『Cult of the Lamb』レビュー: 可愛い子羊教祖の裏の顔
可愛さとブラックジョーク、そしてシミュレーションとアクションの融合と魅力が混じり合った中毒性の高いローグライク『Cult of the Lamb』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Cult of the Lamb製品情報
タイトル | Cult of the Lamb |
---|---|
開発元 | Massive Monster |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC |
ジャンル | ローグライク, 見下ろし型アクション, シミュレーション |
本稿では、PS5版をレビューしている。
Cult of the Lambの攻略
ストーリー
子羊の運命
ゲームが始まると、鎖で縛られた一匹の子羊が、半べそでズリズリと歩いていく。この子羊が本作の主人公であり、なんと生贄になるところだ。
子羊は怪しげな儀式の魔法陣に跪く。怖そうな4人の司祭に囲まれて、遂にその時は訪れる。
ここで子羊の一生も終わりか。メェ〜…。
ところが、恐る恐る目を開けてみると、子羊は不思議な白い空間に立っていた。
怪しい待ち受けし者
不思議な空間で子羊の目の前に現れたのは、鎖に繋がれた待ち受けし者という誰か。
待ち受けし者は、子羊を生贄にしようとしていた司祭達によって、この不思議な空間に封印されているらしい。何の因果か、子羊は待ち受けし者の下僕に選ばれたらしい。
待ち受けし者は明らかに悪役っぽい口調だけど、元の世界に戻っても生贄になる子羊は後に引けない状態なので従うしかない。
子羊は待ち受けし物から禍々しい王冠の力を授かり、司祭たち抹殺という使命を負うことになる。
ついでに、待ち受けし者はちょっと妙なアドバイスを小羊に囁く。「信徒を力にしろ」と。
信徒?
子羊教祖様が爆誕
待ち受けし者の助けによって冒頭の生贄儀式の現場に復活した子羊。司祭達が牛耳る旧い信仰をぶち飛ばす戦いの火蓋が切って下された。
旧い信仰にとって変わる新たな信仰が必要だ。
子羊は森の中に拠点を構え、自らを教祖とする子羊の教団を開く。迷える純粋な動物達、そして、敵である旧教団の信徒までも自身の信徒にして、教団を大きくしていく。
皆の者、我に従え!供物を捧げよ!その命さえも!
徐々に禍々しく胡散臭くなっていく子羊教団は、一体どうなるのか。そして、あの待ち受けし者の言うことを聞いていていいのだろうか。
攻略のポイント
教祖の超多忙な日常
本作は、ローグライクアクションなダンジョン探索と拠点で教団運営を行う2本柱でゲームが進行する。
ダンジョン探索では、旧教団の司祭を倒すのが大きな目的。道中で出会った迷える動物たちは、子羊教団へ導き信徒を増やすことができる。
教団運営では、拠点で教団がより効果的に機能するよう信徒達に指示出ししたり、信徒へ説教を行うことができる。
ゲーム内では常に時間が流れており、主人公がダンジョン探索に勤しんでいる間でも、拠点では信徒が自動で生活しており、指示された作業を進めたり、寝たり食事をするなど生活をおくっている。
子羊のダンジョン探索
ダンジョン探索では、マップ構造や敵配置などが毎回ランダム生成されるローグライクアクションをプレイする。
拠点から各司祭が支配するダンジョンに向かい、ダンジョン内はいくつかの部屋に分かれている。部屋に出現する全敵を倒すと次の部屋に移動できる。
子羊は、武器で近接攻撃と魔法で遠距離や範囲攻撃ができる。武器も魔法も道中で取捨選択しながら進むことになる。道中にいるタロットカード屋さんでカードを引くと攻撃力アップなどアップグレードを獲得することもできる。
いくつかの部屋を進むと出口があり、そこから次に向かうエリアを選ぶことができる。エリアによってショップなど出現する部屋が変わる。こうしていくつかのエリアを越えるとボス部屋に到達できる。
ボスを倒すと拠点に帰る。ボス戦を何回か攻略すると、そのダンジョンの大ボスである司祭に挑むことができる。大ボスを攻略すると、そのダンジョンのさらに奥に進むことができる(難易度が上がる)。
もし道中でゲームオーバーになってしまったら、ダンジョンで手に入れたアップグレードや武器といくつかのアイテムを失って拠点に戻されてしまう。
子羊教団の運営
教団運営では、信徒達の生活を管理することになる。本作では、信徒からの信仰度が1番大切だ。
全信徒に寝床や食べ物などが行き渡っていないと、信徒は病気や飢餓状態になり信仰度が下がる。信仰度が下がると信徒が脱走し、教団を運営する働き手が減ってしまう。
