『ABZU アブズ』レビュー: ゲームにここまで癒されるとは
『ABZÛ アブズ』とは、Giant Squidが開発したアドベンチャーゲーム。
Giant Squidは、『風ノ旅ビト』『Sky 星を紡ぐ子どもたち』を開発したthatgamecompanyに在籍していた開発者さんが率いているデベロッパーだ。
本作は、PS4、Nintendo Switch、PCでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
『ABUZ アブズ』とはどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
潜水開始
ゲームスタートすると、全身黒タイツ(ダイビングスーツ?)の主人公が海にザブーーーーン!とダイブするところから始まる。
「おおお!?何だ何だ?」と思うけど、その後も一切の説明はない。
テキストもセリフもなく、具体的なストーリーを理解するための手がかりもない。
とりあえず、なんとなーく泳ぎ始める。
泳ぐうちに、ゲームの操作方法は分かるけど、ストーリーはとにかく謎。
不思議な海中
海中を泳いでいると、小型のマシンを見つけることがある。また、不思議な空間で儀式みたいなことをすると海が色鮮やかになる。
更にどんどん泳いでいくと、何やら文明の跡のような遺跡をチラホラ見かけるようになってくる。
それでも、主人公も何も語ることはなく、パチリとした大きな目がクリクリ動くのみ。
なぜ海中に遺跡や機械があるのか。主人公は一体何者なのか、目的は何なのか。
色々気になるけれど、気にしなくていい。
ゆったり泳ぎながら好き勝手に海中探検していく。そんなゲームだ。
ゲームの特徴Features
スイミングとダイビング
本作は、海中を探索していくアドベンチャーゲーム。
ということで、ずっと海中が舞台であり、敵と戦ったり複雑なアクションは全くない。
とにかく泳ぐ泳ぐ泳ぐ、もしくは潜る潜る潜る。主人公は、泳ぎがめちゃくちゃ上手なので、あらゆる方向にも泳ぎ放題。
左スティックで泳ぎたい方向を向いてR2ボタン(PS4版)を押し続けると泳ぐ。×ボタンを押すと加速。タイミングよく加速すれば、どんどん泳ぐスピードが速くなる。
ちなみに、左スティックを倒す方向は主人公が基準になっていて、画面の上下左右とは一致していない。
お助けロボット
泳いでいると、海底の砂に埋まった小さい遊泳ロボットを見つけることがある。
掘り起こして、ちょいちょいと触ると復活する。どうやら主人公はメカに強いらしい。
復活した小型ロボットは主人公の周りを並走(泳)し、周りをライトで照らしてくれる。
更に、小型ロボットは道を塞ぐ「壁のような何か」を壊してくれる。というわけで、先に進むためには、この小型ロボットを探さなければならない。
海中ゲート
上述のお助けロボットではなく、主人公自ら仕掛けを動かすこともある。
なぜか頑丈な扉がいくつもあり、どれもしっかり閉まっている。
しかし、鍵が必要というわけじゃなくて、ギミックを起動することで扉が開く。ちょっとした謎解きが必要だ。
蘇る海
当たり前だけど、海はひと続き。しかし、泳いでいると景色は変わっていく。
上述したゲートや壁を超えて新しいエリアに来ると、周囲は暗くて不気味。で、その暗闇の中心に、ポッカリと穴が開いている。
その穴へ入ると、不思議な神殿のような場所に飛ぶ。
神殿にある泡のような物体に「何か」を捧げると、ブワァアアアアアッと生き物と光と色彩が溢れる。
そうすることで、新しいエリアが色とりどりになってアンロックされ、先に進むことが出来るようになる。
海流コースター
泳いでいると、流れの激しい海流に巻き込まれることがある。
気持ちよく、ただ身を任せて流されてしまえばいい。
でも、それだけではない。海流の所々に魚の群れがいる。流されつつも魚の群れに近づくと、群れがピカーンと光る。
触れた魚の群れは主人公と並走するので豪華で美しい。
海流の出口までの全ての群れに触れると実績解除となる。
評価と感想Rating
良いところ
本作でやることは、スィイイイーーーと泳ぐのみ。で、このスィイイイーーーが、とんでもなく気持ちいい。
ここ最近プレイしたゲームの中で1番気持ちいい操作感覚。
音楽は包み込むように鳴り響き、グラフィックは色鮮やかで美しくて。
ゲームしているのか、本当に浮遊しているのか、いや、夢の世界にいるのか分からなくなるくらい癒されまくった。
「泳ぐだけならゲームとしての面白さはない!?」と思うかもしれないけれど、そんなことは全くない。
先に進むためにはギミックを作動させなくてはいけなくて、そのためには、あちらこちらをしっかり探索したり謎解きしなければならない。
とは言っても、「この美しい海を隅々まで見たい!」となるので、探索が楽しすぎて全く苦にはならない。
そして、ストーリーも主人公の正体もよく分からないものの、物語の行方はかなり気になった。
深海ならではの不気味さや、遺跡にはなぜか高度な機械も溢れていて、ドキドキしながら潜っていく場面もあった。
癒しなだけではなく、随所の演出は心揺さぶるものとなっていて、特に終盤の演出はあまりにも美し過ぎて思わず涙が出たほど。
プレイ後には「なんか凄い体験してしまった」としばらく放心していた。もはやただゲームではない。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
究極に癒される
操作感と挙動が美しすぎる
完成度の高いグラフィックとBGM
心掴まれる演出
残念なところ
特になし
オススメな人
芸術的なゲームが好き
癒しを求めている
難しいゲームは苦手
オススメではない人
バトルをしたい
複雑なアクションをプレイしたい
極度の海中恐怖症
本作開発元が手がけた高評価ゲーム。謎解きもバトルもあるアクションアドベンチャー。これまた流れるようなアクションが気持ち良すぎる。本作よりアクション要素高め。
本作開発者が携わった名作雰囲気ゲーのアドベンチャーゲーム。砂漠から不思議な遺跡まで、巡礼のように風に乗って旅して行く。
ABZÛ
https://abzugame.com
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