ゲームのグラフィックには様々な手法がある。
最先端3DCGはもはや現実を超える美しさだし、ドット絵だってバリバリ現役で最高。

で、そのどちらとも違った魅力を持つのが、手描きイラストや絵画のようなグラフィックだ。
開発者さんの芸術センスが強く反映されることが多く、プレイそっちのけで見惚れてしまうことさえある。
ゲームとして面白いのはもちろんのこと、「ゲームだけど芸術作品じゃん!」と惚れ惚れしてしまう手描き調グラフィックなゲームを、アートスタイル別に厳選して紹介する。
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イラストレーション調
Sable

見惚れてしまってゲームをなかなか進行できなくなったほど芸術性高すぎなオープンワールドアドベンチャーゲーム。
バンドデシネに影響を受けたアートスタイルで、光の陰影が色の違いで表されるなどセンス抜群。
どの瞬間で止めても絵になる。カブトムシのお面など独特なデザインも多く細部まで魅力的。
ゲームプレイでは、バトル要素はなく、ひたすら探索して謎解きする。移動はホバーバイクで滑空もできる。
この緻密に描き込まれた世界を気持ち良くゆったり堪能しまくれるというわけだ。最高。

Creaks

芸術性高いゲームといったら、Amanita Designは外せない。
不思議な世界でアイデア豊富な謎解きが楽しめるポイント&クリックゲームを連発しているデベロッパーだ。
毎作全く世界設定も雰囲気も激変するけれど、高品質でこだわりもぎっしり詰まっている。
本作は壁の割れ目から裏側を除くと、全く違った世界が広がっていたという面白い設定。
奇妙なモンスターが光に照らされると家具に変わる、という不思議なシステムを使って先へと進んでいく。
手描き感たっぷりなグラフィックであたたかみも感じる。


The Artful Escape

タイトルにArtって入ってるくらいなので、そりゃあもう芸術的なゲームだ。
若手ミュージシャンが自分のスタイルを探ろうと異空間を彷徨っていく。
そこはかなりサイケデリックでシュールで極彩色で、全ての瞬間に鳥肌がたつ抜群のセンスだ。
ゲームとしては好きにギターを弾きながら歩いたり飛んだりするだけ。
ところが、BGMと映像的な演出と操作がバチコーンと合っていてとんでもない快感を味わえる。
芸術的なゲームが好きな人は、とりあえず触ってみてほしい。

カートゥーン、アニメ調
Olli Olli Worldオリオリワールド

2D横スクロールなスケボーアクションゲーム。トリックにこだわるより気持ち良く滑るゲームだ。
人気カートゥーン『アドベンチャータイム』を彷彿とさせる絵柄で、パステルカラーな配色。
そしてBGMにはLo-Fiな曲がズラッと並ぶ。雰囲気もゲームプレイも「チルい」そのもの。
アイスクリームが喋ってたり摩訶不思議な生物が多くて楽しく、どこを切り取ってもオシャレ。
スケボーのユートピアという美しく可愛いステージや風景も魅力的。
ちなみに高スコアを狙ったり高難易度を攻略しようとするとなかなか難しく、アクションもしっかり楽しめる。

Spiritfarer

ライフシム要素も楽しめるアドベンチャーゲーム。
アクションに合わせて美しく描かれたキャラが滑らかに動くので、移動してるだけで気持ち良い。
本作では、死後に彷徨っている魂を救う導き手である主人公ステラの物語が描かれる。
魂たちは獣人となりステラの船に乗ってくる。みんな死後だけど表情が活き活きとしているのが魅力。
本作ではNPCをハグすることが出来るんだけど、その時に誰もが見せてくれる満面の笑顔がとびきり素敵。
NPC1人1人が大好きになるし、こちら側まで幸せな気持ちになるほど表情が素晴らしい。
そんなNPCたちとのお別れの瞬間には号泣してしまうので、ハンカチ用意!

Minute of Islands

こちらも『アドベンチャータイム』っぽい絵柄が魅力的なアドベンチャーゲーム。
巨人が動かす島を修理する少女モーの物語が描かれる。
ほんのり謎解きもあるけれど難しくはなく、不思議な世界を眺めながら探索できるのが本作の魅力。
背景まで緻密に描き込まれていて、紫色や黄色が効果的に使われている配色もセンス抜群。
可愛い絵柄だけど、実は物語は切なく内省的で深いセリフも多く、物哀しい雰囲気も魅力的。

絵の具やブラシを感じる絵画調
ディスコエリジウム

絵の具で描きなぐったように見えると同時に繊細な筆使いも感じるグラフィックが魅力のRPG。
本稿で紹介しているゲーム含め芸術性高いゲームは物語も美しい作品が多いんだけど、本作の物語はぐっちゃぐちゃ(褒めてる)。
記憶がない飲んだくれでクスリにも溺れるダメ刑事が、とある殺人事件の捜査をしていく物語。
本作にはレベルやバトルはなく、ひたすら捜査し選択肢を選んでいくテーブルトークRPGの形式。
物語は幾重にも分岐していき、正直汚い場面も多いんだけど、グラフィックのハイセンスっぷりによって絵画に見えてしまうというマジックが発動する。




Ori and the Will of the Wisps

森や泉、時には火山など自然豊かな地を旅する名作メトロイドヴァニア。
主人公のオリは白くてモフッとしている可愛い精霊で、NPCたちも可愛らしいデザイン。
そこに、がっつり描き込まれた雄大な自然の風景が広がる。
背景は繊細な筆使いで描かれた絵画のようで、キャラの可愛さによってアート絵本のような感覚。
そんな美しく癒される世界ではあるけれど、本作は高難易度アクションであり歯ごたえがっつり。
音楽も美しいので、癒されながら死にまくるという体験が出来る。


第1作目もおすすめ


シリアルクリーナーズSerial Cleaners

ストリートアートなブラシの躍動感を感じるグラフィックが魅力的なステルスアクションゲーム。
フラットで豪快な筆使いで1990年代のアメリカが描かれる。
とにかくオシャレ。街の雑多な雰囲気や派手な色使い、気だるくクールな雰囲気。
本作は、殺人現場を犯人のために清掃するというユニークなステルスが楽しめる。
死体を引きずり(たまに切断も!)、血痕の上を滑り歩いたり、不謹慎を楽しむゲームプレイだ。
ところが、グラフィックが残虐度を帳消しにしてくれるほど、めちゃくちゃオシャレ。



Gris

透明感を感じる水彩画のようなグラフィックが魅力のアドベンチャーゲーム。
本作にはセリフやテキスト情報はないので、映像と音楽で物語を感じるゲームだ。
悲劇に遭った女性の心が回復していく物語で、繊細な線と綺麗な色づかいに見惚れてしまう。
彼女の心が回復する度に色が一色ずつ増えるんだけど、ジワッスウゥウウーッと水彩絵の具が広がっていく演出が美しすぎて泣ける。
物語や滑らかなアクションも魅力で、テキストがないゲームながら泣きまくってしまった美しいゲーム。


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