レビュー【The Wandering Village】風の谷のオンブ | 巨大生物の背中で村づくりシミュレーションゲーム

毒だらけの世界をのっそり歩く巨大な謎生物オンブの背中に乗って村まで作ってしまうローグライクシミュレーションゲーム『The Wandering Village』のレビューと攻略情報をネタバレなしで掲載。
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- ストーリー
- 地表が毒に覆われた世界を、巨大生物オンブと共に生きる人類の物語
- 攻略
- オンブの背中で村づくりし、オンブとの信頼関係を築きながら遠くまで旅していくローグライクシミュレーションゲーム
- 評価
- 人も資源も土地も限られているなか、先の環境を見越して計画的にやりくりするストラテジー要素に夢中になる、世界設定も魅力的

- ストラテジー要素のある村づくりに夢中になる
- 世界設定が魅力的
- ヒリヒリした難易度を味わえる(デフォルト設定)
- 視覚的、聴覚的に変化が分かりにくい時がある
- 視点の回転が出来ない
The Wandering Villageの攻略情報
The Wandering Villageの概要
タイトル | The Wandering Village |
---|---|
開発元 | Stray Fawn Studio |
販売元 | Stray Fawn Publishing, WhisperGames |
発売日 | 早期アクセス開始: 2022年9月15日 正式リリース: 2025年7月17日 |
対応機種 | Xbox, PC 正式リリース時に発売: PS5/4, Switch |
ジャンル | シミュレーション, ストラテジー, ローグライク |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | Xbox |
ストーリー
危険な胞子

本作の舞台は、毒を撒き散らす胞子が蔓延してしまった世界。
大地は既に人間が住める環境ではなく、『風の谷のナウシカ』の腐海のような状況だ(開発元もナウシカがインスピレーションの1つと明言している)。
しかし、ガスマスクを付けて絶望しながら彷徨っていた人々は巨大な謎生物オンブと出会う。
この恐竜のような巨大な亀のような謎生物が、人類の救世主となる。
オンブにおんぶしてもらう

オンブは身体が巨大なおかげで毒が蔓延する地表から頭部が離れるため、毒だらけな世界でも生き延びられているようだ。
ということは?
よし、おんぶしてもらっちゃおう!
というわけで、人々は勝手にオンブの巨大な背中に乗り込み、上空の新鮮な空気を吸い、さらにはオンブの背中に村まで作り始めてしまう。
たくましいというか図々しい人間を乗せて、オンブは一体どこへ向かっていくのだろうか。
攻略のポイント
オンブの背中で村づくり

本作は、オンブの背中という限られた土地で村づくりするシミュレーションゲームであり、人類が全滅すると新たなランが始まるローグライクゲームでもある。
まずはオンブの背中にある岩や木を採集して、人間のための住居や畑や井戸など建物を作る。
生産設備を建てたら、管理も行う。
例えば調理場を作ったら、そこで何人の住人に作業をさせるか、そして料理するメニューも指定する。
こうして様々な施設を作り、人間の生活を拡充していく。
しかし、オンブの背中だけでゲームが終わるわけではない。
遠征隊の拠点を建てると、遠征隊を派遣して資源を集めたりリサーチポイントを獲得することが出来る。
リサーチポイントは、研究設備で新たな建築物やそのアップグレードをアンロックするために必要になる。
オンブの背中で得られる資源には限りもあるため遠征は重要な要素となるけれど、遠征隊にはもちろん危険がつきものであり、突発的なイベントが起こることもある。
例えば遠征隊が他の生存者に遭遇した際などにどう対応するかなど、プレイヤーが選択することになる。
オンブと共に生きる

本作ではゲーム内時間が常に流れており、住人は指定された仕事を行いつつ食事をとったり自動で生活する。
一方で、オンブは背中の村のことなんて気にせず歩いたり寝たりする。
そのため、オンブの移動に伴って村の気候はどんどん変動する。
寒いエリアもあれば水不足になる砂漠もあるし、オンブが水場を泳ぐこともあるので、生産設備などをうまく調整しながら生き延びなければならない。
しかし、人間とオンブはお互いに無関心のまま暮らすわけではない。
オンブと信頼関係を築くことができる。
オンブには空腹や眠気といったパラメータがあり、体調に気を配って餌や薬を作って与えることができる。
そうして信頼関係が築けると、角笛を使ってオンブに「眠れ」や毒性が強いエリアでは「走れ」や分かれ道で進む方向の指示出しが出できるようになる。
一方で、人間が建てる建物の中にはオンブの身体を傷つけるものがあり、やりたい放題しているとオンブからの信頼を失ってしまう。
不機嫌になったオンブは毒の中でも移動しなくなったりするので、信頼関係の維持が攻略の鍵を握っている。
背中の民とオンブの運命は一蓮托生だ。
胞子と戦う

オンブの背中に住み着いたからといって、人間は毒の脅威から逃げ切れたわけではない。
毒が空からも降り注ぐ猛毒エリアにオンブが突入することもあるし、毒が地表に漂っているエリアでオンブが疲れて座り込み地表の毒が村にも漂ってくることがある。
オンブの背中に毒胞子が到達すると各所に有毒植物が生えて村に毒が蔓延し始め、作物は育たなくなり、住人は中毒状態に陥っていく。
除染部隊を編成して素早く毒性植物を取り除いたり、体調不良になった住人を治療するといった毒との戦いも展開する。
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The Wandering Villageのレビュー
物語: 共存の道を歩む設定が面白い

