『Dandara』レビュー: 超個性派スタイル移動法
『Dandara』とは、Long Hat Houseが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
プレイしたのは『Dandara: Trials of Fear Edition』で、発売時より約2倍にボリュームアップして、新マップ、新たなボス、そして真エンディングが追加されている。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PC、iOS、Androidとほぼ全てのプラットフォームでプレイ可能。また、Apple Arcadeの対象タイトルにもなっている。私はNintendo Switch版をプレイした。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
創造は禁止
自由に絵画や執筆などの創作活動が行われていた美しいソルトという世界が舞台。
豊かな土地だったけれど、全てを管理しようとするエルダー軍の圧制によって、ソルトは一変してしまった。
物書きや音楽家などアーティスト達は、創造活動を制限するエルダー軍に怯えて引きこもり、やる気を失ってしまっている。
期待の戦士
そんなソルトの不思議空間で突然目覚めたダンダラ。
タイトルにもなっている「ダンダラ」が主人公の名前だ。
フワフワな髪型で、黄色のスカーフ(マフラー?)が印象的なスーパーウーマンっぽい姿の女性。
ダンダラは、なぜか「世界をよろしく頼む」と告げられ、ソルトに創造の力を取り戻すため単身エルダー軍に挑んでいくことになる。
ゲームの特徴Features
歩かない走らない、跳ぶ!
本作はメトロイドヴァニアなので、どんどん探索していくわけだけど、ダンダラは跳んで進む。
いや、正確には「跳び移る」しか移動手段がない。
いくら地面が続いていても歩く走るというゲームの基本動作は出来ないという超個性的なスタイルだ。
ダンダラは、どんな方向にも一定の距離内にある壁に跳び移れる。壁や床、天井に向かって跳び移って進んでいく。
いや、そもそも「壁や床」という呼び方は本作では意味を成さない。
重力はない。いや、もしかしたら、あるのかもしれないけど、ダンダラは完全に無視してる。
画面もグルグル回転して、全方向が上になるし下にもなってしまう。つまり、どの壁も天井も、ダンダラにとっての足場(床)にもなってしまうというわけ。
Nintendo Switch版では、左スティックで飛ぶ方向に狙いを定めてAボタンを押すとシュバッと跳ぶ。
スタミナの概念はなくて、連続して跳びまくれる。
武器
ダンダラは、指から光を放って攻撃が出来る。これが通常攻撃だ。
ゲームを進めていくと、スペシャルな弾を撃つことも出来るようになる。これにはエネルギーを消費する。
スペシャルな弾は多種類あり、敵が嫌な位置にいる場面やボス戦で活躍することになる。
そして、特定のスペシャル弾は新たな道を切り開く助けにもなる。
アーティスト
各地には、やる気を失っているアーティスト達が引きこもっている。
彼らに話しかけると、ダンダラを姿を見て勇気づけられるのか、突然やる気を取り戻す。
すると、そんな彼らの創造の力によって特定のギミックが動き出して、進める道が更に増えていく。創造力ってすごい。
ソウルライク
敵を倒すと青い宝石のようなものが出現する。これが経験値。
経験値に関しては、『ダークソウル』シリーズお馴染みのソウルライクなシステムになっている。
各地にあるキャンプで休むと、体力もスペシャル弾のためのエネルギーも全回復する。青い宝石を消費してステータスを強化することも出来る。
ところが、キャンプで休むと、ボス以外の全ての敵が復活している。
また、ゲームオーバーになると獲得していた青い宝石を全て失う。
しかし、ゲームオーバーになった地点に戻ると、ダンダラの霊体が宙に浮かんでいる。霊体に触れると死んだ時に持っていた青い宝石を取り戻すことが出来る。
ということは、霊体に触れる前に死んでしまうと、その経験値は完全に失ってしまうということだ。
評価と感想Impressions
良いところ
跳び移るしか移動方法がないという、この個性が最大の魅力。
最初は、「あっちに跳び移ろう。狙いを定めて、よし、シュッ」と慎重に跳んでいた。
しかし慣れてくると、シュシュシュシュッと連続で跳べるようになってくる。
最初は「歩けない走れないって、なんということだ!」と、もどかしく思っていてけれど、この移動方法がクセになってくる。
そんな面白い移動方法で進むんだから、より一層探索が楽しい。
しかし、移動が独特というだけではない。
攻撃する際には、立ち止まって弾を発射するまでの溜め時間も必要。
溜め時間を計算して立ち回りを考えるのが難しくて面白い。で、この溜め時間の存在が本作の歯ごたえのある難易度を生み出している。
敵が大量発生している時はかなり焦るし、ボス戦ともなれば移動と攻撃でてんやわんや。
ボス戦ではボスの攻撃パターンを覚えて自身の立ち回りを考えていくという死にゲー的な攻略をしないと、あっという間にゲームオーバーになる。
どのボスも攻撃パターンが全然違っていて、歯応えのあるバトルが楽しめる。
残念なところ
アクションがメインであり、ストーリーはあっさり。
NPCは少ないし会話は少ない。
ダンダラ自身のストーリーがほぼ語られないので、「なぜ1人で闘っているのか、ダンダラとは何者なのか」が分からず、正直なところ感情移入はしにくい。
追加アップデートではストーリーの追加もあるけれど、話の内容がいきなり濃厚になるわけでもない。ドット絵で描かれる世界は魅力たっぷりではあるんだけど。
一方、ゲームプレイ上では、跳ぶ方向の指示が効かない時があるのが残念。
左スティックを操作すると、そこから自動的にダンダラが実際に跳ぶ方向が緑線で表示される。
自動で着地できる場所にアシストされるのは操作しやすくて助かる。
しかし、この自動緑線がなぜかガッチリ固定されてしまって、絶対に届く場所なのにスティックをいくら倒しまくっても跳ぶ方向が修正されない時がある。
緑線が頑固モードになってしまったら、一旦、スティックから手を放して入力し直す必要がある。
ピンチの時に頑固モードが発動すると、「なんで?なんで?」と焦るので心臓に悪い。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
独特な移動方法
やりごたえのある難易度
探索が楽しいマップ
ボリュームたっぷり
残念なところ
ストーリーには感情移入しにくい
方向入力が効かない時がある
オススメな人
メトロイドヴァニアゲームが好き
歯応えのある難易度のゲームが好き
一風変わったアクションゲームを探している
オススメではない人
独特なシステムを覚えるのが面倒くさい
主人公に感情移入したい
高難易度アクションは苦手
こちらも独特な移動方法の高評価メトロイドヴァニアゲーム。フンコロガシな主人公がピンボールとなって移動していく。可愛らしい雰囲気だけど、やりごたえ抜群。
こちらも個性的なメトロイドヴァニアゲーム。海中が舞台で、水中ならではの浮遊感のある挙動が魅力。サバイバル要素も楽しめる高評価作。
Dandara
http://www.longhathouse.com/games/dandara/
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