『ゴッド オブ ウォー God of War』レビュー: 豪快ハゲマッチョの不器用物語
『ゴッド オブ ウォー God of War』とは、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)のサンタモニカスタジオが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
『ゴッド・オブ・ウォー』は、過去3作とスピンオフ作などで展開されてきた人気アクションシリーズ。
しかし、本作ではナンバリングが外れ、全く新しい舞台で新たなストーリーが展開する。
主人公はシリーズお馴染みのクレイトス。
物語は過去作から直接つながってはおらず、舞台もギリシャではなく北欧神話の世界に変わっている。本作からプレイしても全く問題ない。
とはいっても、過去作を知っているとより楽しめる部分もあるので、シリーズファンも間違いなく楽しめる。
過去作では見下ろし視点だったけれど、本作ではクレイトスの背中越しの三人称視点に変わっている。ゲームシステムも過去作から変わっている。
本作は、PS5、PS4(PS5版へ無料アップデート可能)、PCでプレイ可能。
また、本作の続編も発売されており、本作の直接的な続編になっている。
良いところ
頼もしい強さ
主人公のクレイトスは、超マッチョ。
常に表情は険しく、声も野太く、上半身裸に防具を巻いて歩いている。男の中の漢。
常に寡黙で、下手に声かけると「黙れ」と言い放たれる。正真正銘の強面。
もしクレイトスが敵だったとしたら、絶対ラスボス。
そんな人が主人公なので、操作しているこちらも戦っていて頼もしい。
アクションは、演出もエフェクトも全部豪快で、軽い敵は吹っ飛んじゃうし爽快。大型の怪物と戦っていても引けをとらない。
脳筋プレイ好きにとっては、視覚的にも大満足できるパワフルプレイが楽しめる。
多彩だけど分かりやすい
アクションの基本は、近接攻撃、遠距離攻撃とガードの3種類。
本作からの初登場武器である斧は、振り回して敵を叩き切るだけでなく、恐ろしいことに敵に向かってぶん投げることも可能。でも、ちゃんとブーメランみたいに手元に戻せる。
また、武器だけではなく素手でも戦える。
「武器攻撃の方が強いでしょ」って思うんだけど、素手も意外と強い。
素手で攻撃すると敵がスタンしやすくなるという特典付きで、本当に強いパンチなんだということが分かる。
更に、ガード用のはずの盾でもガンガン攻撃も出来る。脳筋戦闘狂の極み。
ゲームを進めていくと、とある武器も追加される。そちらでも豪快な戦い方が可能。
敵を倒すと経験値を獲得し一定量溜まるとスキルポイントが手に入る。こうして新たなスキルがアンロックされる。
そうして新たなアクションを習得するんだけど、操作は分かりやすい。
強力なフィニッシュ技もあり、発動可能なタイミングになると画面上に表示される。
難しく考えなくても基本的に目の前の敵を殴りまくっていれば、全て流れるようにアクションを繰り出すことができる。
可愛らしい息子と丁寧な物語
本作の主人公はクレイトスだけではない。第二の主人公はクレイトスの息子アトレウス。
メインストーリーは、あまり打ち解けていない父子が、母親の遺言を叶えるため2人で旅に出る物語。
息子アトレウスは、はっきり言ってクレイトスの息子なのか疑わしい(いや、本当に実の親子です)。それくらい可愛い。
二人は仲良し親子ではなく、共通の話題といえば亡くなった母親だけ。
旅をするなかで、互いに理解し合い、少しずつ絆が深くなる。この過程の描き方が、すごく良かった。
アトレウスは可愛らしくもあり、若者特有の反抗心もある。めちゃくちゃ恐いクレイトスに反抗出来るなんて、実の息子しかいないだろう。
クレイトスは、息子のことなると超絶不器用。見ているこちらがヤキモキしてしまうくらい素直になれない。
神々ばかりが登場する壮大な物語なんだけど、すごく人間くさくて感情移入しやすく、人間ドラマが丁寧に描かれている。
ちなみに、アトレウスは感情豊かで、バトル中もずっと喋りまくってくれる。おかげで、絶対はしゃがないオジさんの旅が、時にコミカルに、時にスリリングになる。
闘える息子のおかげ
バトルでは、アトレウスは自動で戦ってくれる。
指示を出すことも出来る。アトレウスの武器である矢を放ったり、精霊を召喚したり。
ひどい話だけど、息子をオトリにして親父が後ろから敵に奇襲をかけたるといった戦法も可能。
クレイトス目線の美しい世界
北欧神話の世界が舞台なので雪が多い世界だ。これが、本当に美しい。しかもヌルヌル動く。
自然や遺跡など趣の異なる様々な世界を訪れ、フォトジェニック風景が続く。
ただ、旅するのはマッチョなオジさん。敵は半分身体崩れたみたいなモンスターばかり。そのへんの生々しさも生き生きとしている。
そして、このゲームのすごいところが、1発撮りのように作られていること。
ずっとクレイトスの肩の高さあたりにカメラがある。カメラ位置が変わったり、別視点になったり、暗転やロード画面もない。カット無し。
ずっとクレイトスの目線で世界を見続ける、もはやドキュメンタリー映画「クレイトスさんの旅」。
そのおかげで没入感が半端なく、自分自身も一緒に長い旅をしている感覚になる。
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残念なところ
後ろから何かが見えない
上述した通り、ゲーム中はずっとクレイトスを後ろから見続けることになる。
頼れる親父なので背中は広い。
となると、その部分が見えない。
クレイトスの大きな背中の前に何があるのか見えない。寡黙なクレイトスは、もちろん何があるのか教えてくれないし。
となると、自分でカメラ動かして、前に何があるのかを見なければならない。結構カメラを動かさなくてはならない。
謎解きも多く、周囲をしっかり観察しなければならないことが多いので、これが、なかなか面倒くさい。
面倒くさいで終われば良いんだけど、ぶんぶんカメラを振り回すので画面酔いしやすくなることも。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
オススメな人
力強いバトルをしたい
豪快演出が好き
謎解き好き
親子愛を感じたい
神話好き
オススメではない人
3D酔いしやすい
女性キャラがたくさん登場する
ゲームを探している
本作から物語が続く直接的な続編。成長した息子アトレウスと相変わらず豪快なクレイトスの冒険はさらに壮大な展開に。
強気な主人公といえば、『ホライゾン』シリーズのアーロイも忘れてはならない。クレイトスと並ぶSIEの看板キャラ。大ボリュームで壮大なオープンワールドゲーム。
God of War ゴッド オブ ウォー
https://www.jp.playstation.com/games/god-of-war/
©Sony Interactive Entertainment LLC. God of War is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC.