レビュー【Herdling】モフモフ登山 | 群れを導き旅するパズルアドベンチャーゲーム

カリコーンという不思議な動物たちを引き連れ、群れの動きを制御しながら旅する神秘的なパズルアドベンチャーゲーム『Herdling』のネタバレなしレビューも攻略情報も詳しく掲載。
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- ストーリー
- カリコーンと共に主人公が山の頂上を目指して旅する物語
- 攻略
- カリコーンの群れの動きを制御して危険を避けて謎解きしながら旅するパズルアドベンチャーゲーム
- 評価
- 群れを操る操作が面白く、ゲームプレイを通してどんどん感情移入していく美しいゲーム
Herdlingの概要
タイトル | Herdling |
---|---|
開発元 | Okomotive |
販売元 | Panic |
発売日 | 2025年8月21日 |
対応機種 | PS5, Switch, Xbox, PC |
ジャンル | パズルアドベンチャー |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | Xbox |
Herdlingのストーリー
迷い込んだカリコーン

パニックに陥っていたお茶目なカリコーン
本作は、お家も家族もなく道端で寝ていた主人公(おそらく、まだ子供)が、町に迷い込んだ一頭のカリコーンと出会うところから始まる。
カリコーンとは、大きくてモフモフで立派なツノが生えている不思議な動物だ。
現実ならヤクやバイソンが近いだろうか。
町にはカリコーンと雪山が描かれている看板がある。
どうやらカリコーンというのは、本来は山に棲んでいる動物らしい。
みんなで山へ

カリコーンはきっと町に迷い込んだのだろう。
なぜかカリコーンにすんなり懐かれた主人公は、カリコーンをお家に還すため、共に歩き始めた。
という物語だと思う。
というのも、本作にはセリフもナレーションも物語を説明するテキスト情報もない。
勝手に物語を想像しつつ、とりあえず出発してみたところ、また迷子のカリコーンに遭遇する。
こんなにも一気に迷子になるとは珍しいこともあるものだ。
しかし、どのカリコーンも行きたい場所は同じだろう。共に行こう。
こうして徐々に増えていくカリコーンの群れとともに、遠くに見える険しそうな山への旅が始まった。
Herdlingの攻略情報
山の頂上を目指して旅する

本作は主人公を操作し、カリコーンと共に山へと向かい登っていくパズルアドベンチャーゲーム。
道中では迷子のカリコーンに出会うことがあり、手懐けると群れに加わる。
そのため、仲間のカリコーンは徐々に増えていく。
ところどころには謎解きもあり、攻略すると新たなカリコーンが加わわったり先に進む道を開くことができる。
ちなみに本作では特定の場所に到達するとオートセーブされる。
何ヶ所かで焚き火して休むというゲーム進行上の区切りはあるけれど、旅していく道はひと続きになっている。
カリコーンの群れの制御

プレイヤーは主人公を操作し、カリコーンの群れの動きを制御しながら進むことになる。
基本的にカリコーンは指示を出していないとその場に留まって動かない。
主人公は群れの後ろ側に立つと、カリコーンたちに進ませたい方向を指示できる。
一回指示すればその方向へ群れは歩き始め、そのまま歩き続ける。
その場で止まれの指示を出すこともできる。
カリコーンは壁など障害物があると勝手に進行方向を変えたり動くのをやめたり、さらには棘に当たったり崖から落ちてしまうと怪我を負ってしまう。
カリコーンそれぞれには体力があり、ダメージを追いすぎるとパーマデスとなるため、彼らが危険な目に遭わないよう逐次群れに指示を出しながら進まなければならない。
もしカリコーンが怪我を負ってしまったら、道中に生えている青い花のような実を摘んで食べさせてあげると回復することができる。
そして、道中には花が咲いており、主人公もしくはカリコーンが触れると突進ゲージがチャージされる。
突進チャージされた状態で突進を指示すると、カリコーンたちが一定距離爆走して急な斜面を一気に登ったり危険な場所から素早く逃げることができる。
この突進チャージは群れにいるカリコーンの数だけチャージすることができる。
つまり、仲間カリコーンの数が多いほど連続突進できるというわけだ。
ツノ飾り

名前をつけることができる
基本的には道なりに進んでいくことになるけれど、道端や少し奥まった場所などには不思議な飾りが置かれていることがある。
これはカリコーンのツノに付けて飾ることができる。
どの飾りをどのカリコーンに付けるかはプレイヤーの自由で、やり込み要素となっている。
また、そのほかにも茂みを進んだ後などに汚れているカリコーンを洗って綺麗にしてあげることもできる。
一方で、特に目的はなくとも撫でて可愛がることもできる。
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Herdlingのレビュー
物語: 考察捗る不思議な旅

