『The Wild at Heart』レビュー: 精霊をぶん投げる少年の癒やし
『The Wild at Heart』とは、Moonlight Kidsが製作した謎解き要素の高いアドベンチャーゲーム。
手描きイラスト調のほのぼのしたグラフィックと癒されるサウンドも魅力。
PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
家出少年
12歳の少年ウェイクは、大きな決意を胸に家出する。そんなところから物語は始まる。
親子関係がうまくいっていない父親に雑な書き置きだけを残して、森へと飛び出す。友達のカービーと森で落ち合う予定だ。
さあ、逃避行だ!
と思ってたら、さっそく迷子になってしまったー!不覚!
ウェイクは既に泣きべそ顔。強がってたって、まだ12歳の少年だ。
迷子
途方に暮れていたら、小さいやつがこちらを見ている。
誰?というか、どういう生物?とりあえず追いかけずにはいられない可愛さ。
と思ったら、なんか今度は可愛くはないオジサン(おじいさん?)が出てきた!
不思議な冒険
オジサンによると、ここは現実の森ではないらしい。
オジサン自身も属する「緑ノ盾」団と呼ばれる者たち。
彼らが闇の化け物ネバーが現実世界に入り込まないように、この森を守っているという。とんでもない話だ。
しかし、その緑ノ盾はピンチ陥っているらしい。
それを救うためにウェイクは選ばれた。だから、森に導かれたようだ。
「いやいや、どういうこと?」と思うけれど、もうこの森からぬけだせないし、行くアテもないし、やるしかない!
ウェイクは、可愛い森の精霊たちをぶん投げながら(力を借りながら)森を守る使命を果たすことに。
そして、彼自身が抱える問題にも向き合うことになる。
ゲームの特徴Features
精霊隊を結成
ウェイクは、蹴ることと吸引(バキューム)が出来る。ウェイクは手先が器用で、掃除機を改造して作った強力吸引マシンを背負っている。
『ルイージマンション』みたいだ。
そして、1番大切なアクションは精霊を引き連れて使役すること。
何匹かの精霊を引き連れて歩いていく。
オブジェクトを破壊してもらって資源を集めたり、敵に攻撃してもらったり、邪魔な巨岩を運んでもらったりも出来る。『ピクミン』みたいだ。
精霊にはさまざまな種類がいて、それぞれ得意分野や出来ることが異なっている。適材適所で使い分けていく。
『ピクミン』のような感じだ。
友達のカービー
ゲームが進行すると、ウェイクの友達のカービーも操作できるようになる。
カービーは魔法のライトが使える。ライトでしか起動できないギミックもある。
ウェイクとカービーを切り替え、さらに多種類の精霊を使い分けながら、敵を倒し、ギミックを使い謎解きしながら各地を探索していく。
創造する少年
フィールドでは様々なものが見つかる。全て資源だ。
フィールドに点在するキャンプの作業台では、資源を使ってクラフトが出来る。回復出来る食事やバフがかかる薬、更にはバトルで使える爆発するヤカンを作ったりも出来る。
また、精霊はバトルや地形ダメージでお亡くなりになってしまうこともある。
しかし、紫色の特別な果物を壊すと新たな精霊の種が手に入る。
それをキャンプの切り株で孵化させると新たな精霊が誕生する。
連れて歩ける精霊の数には上限値があり、どの種類の精霊を何匹ずつ連れていくか、敵や道に合わせて選択しなければならない。
こうしてアイテムと精霊をやりくりすることも重要。かなり有能な12歳だ。
モタモタできない
ゲーム内では、常に時間が流れている。
夜になると闇の化け物ネバーが襲ってくる。一方的にウェイクをバシバシ叩いでくるので、かなり危険。
つまり、謎解きの最中に夜になると絶体絶命。
しかし、夜でも光のそばにいれば大丈夫。ネバーは近寄って来れなくなる。クラフトして作った照明で一時的に撃退することも可能。
もしくは、各地のキャンプのテントや拠点のツリーハウスで眠ると時間が進み翌朝になる。
また、フィールド上の敵や資源は時間経過によって復活する。
夜が危険だからと言って寝まくっていると毎回敵が復活してしまい、逆に探索が進まなくなる。
時間配分が大切だ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
「可愛らしくて良い感じだなあ」と予想してプレイを始めたんだけど。意外な展開が待っていた。
