『Marvel’s Spider-Man』レビュー: キャラゲーの先入観まで吹っ飛ばすヒーロー
『Marvel’s Spider-Man』とは、Insomniac Gamesが開発したオープンワールドなアクションゲーム。
Insomniac Gamesは、ソニー・インタラクティブエンタテイメントの子会社なので、PlayStationのファーストパーティーゲームだ。
Insomniac Gamesは、『ラチェット&クランク』シリーズも手がけている。
本作は、タイトル通りスパイダーマンがテーマだけど映画や原作コミックとは全く違う世界設定になっていて、オリジナルストーリーが展開する。原作を知らないという人でも安心。
本作は、PS5、PS4、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
グラフィックやフレームレートが向上したPS5版は、本作のスピンオフ作『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』に追加DLC3本含めて同梱されているお得なUltimate Editonとして発売されている。
また、PS5版単体はダウンロード版で発売されており、PS4版からの有料アップグレードも可能。
『Marvel’s Spider-Man』とはどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
既にスパイダーマン
上述した通り本作は完全にオリジナルの設定になっており、主人公のピーター・パーカーは、既にスパイダーマンとして活躍している。
凶悪なヴィランであるキングピンを遂に追い詰めたぞ!という、もはやクライマックスなシーンからゲームはスタートする。
キングピンは「凶悪」とは言われつつも、完全にバトルのチュートリアルに使われてしまうんだけど。
キングピンを倒して、やれやれ、ひと段落。
スパイダースーツを脱ぎ、オクタビアス博士の研究助手としての「普通の」生活をおくり始めるピーターくん。
ヴィランだらけ
しかし、スーパーヒーローらしく、もれなく大きなトラブルに巻き込まれていくことになる。
キングピン逮捕によって平和になったかと思ったニューヨークだけど、インナーデーモンというギャングが事件を起こし始める。
更に、スパイダーマンお馴染みのヴィランたちも、何やらゴソゴソと悪事をはたらいている。
ピーターは、ニューヨークの街を守るため、警察に協力したり、市民のちょっとしたお手伝いをしたり、そしてインナーデーモンの黒幕をぶっ倒すため街中を文字通り飛び回る。
ゲームの特徴Features
私がスパイダーマンだ
スパイダーマンなので、ウェブ(蜘蛛の糸)を使ったアクションが満載。バトルでも探索でもウェブが大活躍。
まず、誰もが憧れるウェブスイング。
ビルの壁などどこにでもウェブの先をパシュッと飛ばして、スイング。そして、また別の場所にウェブを飛ばしてスイング。といった感じでビルの合間を糸でぶら下りながら高速で移動していく。
また、壁に張り付くことも出来るので、どこでもよじ登り放題。
本作にスタミナゲージなどはない。いくらでもアクションし放題。
盛り沢山マンハッタン島
本作はオープンワールドなので、好きなところを好きな時に、地面から高層ビルの屋上までピュンピュン飛び回れる。
舞台はニューヨークのマンハッタン島。マーベルユニバースではあるけれど、実際のニューヨークの街並みが忠実に再現されている。
メインクエスト、サブクエストやチャレンジ、収集要素などが街のあちらこちらで大量発生する。どこからクリアしていってもいい。
パズルを解くものや敵の拠点攻略など、オープンワールドあるあるなサブクエストが登場する。
そして、特定の場所を写真撮影するといった観光気分で楽しめるクエストもある。
コンボが決まりまくるバトル
バトルの基本は、パンチやキックの近接攻撃。
敵の足元を滑って背後に回ったり、敵を空中に打ち上げたりもできる。敵と主人公の立ち位置によって挙動が自動で変わるので、どんどん攻撃を繋げていくことができる。
そして、バトルでも、もちろんウェブが大活躍。
マンホールやゴミ箱をウェブで引っ張って敵に投げつけたり、敵を糸で壁に拘束したり、ウェブを全方位にバババッとばら撒いたり。様々な技を繰り出すことができる。
また高い位置からウェブで敵を吊り上げるなどステルスキルも可能。
さまざまなウェブの技は、レベルアップ時に手に入るスキルポイントを消費して習得していく。
ハンドメイドヒーロー
スパイダーマンのスーツである全身タイツ。めちゃくちゃカッコ良くて高性能だけど、実は手作り。
レベルアップにより、新たなスーツを作成することが出来るようになる。見た目ももちろんだけど、着ているスーツによって使える技が変わる。
そして、忘れてはいけないのが、スパイダーマンのガジェット。
主人公ピーターは科学オタクの秀才で、バトルでも探索でも役立つガジェットを発明していく。
爆弾のように弾けるウェブや銃弾のように発射出来るガジェットなどバトル中に切り替えながら戦う。
スーツやガジェットは、サブクエストなどの報酬であるトークンを使ってアップグレード可能。つまり、市民を助けたり街の治安維持に貢献するほど強くなれるわけだ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
スパイダーマン特有の軽口アメリカンジョーク、超能力、気持ちいいくらいに邪悪さを極めた悪役たち、マニアックなガジェット、甘酸っぱい恋愛模様、ド派手な演出とカッコ良さ。
