『Mr. Sun’s Hatbox』レビュー: 予想を超える保証サービス
『Mr. Sun’s Hatbox』とは、Kenny Sunが開発したローグライクアクションゲーム。
2D横スクロールアクションでプレイする。
本作は、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
お届け物でーす!
アパレル店を営むMr. Sun。まったりとしていたところ、ピンポーンと呼び鈴が鳴る。
キャップを被った配達屋さんが荷物を届けにやってきた。商品かな。
「サンさん、はい、どうぞ」と荷物がMr. Sunの手に(手はどこにも見当たらない生物なんだけど)渡った瞬間に事件は起こる。
強盗事件
強盗団が急襲してきて、商品の帽子が入った箱=ハットボックスを強奪して行ってしまう。
配達員が「待て!」と言うのも間に合わず、犯人たちはヘリコプターに乗り、どこか遠くへと逃げおおせてしまう。
ああ、どうしよう。
ところが、切り替えがめちゃくちゃ早いというか、責任感がバキバキに強い配達員は、「荷物を絶対取り返します!」とMr. Sunに宣言する。
強引な保証内容
配達員が言うには、Mr. Sunは配達保証保険に加入しているので、何が何でも荷物を取り戻してMr. Sunの手元に届ける保証が適用されるのだそうだ。
そして、そのために、Mr. Sunの店の地下に対策本部を造るという。
「え、いや、ちょっと、そこまでしなくても…」とMr. Sunは引き気味。そりゃそうだろう。
しかし、Mr. Sunの様子は全く意に介さず、配達員は半ば勝手に地下に大穴を開けてMr. Sunの店よりもデカい基地をドカンと構え、文字通りあらゆる手を尽くして強盗犯を追い詰めていく。
ゲームの特徴Features
毎日ひと仕事
本作は、上述した地下基地を拠点にして、毎日1つミッションを選んで攻略する。
基地で「ミッション」を選ぶと3つのランダムなミッションが提示される。特定のアイテムやキャラを捕獲する、全敵を倒すなどの目標を達成してダンジョンから脱出出来れば成功となる。
ミッションの中にはメインストーリーが進むミッションが含まれていて、その報酬に含まれる地図の切れ端を一定数集めると、ハントハイストというミッションが解放される。
ハントハイストに成功すると物語が進む。失敗すると、また地図の切れ端を集めなければならない。
捕獲か無力化か
各ミッションで操作キャラが出来ることは、移動とジャンプ。これが基本。
更に武器を拾って敵を攻撃することも出来る。各武器には弾数や耐久値が決まっていて、補充は出来ない。使い捨てだ。
また、マリオゲームのように敵を踏んだり、樽などを敵に投げつけて気絶させることも出来る。
そして、気絶した敵は捕獲することが出来る。バルーンを付けて基地へと送り飛ばすと仲間にして新たな操作キャラにすることが出来る。
そう、本作の操作キャラは無限にいる。全敵が仲間になり得る。
また、気絶状態の敵は首を折って殺害も出来て、その場合はお金が手に入る。
荷物を取り返すためなら殺しさえ厭わないという猛烈保証サービスだ。
勝手に増築
ミッションの合間には、基地で出来ることがたくさんある。
まず、上述したバルーンで基地に送った敵を洗脳部屋の機械に詰め込んで改心(洗脳)させる。これで晴れて操作可能キャラになる。
また、本作はパーマデス。ミッション中に死んだキャラは復活しない。しかし、負傷しつつも生きてミッションを終えたキャラは治療室で回復できる。
更に、事業拡大部や研究室、営業部なども建設できて、もはや会社か一大組織になっていく。
様々なパッシブスキルをアンロックしたり、武器や新たな仲間を買ったり、ミッションに複数のキャラを出撃させることもできるようになる。
また、ミッション中には武器や帽子(種類によって様々な効果を持つ防具)をバルーンで送ることも出来る。
次のミッションで武装してスタート出来るようになるわけだけど、研究などの必要資源になっていることもある。
仲間の成長
上述した通り、操作キャラは無限に登場するわけだけど、それぞれ特性が異なっている。
不利になる特性、有利になる特性、どちらとも言えない特性がある。
体臭がきつくて敵にバレやすいとか、何故か後ろ向きで歩くと速いとか。
ミッション終了時には操作キャラは経験値を獲得して、レベルが上がっていく。
レベルが上がる際には、体力が増えたり、上述した不利な特性が消えたり、逆に有利な特性が追加されることもある。
また、拠点の各施設には仲間キャラを配置することができて、よりレベルの高いスタッフを配置するほど各施設の機能が向上する。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
物語要素は軽い。ノリも軽い。
冒頭からひたすら笑える。
はじめは、「お客様のためですから!」と超本格的な基地を造り始める配達員さんのやる気に吹き出してしまった。
Mr. Sunはドン引きしまくってるのかというと、ちゃんと「あれから捜索はどうなってるのかね?」とチクリと言ってきたり、しっかり笑える展開に参加してくれる。
ゲームが進むほど基地はとんでもない充実ぶりを見せていき、荷物補償サービスのサポートの手厚さに驚きつつも笑える。
そこに対するツッコミ役がゲーム内にいないので、どんどん突き進んでしまう補償内容に終始笑いが止まらない。
キャラクターの魅力
4.0
Mr. Sunは固定だけど、お荷物捜索隊のメンバーはパーマデスなので、特定のキャラがどうこうするというのはない。
