『I Am Dead』レビュー: 中身が見える、見えるぞ!
『I Am Dead』とは、Hollow PondsとRichard Hoggが開発したアドベンチャーゲーム。
開発元は、これまでに『ホホクム』などを手がけている。
タイトルを和訳すると「私は死んでる」だけど、ゾンビとかアンデットとかの怖いゲームではないのでご安心を。
ちなみに、「笑い死にしそう!」というスラングの意味で使われてるわけでもない。純粋に「私は死んでる」通りのゲーム内容だ。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。
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あらすじStory
モリスです
ゲームが始まると、男性の穏やかなナレーションが始まる。声の主は主人公のモリス。
舞台はシェルマーストンという島。
美しい景色や火山など自然にあふれ、灯台など観光名所もある素敵な島だ。
モリスは、この島の歴史などを伝える博物館の館長であり、シェルマーストンのことが大好きだ。
灯台も見える素敵な海岸。モリスのお気に入りの場所だ。ああ、美しい。
あ、いや、待てよ、モリスは、もう死んでました。
スパーキーとの再会
「私ってば既に死んでました」という、主人公による衝撃の発言。そう、モリスは既に霊体になっている。
と、そこに、生前可愛がっていた愛犬スパーキーが現れる。
ちなみに、スパーキーも既に死んでいて、霊体となっている。
死後も愛犬と楽しく過ごせるなんて最高じゃないか。
というわけにはいかない。スパーキーから、モリスが果たさなければならない使命が伝えられる。
島を守るために
モリスに課せられた使命とは、このシェルマーストンの島を守るガーディアンをスカウトすること。
実は、島にある火山は噴火寸前。このままでは島まるごと滅亡してしまう。
それを鎮められるガーディアンという役割を、シェルマーストンの元住人である霊体に引き受けてもらう仲介をするのがモリスの仕事だ。
愛する島が無くなるなんて悲しすぎる。任務を果たさなければ。
こうしてモリスは、生前知り合いでもあった霊体たちを訪ねていくことに。
ゲームの特徴Features
誰かの記憶に眠る思い出
本作の物語はいくつかの章に分かれていて、各章で1人の霊体を見つけ出す。
ゲームは、主観視点(とは言っても、モリスは霊体なので遠くから眺める感じ)でプレイする。
まず、各章の舞台となるエリアから、お目当ての霊体に関する思い出を持っている人を見つけ、その記憶を鑑賞する。
そして、その思い出に登場したキーアイテムを、そのエリア内から探し出す。
というのを繰り返して、全てのキーアイテムが揃ったら、遂に霊体とご対面。
そして物語が進む、という流れだ。
透視
霊体となったモリスは、物を透視して中身を見ることが出来る。霊になった者の特権らしい。
PS版だと、例えば箱に注目(ロックオン)して、RTボタンを押し続けると箱がズームアップされていき、視点は箱を貫通して箱の断面が見えてきて、更にズームし続けると箱の中身まで見えるようになっていく。
透視というか、物を通り抜けて中まで見る感覚だ。
上述した思い出のキーアイテムは、何かの物の中に隠れていることが多いので、さまざまなモノに注目して透視して見つけ出していく。
精霊とナゾナゾ
上述したキーアイテム以外の探し物もある。やり込み要素だ。
物を透視していくと、その物の断面が見えて来るわけだけど、お題の形と同じ断面図を探し当てると精霊グレンキンが出現しコレクションされる。
お題の形から、どのアイテムの断面なのか推測して見つけ出す。
そして、更にそのアイテム回転させたりズームを調節して、目標の断面に合わせる。
また、エリア内のどこかにはナゾナゾボードがあり、そこに書かれているアイテムを制限時間内に探し当てるというやり込み要素もある。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
非常に穏やか。猛烈に穏やか。
可愛いグラフィックも相まって、もはや絵本読んでる並の穏やかさ。
でも、子供向けってわけではなくて、主人公モリスが年老いて亡くなっているということもあり、老後の穏やかさ。