拠点に畑やトイレなど設備を設置しておくと、信徒達は自動で設備を使いながら生活する。食料を栽培したり、木や岩などから素材を集め、夜になれば眠る。誰に何をしてもらうかを細かく指示出しすることもできる。
装飾品を設置すると、生産スピードなど効果を高めることもできる。
そして、拠点で暮らす信徒達はでかでかと置かれた教祖様(子羊)の像に向かって必死に祈りを捧げてくれる。子羊の像に祈りの力が一定量溜まると新たな設備がアンロック出来るようになる。
ちなみに、教団運営部分はローグライクというわけではなく、ダンジョンでゲームオーバーになろうとも拠点の状況がふりだしに戻るわけではない。
教祖様としての活動
拠点の教会では、信徒に1日1回説教を行うことができる。
説教によって信徒からの祈りの力が一定量集まると、体力上限アップや新たな武器などダンジョン探索のための永続要素をアンロックすることが出来る。
説教だけでなく、信仰度を一気に上げられる新たな儀式を行うこともできて、さらに信徒が効率良く作業を行えるようになるといった効果を発現することも出来る。
各信徒の信仰度が高いほど祈りの力が多く集まるので、信徒が幸せになる教団運営を心がけることが主人公強化や教団発展に直結する。
教団の暗黒面
ここまで読んでいると、ひたむきに頑張る教祖様と信徒たちに見えるかもしれない。
しかし、この教団には恐ろしい面がある。
まず、信徒。信仰度が下がってくると、信徒のなかに離反者が現れ「教祖は嘘つきだ!」と拠点内でネガティブキャンペーンを始める。それに感化された信徒たちも共に働かなくなり、果てには逃亡してしまう。教団の労働力が!
そんな輩(離反者)は、捕まえて再教育するか葬るしかない。
次に、教祖。信徒の誰かを選んで生贄にして他の信徒の信仰度を高めるといった恐ろしい儀式が出来る。
更には、信徒を宣教師にして死ぬかもしれない遠征に出して素材を集めて来てもらったり、信徒の身に悪魔を降臨させてダンジョン探索に同行してもらうことも出来る。
信徒も教祖もなかなかに過激な教団だ。
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Cult of the Lambの評価
物語の面白さ
世界や物語の設定だけで面白すぎ。
「迷える子羊たちよ」と言われるくらい庇護されるはずの弱々しい子羊が、禍々しい教団の教祖になる。
しかも、その禍々しさは半端なく、可愛いグラフィックでなければドン引きされそうな内容ばかり。
このギャップが面白すぎ。儀式や信徒達の暮らしぶりなどゲームプレイ上の各要素が面白いエピソードになっている。
ローグライクゲームといえば物語はオマケ程度になっていることも多く、本作でも物語描写は軽めではあるもののメインストーリーがちゃんとゲーム進行の軸になっている。
キャラクターの魅力
上述もしたけれど、本作はギャップが最高。
登場するのは、クリクリの目をした、きゅるーんとした笑顔の動物ばかりだ。主人公も信徒もめちゃくちゃ可愛いのに、豹変ぶりが予想の100段くらい上をいってる。
純真無垢だったはずの主人公は、怪しい儀式ばかり開催する。従順だったはずの信徒は、血走った目でメガホンを構え主人公の悪口を叫んで回る。
料理を食べた瞬間にウンチをして何故か照れている信徒もいれば、お腹を抱えて爆走し草むらでゲロを吐き散らかす信徒もいる。
可愛くて最悪なのが最高。
操作の快適さ
バトルでのアクションは、武器攻撃と呪い(魔法)、そして回避。これだけなので、かなり分かりやすい。武器によって挙動もしっかり変わる。
操作性はかなり良くて、サクサクバトルが楽しめる。
拠点でも挙動はサクサクだけど、信徒が増えて拠点が大混雑してくると狙った信徒に話しかけるのが難しくなる。特定の信徒に何をお願いしたり、話しかけることで信仰度を高めるなど、正確に話しかける必要があるのでちょっと困る。
難易度バランス
ゲーム開始時に4段階から難易度が選べる。
私はデフォルトのノーマルでプレイした。ダンジョン探索やボス攻略は難しくない。エンディングを目指しやすいローグライクだ。
それよりも、本作では教団運営の方が大変。
ボスと戦っていると、画面左端に「ベッドが壊れました」「信徒の誰かが病気になりました」「誰かが教団に関するホラを吹いています」などと表示される。
「お前らーっ!何してんだーっ!」と叫びつつ急いでボスを倒して帰還し、拠点のウンチやゲロを片づけ、みんなのために料理を準備し、教会で説教を行う。
