『Haiku, the Robot』レビュー: 救世主は丸くて1頭身 – ハイク・ザ・ロボット
『Haiku, the Robot』とは、Mister Morris Gamesが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
レトロゲームを彷彿とさせるピクセルアートグラフィックで描かれ、2D横スクロールでプレイする。
本作は、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はPC版をゲームパッドでプレイ。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
あらすじStory
大爆発オープニング
ゲームが始まると、具体的な説明はないままに、未来と思われる世界で爆発が起こる。
一体全体何が起こっているのか分からないけれど、どうやら波乱の幕開けのようだ。
ちなみに、この爆発は本作の物語が始まる200年前に起こっている。人類はどうなってしまったんだろうか。
目覚めし球体
「ハイク、目覚めて」
大爆発に呆気に取られていると、脳内直接メッセージのようなセリフが流れてくる。
そして、一つのポッドが起動し、中から一体のロボットが現れた。
丸い。
前から見ても横から見ても、完全に丸い球体ロボットが登場した。
このロボットが本作の主人公であるハイクだ。
とんでもなく非力に見えるけれど、ハイクは一体何のためのロボットなんだろうか。
狂っていく世界
ハイクは特に自分語りをしてくれないので、まだまだ訳が分からない。
とりあえず歩き回ってみると、他のロボットに襲われる。あれ、ロボット同士は仲間じゃないのか?
実は、ハイクがいるのはアルカディアという地で、ここではウィルス感染したロボット達が暴走しているようだ。そして、人類はいなくなってしまったようだ。
ハイクは、世界で何が起こったのか、そして自身の使命を知るために、危険なロボット世界を歩んでいく。
ゲームの特徴Features
行けるところから行ってみる
本作はメトロイドヴァニアゲームなので、探索がメイン。
各地でボスを倒して新たな移動スキルを習得し、探索できる範囲を広げていく。
NPCから何となくの情報は集められるけれど、目的地や次にやるべきことが丁寧に明示されるわけではない。自分で進めそうな道を見つけて進んでいく。
ただし、実際に探索しても地図情報が開示されないエリアもある。その場合は、該当エリアのどこかにある妨害電波を放つ機械を壊すとアンロックすることが出来る。
各地にはセーブポイントがあり、それとは別に各エリアには電車が停まる駅があり駅間ではファストトラベルが可能だ。
球体ロボのバトル
ハイクは、剣で攻撃する。ダッシュ回避も可能。
敵を倒すと部品を手に入れる。これは通貨であり回復アイテムでもある。
ハイクは、所持している部品で自らを修理して体力を回復することが出来る。自分でメンテナンスする高機能ロボットだ。
また、スタミナゲージならぬヒートゲージがあり、ダッシュ回避や修理(体力回復)などでヒートゲージが上昇し、上がりすぎるとオーバーヒート状態になってしまい各スキルを使用することが出来なくなる。
ヒートゲージは時間経過で冷め、適温に戻るとスキルが再使用できる。
チップで改造
ハイクにレベルアップやスキルツリーはない。
探索中やショップで手に入るチップで強化する。
射程を伸ばしたり、敵がより多くの部品をドロップするといったチップを装備することで対応した効果を得ることができる。
また、特定のボスを倒すと攻撃力が上がり、カプセルのかけらを手に入れると体力上限を増やすこともできる。
雑魚敵を倒せば倒すほど強くなるというわけではないということだ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の魅力
物語の面白さ
4.0
ほぼ何の説明もなく物語が始まり、そこからどれだけ物語を辿るかはプレイヤー次第だ。
NPCのセリフや各地にある誰かが遺した記録を読み集めていかなければ、物語の全体像が掴めない。
様々な情報を読み解くと、世界で起こったことだけでなく、ロボットから見た人類についての意見なども知ることが出来る。
情報が少しずつ集まってくるので、あれこれ推測しながら進んでいくのが面白い。
本作をプレイする前は、ハイクの表情がこの上なくゆるく、しかも、世界を救うとはとても思えない丸い1頭身なので、可愛いゲームかと思っていた。
が、実際にプレイしていて1番感じるのは不気味さ。
ウィルスによって狂気に陥っている最中のロボットや、自我を失ってしまうことに怯えたり絶望しているロボットもいる。街もあるけれど常に不穏な空気が漂っている。
キャラクターの魅力
4.0
上述してきた通り、ハイクは可愛い球だ。何らかのマスコットキャラクターになれそう。
ハイクにセリフはないけれど、ゆるくて可愛い顔に惹きつけられるし、不気味な世界で1人奮闘する姿に愛着が湧いてくる。
一方でNPCは意外と多く、ハイクの行先に必ず現れる重要NPCもいる。
