ジブリ映画が動かせる!が魅力の『二ノ国』シリーズ。
その第1作目が美しくなってPS4とNintendo Switchに登場。
切なくて涙も出ちゃうけど、それでも勇気を振り絞って悪に立ち向かう、大人でも胸熱くなるファンタジー大作。
実はオリジナル版プレイした時には、途中でやめてしまっていた。
しかし、リマスターされたことで、どんな感じに変わっているんだろう?とワクワク再挑戦。
『二ノ国 白き聖灰の女王 Remastered』とは
スタジオジブリの手描きアニメの美しさを限りなく再現したグラフィック
どこまでも続く広大なフィールド、緑や水が美しい街並み、独特の雰囲気が漂うダンジョンなど、舞台によって様々な表情を持つ美しい二ノ国。
表情豊かで個性的なキャラクター達と出会いながら、壮大な世界を自由に冒険できる。store.playstation.com
オリジナル版は、2010年に『二ノ国 漆黒の魔道士』としてニンテンドーDS向けに発売された。
スタジオジブリが作画担当、「ジブリ音楽といえば」の久石讓さんが音楽担当、企画制作はレベルファイブという超豪華トリプルコラボ作品。
その後、追加ダウンロードコンテンツを全て収録し、ゲームシステムもブラッシュアップ。
『二ノ国 白き聖灰の女王』というタイトルに変更して、PS3向けに発売された。
そして、4K画質にパワーアップして本作『二ノ国 白き聖灰の女王 Remastered』として蘇った。
ちなみに、Nintendo Switch版は、『二ノ国 白き聖灰の女王 for Nintendo Switch』というタイトルになっている。
ストーリー
主人公はオリバーという少年。
天真爛漫というわけではないけど、まっすぐ育った心優しい少年。
しかし、物語の冒頭で、大好きな大好きな優しいお母さんを失ってしまう。
悲しいなんて言葉では片付けられないほどの喪失感で涙が止まらないオリバー。
しかし、そんなオリバーの元に、突然シズクという自称妖精が現れる。
見た目はキュートだが、中身は関西弁のオッサンとしか思えないシズクに、オリバーは「二ノ国の救世主だ」と告げられる。
「二ノ国?救世主?は?」と思うわけだが。
シズクによると、オリバーには、二ノ国で暗躍している「ジャボー」という悪い魔法使いから世界を救う力があるという。

ドラクエシリーズの「主人公が勇者である」並に唐突な異論など認めない強制設定。
だけど、物語を進めていくと、なぜオリバーが救世主なのかが判明する。
更に、シズクによると、オリバーが二ノ国を救うと、なんとお母さんを救うことができるかもしれないという。
まさに夢のような一石二鳥な計画。
お母さんを救えるなら、何だってやるに決まってる!
シズクの導きで、オリバーは「二ノ国」という世界へと足を踏み入れ、旅をしていくことなる。

ストーリーは、まさにスタジオジブリ映画。
子供向けのように見えて、大人の心にもグサァッと刺さる。

ゲームの特徴
似てないけど似てる2つの世界
ゲーム内には、「一ノ国」と「二ノ国」がある。
「一ノ国」は、もともとオリバーが暮らしていた現実世界。
一方、「二ノ国」は、魔法やら妖精やらが普通に存在するファンタジーな世界。
全く違う世界だけど、実は同じ人間や動物の魂が両方の世界に存在している。

「一ノ国」では近所で飼われている猫が、「二ノ国」では猫王国の王様だったりする。
一方の世界で、ある人の悩みを解決してあげると、もう片方の世界の同じ魂を持つ人の問題まで解決するという不思議な現象が起きる。
一ノ国と二ノ国を行き来しながら、二ノ国を救っていく。
魔法使い王道RPG
フィールドを走り回り、各地の街がダンジョンに入ると画面が切り替わる。
オーソドックスなRPG。
オリバーは、冒険の最初に「マジックマスター」と呼ばれる魔導書を手に入れる。
その魔導書には、様々な知識や魔法陣が書かれている。

