『Minute of Islands』レビュー: 可愛さに騙されて、予想外に涙
『Minute of Islands』とは、Studio Fizbinが開発したパズルアドベンチャーゲーム。
Studio Fizbinは、手描きイラスト調グラフィックのアドベンチャーゲーム『The Inner World』シリーズなどを手がけてきたデベロッパー。
本作もカートゥーンなグラフィックが魅力的なゲームになっている。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
島の秘密
とある島で暮らす全身黄色ファッションに身を包んだモー。彼女が主人公だ。
この島には秘密、というか、事情がある。地下から地上まであちこち機械だらけ。で、ある日、この機械が停止したところから物語が始まる。
モーが急いで島の内部に向かうと、そこには、うつ伏せ気味の巨人が1人。居眠りしているわけではなく、苦しんでいる。
実は、この島だけでなく近くの島々に張り巡らされている機械は、各地の島の地下にいる巨人がハンドルを回し続けることで機能している。重労働!
そして、モーは、そんな巨人たちの弟子として機械のメンテナンスをしている。巨人に選ばれし人間というわけだ。
胞子
モーが暮らす島にはモーと巨人しかいない。
実は、毒のある黄色い胞子が島に降り注いでいて、ほとんどの人は死んでしまったか、逃げてしまった。
それでも、モーは巨人たちとともに島にいる。島を守ること、それが彼女の使命だと信じて。
しかし、なんとか胞子の害を食い止めている浄化装置まで運転停止してしまったのだから大変だ。しかも近くの島の装置も停止しているらしい。
修理屋さん
モーは、巨人の機械を操れるオムニスイッチという杖を持って、各地の浄化装置を直し、巨人たちを助けに向かう。
そして、他の島には少しだけど島に残っている人もいる。モーの家族もいる。浄化装置を直しに行けば、久しぶりに会うことになるだろう。
でも、モーは家族と会うのに気が重たそうだ。
モーと巨人たちはどうなるのか?そして、モーが抱える事情とは?
ゲームの特徴Features
島から島へ
物語の進行に伴って島から島へと移動していく。自由に戻ることは出来ないし、行き先も決まっている。
島では、杖のようなオムニスイッチを掲げると、目的地の方向を確認できる。
基本的には島を歩いたりジャンプしながら、ちょっと謎解きして、浄化装置を修理。修理できたら、その島の地下に入ってらまた謎解きして巨人を起こすという流れ。
謎解きの操作方法などはボタン含めて毎回表示されるので迷うことはない。
懐かしい思い出
冒険の舞台となる島々は、モーが昔から暮らし、遊び場にしていた場所。
歩いていると「思い出す」コマンドが表示される地点があって、そこに出現する青い海洋生物に触れると、その場所にちなんだ記憶を思い出すことができる。
これはやり込み要素。ゲームクリアには必須というわけではない。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
予想してたのと全っ然違った。
グラフィックに一目惚れしてワクワクして始めたら、めちゃくちゃ不穏。その不穏さに不気味さも加わって、全然ほのぼのしていない。
意固地で被害妄想モリモリで、葛藤しまくりの主人公モーによる内省的な物語。
セリフはなく、すべてナレーションによって物語は語られる。やや一本調子なのは残念。
で、「そんな考え方は良くないぞ、モー」って思いながら見守っていたら、終盤にまた予想を裏切られた。まさかの結末に、涙。
不思議な世界の物語だけど、寓話っぽい。エンディングを見ながら、色々と考えさせられた。素敵な物語。
キャラクターの魅力
3.5
モーは、かなり独りよがりで頑固。しかも、他の人を見下している。
でも、それは、全て島を必死に守ろうとしているからこそだ。すごく人間臭い。
モーを見ていると、「ああ、自分にもそういうところあるかも」と感じる人も多いはず。
彼女の言動に「そんなこと言ったらダメだよ」とハラハラしつつ、彼女の頑張りを応援したくなる。
操作性
2.5
かなりかなーり、もったり、もっさり。モーの動きは鈍い。
更にジャンプしても足場に変にとどかなかったり、妙な地点で足を踏み外したり。モーの立ち位置判定は大味。
アクション性高いゲームじゃないので攻略に支障がでるわけではないけれど、でもプレイしていて気持ち良くはない。
そして、やることもジャンプとオムニスイッチの操作と同じ作業ばかりが続く。
難易度バランス
3.0
謎解きは難しくなく、目的も度々表示されるし、迷うことはない。
というか、正直なところ、ゲームというよりインタラクティブな絵本(全然子供向けではないけど)みたいな感じ。
ゲームシステム
3.0
上述の通り、ゲームとしての面白さは少なめ。物語とグラフィックが本作の見どころ。
そして、ゲームボリュームも少なめ。
でも、世界設定はしっかり作られてるので、色々と考察がはかどるはず。物語を見て、それぞれのプレイヤーが何かを感じとるゲームだ。
やりこみ要素
3.5
やり込みは、「思い出」を思い出す。少し脇道に行かないと見つからないものもある。
島の危機なので急がなければならないという物語だけど、寄り道してしっかり散歩すれば見つかる。
また、思い出とは別に、島のさまざまな場所を調べることが出来る(目のマークが表示される)。
物語や世界設定がより良く分かる内容ばかりなので、あちこち見て回るのがオススメ。
グラフィック
5.0
一目惚れしたグラフィックは、最初から最後まで間違いなかった。最高。
キャラは、アメリカの人気カートゥーン『アドベンチャータイム』っぽい。背景や置いてある物は細かく描き込まれていて、色づかいも綺麗。
派手な演出はないけれど、このグラフィックが好きで、飽きずに続けられる。
逆に言えば、このグラフィックが好みじゃないなら、中だるみしてくるかも。
サウンド
3.0
音楽はずっと不穏。本作の物語にしっかり合っている。
メロディが印象的なBGMが流れることはほぼない。気持ちを落ち着かなくなる音ばかり。
不安が募る物語をどんどん不穏にしてくれる。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
芸術性が高い
感動する物語
残念なところ
操作性が悪い
ゲームとしての面白さは少ない
オススメな人
物語を楽しみたい
芸術性の高いゲームが好き
短時間でクリアできるゲームを探している
オススメではない人
心が弱っている時
不気味な演出が苦手
主人公自身の気持ちと向き合うアクションアドベンチャー。水彩画のようなグラフィックが美しく、物語にも感動する。
不気味さを感じるパズルアドベンチャーならコチラもおすすめ。コチラも結末を見ることでゲーム全体を理解できる上手い物語構成になっている。
Minute of Islands ミニッツオブアイランド
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