合わせなど、バトル準備をどれだけするかが勝利のポイント。
デスペナルティが厳しくないのでレベルは上がりやすいし、装備品もザクザク手に入るし、そして何より仲間が頼もしい。
遠くから「おお、みんな頑張ってる!」と眺める余裕すらあるほど、仲間は戦闘狂だ。
本作は『仁王』シリーズのTeam NINJAが開発に加わっているけれど、『仁王』より易しい。
ゲームシステム
4.5
FFシリーズのバトルといえば、MPのやりくりが肝心。
それが、しっかりアクションバトルのゲームプレイに組み込まれていて、バトルをすればするほど「FFじゃないけどFFじゃん」という感覚に。
高難易度アクションゲームでよく使われるスタミナのシステムじゃなくて、MPのやりくりになっているのが面白いところ。
ジョブによる違いもちゃんと活かされてる。
本作をFFシリーズの1つとして楽しもうとしたら、正直「これじゃない」感は否めない。
でも、FFシリーズに着想を得たアクションゲームとして見れば、装備とジョブの選択が楽しく、バトルが面白いゲームという感想になる。
やりこみ要素
4.5
成長要素や装備の収集、さらに装備品の強化など、たっぷり楽しめる。
バトルよりも、装備を付け替えたりジョブツリーを眺めたり、メニュー画面を見てる時間が1番長いまである。
また、世界の成り立ちが分かるヒントとなるテキスト情報が読める収集要素もある。
本作ではFFシリーズ過去作が元になったダンジョンが多く、シリーズファンなら過去作を思い出す楽しさも味わえる。
グラフィック
3.5
一見綺麗なグラフィックに見えるんだけど、白飛びが気になる。光が妙に明るすぎ。
本作はちょっと古めな3DCGという印象で、カットシーンでも荒さや描き込みのスカスカ感を感じるところがある。
あと、本作は装備品によって外見も変わるけれど、なぜか芋くさいデザインの装備品が多くて残念。とんでもないコーディネートになることも多い。
サウンド
4.0
ジャックの威勢の良さに合った力強い曲調のBGMが多い。
過去のFFシリーズのBGMを織り交ぜた曲もあって、良い曲揃い。
そして、仲間だけでなく、ジャックもバトル中に喋ることが多いんだけど、敵にとどめを刺す時に「じゃあな!」て叫んだり、戦闘から離脱すると「俺はまだやれるけどな!」とか。
「どんだけ偉くて強気なんだよ」と思わず笑ってしまうセリフが多い。もはやネタ兄貴。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
MPやジョブを活かしたバトルシステム
装備やジョブが豊富
攻略しやすい難易度
残念なところ
物語の展開が強引で唐突
死にゲーな高難易度ではない
FFシリーズに期待するものは得られない
オススメな人
装備やジョブなどのカスタマイズが好き
アクションゲームが好き
よく分からないけどカオスが好き
オススメではない人
死にゲーっぷりに期待している
物語を楽しみたい
FFシリーズを味わいたい
仁王シリーズ
本作を手がけたコーエーテクモ Tean NINJAが開発する和風死にゲー+ハクスラ。本作とバトルシステムが近いけれど、こちらの方が難易度高め。妖怪が暗躍する戦国時代の物語も楽しめる。
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Stranger of Paradise Final Fantasy Origin ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン
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