『ドラゴンズドグマ2』レビュー: 覚者とポーンの珍道中
頼もしいポーンとファンタジー度満点の自由気ままな旅が出来るオープンワールドアクションRPGをネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
ドラゴンズドグマ2製品情報
タイトル | ドラゴンズドグマ2 Dragon’s Dogma 2 |
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開発元 | CAPCOM |
対応機種 | PS5, Xbox, PC |
ジャンル | アクションRPG, オープンワールド |
シリーズ | ドラゴンズドグマ Dragon’s Dogma |
本稿では、PS5版をプレイしている。
ドラゴンズドグマ2の攻略
ストーリー
奴隷から始まるファンタジー
主人公は、とある発掘現場で強制労働させられていた。
そこで働く奴隷はみんなポーンだ。ポーンとは、異世界を行き来できる不思議な生命体で、覚者という選ばれし者に仕える使命を負っているものの、見た目は普通の人だ。
しかし、実は主人公はポーンではない。人間だ(キャラクリで人間か獣人が選べる、私は人間でプレイ)。
ところが、主人公は記憶喪失に陥っており、本人も知らない経緯で何故かポーンに紛れて奴隷として働いている。そんな「え、なんで?不遇にも程があるだろ」という状況から物語は始まる。
覚者様の覚醒
本作は奴隷生活RPGではない。ちゃんと大冒険が始まる。
ある日、発掘現場にどこからともなくメドゥーサが現れて大暴れし、あたり一帯が大混乱に陥った。
その最中に、半透明の怪しい人物から「覚者として世界を見て回れ」と告げられた主人公は、メドゥーサ御乱心の発掘現場から脱走した。
更に、主人公は辿り着いた集落にいるポーン達にも「覚者様」と呼ばれまくる。これはどうやら、主人公は本当に覚者らしい。
覚者とは、世界を壊すほどの力を持つドラゴンに心臓を取られた者だ。心臓はドラゴンが持ち去ってしまうものの、覚者は死ぬわけではない。
覚者は、心臓と引き換えにドラゴンに戦いを挑む使命を負うのだ。なぜドラゴンがそんなことをするのか真意は不明だけど、とにかくドラゴンに選ばれし者だ。
ドラゴンのもとへ
というわけで、着の身着のまま丸腰主人公は覚者に従うというポーンを仲間にする。仲間がいれば安心だ。
まずは自分が何者なのか手がかりを探さなければならない。
そして、覚者だというなら、やはりドラゴンを探しに行かなければならない。心臓を返してもらわなければ。
主人公が覚者になった経緯を知るウルリーケという女性、そして覚者やポーンに懐疑的な獣人の国、更には自分こそ覚者だと言い張る者(覚者は世界に1人しか存在しないはず)など、気になる話も目白押しだ。
こうして、ドラゴンめがけて一直線とはいかない覚者様の旅が始まる。
攻略のポイント
何をしてもいいオープンワールド
本作はオープンワールドゲームであり、各地で大小様々なクエストが発生する。
メインクエストっぽく見えるクエストであろうと、どこからどれから攻略するのかはプレイヤーの自由だ。
また、同じクエストでも攻略方法は自由だ。お金で解決できることもあれば、血気盛んにバトルで解決することもできる。
本作では主人公とポーン3人の最大4人パーティーで旅が出来る。
主人公とメインポーン1人はプレイヤー自身がキャラクリする固定メンバーで、サポートポーン2人は自由に雇用が出来て入れ替えも可能だ。
サポートポーンは、他プレイヤーのメインポーンをオンライン接続を通して借りることになる。リムストーンという石を通して募集するか、その辺を歩いているポーンをスカウトすることで雇用することができる。
ジョブとスキル
主人公とポーンは、それぞれジョブにつくことが出来る。
ジョブによって基本アクションが変わり、使用できるスキルも変わる。もちろん装備品も異なる。
本作では、敵を倒すと経験値とJPを得る。経験値を溜めてレベルアップすると基礎ステータスが上がる。また、バトルを繰り返しているとジョブレベルが上がり、JPを使って新たなスキルを習得できるようになる。
ちなみに、サポートポーンのレベルは上がらないし、ジョブの変更も出来ない。そのため、主人公より高いレベルのサポートポーンを雇う際にはRという特別な通貨が必要になる。