もちろん皆んなロボットだけど、個性は異なっており、マッドサイエンティストのような奴もいれば、相当なマイナス思考ロボットもいる。
そして、敵となって現れるロボットには家電が元になっている奴もいる。
バッテリーが感電させようとしてきたり、オーブンが火を吹いて襲って来たり、現実世界の身近な家電が牙を剥いてくるアイデアが面白い。もちろん現実で起こったら不便どころか毎日命懸けの生活になるだろう。
ゲームプレイの快適さ
操作性
4.0
ハイクはサクサク動く。
チップによって移動速度や攻撃スピードを速めれば、サクサク動く。
操作方法は分かりやすく、複雑な操作も登場しない。
ピクセルアートグラフィックなので、当たり判定は高精度とまではいかないけれど、理不尽さやストレスを感じることもない正確さだ。
マップも見やすく、隠し部屋がある場所には周囲にヒントもあるし、快適なプレイが出来る。
難易度バランス
4.0
難易度設定はできないけれど、バトル難易度は厳しくない。
敵を倒せば部品が手に入り、それで体力回復できるので、ゲームオーバーになることはあまりない。
ただ、本作では、敵に接触しただけでダメージを受けるし、体力がぐんぐん上がるわけでもないので、丁寧なプレイが求められる。
ボス戦では体力を回復する余裕もあまりなく、ミスなく立ち回る集中力も求められる。
ゲームオーバーになると所持している部品を一部失ってしまうけれど、安全な貯金をしておくことも出来るのでデスペナルティは厳しくない。
一方で、探索については、進む順序はある程度自由で、自分で道を見つけて探索することになる。これは本作の面白さだけど、迷子になるのが嫌いな人にとっては面倒に感じるかもしれない。
でも、マップは見やすく、マップ構造はそこまで複雑ではないので、テンポよく攻略できる。
ゲームとしての面白さ
ゲームシステム
4.0
物語もやるべきことも進む道も、自分で情報を集めながら探索するのが本作の面白いところ。
メトロイドヴァニアの楽しさである「迷子になる」がしっかり味わえる。
でも、単に迷子になるだけではなく、ボスが多いのでゲームが進んでいる感覚や達成感を得られやすく、どんどん探索したい気持ちが続きやすい。
ボスや街や重要NPCの配置感覚が良い程度だ。
一方で、バトルやアクションに斬新さや本作ならではの強い個性は特にない。が、それは逆にいえばとっつきやすさでもあり、サクサク進められるので、気構えずにプレイできるゲームだ。
やりこみ要素
4.0
本作では主人公を強化できるチップやアイテムは探索することで見つかるので、隅々まで探索することがゲーム攻略にも繋がるやり込み要素だ。
また、所々にサブクエストがあり(明確にクエストとは表示されないけれど)、NPCのエピソードを辿ることが出来る。
そして、各地に遺された誰かの記録を読むのもやり込み要素。
これによって本作の世界で何が起こったのかを知ることが出来る。意外と複雑な世界の事情が分かってくるので、見つけたら一読しておくのがおすすめ。
芸術性の高さ
グラフィック
4.0
ゲームボーイ風のレトロな配色のピクセルアートグラフィックで描かれる。
ドットサイズは大きめで、まさにレトロ!
主人公のハイク含めキャラデザインは可愛くてポップだ。
ただ、ウィルスに汚染された機械の表情は不気味で、ゲームオーバーになった際にはハイクの不気味な顔を見ることも出来る。
レトロ風だからといってスカスカではなく、エリアによって背景もエフェクトも変わる。
ゲームプレイ部分だけではなく、グラフィックも丁寧に作られている良質ゲームだ。
サウンド
4.0
ハイクは可愛い顔だけど、本作は不気味な雰囲気。
そんな本作の特徴を1番表しているのは、BGMだ。
ゲーム画面だけ見ると「ピコピコ音の可愛いBGMが流れているんだろうな」と思うけれど、実際には常に不穏な音楽が流れている。
目を瞑ってサウンドだけ聞くと、まさか丸い球の可愛い勇者が主人公を務めるゲームだとは想像出来ないほど。
こうしたサウンドの雰囲気は訳が分からない世界を進む気分を高めてくれるので良い。
ただし、ゲーム画面から可愛いゲームを予想してプレイした場合、「思ってたのと違う」と感じるかもしれない。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
自分で道を見つけて探索する面白さ
攻略順が自由
サクサクした挙動
残念なところ
斬新さや本作ならではの要素はない
主人公の顔とは裏腹に可愛い雰囲気ではない
(良い面でもある)
オススメな人
自由に探索するのが好き
テンポ良く攻略できるゲームを求めている
レトロゲームの雰囲気が好き
オススメではない人
物語や導線を明示して欲しい
複雑なアクションを求めている
本作に100%の可愛さを期待している
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Haiku, the Robot ハイク・ザ・ロボット
Developer: Mister Morris Games
Publisher: Mister Morris Games
https://mistermorris.games/