『Wizard with a Gun』レビュー: マイペースに迎える世界の終末
とは、Galvanic Gamesが開発したローグライク要素のあるサバイバルアクションゲーム。
本作は、PS5、Xbox、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
『Wizard with a Gun』はどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
うっかり生き残った魔法使い
空飛ぶ船でどこかに向かう魔法使い御一行。
みんな帽子を被っているせいなのか、顔は見えず目が光っている。
どこに向かっているのか分からないけれど、あまり良くない予感がする。
なぜなら、彼らの行く先の空がピンクだ。
妖精が出てくるようなメルヘンなピンクではなくて、絶対ヤバいタイプのピンクだ。
世界を壊すカオス
ちゅっどーーーん!
予感は的中。
ピンクの閃光が空に走り、船含め全てが大破してしまった。やはりヤバいタイプのピンクだった。
乗っていた魔法使い達は空を飛ぶ呪文は習得していなかったらしく、船ごと墜落してしまった。
いや、奇跡的に1人だけ生き残った。それが主人公だ。
何がどうしてどうなってどうすればいいのか、サッパリ分からない。
しかし、亡霊のような魔法使いが現れ、主人公を導いてくれるようだ。
目的のある無限ループ
この世界はカオスによって壊れたそうだ。もはやどうしようもないらしい。
しかし、カオス側から見れば反則とも言える解決方法があるという。
それはカオスが大暴れする前に時間を巻き戻して、カオスが大暴れする羽目になった原因を止めること。
亡霊魔法使いが「この役目は他の優秀な魔法使いに担ってもらおうと思っていた」とボソッと言っていたのが聞こえたけど、気にしない、気にしない。
古代の歯車があれば、失敗しても何度でもやり直せるっていうんだから、きっと大丈夫さ。
しかし、カオスが大暴れした原因って一体何なんだ?
それに、そもそも亡霊の魔法使いは一体何者?なぜカオスのことや世界を救う唯一の方法まで知ってるんだ?
ゲームの特徴Features
時を巻き戻して戦う
本作は拠点である安全なタワーから、ゲートを通って崩壊する前の世界に旅立つ。
旅立つ度に世界の地形や物の配置はランダムに変わり、ゲートを通った瞬間から世界の終末へのカウントダウンが始まる。
残り時間がゼロになると、カオスであるピンク色のモンスター達が無限で湧くようになり、地面が少しずつ消えていく。まさに世界の終わり。
それでもゲートに戻ることが出来れば、無事にタワーへ帰還できる。
しかし、ゲームオーバーになるとバックパックの荷物を全て失いタワーに強制送還となる。
というわけで、本作はローグライク要素があり、ゲートから旅立って戻ってくるまでが1回のランというわけだ。
歯車を集めろ
崩壊前の世界に行って何をするかというと、大きな目的は古代の歯車を集めることと大ボスを倒すこと。
本作にはいくつかのバイオームがあり、ゲートを通る際にどのバイオームに行くかを選択する。
世界は崩れかかっていて地面は穴だらけで、端もある(世界が空中に浮かんでいるような感じ)。最初は歩ける地続きの範囲が狭い。
各バイオームには、中ボスのような強い雑魚敵がいて、こいつらを倒して歯車を手に入れて拠点に持ち帰るごとに、次回のランから地続きの地面が広がっていく。
こうして歯車を集める続けると、大ボスがいる場所まで辿りつけるようになる。
魔法で手作り
主人公の基本アクションは、装備した銃で撃つ、アイテムを使う、回避、スキャンだ。
様々な銃と弾種があり、地面の穴を埋めたり、作業台などの設備を撃ち出せる特殊な銃もある。
弾は全て手作りで、敵を倒したり木を切ったりして素材を集めてクラフトする。
弾には敵を燃やしたり毒にするなど様々な属性のものがあり、さらにその弾の跳び方(敵を貫通したり効果範囲が広がるなど)もカスタマイズできる。
素材やモンスターを倒して手に入るアルカナを消費すると、新たな弾種をアンロックしていくことが出来る。
また、本作では敵や植物や家具などのスキャンがかなり大事。
スキャンすることで、主人公自身のアップグレードなど新たなクラフトレシピをアンロックすることができる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
物語描写はあまりなく、各地で見つかる日誌を読んで世界の事情を探っていく。
正直なところ、ローグライク+サバイバルというゲーム性なのであまり期待はしていなかったけれど、意外と物語性がちゃんとあって驚いた。
単に「不思議現象でカオスが蠢き始めちゃったぜ」という話かと思ったら、実は魔法使い達には複雑な歴史があって…という、真相が気になる物語が明らかになってくる。
大ボスを倒す度に少しずつ明かされていくので、先に進めたい気持ちが自然と湧いてくる。
以下読んでもらうと分かるけれど、この「ゲームを進行させたい」というやる気は本作で結構重要なので、物語が動機づけになるよう謎めいていて上手く機能している。
キャラクターの魅力
3.5
主人公にセリフはなく、NPCは何人か登場するけれどセリフの種類は少なめ。
NPCは個性派揃いだけど、こちらは常に終末へのカウントダウンに追われているので、初見時以降は素通りしてしまうことが多い。
