『Guacamelee! 2』レビュー: 覆面オヤジは死ぬし、ニワトリにもなる
『Guacamelee! 2』とは、DrinkBox Studiosが開発した2Dアクションのメトロイドヴァニアゲーム。
2013年にPS3とPS Vitaで発売された『Guacamelee! 覆面闘士 マスクド・ウォリアーズ』の続編だ。
メキシカンスタイルのプロレスであるルチャリブレ。その覆面レスラーたちはルチャドールと呼ばれている。主人公は、そのルチャドール風で、他にもメキシコ文化が色濃く登場する(開発元はカナダのスタジオなんだけど)。
ちなみに、開発元は全く違ったゲーム性の『Nobody Saves the World』も開発している。
本作は、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
ちなみに残念ながら今のところ日本語版はない。前作は日本語版があったのに、なぜ!?
とはいっても、高度な英語力は必要ないし、完璧に理解できなくても問題はない(あらすじは以下を読んでもらえると分かると思う)。あと、前作をプレイしていなくても問題なし。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
最終戦リプレイ
物語は、前作後から始まる。
前作では、Calacaというガイコツが率いるガイコツ軍団が大統領の娘Lupitaを誘拐。それを主人公である幼馴染のJuan フアンが助けにいくというストーリー。
ちなみにJuanは、元々レスラーというわけではなくて、Calaca軍団に一度負けて死んでしまったけれど死後の世界でルチャドールとして復活したという経緯で覆面レスラーになっている。
で、Calacaを倒して、Lupitaを無事に助け出して、めでたしめでたしー!2人は末長く幸せに暮らしました。
ここまでが前作の内容なんだけど、本作のオープニングでは前作の最終戦からプレイすることになる。
お腹でっぷりオヤジ
死闘のラスボス戦から7年後。
立派な中年太りのお腹を抱えた、なんだか冴えない顔したオヤジJuanの出来上がり。
といっても、Lupitaと2人の可愛い我が子に囲まれて幸せな暮らしだ。
お買い物ついでにハプニング
ある日、Juanがアボカドを買いに市場に出かけると、空に黒い穴が現れる。
ただのアボカドショッピングのはずが、ここから壮大な話になっていく。
他の世界線からJuanの師匠であるUay Chivoという半裸じいさんが現れて、全次元に及ぶ危機と黒い穴の謎を教えてくれる。
前作のラスボスCalacaにJuanが負けてしまった世界線があり、そこに黒い穴発生の原因があるらしい。
腹筋を取り戻す
その負けた世界線ではJuanは死んでしまい、その代わりSalvadorという覆面レスラーがCalacaを倒した。
「Salvadorってすごいヤツじゃん」となるわけだけど、残念ながらSalvadorは覆面の強さに取り憑かれて、より絶大な力を手に入れようとしている。
英雄になったはいいものの闇堕ちしてしまったようだ。
中年太りオヤジになったJuanだけど、再び覆面を被りマッチョレスラーに戻り、Salvadorを止めに行くこととなる。
Salvadorを止めないと全次元全宇宙であるMexiverseが滅亡してしまうのだ。
Mexiverse、メキシコとユニバースを組み合わせた造語だろうけど、とにかく世界存亡の危機だ。
ゲームの特徴Features
あの世とこの世でメトロイドヴァニア
本作は、メトロイドヴァニアであり、新たなスキルを習得する度に行ける場所が広がり、どんどん探索して行くシステム。
更に、本作では、同じ場所の現世と死後の世界を探索していくことになる。表面と裏面みたいな感じだ。
ゲームの途中からは、自分でボタン1つで現世と死後の次元を切り替えられるようになる。
大まかな地形は同じだけど、現世では壁がある部分でも死後の世界では壁がなくなっていたり、全く別のギミックが出現したりする。
殴る、蹴る、投げ飛ばす
バトルでの基本はパンチ。
敵に何発かパンチを当てていると、敵を掴むことができるようになる。コンボ技だ。
敵を掴んだら、左スティックを倒す方向によって、スープレックスや上空へ蹴り飛ばしなど4種類の掴み技(プロレス技)を発動することができる。強力だし、他の敵を巻き込むことができる。
また、ダッシュパンチやアッパーカットなど4種類の特殊技を発動することもできる。これにはスタミナを消費する。
シールドを張っている敵もいるけれど、そのシールドの色に対応した特殊技を当てるとシールドを壊してダメージを与えられるようになる。
ニワトリになる
Juanは変身できる。なんとなぜかニワトリに!