全てアメコミど真ん中なノリで、イベントシーンの見ごたえも抜群。
『スパイダーマン』の新作映画の主人公になった気分になれる。
ただ、悪い意味でもアメコミ。このノリが苦手な人だと感情移入はしにくいかも。
主人公がポジティブすぎて精神的に置いていかれそうになることもある。
あと、メインストーリーの一部で他キャラを操作するパートがいくつかあるんだけど、正直「必要あるのかな?」と思った。変に間延びする場面だった。
キャラクターの魅力
4.0
元々スパイダーマン好きな人にはおなじみであろうキャラがたくさん登場する。
個性も強いし、能力も多彩で面白い。主人公含め悪役までもみんな前向きで、バトル中もジョーク合戦してることも多い。
キャラを知りすぎていると展開が読めてしまうかもしれないけど。ヒーローものの勧善懲悪なので頭空っぽにして楽しむのが正解だ。
ただ、スパイダーマンお馴染みの悪役たちについてはストーリー上で詳しく語られない。原作を知らない人にとっては、やや消化しきれないかも。
「え?この人知り合いですか?」って思っている間に会話が進んでいってしまう。
操作性
5.0
本作の1番の魅力は、なんと言ってもウェブを使ったアクション。バトルでも移動でも、あまりに気持ちよく、映画で見て憧れた通りのアクションが200%忠実に再現されている。
特にコントローラーの振動が良くて、本当にスウィングしてるような気分になれる。
ゲーム開始した瞬間に心がわしづかみされた。結局、最後まで地上を歩くことは、ほとんどなかった。
バトルでは、コントローラーのボタンを総動員で使用する。
アクションの種類も多いのに複雑な操作とは感じない。ボタン割り振りが上手い。
また、地上ではシンプルなパンチだけど、空中に飛び上がってる最中ならスウィングキックになるといった感じで、その時の状況により各ボタンから繰り出されるアクションが自動的に変わる。
このおかげで、あれこれ考えなくてもコンボがつながっていくので、とにかく気持ち良い。
難易度バランス
4.5
上述の通り操作しやすいけれど、ボタン押しまくってれば敵を倒せちゃうということはない。
ちゃんと敵の種類に合わせてアクションを繰り出さないと集団でボコ殴りにされるので、良い難易度になっている。
また、ステルスプレイのクエストもあり、丁寧なプレイが要求される場面もある。
でも、全体通して大きく苦戦することはなくて、ストーリーを楽しく辿れる難易度になっている。
ゲームシステム
5.0
本作は「スパイダーマン」のキャラゲーだ。
しかし、キャラゲーにありがちな「有名キャラクターになれて満足!ゲーム性は二の次」という(私の勝手な)イメージを粉々に粉砕してくれた。
しっかりアクションゲームだし、ちゃんとオープンワールドゲームだし。「別にスパイダーマンとかどうでもいい。面白いゲームがプレイしたい。」という人も大満足できるゲーム。
バトルは、素早く立ち回ってアクションのテクニックで攻めても良いし、ガジェット使って知能派な戦い方でも良いし、ステルスで攻略することもできる。
プレイヤーごとに好きな戦い方ができるのも良いところ。
やりこみ要素
5.0
サブクエストがたっぷりあって、高いアクション技術が求められるチャレンジがたくさんある。
よくあるオープンワールドのやり込み要素ばかりだけど、アクションの気持ち良さやグラフィックの素晴らしさなど全てが高品質で飽きない。
そして、繰り返し書いている通り、ウェブスウィングが良すぎる。
これが他のゲームにはない魅力的な移動方法で、プレイ中ずっと楽しさが続く。ファストトラベルを全く利用しなかったオープンワールドは初めてかも。
マンハッタン島丸ごとを飛び回れるので、観光しているだけでもいつのまにか時間が経っている。
グラフィック
5.0
ニューヨークの街並みが美しく再現されている。本当に旅行している気分。
しかも、実際に観光しに行っても立ち入れないようなビルの屋上だとか空中からの視点だとか、もはや現実の旅行を上回る体験ができる。
そして、スパイダースーツがいちいちかっこよくてどの瞬間も絵になる。ついついフォトモードに没頭してしまう。
サウンド
4.0
音楽は完全にアメコミヒーローの雰囲気。
かっこよくスパイダーマンのテーマ曲が流れたり、派手な悪役とのバトルBGMが流れたり。にぎやかだ。
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総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
ウェブアクションの完成度が高い
コンボが繋がっていく爽快アクション
たくさんの戦術が楽しめる
ボリュームたっぷり
残念なところ
悪役の有名キャラの説明が乏しい
主人公以外を操作するパートで
間延び感がある
オススメな人
オープンワールドが好き
スパイダーマンのファン
マンハッタンに行ってみたい
オススメではない人
ヒーローものが苦手
アメコミのノリが苦手
本作のその後が描かれるスピンオフ作。本作にも登場するマイルズくんが主人公になっている。ちなみに本作の続編では、ピーターとマイルズの2人が共闘する模様。
本作の開発元Insomniac Gamesのアクションの魅力の虜になったら、もう一つの代表作であるラチェクラもおすすめ。
Marvel’s Spider-Man
https://www.jp.playstation.com/games/marvels-spider-man/
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