『Sea of Solitude』とは

人は孤独になりすぎると、怪物に変わってしまう…
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光と闇の美しく進化する世界を航海し、人間であることの意味を解き明かそう。
ドイツのJo-Mei Gamesによって開発されたインディーゲームのアドベンチャーゲーム。
現在、PS4、Xbox One、PC向けに配信されている。
私はPS4版をプレイ。
また、新たな要素が加わったディレクターズカット版がNintendo Switchで発売される。
あらすじ
孤独のあまり怪物化してしまった女性ケイが主人公。
「自分を変えたい」と願いながら目を開けるとなぜか周囲は嵐で大洪水。

悪天候のなかボートで進んでいくと暗闇で明るく光る、不思議な少女と出会う。

彼女の力なのか、嵐はたちまち消えて美しい水没した街の光景が広がる。

少女を頼りに進むものの、水面下から大きな怪物が現れて、ケイの進行を邪魔する。
怪物は、ケイを責めるような言葉を投げかけてきて、おまけにケイを食べてしまおうと水中をウネウネと泳ぎ回っている。

「自分の進むべき道も分からないし、とにかく光る少女を探そう」と、怪物のスキを突いて進んでいくケイ。
怪物は1体だけではなく、様々な怪物と出会うこととなる。
しかし、怪物たちの話を聞いていると、ケイは大切な誰かを思い出していく。

次第に、怪物たちを癒し始めるケイ。
そして、自分自身とも向き合いながら、ケイは大洪水の街を進んでいく。

物語冒頭では、どういう状況なのか、主人公のこともよく分からない。
しかし、ゲームを進めていくと、ケイがどういう女性で、何があったのかが紐解かれていく。
出会う怪物たちの悲鳴のような訴えは心が痛くなるものばかり。
そうした痛みを表すようなギミックや風景が展開し、丁寧に心情が描かれている。

そして、それに戸惑いながらも向き合っていくケイの姿が美しく、時には不気味に描かれている。
ゲームの特徴
とにかく進む
洪水で沈んだ街が舞台。
ボートに乗って進んだり、半分沈んだ建物の屋根を伝い歩いたり、時には建物の中も探索する。

何かが起きる場所には、ケイが「キラキラさん」と呼ぶ光の球がガイドとして浮かんでいる。
ケイは走ることとジャンプすることが出来て、ある程度の高さの段差があってもよじ登ってくれる。
障害物を乗り越え、飛び越え、とにかく「キラキラさん」の元へと進んでいく。

しかし、時には「キラキラさん」を見失ってしまうこともある。
更に何をすればいいか分からなくなることもある。
ケイには、もう1つ出来ることがある。
不思議な光の球「フレア」を放つことが出来る。

放たれたフレアは目的地へと飛んでいくので、それを目印に追いかけていけば物語が進んでいく。

食べる気満々の怪物
ケイは水に落ちても泳ぐことが出来るが、水面下から怪物がケイを狙っている。
ケイが水に落ちると、怪物はそれを察知して襲ってきてケイを食べてしまう。
そうなると、チェックポイントからやり直しとなる。

足場をジャンプで渡っていく必要がある場合には、水に落ちてしまわないよう注意。
もし泳がなければならない場合は、怪物が迫ってくる前に、急いで泳いで渡りきる。
水辺では、怪物に注目することも出来るので、ウネウネと泳いでいる怪物が出来るだけ遠い位置にいるタイミングを見計らってジャンプしていく。

フレアで応戦
基本的には、怪物をかわしながら先へ先へと進んでいくが、所々で直接ケイに攻撃を仕掛けてくる悪い奴らが現れる。

そうした場合にはフレアで応戦する。
といっても、フレアを直接敵にぶつけるわけではない。
フレアを当てると眩しく光るオブジェクトがあるので、そこまで敵をおびき出して、フレアで閃光を浴びせると退治することが出来る。
穢れを払う
探索しながら進んでいると、禍々しく空中をうねっている黒い煙のようなものに遭遇することがある。
近づいて「穢れを払う」と、黒い煙のようなものはケイが背負っているリュックへと回収される。

ちなみに、穢れを払うことが出来る場所やタイミングになると、画面上に「穢れを払う」と表示される。
指示に従うのみ。

やりこみ要素
誰かからのお手紙
探索していると瓶詰めの手紙を見つけることがある。
瓶を手に入れると、その場やその状況にちなんだ「誰か」からの手紙を読むことが出来る。

そのシーンをより理解できるものが多いので、見つけたら積極的に拾って行った方がいい。
目的に向かって進んでいる道中で見つかるものもあるが、寄り道しなければ発見できないものも多い。

休憩中のカモメ
歩いているとカモメの鳴き声が聞こえてくることがある。
そんな時に、周りをよく見渡してみると、建物の縁などにとまって休憩中のカモメがいる。

近づいて「追い払う」とカモメは上空へと飛んでいく。
飛んで行ったカモメは空を飛ぶようになり、見つけて追い払った数だけ空を舞うカモメが増えていく。

ストーリーと直接関係があるわけではない、完全なやり込み要素になっている。
評価
- 丁寧に心理描写されているストーリー
- 芸術性の高いアートワーク
- 滑らかな操作性
プレイを始めてすぐに、水没した街の美しさに完全に見惚れてしまった。

そして、次に突然登場した不気味な怪物。
本当に不気味で悪意しか感じられない。
怪物が現れると、辺りは嵐となり暗くなってしまい「さっきの美しい街並みをもっと見ていたかったのに!」「嫌な言ことばかり言ってくる!」と怪物から早く逃げたい、あわよくば倒したいと思った。

しかし、怪物の心情が視覚的に巧みに表現されていて、ケイや怪物の抱える問題や心情にどんどん共感してしまう。

プレイしている自分自身も「怪物を倒したい」という気持ちから、「怪物とちゃんと正面から向き合わなければ」という気持ちに自然となっていた。

気付いたらグッとストーリーに惹き込まれていた。
人間は孤独になると、感情が少なくなるのではなく、逆に感情が洪水のように溢れ、内に抱えている問題が大きく膨れ上がる。
ゲームではあるけれど、人間の心理や感情がよく理解できる素晴らしいストーリーだった。

そして、ストーリーやグラフィックとともにアクションの挙動が滑らかで、動かしていて気持ち良かった。
高いアクション性が求められるゲーム内容ではないけれど、美しく、時には不気味になる街を探索しているだけでも十分面白い。

ストーリー重視の一本道なゲーム性だけど、グラフィックが美しいこともあって、無駄に寄り道したくなることも多かった。

ストーリーは、現れる怪物ごとにチャプターに分かれていて、チャプターをどんどん進めていく。

プレイしている最中に「ああ、どういう結末になるんだろう」とドキドキワクワクしていたが、意外とスッと終わりを迎えてしまって、最後の盛り上がりが抑え気味だったのは少し残念だった。

最後、ケイ自身の問題にもっと深く突っ込んで欲しかった。
ストーリー展開が素晴らしいので、もっと長く楽しみたいという欲が出てきてしまった。
と言っても、エンディングでは、ちゃんと「ああ!良い物語だった!」と納得と充足感は感じる。
物語もしっかりまとまっていて良いゲームだった。

- オススメな人
-
- ストーリーを楽しみたい
- 芸術的なゲームが好き
- 10時間程度でクリアできるゲームを探している