上述した通り、セリフやテキストで物語は語られない。
主人公の素性やカリコーンについても、ほぼ全てが分からない状態から始まる。
しかし、ゲームプレイ上でカリコーンとの関わりは濃厚であり、旅が進むにつれカリコーンに愛着が湧いてきて、確実に感情移入してしまう。
カリコーンが怪我をしてしまえば「待てぇえ!今すぐに行くーっ!」と一目散に駆け出し、坂を登る時には「がんばれ、がんばれ」とお尻を押してあげたくなるし(そんなアクションはないけれど)、焚き火を囲めば「みんな、今日もお疲れさま!」と話しかけたくなる。
カリコーンは反抗することもなく危険な道もプレイヤーの指示で進んでいくので責任重大であり、それによってより一層感情移入してしまう。
ゲームプレイと主人公を介してプレイヤーとカリコーンの絆が結ばれていくのだ。
分からないからいい。
言葉を交わさないからいい。
主人公とカリコーンが互いに身体で示す愛情深さに胸も目頭も熱くなる。
物語自体は旅の道のりと同じく平坦ではなく、魔法のような不思議な出来事も起こる。
セリフはないけれど状況からあれこれ考察することはでき、記憶に残る旅となる。
操作性: カリコーンは賢い

独特なゲームプレイなので操作方法は他のゲームとは似ていないけれど、分かりやすくすぐに習得することができる。
カリコーンは指示にスッと従ってくれるので、野生の獣を飼い慣らしているというより、チーム「カリコーン」の選手たちとコーチが歩む旅のような感覚だ。
狭い道になるとカリコーンのはちゃんと一列になって進んでくれるし、大きな岩を動かす時には主人公が岩の前に立てばサッとカリコーンも押し始めてくれる。
引っかかったりもたつくようなことは起こらない。
カリコーンたちはかなり空気を読んでくれて賢く、それを見守り後方から「こっち、もう少しこっちに寄ろうか」と指示するのが楽しい。
難易度: 群れが増えるほど危険も増える

本作では難易度調整はできず、カリコーンがパーマデスするという厳しさがある。
悩むような謎解きはなく道なりに進むことがメインではあるけれど、旅が進行すればするほど危険は多くなる。
天敵がいる場所では像を倒すと敵が攻撃してくるので、細かく細かくカリコーンを方向転換させていかなければならない。
カリコーンの数が多ければ多いほど像やトゲなどにぶつかる可能性が増えるので、旅が終盤になるほど道のりが険しくなると共にカリコーンの頭数も増えてくるので自然と難易度が上がってくる。
ゲームクリア自体は難しくないけれど、カリコーン全員無事に旅を終えるためには慎重な群れ捌きが求められる。
しかし、「無敵カリコーン」という設定があるので、カリコーンの安否に気を揉まずにプレイすることもできる。
難易度はゆるめで楽しみたい人やパーマデスは悲しすぎるという人におすすめ。
システム: 群れを制御する面白さ

本作は独特なゲームだ。
集団の動きを制御するというとリアルタイムストラテジーゲームでよく見られるゲームプレイだ。
しかし本作ではそれでいてアドベンチャーゲームというのが独特。
攻撃させるなど何かを行わせるのではなく、制御する操作自体が面白く、群れがうまく移動していく様子を見守るのが楽しい。
そこに雰囲気抜群な物語や世界設定が乗っかってくるので、群れの制御で適度に忙しくしつつも絶妙に目に入ってくる気になるもののあれこれが考察欲がくすぐってくる。
興味を失わせないくらい分かりそうで分からない世界に仕立て上げているからこそなせる技だ。
この忙しさと気になるものが登場するテンポが絶妙で、全く退屈する暇がない。
それと同時にゲームプレイを通して物語に引き込んでいくのも非常に上手い。
芸術性: 絵画のような世界

ひたすらカリコーンが可愛い。
撫でると目を見開いたり目を細めたり、焚き火近くではボールを持ってきて遊んでくれと催促してくるカリコーンもいる。ひたすら可愛い。
世界は絵画のようなアートスタイルで描かれ、突進チャージするとカリコーンの背中が鮮やかな色に染まり、突進すると花びらのエフェクトが美しく舞い爽快感も味わえる。
サウンド面では雄大な自然感じるBGMが流れており、突進したり何かが起こるとフッとBGMの調子が盛り上がり、プレイヤー側の気持ちも盛り上がってくる。
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Herdlingの総合評価
Herdling

総合評価
群れを導く操作自体が面白く、不思議で考察欲をくすぐられる世界に引き込まれて言葉なくとも感情移入してしまう美しいパズルアドベンチャーゲーム。
長所と短所
良いところ | カリコーンが賢く進みやすい 美しく神秘的な雰囲気 | 群れの制御が楽しい
---|---|
残念なところ | 脇道や寄り道はあまりない |
こんな人におすすめ!
おすすめな人
- ユニークなゲームプレイに興味がある
- 雰囲気を楽しむゲームが好き
- 物語を考察するのが好き
おすすめではない人
- 物語を明確に理解したい
- 群れに細かな指示を出したい
- 動物が怪我する姿は耐えられない
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