「ニワトリになったら弱体化じゃん」と思うけれど、ニワトリ専用のアクションがあるし、ニワトリじゃないと進めない場所も多い。
ニワトリ状態でももりもり戦うことができる。特殊ニワトリ技もある。ニワトリアクションは全て高速だ。
それぞれの得意なアクションを活かして、人間とニワトリの姿を切り替えながら進んでいくことになる。
強くなるオヤジ
メニュー画面では、各スキルやステータスの強化ができる。
トレーナーが伝授してくれるということになっているけど、結局のところお金で買う。
お金は敵を倒したり、宝箱から手に入れる。またダメージを受けずに敵に攻撃を当てていくとコンボの数に応じてもお金が貰える。
また、各地にあるハートやスタミナガイコツのかけらの宝箱を開けていくと、体力とスタミナの上限が上がっていく。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
かなりふざけている。
いや、全宇宙を救う壮大なストーリーだし、過去の英雄がまた奮起して頑張るっていう誰もが応援したくなる物語だ。
ただ、ちょくちょくふざけてくる。
悪役であるSalvadorが集めている三つの遺物を組み合わせてみたら、どう見ても『ゼルダの伝説』のトライフォースだし。世界の命運を握るのは、ニワトリ秘密結社だし。
他のゲームのパロディや皮肉も多くて、ずっと陽気で笑い満載の物語。
キャラクターの魅力
4.5
ヤギ姿の師匠たちは終始ふざけてるし、NPCも主人公もみんな愛すべきおバカたち。
ボスもメンヘラだったり、過剰に自意識過剰だったり、仲違い始めたり、本当に見ていて飽きない面白キャラ勢揃い。
操作性
4.5
Juanは大味な見た目してるけど、繊細で丁寧なアクション操作が求められる。器用なレスラーだ。
で、ちゃんと挙動も精度高く調整されていて、操作感は良好。
終盤になってくると、ほぼ全てのボタンを駆使することになるんだけど、操作は分かりやすい。
ジャンプ中にニワトリになって次元を切り替えて、更に人間状態に戻って。といった感じでかなり忙しい操作だけど、それぞれがボタンひとつでの切り替え。
「操作がややこしいから上手くいかない!」という言い訳は一切できない。失敗は全て自分のせいだ。
敵が複数現れて乱戦になってくるとJuanを見失いがちになるのが気になったくらいで、特にストレスなし。
難易度バランス
5.0
ふざけたノリや楽しい見た目とは裏腹に、ゲームの難易度は結構高め。
トゲ地獄や高い足場を攻略するためには、空中で正確にタイミング良くいくつものボタンを押していかなければならない。
プラットフォームな難易度が高い。
バトルもアクションも歯ごたえがしっかりあって楽しい。トゲ地獄が大変だけど、リスタートポイントが小刻みなのでリトライしやすい。
ちなみに、本作には真エンディングがあるんだけど、それを解放するためのニワトリチャレンジは特に大変、大変、大変が続く。
ゲームシステム
5.0
メトロイドヴァニアの探索の面白さと、バトルの楽しさや爽快感、試行錯誤していればちゃんとクリア出来る絶妙な難易度、全てが一級品。
スキルはメトロイドヴァニアでよくあるものが多い。でも、ニワトリ技やプロレス技、そして、この独特なメキシカンワールドは本作にしかない魅力。
ボリュームもいいくらいで、終始楽しい雰囲気で夢中になる。
ぜひぜひ日本語版が出て、もっと多くのアクション好きメトロイドヴァニア好きにプレイしてもらいたい良いゲーム!
やりこみ要素
4.5
寄り道やサブクエストなどはたくさんある。
正規ルートより難しめになっているところで宝箱を探し出したり、NPCが探しているものを見つけてきたり。
更に、なぜか突然「これ、他のゲームだろ」っていうゲーム性が変わる物語が始まったりもする。これが単なる寄り道で発生したりするので、作り込みが半端ない。
また、コスチュームが手に入る宝箱もあって、他のキャラの姿になれたり、Juanの服を変えたり、ファッションを楽しむことも出来る。
まあ、ほぼフザケたものばかりなんだけど。
グラフィック
5.0
グラフィックは、手描きイラスト調で、メキシコならではの派手な色づかい。
死後の世界では、メキシコの死者の日のお祭りを彷彿とさせるポップな見た目の元気な骸骨たちがたくさんいるし。すごく好み。
現世と死者の世界で看板の絵柄が変わっていたり、結構細かいところまで作り込まれている(大体ふざけた内容のポスターなんだけど)。
サウンド
4.0
音楽もメキシカン。
「風吹く荒野に1人たたずむルチャドール、その名はJuan!」てナレーションが聞こえてきそうな渋くてカッコいいメキシカンミュージックから、「さあ、カーニバルだー!」みたいな陽気な曲など、常に賑やかなBGMが流れる。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
歯応えのあるアクション
寄り道が豊富
大量の笑いどころと陽気な雰囲気
残念なところ
日本語版がない
オススメな人
高難易度アクションが好き
メトロイドヴァニアが好き
メキシコ文化が好き
ふざけたノリが好き
オススメではない人
アクションゲームが苦手で諦めやすい
本作と同じくプラットフォーム難易度が高めなメトロイドヴァニア。最高の物語と幻想的な雰囲気も楽しめる高評価作。シリーズ2作発売されている。
本作と同じくオヤジが頑張るメトロイドヴァニア。こちらは渋め路線のウサギのオヤジ。
Guacamelee! 2
http://www.guacamelee2.com
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