しかし、魔導書のページの多くは抜け落ちていて、完全版ではない。
メインストーリーを進めていくと徐々に新しいページを手に入れていく。
新しいページを手に入れると新たな魔法が使えるようになる、というわけ。

オリジナル版では、ニンテンドーDSの下画面に魔法陣を描く必要があったけれど、リマスター版では、コマンド入力によって簡単に魔法を使うことが出来る。

魔法は、攻撃魔法や回復魔法などバトルで使用するものもあれば、探索やクエストで問題を解決したり、バトル以外の場面で使うことも多い。

マジックマスターには魔法以外に、モンスター情報や各地方の歴史なども記載されている。
読み物としても面白いし、そこから謎解きの答えを見つけることもある。
分身でありモンスターなイマージェン
バトルでは、オリバー自身が戦ったり魔法で攻撃したりすることが出来る。
しかし、魔法ばかり使っていてはMPがもたないし、魔法が効きにくい敵だっている。
共に旅する仲間の人間キャラもいるけれど、バトルの主役は人間ではない。
バトルでは、イマージェンが大活躍する。
イマージェンとは、心から誕生する戦士であり共に戦ってくれる頼れるヤツら。
といっても、実はそこらへんに敵モンスターとして現れる。
自然界の心から自然発生しているということらしい。
モンスターとして現れるイマージェンは、戦っていると仲間に出来ることがあり、どんどん勧誘して仲間を増やしていく。
主人公たち自身も戦うことができる『ポケモン』みたいなシステム。
忙しいコマンドバトル
バトルはコマンド入力だが、アクション性もあるシステム。
プレイヤーは、3人のキャラの誰か一人、さらにそのキャラが連れている3体のイマージェンのいずれか1体を操作できる。
バトル中いつでも操作キャラは切り替えることが出来る。
操作していないキャラは、設定した「さくせん」に従って、イマージェンを駆使しながら勝手に行動してくれる。
コマンド入力すると、画面左下に時計マークが表示され、針が一周するまでは、選んだコマンドの行動を続ける。
途中でキャンセルすることも可能。
コマンド非選択状態なら、バトルフィールドを好きに動き回ることが出来る。
敵の攻撃を避けたり、敵の後ろにまわったり、HPやMPを回復する「ソウル」を拾ったり出来る。

立ち位置がマズいと逆に複数の敵に囲まれてしまったり。
コマンド選択してボーッと眺めていればいいわけではない。
当然ながら、キャラにもイマージェンにも、それぞれ特技がある。
物理攻撃が得意だったり、攻撃魔法が使えたり、回復魔法が使えたり、さまざま。
様々なタイプのイマージェンから自分なりの最強パーティを組む。
人間キャラの特技が効果絶大なこともあるし、戦況によって操作キャラや指示を切り替えることが大切。
そして、忘れてはいけないのが、イマージェンには時間制限があること。
戦っていると徐々にコネクトタイムゲージが減っていき、ゼロになると強制退場し、ゲージが回復するまでお休みになってしまう。

1体のイマージェンだけを最強無敵にして脳筋プレイしていても、うまくいかなくなる。
やり込み要素
お悩み解決とモンスター討伐
どこの街にも支部があるツバクロ商会というヒーロー御用達施設がある。
そこでは、モンスターの討伐依頼と住民のお悩み解決依頼を受けることが出来る。
報酬がもらえるサブクエストだ。
どちらも報酬がもらえるが、それとは別にヒーロースタンプを押してもらえる。
そのスタンプを集めると冒険に役立つスキルが解放されるという、ヒーローのためのポイントサービスだ。
お悩み解決クエストでは、おつかい的なものが多いが、持ち運ぶのはなんと人の心。
「ヌケガラビト」といって、人間にとって大切な「がまんする心」や「信じる心」などを失っている人がいる。
でも、逆にその心が有り余っている熱い人もいる。
そんな心溢れる人を探し出し、心のおすそ分けをしてもらってヌケガラビトに渡す。
合成
オリバーは、魔法使いといえばお馴染みの合成することも出来る。
「合成がま」に素材を入れて、アイテムや武器、防具などを合成する。
合成レシピは、クエストの報酬やNPCが突然プレゼントしてくれたりする。
素材は、お店で買ったり、バトルで敵が落としたり、フィールド上に点在するキラキラを調べることで手に入る。

