『Solar Ash』レビュー: ブラックホールは急に止まれない
『Solar Ash』とは、Heart Machineが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
Heart Machineは高評価アクションゲーム『Hyper Light Drifter』の開発元として知られているけれど、本作は新規IPだ。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
ウルトラヴォイド
物語は、主人公のレイが本作の舞台であるウルトラヴォイドに到着するところから始まる。
ウルトラヴォイドとは、最強のブラックホールみたいなもの。
色んなものを丸ごと飲み込んで粉々にして無くしてしまう。恐ろしい空間というか物体というか存在だ。
そして、実はレイの故郷の惑星は、このウルトラヴォイドに今まさに飲み込まれつつある。
そんななか、レイは絶対に失敗できない任務を背負い、ほぼ不時着のような状態でウルトラヴォイドに到達した。
ヴォイドランナー
レイは、ヴォイドランナーだ。
レイの故郷にはハイテク不思議技術があり、その技術を扱ってウルトラヴォイドに飲み込まれる問題を解決しよう部隊はヴォイドランナーと呼ばれている。
つまり、レイは故郷を守るために、ウルトラヴォイドを止めに来たわけだ。
しかし、先に着いてるはずの他のヴォイドランナー達の姿が見当たらない。
故郷が滅亡するまで、そんなに時間は残っていないっていうのに!みんな、どこ!?
エコーとアノマリー
レイは、他のヴォイドランナーを探しつつも、時間がないのでウルトラヴォイドを止めるためのスターシードという装置の起動に取りかかる。
しかし、ウルトラヴォイド内には、行手を邪魔する禍々しいベトベトや、アノマリーと呼ばれる巨大な怪物までいる。
そして、度々レイに語りかけてくるエコーというでかくて白い人(?)に邪魔される。このエコーという巨人は、やたらとレイのやる気を削ごうとしてくる。
でも、故郷がウルトラヴォイドに飲み込まれるまであと少ししかない!
重力がこんがらがって上下逆さまになっても気にしない。レイの奮闘が始まる。
ゲームの特徴Features
アノマリー撲滅
本作はいくつかのエリアに分かれていて、各エリアに一体ずついる巨大なアノマリーを倒していくのが大きな流れ。
アノマリーたちは、スターシード起動を阻害する電波的なものを発しているらしいので、討伐しなければならないようだ。
しかし、すぐにアノマリーに戦いが挑めるわけではない。
まずは各エリア内に点在している赤い目玉を一つずつ壊していく。そうすると巨大アノマリーの目が徐々に見開いていく。
エリア内全ての目玉を壊すと、やっと巨大アノマリーに挑戦できるようになる。
スイスイスイーッ
レイの基本アクションは、スケーティングとジャンプと近接攻撃とグラップル。
スケーティングは、硬い地面でも雲の上でも、スケートするように高速移動できるアクション。
スタミナなどのシステムはないので、好きなだけスケーティングできる。
そして、ジャンプは2段ジャンプが可能なだけではなく、スケーティングでスピードに乗った状態でジャンプすると、更に遠くまで到達できる。
グラップルは、特定の箇所に照準を合わせてグラップリングフックを投げて引っ掛ける移動方法。これによって空中をヒョイヒョイと進むことができる。
高速移動しているとフックを掛けられる場所を通り過ぎてしまいそうになるけれど、一定時間ならタイムスリップで時を止めることが出来る。
タイムスリップ中には全てが一時停止した状態になり、グラップル出来る場所に照準を合わせやすくなる。
アノマリーの倒し方
そこら辺にいる小さな雑魚アノマリーは、近接攻撃で倒すことができる。
しかし、巨大アノマリー解放のための赤い目玉や巨大アノマリー自体とのバトルでは、直接バシバシ攻撃するわけではない。
注射器のようなものがベトベト地帯や巨大アノマリーに刺さっていて、それを壊すことでダメージを与えることが出来る。アノマリーの神経系に攻撃していっているという設定らしい。
一個の注射器を壊すと次の注射器が近くに出現し、順番に全て壊さなければならない。しかも、時間制限がある。
スケーティングやグラップルを駆使して、素早く全て壊していく。失敗すると最初の注射器破壊からやり直しになる。
巨大アノマリー退治の際には、これを何度か繰り返さなくてはならない。
血液とシールド
レイの体力はシールドで表される。
敵から攻撃を受けるとシールドが壊れてしまうけれど、各地にあるシールドが入っているボックスを壊せば回復可能。
また、そこら中に赤い血液が散らばっている。
これは本作の通貨のようなもので、一定数集めるとシールドの最大値をアップグレードすることができる。
誰かの記憶とそこにいる人
各地では、他のヴォイドランナーのログを発見することができる。
彼らに何があったのか分かるし、レイが装備できるスーツのパーツを手に入れることが出来る。
パーツを一定数集めると、レイの新たなスーツがアンロックされる。スーツごとに特性も異なる。
また、サイドストーリーもあり、ウルトラヴォイドに飲み込まれてしまった人の話を辿ることが出来る。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
ウルトラヴォイドという概念からして難しそうなお話…と思いきや、ストーリーはかなり理解しやすい。
とは言っても、ちゃんと他のヴォイドランナーたちのログを探さなければ情報量は少ないままなので、本作の物語を楽しむなら探索が必須。
探し当てるたびに少しずつ謎が明らかになる。探索しながら攻略していると、謎が明らかになっていくテンポが良くて、どんどん先を知りたくなる。
「故郷を救うぞー!」というシンプルな内容から、レイ自身の内面に迫るエコーとの対話もあり、物語がしっかり楽しめる。
キャラクターの魅力
4.0
一番話しかけることが多いシールド回復などを行ってくれるボットであるシドとの会話は、ほぼ事務的なもの。
しかし、他のヴォイドランナーのログ、そしてサイドストーリーでは、個性的なNPCが登場する。
特に最初に登場するサイドストーリーのリリスは、かなり記憶に残ったキャラ。最初「この人何言ってんだ?」と思っていたけれど、途中から話が切なくなってきて、絶対に最後まで見届けたくなった。
くどくなく、でも物語をちゃんと感じる。キャラクターの描き方が過不足なくて、ちょうど良い。
操作性
4.5
スケーティングの摩擦ゼロ!