ポーンはAIで動き、プレイヤーのプレイ内容を覚えて様々な助言を行ってくれたり、素材を採取しながら共に行動し、バトルでは自動で共闘してくれる。
進め!とか、主人公の元に集まれ!といった大まかな指示出しは可能だ。
探索もバトルも物理演算
本作の世界は全てが物理演算で動く。物だけではなく、敵や主人公もNPCもだ。
道中では様々な素材を手に入れて、アイテムを調合したり武器の強化が出来るけれど、装備品含めて所持重量のシステムがある。
アイテムを持ちすぎると動きは遅くなりスタミナ消費量も増える。
また大型の敵に飛びかかって転ばせたり、岩を上方から落としたり、仲間や敵を足場にしたり、環境を有効活用できる。
一方で、敵に吹っ飛ばされて水没したり、敵の巨体で通せんぼされたり、上り坂をすんなり登れなかったり、不利にはたらくこともある。
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ドラゴンズドグマ2の評価
物語の面白さ
本作をどう攻略するかは自由で、プレイヤーごとに異なる体験が出来る。
人助けに徹する英雄プレイをしてもいいし、サブクエスト無視してひたすら先へと進んでもいいし、NPCを攻撃しまくる無法者プレイもできる。かなり自由だ。
物語はまさにファンタジーで、ひと続きの濃いドラマというより、各地のエピソードを体験しながら世界を楽しむゲームだ。
キャラクターの魅力
物語に関わる重要キャラから、ちょっとしたクエストを依頼してくるNPCまで、かなり大量のキャラが登場する。
しかし、上述した通り、エピソードの積み重ねとなる物語なので、それぞれのキャラの描写はサラッとしている。
それよりも本作最大の魅力はポーンだ。ポーン達はかなりにぎやか。探索中もバトルでも、ものすごく高頻度に話しかけてくれる。基本的には助言が多いけれど、たまに雑談もしてくれる。
ポーン達はみんな覚者の役に立ってくれようと前のめりすぎて笑える場面が多い。
梯子を見つけると「梯子があります!覚者様!」と口々に教えてくれる。もちろん梯子の先に何かあるよという助言だけど、梯子梯子と子供のように騒ぐので、もはや「みんな梯子が好きすぎるだろ」と思い始める。
宝箱を見つけたポーンは「私に取らせてください!」と爆走していくので、「あ、ああ、うん、どうぞ」となる。
「俺について来い!」というより、いつのまにか活きが良すぎるポーンを微笑ましく見守る旅路へと変わっていた。
操作の快適さ
基本のアクション操作は問題なし。
しかし、本作は操作性が良いとは言えない。メニュー画面やお店など各要素にアクセスしにくく、ひと手間ふた手間面倒な操作を経なければならない。
また、小刻みに各所にファストトラベル出来なかったり(ロード時間もやや長め)、アイテムをポーンに渡す時もチマチマした操作が必要だし、それぞれは些細なことでも様々な面倒臭さが溜まって「不便だな」と感じるようになる。
そして、世界が物理演算で動くので、たまにミラクルな挙動を起こすことがある。
敵に攻撃するつもりが素通りし、崖から未だかつてないほど大ジャンプをかまして落下し、瀕死の重傷を負うこともあった。ポーンには「さすが覚者様!そんな一撃は見たことありません!」と言われて、「お、おう(皮肉かな)」と血を拭きながら起き上がった。
そんなミラクル挙動は楽しさでもあるので、「そんなこともあるさ」という気持ちでプレイした方がいい。
難易度バランス
ポーンがかなり優秀だ。ポーンは、ガンガン戦うとか守りに徹するタイプといった性格付けも出来るけれど、基本的に覚者のために立ち回ってくれるので、接待プレイされている気分で旅できる。
そのため、主人公は遠距離攻撃や魔法を使うジョブについて、ポーン達を遠めから監督をするようにバトルにすると、ほぼ危なげなく攻略できる。
逆にサポートポーンは加えずにプレイしたり、主人公自ら前線に立つバトルをすると、しっかり歯ごたえを味わえる。
でも、メインポーンだけでも頼もしいし、素材を集めて回復薬をしっかり用意しておけばゲームオーバーにはならずに攻略できる。
ただ、竜憑きという感染症にポーンがかかってしまうと、ポーンが制御不能になって純粋なゲーム攻略とは違った難しさが発生するので注意。赤い目のポーンには厳重警戒を!