それぞれの霊体のエピソードはどれも興味深くて、「なるほど、そんなことがあったですね」と、じっくり聞き入ってしまう。
誰かの人生って、ひと言では表せないし、色んな面があるし、意外な過去を持っていたりする。
よく晴れた昼下がりに穏やかな空気に包まれながら、誰かの思い出話を聞いている。そんな感覚。
キャラクターの魅力
4.0
上述の通り、穏やかに展開する物語だけど、登場する霊体は穏やかな人生をおくっていたわけではない。
一癖も二癖もある人ばかりで、穏やかで善い人ではない。
故人の記憶というと、良いエピソードが挙げられそうなもんだけど、あまり良いとは言えない記憶も登場する。
でも、思い出を辿っていくと、なぜその人が偏屈になったのかなども明らかになってくる。
どの人もちゃんと多面的に描かれていて、愛着が湧きやすい。
操作性
3.5
アイテムを見つけて、透視していく。
複雑な操作はない。
が、一般的な主観視点というわけでなく、各エリアやアイテムを360°から眺めるという視点。つまり、三人称視点のカメラっぽいわけだ。
なので、TPS視点のつもりで右スティックでカメラ操作したくなるんだけど、実際には左スティックで視点操作する。
そして、右スティックでカーソルを操作する。
大体のゲームでの操作と逆な感覚。
また、周りからグルグル眺めるので、ちょっと目が回りやすい。
難易度バランス
3.5
メインの霊体に関するキーアイテムを見つけるのは難しくない。
思い出の中でヒントが語られている。
やり込み要素である精霊探しやナゾナゾは、ちょっと大変。
でも、断面の形を合わせる時などは、正解近くになるとアイコンが点滅したり、コントローラーの振動も強くなるので、ちゃんと探し当てられるようになっている。
ゲームシステム
4.0
本作は、探し物をするというゲームだけど、メインは物語を見て聞いて楽しむゲームだ。
ゆったりした時間が流れていて、語り口も穏やか。癒しのゲーム。
主人公が冒頭に死んでるという設定に「おっ!?」となるけれど、終始まったりできる。
やりこみ要素
4.0
精霊探しとナゾナゾの攻略だけど、完全に収集目的であり、特に派手な演出やサイドストーリーが展開するわけでもない。
というわけで、飽きてしまったり、メインストーリーを進める方を優先すると、すぐに終わってしまう。
メインストーリーに関わる物以外にも細かな注釈が添えられていたり、同じキャラが複数の章に登場していたりするので、ゆっくりじっくり眺めていると面白い。
が、これも、素通りしてしまえばそれまでだ。
報酬などの動機付けはないので、どれだけこの世界に興味を持つかで、本作をどのくらい味わえるかが変わる。
グラフィック
4.0
鮮やかで可愛いグラフィック。
そのままイラスト集に出来そうなくらい芸術性が高い。
見ているだけで楽しくなってくる。
サウンド
4.0
ここまで読んでもらえているとお分かりだと思うけど、本作は穏やかだ。
というわけで、音楽ももちろん穏やか。
めちゃくちゃ癒される。
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総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
芸術性が高い
癒される雰囲気
ゆったり楽しめる物語
残念なところ
やり込み要素はやる気次第
目が回りやすい
オススメな人
癒されたい
穏やかなゲームを探している
物語を味わいたい
オススメではない人
ゆっくりしたテンポが苦手
3D酔いしやすい
オススメ関連ゲーム本作が好きならオススメ
物を色んな角度から眺めるパズルアドベンチャーゲームなら、こちらもオススメ。立方体の中に広がる景色の角度を変えると他の面の景色と繋がり風景が変わるという錯視を使ったシステムにハマる。
荷解きによって主人公の人生を辿っていく斬新なパズルアドベンチャーゲーム。荷物をどんどん収納していく独特な癒しが得られる高評価作。
I Am Dead
物を回転させたり透視しながら探し物を見つけていく穏やかなアドベンチャーゲーム。
亡くなった人の思い出を辿っていく物語に癒される。
I Am Dead
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