上述もしたけれど、世界設定は『風の谷のナウシカ』を彷彿とさせる。
チュートリアルに現れる村長は、絶対『風の谷のナウシカ』にエキストラ出演していたと思う。
でも、そこから「腐海の原因をどうにかしようぜ!」という話ではなく、毒とオンブとひたすら共存していくという設定が面白い。
本作にスーパーヒロインのナウシカはいない。王蟲ではなくオンブと一般住民たちの方が主役だ。
住民にセリフはないけれど、カメラをズームして生活を眺めていると面白い。
調理場に配属された住民はコックな見た目に着替えてやる気満々だし、仕事を突然やめてそそくさと農場へ向かい食べ物をガツガツ食べている人もいる。
そして、オンブ。本作のマスコットキャラクターだ。
表情はなく、言語で意思疎通ができるわけでもない。
それでも、オンブがノソォッノソォッと歩く姿は可愛く、餌を給餌器で打ち飛ばしたらパクッと食いついたり、心地良さそうな場所を見つけたら眠り込んだり、かなり愛着が湧いてくる。
村の管理に勤しみつつも、オンブの様子を視界の端で見守るのが癒しだ。
物語要素はほぼないけれど世界設定が魅力的で、あれこれ楽しく妄想しながらプレイできる。

操作性: 分かりやすく、便利機能も完備

ゲームパッドでも、プレイしやすい。
UIは分かりやすく、逐次ヘルプも見れるので、操作やゲームプレイにすぐに馴染むことができる。
一時停止や早送りなどゲームスピードの調整も出来る。
視点は、オンブの行き先や遠征スポットを指示したり確認できるワールドマップ、オンブの背中遠景、ややズーム、住人の様子をじっくり見れる超ズームと切り替えられる。
基本的には見やすいけれど、本作で命とりとなる背中に生えた毒性生物などをやや見分けにくい時がある。
もっと毒々しい色になっているなど視覚的に分かりやすいと、もっとプレイしやすくなると思う。
難易度: やりくりが難しさであり面白さ

本作では、住民の数は自然には増えない。
遠征や道中で彷徨っている集団と出会うことで数人くらいずつしか増えていかない。
オンブの背中しか使えないので土地の広さは限られているし、資源も枯渇してくる。
また、気候も変わりやすく、水不足になったり、育てられる作物もコロコロ変わる。
毒との戦いだけでなく人手不足も資源不足も土地不足も起こり、難易度の面では街づくりシムというより効率的にやりくりするストラテジー要素の方が強い。
これが本作の面白さとなっている。
ちなみに、本作では難易度は3段階から選択できる。
ローグライクゲームでもあるため歯ごたえはしっかりあり、初心者難易度でもぼんやりしていると人類滅亡するヒリヒリさを味わえる。
しかし、住民もオンブが死なないという設定も用意されており、シミュレーションやストラテジーに馴染みがない人にも安心だ。
システム: ストラテジーな村づくり

村づくり自体は、はあまり複雑ではない。
それよりも上述した各要素でやりくりの美味さが求められるストラテジー要素が組み込まれたシステムが本作の面白さだ。
住民も資源も村を作れる空間も限られているなか、気候変動と毒の恐怖に常に晒される。
しかし、ワールドマップである程度先の地形を確認でき、信頼関係が築けていればオンブに行き先指示もできるので、計画的に準備や村づくりができるのが面白いところ。
この戦略性の高さに夢中になる。
ちなみに、筆者は猛毒エリアに入った時にオンブに「走れ」と指示を繰り返していたら、オンブの機嫌を損ねてしまい、なんとオンブが猛毒エリアのど真ん中でふて寝するという事態に陥ってしまった。
村人が1人また1人と毒に倒れ、そして村が壊滅という恐ろしい末路を辿った。
味方であり脅威ともなり得るオンブという本作ならではの要素がうまく面白く機能しており、住民の幸福度などの要素も絡み合って全方位に気が抜けないゲームプレイに熱中しないわけがない。
うまく作り上げられたシステムだ。

選択によっては資源を失うことも
芸術性: 過酷なゆるく美しい世界

オンブは立体的ではあるけれど、住民や建築物は2Dイラストで描かれる。
落書きのようなイラストが魅力的で、本作のとっつきやすさにもなっている。
そして、毒が蔓延しているとは思えないほど、ピンク色や緑色など色づかいが綺麗だ。
オンブ含め周囲の景色が美しく、猛毒エリアは幻想的でもある。
ナウシカと同じく「腐海は美しい」と思い始めてしまうけれど、本作ではナウシカのような奇跡は起こらないので見惚れている場合ではないのが残念。
また、BGMはエリアによって変わる。
大体は穏やかな曲調で、オンブのゆったりした歩みと共に癒される。
しかし、毒の濃度が高くなって来ると不穏なBGMが流れ始めるので、「お、毒来たな!」と分かる。
効果音やSEは控えめで穏やかな雰囲気が魅力ではあるけれど、何か起こった時のお知らせに気づきにくくなる時がある。

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The Wandering Villageの総合評価
The Wandering Village

総合評価
限られた土地や資源をやりくりしながら巨大生物オンブに村づくりして旅するストラテジー要素が面白いローグライクシミュレーションゲーム。オンブとの信頼関係や遠征、気候変動や毒など各要素に気が抜けないゲームプレイに夢中になる。
おすすめな人 | マネジメントが好き 先を見越して計画を立てるのが好き 緊張感のあるゲームプレイが好き |
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おすすめではない人 | 装飾や建築にこだわりたい 街づくりをメインに楽しみたい 自分のペースでプレイしたい |
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- 有毒な水や植物なども利用して街を作っていくシミュレーションゲーム
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