ジャンプも攻撃も全部摩擦ゼロ!
っていうくらい、全てが滑らか。
で、そのスピードに負けず操作性は良好。ヒュンヒュンヒュンスイスイスイ動かせる。
当たり判定は結構優しくて、なんとなくの位置を攻撃しても敵や注射器に当たる。そのおかげで、滑らかなアクションの流れが途切れにくい。
地面でも空中でも流れるように動く操作性が最高。
難易度バランス
4.0
本作では、高速アクションを操るのがメイン。
敵が強くてゲームオーバーというより、時間制限があるなかで素早く正確に動かなければならないプラットフォームアクションの難しさを味わえる。
でも、3Dプラットフォームに慣れてる人なら、そこまで苦労することはないと思う。
でかい怪物を倒すと言っても、攻撃方法が注射器を壊すだけというのはちょっと寂しい。バトル要素がもう少しあると良かったな。
もちろん徐々に難しくなっていくけれど、デスペナルティはほぼなく、チェックポイントも小刻みにあってリトライしやすい。
ゲームシステム
4.0
高速移動で滑らかにアクション。これが本作の最大の魅力。
この滑らかな気持ち良さはクセになる。
そして、高低差ありまくりのマップが楽しい。
廃墟や雲の上をシュイーンシュイーーンと滑り、グィングィンとスピードを上げて大ジャーンプ!
とにかく、めちゃくちゃ気持ち良い。
物理法則なんて忘れてしまえ!
やりこみ要素
4.0
メインストーリー進行のための巨大アノマリーの場所は、スキャンすると場所が表示される。
しかし、ヴォイドのログやサイドストーリーなどの場所は自分で見つけるしかない。
でも、ログがある場所の近くにはヴォイドランナーの印があるし、サイドストーリーはマップでジャーナルを選ぶとヒントが見れる。
周りをよく見て、行けそうにないところでも意外な場所に道があったりする。
アノマリーの攻略だけではもったいないくらい、やり込み要素で得られる情報量が多い。
物語や世界を理解するためにも、やり込み要素であるログとサイドストーリーはできるかぎり回収するのがオススメ。
グラフィック
4.0
独特な色づかい。
ブラックホールって、なんとなく黒とか深い青紫とかのイメージがあるけど、本作では赤と緑が印象的なグラフィックになっている。
レイのファッションも個性的。髪の毛が焔みたいに逆立ってウネウネしてるし、レイ自身も重力を感じてないみたいだ。
ちなみに、本作開発元の前作『Hyper Light Drifter』は美しいピクセルアートが魅力の1つだったので、それを期待してた人はガッカリかもしれない。
でも、本作のアートスタイルも、これまた美しいのでぜひ堪能して欲しい。
サウンド
4.0
BGMはあまりない。
ブラックホールなので音も虚空に吸収されてる、たぶん。
でも、効果音は気持ち良いアクション挙動に花を添えてくれる気持ち良いもの。
挙動と共にサウンドも耳触りが良い。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
滑らかでハイスピードなアクション
探索で明らかになる物語
独特なアートスタイル
残念なところ
敵との攻防やバトル要素は弱め
オススメな人
アクションゲームが好き
気持ち良い挙動が大好物
個性的なゲームを探している
オススメではない人
探索が面倒くさい
マップの詳細情報が欲しい
素早いアクションが苦手
The Pathless
こちらも滑らかで高速移動していく高評価アクションアドベンチャー。世界設定などは本作と全く違うけれど、探索で物語を辿ったり巨大なボスに挑むなどゲームシステムは近い。
Hyper Light Drifter
本作開発元の代表作。ハイペースなバトルが楽しめる死にゲーでもある高評価アクションゲーム。ピクセルアートが美しいグラフィックも魅力。
Solar Ash
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