『Shadow Gambit カリブの呪い』レビュー: 死んでも強気で元気 – The Cursed Crew
『Shadow Gambit The Cursed Crew カリブの呪い』とは、Mimimi Gamesが開発したストラテジーゲーム。
Mimimi Gamesは、『Desperados III』『Shadow Tactics』など、高評価ストラテジーゲームを多く手がけてきたデベロッパーだ。
本作は、PS5、Xbox、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
道化師を訪ねて
ゲームが始まると、アフィアという海賊が港町にいる道化師を訪ねている。
「レッド・マーリー号に乗り込むには、どうすればいい?」とアフィアは道化師から情報を聞き出そうとしているようだ。
レッド・マーリー号って何だ?
いや、いやいや、待て待て待て。
アフィアは右腕の骨が丸出しで、剣が胸に突き刺さったまま。それでいて、笑みを浮かべている。
道化師に至っては、もはや全身骸骨なんだが。
なんていうか、その、死なないんでしょうか?
レッド・マーリー号
「俺を楽しませてくれるなら、お安い御用だ。お代は結構。」と答えた道化師は、突然アフィアを異端審問官だらけの島に瞬間移動させた。
そこには、アフィアのお目当てである海賊船レッド・マーリー号が停泊している。
が、イグナシオという審問官が部下を引き連れて海賊船レッド・マーリー号を尋問しているようだ。
船を尋問?
そう、レッド・マーリー号は生きている。意思があるらしい。
イグナシオが去った後に、アフィアは船に残った審問官たちを排除し、レッド・マーリー号と交渉を始める。
レッド・マーリー号は船長だったモルデカイの意思を引き継ぎたい。アフィアは、モルデカイの秘宝を手に入れたい。
というわけで、アフィアはレッド・マーリー号と協力することになった。
モルデカイ船長の秘宝
まずは、モルデカイ船長が残した「5人の船員を集めろ」というメッセージを手がかりに、アフィアはレッド・マーリー号のかつての船員を集めていく。
船員たちは一癖も二癖もあるどころか、もれなく死んでいて呪われている。
でも、大丈夫。レッド・マーリー号の力を借りれば蘇らせることが出来る。
まあ、見てくれは死体そのままだけど。細かいことは気にしない、気にしない。本人たちも別に気にしていないみたいだし。
アフィアには秘宝が欲しい以外にも何か事情があるようだけど、愉快な海賊たちと共に、呪いを武器にしてモルデカイ船長の宝を追って奇妙な海域を旅していく。
ゲームの特徴Features
アフィアは航海士
本作は、物語の進行に伴って発生するクエストを選択してプレイしていく。
出撃するキャラを選択したら、舞台となるステージ上のどこから上陸するかを決める。
クエストがスタートしたら、次々と掲げられる目標を攻略していく。
目標を全て達成したら、最後は亀裂と呼ばれる脱出地点にパーティ全員が到達してはじめてクエストクリアとなる。
ステルスと呪いの力
本作は、ステルスが重要なリアルタイムストラテジーゲーム。
敵は絶えず動き回っている。巡回していたり、周囲を見渡している。
操作する仲間の海賊を選択して(他の海賊はその場で待機したままとなる)、身を屈めつつ敵から隠れて進み、良いタイミングを見計らって敵を無力化していく。
遠距離攻撃や瞬間移動、敵を陽動したりなど各海賊は固有のスキルを使用できる。クールタイムを経れば基本的に各スキルは何度でも使用可能。
また、海賊の1人をリーダーにして、パーティ全員を一斉に動かすことも出来る(全員がリーダーの後をついて来る)。
一方で、敵は海賊たちを視覚的に見つけた時だけではなく、海賊たちが立てた音を聞いたり、海賊が倒した死体を見つけると、警戒状態になり一定時間怪しい場所周辺の捜索を行う。
海賊たちの事情
上述した通り、海賊たちはそれぞれ固有のスキルを持っている。
クエストをクリアすると活力が溜まり、消費すると各海賊のスキルをアップグレードすることができる。
また、海賊たちは、それぞれの事情も抱えている。
クエストの合間には、拠点であるレッド・マーリー号で各キャラにちなんだキャラクタークエストをプレイすることが出来る。
彼らそれぞれの事情や性格を知ることが出来るので、物語をより良く楽しむことができる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
隅から隅まで、レッド・マーリー号の掃除をする雑魚ガイコツ船員の骨の髄まで海賊。
無鉄砲で威勢のいい海賊たちが、呪いや魔法など不思議現象に立ち向かう。
「カリブの海賊」という単語からイメージする通りの冒険活劇がテンポ良く楽しめる。
映画『パイレーツオブカリビアン』などが好きな人なら、まず間違いなく惹き込まれる世界設定や雰囲気だ。
本作では正義感溢れるヒーロー海賊ではなく、敵として登場しそうな凶悪な呪いの力を持った海賊たちが主人公なのでアウトローな海賊っぷりが満喫できる。
演出は派手ではないけれど、呪われた海賊がもはや普通に見えるほどの不思議生物や、怪しい儀式など、興味津々エピソードが連続する。
1つのクエスト内でも事態が二転三転することもあり、どんどん先に進めたくなる。
キャラクターの魅力
4.0
操作キャラとなる呪われた海賊たちは、全員最高に魅力的。
境遇もスキルもそれぞれ全く異なり、彼らの情報を読むだけでもワクワクしてくる。
身体の半分が崩れていたりするので見た目は不気味だけど、各キャラクタークエストは笑えるものも多くて、キャラ同士の会話も楽しい。
「みんなで力合わせて頑張ろう!」じゃなくて、「へーえ、危険で面白そうじゃん」という海賊の肝の据わった潔い軽快さで物語が体験できる。
一方で、NPCたちは不思議生物が多く、見た目からも強烈な個性を放っている。