お店では売っていない強力な武器や防具が多いので、素材を集めたらサクサク合成した方がいい。
イマージェンを愛でて育てる
イマージェンは、主人公たち人間キャラと同じくレベルアップしていく。
しかも、特定のレベルになれば進化もできるという『ポケモン』なシステムもある。
また、メニュー画面では、イマージェンにおやつを与えることが出来る。
チョコやアイスクリームといった、本当に甘いお菓子ばかりだ。
イマージェンというのは、みんな甘党らしい。
このお菓子は、ただイマージェンの空腹を満たすだけではない。
与えたお菓子の種類によって、通常のレベルアップ以上に、イマージェンの「ちから」や「すばやさ」などのパラメーターを強化することができる。

イマージェン集めや育成が、おそらく最大に時間かかる要素であり、最大にハマってしまうやり込み要素。
ポケモンバトル?
メインストーリーとは直接関係はない施設もある。
腕試しができる「パンドラリーグ」では、バトルを勝ち抜いていく。
優勝すれば報酬がもらえるし、挑戦出来るランクもいくつかある。
評価
良いところ
div class=”iconbox”>- ジブリ映画クオリティの美しいグラフィック
- 切なく心あたたまるストーリー
- 退屈しないコマンドバトル

オリジナル版の『二ノ国』がニンテンドーDSで発売された頃、スタジオジブリの描く世界に胸躍らせて、本(オリジナル版ではマジックマスターが本当に本として同梱されていた)を片手にせっせとタッチペンで魔法陣
を描いてた。
しかし、そのうち本を開くのが面倒になってきて、でも本見ないとゲームが進まないという面倒くさがりジレンマに陥り、途中でやめてしまった。
正直、オリジナル版プレイした時の記憶はだいぶ薄くなってるけど、それでも本作は、別ゲームと思ってしまうくらい全然違う!
まず1番の違いは、グラフィックもBGMもめちゃくちゃ綺麗。
楽しすぎて総プレイ時間100時間は余裕で超えた『二ノ国2 レヴァナントキングダム』(2018年発売)とほぼ同じクオリティ。
ジブリアニメのまま滑らかに色鮮やかに動く「ジブリ映画を動かしてる!」感覚が、いちいち嬉しすぎる。
バトルも独特なシステムになっていて、これまた別ゲー。
コマンドバトルとアクションバトルの中間みたいな感覚。

コマンドバトルは◯ボタン連打で単調になりがちだけど、そうはならない。
ぼやぼやしてるとタコ殴りされる。
そして、ストーリーが心に滲みる。
アニメーションが高クオリティで、音楽も憎いほどにいい仕事してて、お母さんがいなくなってしまう物語冒頭から、もうボッロボロ涙が出てしまってた。
少年が成長して世界を救う王道ストーリーだけど、演出が素晴らしくて、特に中盤のストーリーの盛り上がりあたりは大人でもグッとくる。
残念なところ
- 序盤がゆっくりすぎる

二ノ国に行ってからの序盤のテンポがゆっくりで、正直ダレる。
かなり長めのチュートリアルみたいな感じ。
最初の大陸を旅立つあたりまでが、かなりゆーっくり。
オリジナル版プレイした時は、ここでダレてしまって途中やめしてしまった。
その序盤のゆっくりテンポは残念ながら健在しているが、バトルが面白くなっていて何とか乗り越えられた。
しかし、そこからは、やりこみ要素も解禁されるし、テンポが良くなっていくので、序盤は我慢我慢。
中盤以降のストーリー展開は、先がかなり気になって止まらなくなるはず。
おすすめプレイヤー
- ジブリ映画が好き
- 王道RPGが好き
- オリジナル版『二ノ国』が好きだった
- オリジナル版『二ノ国』は退屈だった

二ノ国 白き聖灰の女王 Remastered
www.ninokuni.jp
©︎2019 Level-5 Inc.