基本的には楽しくて穏やかな雰囲気なんだけど、切なさが見え隠れする。可愛いだけではない。物語がしっかり面白い。
もちろん、ほのぼのしてるし、登場キャラは可愛い。ちゃんと予想通りの癒しの雰囲気も抜群だ。
キャラクターの魅力
4.0
NPCは絶妙なネーミングセンスの名前ばかりで、個性も強め。笑わせてくれるセリフも多い。
でも、実は彼らも切ない事情を抱えている。
初対面ではとっつきにくいキャラもいるけれど、主人公を子供扱いせず対等に話してくれる良いキャラばかりだ。
精霊たちは可愛さいっぱいで、『ピクミン』にハマった人ならゾッコンになるはずだ。
操作性
3.5
精霊たちはおとなしく投げ飛ばされてくれる上に、賢い。
大体の場所に投げれば、自動で敵に向かっていって戦ってくれるし、資源を見つけてせっせと採掘もしてくれる。
だけど、ゲームの進行とともに精霊部隊は多種多様で大所帯になってくる。敵もワラワラと攻めてくる。そして、周りには資源も豊富。
密集、大混雑。
そうなると、ぶん投げた精霊が敵の真横で採掘始めちゃったりする。
「ちがーう!そっちじゃなーい!」と掃除機で吸い取ると、正しい行動をしていた精霊まで回収してしまう。
とは言っても、チマチマと精霊を使役するのが楽しいゲームなので、プレイする気が失せるほどの煩雑さではない。
ほぼほぼゲームプレイは問題ないけれど、主人公からはぐれてしまった「気まぐれ状態」の精霊がオブジェクトに引っかかってしまったまま回収出来なくなることがあるので注意。
難易度バランス
4.0
謎解きは、特にヒントはなくて、あれこれ試行錯誤しながら解いていく。良いくらいの難しさ。単純で簡単というわけではない。
さらに夜は危険になるという緊張感があるので、可愛らしい雰囲気だけど全然ヌルくはない。
体力のアップグレードなども可能だし、ちゃんと強くなりながらゲームを進めていくことが出来る。
ゲームシステム
4.0
ゲーム進行に必要なミッションは同時多発する。どこからどのくらいずつ攻略していくか自由。
あっちにもこっちにも進める、でも、あそこは進めないから後で戻って来よう。
自由度と探索できる範囲が広がっていくテンポが良い。
そして、肝心の謎解きが楽しい。
ウェイクとカービー、数種類いる精霊。選択肢がたくさんある分、謎解きも複数の工程を踏まなければならないものが多くて、しっかり悩めて楽しい。面倒臭ささえ楽しい。
『ピクミン』や『ルイージマンション』を彷彿とさせるシステムだけど、単に似てるわけではない良いゲーム。
そして、大量の精霊が、敵をボコ殴りにしたり、ものすごい勢いで岩壁を叩き壊したり、巨大な岩をヨイショヨイショと運んでいる様子が可愛い。
見ている必要はないんだけど、でも、じっと見守ってしまう。精霊の可愛さが異常。
やりこみ要素
4.0
隠しエリアやNPCから出される討伐クエストや収集要素など、やり込み要素もしっかりあって楽しめる。
グラフィック
4.5
可愛い。敵まで可愛い。
色鉛筆で着色したような淡くてあたたかみのある手描き調のグラフィック。
しっかり描き込まれていて、クオリティが高い。
サウンド
5.0
本気で癒やし。
夜は少し不穏な曲調にはなるけれど、どのエリアもめちゃくちゃ癒しの曲ばかり。切なさも混じった良い音楽。
本作の世界の空気はBGMが決め手と言ってもいいくらい、音楽が抜群に良い。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
悩める謎解き
精霊が可愛い
感情移入しやすいストーリー
癒される雰囲気
残念なところ
敵や資源が密集すると
精霊への指示が煩雑に
投げる精霊の種類の選択が面倒くさい
オススメな人
謎解きが好き
芸術性の高いゲームが好き
可愛いもの好き
『ピクミン』が好き
オススメではない人
チマチマした作業が苦手
操作キャラで直接戦いたい
謎解きが苦手
こちらも『ピクミン』のように小さい生物を大量に引き連れて使役するパズルアドベンチャーゲーム。バトル要素はなく、探索がメイン。マップ構造が面白い。
掃除機で吸い取りまくるのが好きなら、コチラがオススメ。たくさんの謎解き要素も楽しめる。
The Wild at Heart
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