操作性
4.0
私はゲームパッドを使用してプレイ。
操作キャラやスキル選択が各ボタンに割り振られていて、パッパッパッと操作しやすい。
各ボタンを長押しすればゲーム内時間を止めてゆっくり選択も出来るので、忙しいリアルタイムストラテジーでも安心だ。
選択中のスキルの射程内に敵が入れば、サッとスキル使用可能と表示されるのも分かりやすくて親切。
また、時間を完全に止めて複数のキャラの移動+スキル使用を選択しておき、一斉に指示した通りに行動させることも出来る。
これが上手く機能して一気に複数の敵を殲滅出来た時は、かなり爽快。
複数の敵の視界を同時に表示できないのはやや面倒だけど、任意の地点などを今どの敵が見ているか確認し続けられるマーキングは便利。
ただ、ターゲットとなっているキャラが視覚的にやや分かりにくいのが少し気になるところ。
ちゃんとハイライトはされるけれど、遠めからの視点や暗い場面でのプレイが多いので、操作キャラやスキルを発動する対象が誰になっているか、もう少し目立つエフェクトになっていると良かった。
難易度バランス
4.5
難易度は4段階から選択できる。クエストごとに難易度変更も出来る。
私はデフォルトである下から2番目にあたる難易度「海賊」でプレイ。
詰まることはなく、でも戦略を練る面白さもヒヤヒヤ感も楽しめる。しっかり悩める良い難易度バランスだ。
また、本作では任意の時点でセーブとリロードが可能。
「や、やっちまったー!」となってもやり直し可能だし、「うわー、愚策だった!」となっても巻き戻して作戦を練り直せる。
ゲーム内でも定期的に「そろそろセーブしたら?」とアナウンスが入るくらいなので、この時間巻き戻し機能を使って様々な戦略を試すと、本作をより一層楽しめる。
ゲームシステム
4.5
敵はしっかり嫌な場所に配置されていて、陽動が効かない敵や警報を鳴らしまくる騒がしい奴、遠くから海賊の息の根を止めてくる恐ろしい奴もいる。
また、パーティー編成を変えると攻め方をがっつり変えなければならないほど、各キャラのスキルは全く異なる。
味方や敵を大砲に詰めて撃ち飛ばしたり、敵の身体を乗っ取ったり、スキルはどれも面白くて強くて弱みもしっかりある。
全キャラ活躍できて、最適解は1つではない。進む道のりも考慮すると作戦は無数に考えられる。
戦略性高く、更にその戦術の幅も広くてストラテジーの面白さもステルスのハラハラ感もお腹いっぱい味わえる。
それでいて、物語がとっつきやすく巻き戻し機能や難易度選択も利用できるので、ストラテジーに馴染みのない人も楽しめる良質ゲームだ。
やりこみ要素
4.0
各キャラクタークエストを追っていくのが1番分かりやすく挑戦もしやすいやり込み要素。
海賊たちのことがよく分かるので、全員のクエストを辿るのがおすすめ。
また、同じクエストにパーティ編成を変えて挑んだり、難易度を変えたり、別の経路を試すなど周回プレイもおすすめ。
本当に何通りでも攻略法があると思えるくらい、様々な戦術を試すことが出来る。
ちなみにクエストクリア時には、どう動いたかのリプレイが表示され、達成した実績をバッジとして手に入れることが出来る。
さらに、追加DLCが2本発売されており、新たな物語とステージが楽しめる。
グラフィック
4.0
ほどんど遠めからの見下ろし時点でプレイすることが多いし、高精細3DCGというわけでもないけれど、ステージ上はしっかり描き込まれている。
呪われた海賊たちがうろついているけれど、綺麗な海岸など自然豊かな島の美しい景色が広がっている。
また、会話時にはキャラの立ち絵が表示される。
死因も明らかなほどの死体状態だけど元気いっぱいな海賊たちのデザインは、彼らの性格とも相まって魅力的。
サウンド
4.0
完全に海賊。
ヨーホーヨーホー…とはゲーム内では歌われてないけれど、プレイしながら代わりに自分で口ずさみたくなるほど海賊な雰囲気ムンムンのBGMだ。
同じクエスト内でも状況が変わるとBGMが変わる。
全体的ににぎやかな海賊音楽が多いので、楽しくプレイできる。
また、クエスト中でもキャラはよく喋るし、敵も立ち話をしていたりする。
誰かと話している最中の敵はステルスに利用しやすいので、話し声が聞こえる場所を把握しておくと攻略にも役立つ。
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総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
戦略性の高さと幅広い戦術が試せる
ステルスがしっかり楽しめる
スキルがどれも個性的
魅力的な世界設定
残念なところ
やや見づらい部分あり
物語演出が控えめ
オススメな人
ステルスが好き
戦略を考えるのが大好き
海賊に憧れている
オススメではない人
ガンガン攻めて戦いたい
攻略法が複数あると困ってしまう
ターンベースで攻略したい
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Shadow Gambit The Cursed Crew カリブの呪い
死んでも強気で元気
スキルや特性が全く異なる海賊たちを操作してステルスと戦略性高い攻略がたっぷり楽しめるリアルタイムストラテジーゲーム。 個性的なスキルばかりで、敵配置や地形も面白く、無数の作戦が試せるクオリティの高いステージ構成となっている。 海賊や呪い、秘宝を追う物語など世界設定も魅力的。
Shadow Gambit The Cursed Crew カリブの呪い
Developer: Mimimi Games
Publisher: Mimimi Games
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