カウントがゼロになって主人公が大爆走でゲートに帰って行っている最中でも、NPC達はセリフも変わらず微動だにしない。なんて肝っ玉の強さだ。
操作性
4.0
カメラ固定の見下ろし視点で、主人公の操作はツインスティックシューティング。
敵を正確に狙えていると敵の足元に表示されるリングの色が変わるので、分かりやすく狙いやすい。
各作業台設置や装飾など細かく作業したいサンドボックス要素は、主に安全な拠点で行うので操作性が問題になる場面はほぼない。
インベントリの整理が自動で種類ごとに並ばなかったり等やや面倒ではあるけれど、概ね快適。
ただ、怪しい魔法使いという雰囲気作りのためか、地面も背景も色調が暗めで、穴が空いている場所など地形を把握しにくい時があるのが気になった。
また、一定の距離を移動していると読み込みのためか画面がカクつき全てが遅くなる処理落ちのような現象が起こる。
難易度バランス
4.0
ゲーム進行と共に徐々に強い敵が登場する。
強化した弾でないと強い敵にはダメージをまともに与えられないようになっていて、アクションの上手さだけで攻略できるわけではない。
しかし、強力な弾のクラフトには手に入りにくい素材が必要なので、武装で無双状態にもなれない。
アクションとクラフトの両方に精を出さなければならない。
でも、難しいというわけではなく、無理せず拠点に戻りながら進めていれば確実に強くなれる。
本作は2人での協力プレイも可能だけど、敵を味方にできる弾もあるし、ソロプレイでも問題なく攻略できる難易度バランスなのが嬉しい。
ゲームシステム
4.5
全てクラフトしなければならないサバイバルと、弾種も挙動も豊富なツインスティックシューティングが両方楽しめる。
どちらかに偏っておらず、両方の面白さが相乗効果となって、やることもたくさんあり、忙し楽しく高い病みつき度を発揮している。
「勝つか死ぬまで帰れません」なローグライクではなく、戦略的撤退も効果的な自分の好きなペースで進められるのも魅力。
同時に、終末へのカウントダウンの緊張感と物語の真相を知りたい気持ちが、良い刺激となってダレることもない。
各要素をアンロックできる面倒臭さと歯車の数の多さも良い塩梅で、先に進んでいると感じやすくなっているのも良い。
「次は素材集めに集中しよう、その次はボスに挑もう」とやめ時を見失って没頭してプレイしてしまう。
ちなみに、本作は人気シリーズ『Don’t Starve』を彷彿とさせるゲーム性だけど、本作の方がアクション要素が高く、難易度が緩やかに上がっていくのでとっつきやすい。
やりこみ要素
4.0
各要素のアンロックがまずは1番のやり込み要素。
各弾種は強化も出来るし、クラフトの中間素材も多く、かなりたくさんのアンロックする項目がある。
また、敵のスキャンもやり込み要素で、最大HPアップや移動速度アップなど主人公の強化レシピ(帽子や服に付与する)を手に入れられるのでやる気も湧きやすい。
さらに、様々な家具が登場するので、拠点の装飾にハマってしまうと、世界の終末なんてそっちのけになってしまう。
グラフィック
4.0
イラスト調のグラフィック。
キャラが2頭身なので可愛い。
魔法使いだけど銃を使うということで、西部劇のガンマンような黄昏た雰囲気も漂っている。
岩や木など各オブジェクトがしっかり大きくて把握しやすいのも好印象だ。
サウンド
3.0
BGMは暗めで控えめ。西部劇っぽい渋い感じの曲調。
ただ、BGMが途切れることがあり、寂しいし盛り上がりにも欠ける。
終末へのカウントダウンがゼロになると、BGMが派手になるけれど、通常時でも、せめて中ボスとバトルが始まったら戦いが盛り上がる曲に変わって欲しい。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
サバイバルもシューティングも両方しっかり楽しめる
クラフトレシピが豊富
サンドボックス要素も楽しめる
残念なところ
通常時のBGMが寂しい
インベントリの整理がやや面倒
オススメな人
素材を集めてクラフトする作業が好き
ローグライトゲームが好き
シューティングバトルが好き
オススメではない人
バトルをメインに楽しみたい
時間に急かされるのが苦手
分かりやすく派手な物語描写を求めている
おすすめ類似ゲーム本作に似ているゲームはコチラ
Don’t Starve
本作とゲーム性が近い人気サバイバルアドベンチャーゲーム。こちらはサバイバル要素が強めで、正気度のパラメータもある歯ごたえのあるプレイが楽しめる。
Moonlighter ムーンライター 勇者と店主の冒険
確実に強くなっていけるローグライトゲームなら、こちらもおすすめ。ローグライク要素のあるダンジョン探索でアイテムを手に入れ、昼は拠点の店でアイテムを売るシミュレーションが楽しめる人気作。
Wizard with a Gun
マイペースに迎える世界の終末
素材を集めてクラフトするサバイバル要素と、さまざまな属性の弾を使い分けるシューティングがどちらも楽しめるローグライト要素のあるアクションアドベンチャーゲーム。
時間制限など各要素が面白さと緊張感を生み出して互いに上手く機能しており、病みつき度が高いゲーム。
拠点の装飾などサンドボックス要素も楽しめるのも魅力。
Wizard with a Gun
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