ただ、皆んな同じトボけた顔のキャラたちそれぞれの特性が面白い。
敵の首を折ると気絶してしまう「ビビリ」とか、回復アイテムでダメージを受けてしまう「敏感肌」とか。
更には、「手汗」では近接攻撃する度に武器を落としたり、「銃への嫌悪」では1発銃を撃っただけで装備している銃を破壊してしまう。
ゲームプレイ上では厄介なネガティブ特性なんだけど、どれも面白くて笑える。
操作性
4.0
操作キャラたちは、ポインポインと軽快にジャンプするし、サッサッサッと移動する。
軽い操作感だ。
当たり判定はざっくりしている。ちょっとぶつかっただけで吹っ飛ぶ。操作キャラも敵も。
そのため、複数の敵が密集すると、何が何だか分からなくなる。
敵と操作キャラの装備している武器やら帽子が散乱し、敵と操作キャラが跳ね回る。このワチャワチャした感じが本作の楽しさでもあるけれど把握はしにくくなる。
そんなゆるめな調整になっているけれど、各キャラの特性はしっかり反映される。
ドライアイ持ちのキャラなら画面が定期的に暗くなる(まばたきしてる)し、腰痛持ちキャラなら物を持っただけで猛烈に動きが遅くなる。
邪魔すぎる特性だけど、「そこまでちゃんと反映するのか!」と笑える。
難易度バランス
4.0
上述した通り、アクション精度はゆるめ。
でも、敵を全て倒す「レイド」のミッション以外では、敵に見つからないように素早く動いていけばバトルは必須ではない。
敵に発見されると、フロア中に警報が鳴り響き、全敵が集まってくる。
でも、逃げ切ることも可能だし、そもそも敵の警戒もゆるめ(目の前に立っても、まずは「?」が表示されてから「!」と発見された状態になるので逃げる余裕がある)。
敵を殺害せず見つからずにミッション攻略すると獲得経験値も多くなるので、真正面からガンガン戦わない方が有利に進めることができる。
難易度選択はできないけれど、アシストモードの設定は可能。
私はデフォルト設定のままプレイしたけれど、攻略しやすくエンディングを目指しやすい難易度だ。
ゲームシステム
4.0
基地や仲間を管理するシミュレーション要素も楽しめるのが本作の面白さ。
でも、複雑ではないので分かりやすく、ミッション一つ一つは短めなので気軽にプレイできる。
また、帽子や武器は奇想天外な面白いものが多くて、色々と使ってみたくなる。全然強くないものも紛れていて「やられた」と笑ってしまう。
で、こういうネタ満載ゲームだとにぎやかに戦うのかと思いきや、ミッションではステルス寄りなプレイになるのが意外。
しかも、敵も武器も奪える(バルーンで飛ばすのは『メタルギアソリッド』を彷彿とさせて、これまた笑える)。
捕獲によってミッションは単に目標達成だけとはならず、基地運営もあるので、それぞれの要素は軽めだけど飽きにくい。
やりこみ要素
4.0
基地の各施設のアップグレードや、さまざまな敵を味方にするのがゲームプレイに直結するやり込み要素。
更に、本作のタイトルにも含まれているハット(帽子)収集も本作ならではのやり込み要素。
ウンチ(臭くて敵にバレやすくなる)とか蛇(生きてて噛まれる恐れあり)とか、「それは頭に乗せてはいけないだろ」というものでもひょいひょい被る。
一方で、敵に攻撃できるタレット帽子など実用的なものもある。
グラフィック
4.0
可愛い。頭部と足だけという珍妙生物。へんてこで可愛いピクセルアートグラフィック。
各キャラは色違いというだけではなく、骸骨とか脚が発達しているカエルっぽいヤツとか、頭部が宝箱というミミックとか、実は色んな種類がいる。
そして、すっとぼけた表情。これが全ての笑いのもとだ。
敵の首をへし折ったり洗脳したり、闇市場では人身売買までしているのに、常に人畜無害そうな顔をしている。このギャップが余計に笑いを誘う。
サウンド
4.0
本作の笑える雰囲気に合っている軽快なBGM。
敵に見つかると、かなりうるさく警報が鳴りまくるし、にぎやかで楽しいゲームだ。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
笑えるネタ満載
シミュレーション要素も楽しめる
ステルスプレイが有効
残念なところ
アクション精度は大味
カジュアルなバトル
オススメな人
笑いたい
シミュレーションも好き
攻略しやすいローグライクゲームを探している
オススメではない人
パーマデスが嫌い
バトルだけプレイしたい
精度の高いアクションを求めている
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ゲームオーバーになると操作キャラが変わるローグライクゲームなら、こちらもおすすめ。永続要素もありつつ様々な特性を持つ子孫へと戦いが引き継がれていく個性的なシステムが魅力。
シミュレーション要素もあるローグライクゲームなら、こちらもおすすめ。怪しい教団を運営し、信徒を管理しながら、キビキビした挙動が気持ちいいバトルが楽しめる。不謹慎ネタも満載の人気作。
Mr. Sun's Hatbox
予想を超える保証サービス
笑えるネタ満載でゆるく楽しいローグライクゲーム。 敵を捕獲して洗脳したり、本格的な組織になっていく基地運営などシミュレーション要素も楽しめる。 各キャラの特性や武器や帽子の効果も面白く、ゲームプレイ上は厄介な特性まで笑える。
Mr. Sun’s Hatbox
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