アクションよりは、もはやリアルタイムストラテジーのような忙しさの教団運営の方で歯ごたえを感じる。信徒達はすぐに何かやらかすし、結構早めに寿命を迎えるので新たな信徒を加入させ続けなければならない。
ゲームシステムの面白さ
本作では、ローグライクアクションと運営シミュレーションの2つのジャンルが上手く融合していて、絶妙なバランスの中毒性を発揮している。
挙動が気持ち良いダンジョン探索はサクサク攻略できるのが楽しい。しかし、その気持ち良さを味わいつつも、拠点では時間が流れているのが新鮮で面白いところ。
拠点のモブキャラを心配しながら戦うローグライクって、これまでにない経験だ。
さらに、説教や生贄といったカルト教団要素がゲームプレイに上手く組み込まれており、本作ならではの面白い要素が満載。信徒の寿命や教団の規模と教祖自身どちらにも成長要素があるなど、ゲームの進行を感じる要素も多いので先に進んでいると感じやすく、中毒性が高い。
ちなみに、ダンジョン探索でゲームオーバーになると、信徒達にガッカリされて信仰度が下がる。また、夜中に説教を行うと信徒達は「寝ていたのに起こされた!」と信仰度が下がるし、誰かと会話中の信徒に話しかけると「邪魔された!」とムッとされる。作り込みが細かい!
やりこみ要素の楽しさ
この世界には、ダンジョンと拠点以外にも訪れることができるスポットがいくつかある。
メンター的なネズミ親父の小屋ではミニゲームができるし、灯台では魚釣りも出来る。そうした各地にいるNPCから依頼されるサブクエストも用意されている。
また、拠点や教祖のアップグレードだけでなく、拠点に設置できる装飾品のレシピや、ダンジョン探索中に登場するタロットカードの種類など、アンロックできる要素がたっぷり用意されている。
装飾品を設置し始めるとサンドボックスゲームとしての楽しさも味わえる。まあ、禍々しい装飾ばかりだけど。
グラフィックの芸術性
可愛いけれど、禍々しい時はしっかり凶悪。でも、ポップでとっつきやすい。そんなイラスト調のグラフィックが本作の魅力を更に高めてくれている。
もし、本作がフォトリアルなグラフィックだったら雰囲気は激変し、可愛さと禍々しさのギャップという本作最大の魅力もなくなってしまっただろう。
主人公も信徒達も表情が活き活きとしている。武器を振るう時には気合い100%な顔になり、祈りの力を集めるときには白目を剥くし、司祭達に失礼なことを言われるとムッとした表情になるなど、子羊の表情は特にいちいち笑える。可愛すぎ。
サウンドの魅力
BGMは抑えめ。そりゃ怪しすぎるカルト教団が舞台なので楽しくにぎやかというわけにはいかない。でも、不気味な曲というわけではなく、ヘンテコ奇妙みたいな曲調だ。
一方で、バトル中の効果音は派手で爽快で、アクションの気持ち良さが増す。
個人的に気に入ったのが、子羊が歩くたびにシャンシャンと首につけた鈴が鳴るところ。細かいところだけど、その細かな作り込みが嬉しいし、子羊の可愛さが増している。
サントラはこちら
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Cult of the Lambレビューのまとめ
おすすめな人
- 忙しいゲームが好き
- 運営シミュレーションが好き
- 不謹慎なネタが好き
- よくあるローグライクゲームに飽きた
おすすめではない人
- 時間が常に流れるゲームが苦手
- バトルだけ楽しみたい
- 生贄や仲間を葬ることに強く罪悪感を感じてしまう
総合評価良いところ&残念なところ
- 独創的な世界設定
- ローグライクアクションもシミュレーションも楽しめる
- やり込み要素が豊富
- 忙しさが楽しくて飽きない
- 拠点が混雑すると特定のキャラに話しかけにくくなる
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Moonlighter ムーンライター 店主と勇者の冒険
こちらもローグライクアクションとシミュレーション要素が楽しめる高評価作。
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装備品によって着実に強くなるので、エンディングを目指しやすい難易度も魅力。
Dave the Diver デイヴ ザ ダイバー
二足のわらじ生活ならこちらもおすすめ。
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Cult of the Lamb
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