ゲームシステムの面白さ
自由に旅できるファンタジーなオープンワールドゲーム。物語でもバトルでも自由度が高いし、物理演算で動くのも面白い。
でも、本作ならではの面白さは、活き活きとしたポーン達との旅路だ。物語やキャラビルドももちろん面白いけれど、それよりもポーン達に夢中になる。
ポーン達の助言してくれる頼もしさはもちろんのこと、覚者の一挙手一投足に細かくリアクションしてくれるのが楽しい。
お店でお金が足りずに買い物をやめたら、「見てるだけで楽しかったです」「冷やかしですか」と発言してくれて、「そういうことはお店出てから言おうね?」と思いながらそそくさとお店から出る。
貴重品を見つけると「わあ、すごい!」「こんなところに!」と褒めてくれて、ちょっといい気分になる。
ゲーム攻略に関わる助言以上の反応が楽しくて、AIがフレンドになるという現代ならではのゲーム体験が出来る。彼らのおかげで、1人でプレイしていたら起こらない意外な旅路になり、新鮮で楽しい。
ゲームシステムやAIの挙動はもっと洗練されて欲しいなと思うところも多いけれど、ポーンとの旅はソロプレイ好きにとって嬉しいシステムでもあるし、AIのゲームへの活用としても面白い手法なので、今後のシリーズ展開も楽しみだ。
やり込み要素の楽しさ
様々なジョブを極めて上位ジョブも使いこなすこと、これがまずやる気の湧きやすいやり込み要素だ。
もちろん各地のNPCに声をかけて、より多くのサブクエストをこなすのもやり込み要素だ。
また、各地には隠されたアイテムや洞窟やダンジョンもある。分かりにくい道でもポーンが見つけてくれるので、彼らの発言はよく聞いておいた方がいい。
メインポーンは他プレイヤーに雇用されると、その内容を覚えて帰ってきてくれるので、より頼もしい味方になってくれる。
しかし、より多くのことを体験しているポーンがいると先回りしすぎてくれるので、自力で攻略する楽しみを味わいたい場合は、メインポーンを旅に出さず且つあまり有能なポーンを雇わない方がおすすめ。
グラフィックの芸術性
ファンタジー度満点な世界が3DCGで描かれる。
大型モンスターの迫力が素晴らしくて、「みんなで倒すぞー!」な気分が高まる。
街並みや各ダンジョンの作り込みはやや浅めな印象はあるけれど、各エリアならではの風景が楽しめる。
ただ、本作ではキャラクリエイトが出来るけれど、ゲーム中でのカスタマイズし直しが難しかったり(ゲーム内通貨や課金が必要)、頭装備の非表示や装備の見かけ設定などが出来ないのが残念。
自分の好きなように冒険できるのが本作の魅力であるはずなので、見た目の細かなカスタマイズができないのは気になるところ。
サウンドの魅力
ファンタジー度満点な壮大な曲調のかっこいいBGMが多くて、大満足。
探索中には癒しのメロディも流れてきて、常に楽しい気分でプレイできる。もちろんポーン達のセリフもにぎやかだ。
ただ、上述した内容とも被るけれど、キャラクリエイトでのボイスもカスタマイズしにくいのが気になるところ。
性格によってボイスの種類が決まってしまうなど、「いや、そういう性格だからって声が高いって決まってる?」と疑問に思うボイスが多い。また、こちらもゲームが始まると変更が難しいのも残念。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
ドラゴンズドグマ2レビューのまとめ
おすすめな人
- 自由度の高いゲームが好き
- AIで動くNPCに興味があり、その動きを楽しみたい
- ファンタジーな世界が好き
おすすめではない人
- 仲間に細かく指示して、思い通りに動いて欲しい
- 物理演算ならではの挙動が苦手
- 快適で便利機能が揃っていないとストレスが溜まりやすい
総合評価良いところ&残念なところ
- 活き活きとして予想外な動きもしてくれるポーン
- どう攻略するかプレイヤー次第という自由度の高さ
- 多種多様なジョブやスキルが楽しめる
- 操作が快適とはいえない
- 細かなカスタマイズや指示が出来ない
- ポーンの助言がお節介になることがある
ドラゴンズドグマ2が好きならおすすめなゲーム
関連ゲーム
ドラゴンズドグマ
シリーズ第1作目。ポーンとの共闘というシステムは、第1作目から始まった。
現在は、リマスター版の『ドラゴンズドグマ ダークアリズン』として発売されている。
似ているゲーム
ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム
物理演算の挙動が楽しめるオープンワールドゲームなら、こちらもおすすめ。
アイテムとアイテムをくっつけて乗り物や武器を作るシステムが面白く、プレイヤーの知恵次第でいかようにも攻略できる自由度の高さが魅力。
物語も広大な世界の探索も楽しめる高評価作。
Death Stranding
物理演算が効果的に使われているオープンワールドゲームなら、こちらもおすすめ。
斜面やぬかるみなど地形や、主人公の荷物の重さもしっかりゲームプレイに影響を及ぼす移動がメインという高評価作。
独創的な世界設定と物語も魅力。
バルダーズ・ゲート3
ファンタジー世界で自由度が高いゲームなら、こちらもおすすめ。
プレイヤーの選択によって物語も世界も大きく変化する高評価作RPG。
こちらではストラテジーなバトルが楽しめて、仲間との交流も体験できる。
Dragon’s Dogam 2 ドラゴンズドグマ2
©CAPCOM
DRAGON’S DOGMA is a trademark and/or registered trademark of CAPCOM CO., LTD. and/or its subsidiaries in the U.S. and/or other countries.
https://www.dragonsdogma.com/2/ja-jp/
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