『Shady Part of Me』レビュー: 自分の影と口ゲンカ
『Shady Part of Me』とは、Douze Dixièmesが開発したパズルアドベンチャーゲーム。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作と似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
影と少女
影だけで描かれた風景。そこに、ブランコに乗っている影の少女が1人。
少女はブランコから降りて、テクテクと歩き出す。
しかし、歩いていると大穴に落ちてしまい…
ヒィイイイッ!
というところで、今度は実体のある少女がベッドで目を覚ます。
どうやら、この子が見ていた悪夢だったみたい。良かった良かった。
影と二人三脚
あれ?夢から覚めたはずなのに、相変わらず少女と少女の影は分離したままだ。どうやら実体と影は別々に存在できる不思議少女らしい。
で、少女は何らかの施設に収容されているらしく、とにかく外に出たいようだ。
もはや友達みたいに会話する影と実体(少女本人)は出口を目指すことに。
誰の物語?
影と実体は、「あなた、本当に出口の場所を知ってるの?」とか仲良かったり仲良くなかったりな会話を繰り広げつつ、せっせと進む。
しかし、時おり、おじさんの声が彼女たちに語りかけてくる。なんだか事情を知ってる風な口ぶりだ。
少女は、なぜ影と実体に分かれてしまっているのか。
少女たちの会話と謎のおじさんメッセージから、少しずつ謎が明らかになっていく。
ゲームの特徴Features
光と影の違い
本作では、影の少女と実体がある少女の2人を操って謎解きをしながら進む。
PS版だと△ボタンを押すと操作キャラの切り替えが出来る。
影の少女は影なので、光が当たっている場所に存在することができて、物の影を足場にして進んでいく。あと、ジャンプが出来る。
実体のある少女は光が怖くて、暗くなっている部分しか移動出来ない。そして、箱などを押して移動することが出来る。
影は2D横スクロール、実体の方は奥行きのある2.5D横スクロールで進んでいく。
何度でも巻き戻す
少女たちが進む道には一定区間ごとに円が設置されていて、そこに影と実体のどちらもが到達しないと先に進むことは出来ない。
影の少女は影に入ってしまったり、影のトゲに触ってしまうと消滅する。実体のある少女は光に当たるとうずくまって動けなくなる。
しかし、本作には、いわゆるゲームオーバーがない。
ミスした場合は巻き戻しで好きな時点まで時間を戻すことで再チャレンジできるというシステムになっている。
鳥
本作のやり込み要素は、折り紙で出来た鳥を収集すること。
影側にも実体側にも出現する。
ゲーム攻略とは違う解き方をしなければならない時も多く、完全に寄り道の収集要素だ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
精神的な問題を抱える少女(本当に少女?)が自分と対話する物語。
実体の少女と影の少女は同一人物。となると、影の方が闇堕ちしてて鬱々としてるってパターンだな。
と思ったら、あれ?そうでもないぞ。知ってるパターンじゃないぞ。意外と影の方が…。
ただ、起承転結の転の部分がやや弱めで、盛り上がりは今ひとつ。
自分と対話してるのに度肝を抜くびっくりハプニングが突然起きるのも変なので、そこは仕方ないのかも。
キャラクターの魅力
3.5
少女は実体でも影でも、よく喋る。
お互いに、「ああでもない、こうでもないよね」ってな感じで喋ってる。基本的に意見が合わないし、会話も噛み合ってないことも多い。
実体の方が感情豊かで子供っぽい。時に聞き分けがなさすぎて面倒くさい。
一方で、影は落ち着いていて理性的だけど、自分の意見を主張しない。
同一人物のはずなんだけど、かなり違う。
でも、誰しもそんなもんだ。大人だろうと子供だろうと幼い面も理性的な面もどちらもある。
どちらも必要だし、両方が上手く機能しなければ、心が保てない。
それを光と影に分けて描いてるのが、面白い。
操作性
3.5
基本的にアクション性は高くなく、シビアなタイミングが求められることもない。
操作性はすごく良いわけではないけれど、本作のゲーム性では問題なし。
ゲームの途中から上下が反転したりするけれど、画面の方向通りにスティックを操作すれば良い。分かりやすい。
難易度バランス
4.0
謎解きが盛りだくさん。
ゲームボリュームもしっかりあって、色んなギミックが登場する。
特に光源に物を近づけるとその影は大きくなり、逆だと小さくなるという、影ならではのトリックが面白い。
解けるたびに、「おおー!なるほど、なるほど」と感心してしまう。
ヒント機能はないけれど、いくらでも好きな時点に巻き戻せるので、詰むことはないと思う。
ゲームシステム
4.0
影では平面で考えながらせっせと操作するけれど、実体に交代した途端に奥行きの概念が出現する。
で、また影に交代したら奥行きのことは忘れなきゃいけない。
脳に刺激的!
こういう謎解き考える人って凄い。どうやって思いつくんだろう。
主人公そっちのけで謎解きの面白さに興味津々。
全体的にスローペースなゲームで「あ、眠たくなりそ…」となりがちなんだけど、その瞬間に次の面白い謎解きが登場する。
やりこみ要素
4.0
上述した折り紙の鳥を集めるがやり込み要素。単に攻略するより鳥を集める方が難しくなっている。
先に進むだけの謎解きより、ひと手間ふた手間も必要で、考え方をガラッと変えなくてはいけないことも。
鳥集めをすると謎解きの面白さが倍増するので、積極的に挑戦した方が本作をより楽しめる。
グラフィック
3.5
全体的に淡い茶色がかった画面になっている。
羊皮紙のようなスケッチブックに水彩絵の具で描いた感じのグラフィック。
セリフや主人公が歩く「ペタペタ」といった文字が画面上に表示されるし、絵日記の中を旅しているみたいだ。
サウンド
3.5
美しく切ないBGMが多い。本作の物語にピッタリだ。
にぎやかになったり、大きい音がガンガン鳴ったりもしないので、余計に眠たく…と思うんだけど、謎解きが面白くて眠気は飛んでしまう。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
影と実体で挙動や操作が変わる
影を使ったアイデア満載の謎解き
謎解きの数が多い
残念なところ
物語の盛り上がりが少なめ
スローペース
オススメな人
謎解きが好き
穏やかなゲームを探している
個性的なゲームを探している
精神や心理がテーマの物語が好き
オススメではない人
セリフが多いと邪魔になる
派手な演出やドラマティックな展開が好き
サクサクと攻略したい
こちらも主人公の精神内を旅する物語。主人公の心理が波で表される美しいゲーム。
本作とは違い不気味な雰囲気だけど、アイデア満載の謎解きが好きならおすすめの高評価パズルアドベンチャー。こちらはアクション要素もあり。
Shady Part of Me
© 2020 Shady Part of Me. Developed by Douze Dixièmes and published by Focus Home Interactive. All rights reserved.
https://www.focus-entmt.com/en-us/games/shady-part-of-me