『Ori and the Will of the Wisps』レビュー: 良ゲーを超えるのは神ゲー
美しく滑らかなアクションと大自然にのみこまれ、感動の物語に胸が震えるメトロイドヴァニア『Ori and the Will of the Wisps』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Ori and the Will of the Wisps製品情報
タイトル | Ori and the Will of the Wisps |
---|---|
開発元 | Moon Studios |
対応機種 | Nintendo Switch, Xbox, PC |
ジャンル | メトロイドヴァニア, 2D横スクロールアクション |
シリーズ | Ori オリ |
本作は『Ori and the Blind Forest』のその後が描かれている続編だ。本作からでも問題なく物語は楽しめるけれど、前作を知っている方がより感情移入しやすくなっている。
本稿ではXbox版をレビューしている。
Ori and the Will of the Wispsの攻略
ストーリー
オリの新しい家族
前作のエンディング後、オリは平和になったニブルの森で暮らしていた。オリの大切な家族であるナルとグモも一緒だ。
そして、卵から孵ったフクロウのクゥも、オリの家族に加わっていた。
前作の内容をサラッとおさらいすると、元気がなくなったニブルの森を精霊オリが駆け巡り、緑いっぱい元気いっぱいの森の姿を取り戻したという物語が描かれていた。その終盤で、オリはクゥと出会っていた。
クゥの右の翼
小さかったクゥは、すくすく成長してオリよりも身体が大きくなっていく。
しかし、クゥの右の翼には羽根がフサフサと生えてこない。それでも鳥の本能なのか、クゥは飛んでみようとする。でも、やっぱり上手く飛ぶことが出来ない。
何度挑戦しても飛べないクゥは、しょんぼり。でも、ナルもグモも鳥じゃないので解決策は分からず、困り顔で見守ることしかできない。
しかし、オリが閃いた。あの羽根だ!
オリが秘蔵のコレクションから取り出したのは、一枚の大きな羽根(前作の冒険中に手に入れたもの)だ。
そして、器用なグモの手を借りて、大きな羽根をクゥの右の翼にくくりつけてみる。
「え、なんか付けられたんですけど」と怪訝な顔をしていたクゥだけど、試しに羽ばたいてみると、飛べた!
なんとクゥは飛ぶことができるようになった!
はしゃぎすぎてしまったクゥとオリ
嬉しくてたまらないクゥはオリを背中に乗せて、海を超えてどんどん飛んでいく。
「そんなに遠くまで行って大丈夫か?」と思っていたら、案の定。やはりトラブルが勃発する。
ニウェンと呼ばれる森の上空で、クゥとオリは嵐に巻き込まれて墜落してしまう。しかも、離れ離れになって墜落してしまった。
墜落したけれど無事だったオリは、早速クゥを探し始める。
しかし、この二ウェンの森には異変が起こっているらしく、雰囲気がどんよりしている。
その異変がオリ自身の運命を左右するになるとは知らず、オリはクゥを探すため森を進んでいく。
攻略のポイント
プラットフォームアクションなメトロイドヴァニア
本作はメトロイドヴァニアゲームそのものだ。新たなスキルを習得するたびに探索できる範囲が広がり、ゲームが進行していく。
進めるなら、どこから攻略してもいい。
後々便利なスキルを手に入れてからの方が進みやすくなるエリアもあるけれど、持っているスキルだけを駆使して根性で攻略することもある程度可能だ。
オリは2段ジャンプや空中ダッシュだけでなく、空中で敵の弾を踏み台にして更に高く飛ぶなどプラットフォームアクション度が高いスキルがたくさん登場する。
新たな移動スキルは、各地にある神々しく光る樹に触れることで習得できる。
スキルを駆使して進める道を見つけ、時にはボス戦や雑魚敵ラッシュを攻略して進んでいく。
精霊のかけら
オリは、各地で手に入る精霊のかけらを装備して追加のスキルを使用できる。
精霊のかけらで発動できるスキルは、ゲームクリアに必須ものではないものの、探索をより楽にしてくれるものばかりだ。
防御力を高めたり、壁につかまっていられるようになる便利でしかないものもあれば、攻撃力が増すと同時に被ダメージ量も上がるという取り扱い注意な代償付きのものもある。
精霊のかけらは装備できる個数が決まっているので、プレイヤー自身が良い組み合わせを考えて装備する。
避難所サブクエスト
各地にいるNPCからはサブクエストを依頼されることもある。
NPCから「あれがあると便利なんだけどなあ」等と言われて依頼を受ける。目的のアイテムや情報を手に入れて来るという、お使いクエストが多い。
それとは別に、一大事業のサブクエストもある。それは、森に生き残った動物たちのための避難所を整備すること。
工事は全てグロムという建築が得意な種族がやってくれるので、オリは各地から素材となる鉱石を集めてくればいいだけだ。
鉱石をグロムに渡す度に避難所が充実してNPCが増えていき、それによって新たなサブクエストが発生するようにもなる。
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Ori and the Will of the Wispsの評価と感想
物語の面白さ
ストーリーがめちゃくちゃ良い。幻想的な雰囲気もすごく良い。
前作でもそうだったけれど、悪役たちが何故悪役になってしまったかという納得できる経緯がちゃんと描かれている。その分、倒す時には胸が痛むことになるけれど。
感動シーンが盛りだくさんで、エンディングではもう涙がドババババ。(ちなみに、私は前作でも泣いた)。
可愛くてあたたかくて、でも哀しくて切ない。オリの物語も世界も本当に最高だ。別に私のツボというだけでなく(ツボだけど)、万人受けする物語だ。
アクションや探索がメインなのでカットシーンはそんなに多くはないけれど、過不足はなくてがっつり感動してしまう。ただただひたすら良い。
キャラクターの魅力
あちこちで様々なNPCに出会える。前作よりもキャラが増えており、会話も多くなっている(オリ自身にはセリフない)。
で、このNPCたちが、これまた良い。森に棲む動物たちがNPCとして登場し、基本的にみんな見た目も性格も可愛らしい。
動物がキャラになっているので、まるで絵本かアニメーション映画のようだ。
特にクゥのションボリ顔は可愛さが炸裂しているし、巨大カエルのクォルクはエピソード含めて最高だった。
上述した通り、悪役の事情もちゃんと描かれているので、ゲームクリア後にはボス含め全員のことが大好きになっているはず。登場場面が短いキャラも含め全キャラが魅力的に丁寧に描かれている。
操作の快適さ
操作性は最高に良く、挙動はなめらか。
空中でアクションを繋げる操作が多いけれど、ヒュウンヒュンヒュンと空中を舞うようにジャンプすることが出来て、この挙動が最高に気持ち良い。
慣れてくると、着地せずにずっと空中を飛び回っていられるくらい操作しやすく、途切れなくアクションを繋げられる。
バトルでもプラットフォームアクションでも素早い操作が求められるけれど、ボタン操作は複雑ではなくスッキリとしていてプレイしやすい。
難易度バランス
前作含めOriシリーズは高難易度アクションゲームだ。難易度選択もできない。でも、いわゆる死にゲーというわけではない。
正確な操作を矢継ぎ早に求められることが多く、ミスしやすい場所もある。
ジャンプして敵の弾を弾いて更にジャンプとか、ジャンプ中にダッシュとか、空中でのアクションが多い。上下左右トゲ地獄でエリアも多い。
でも、ミスしやすい場所でも数回挑戦すれば攻略できるくらいの難易度なので、歯応えはありつつもテンポ良く攻略できる。
ボス戦もあるけれど、ボス自体が強いというより攻撃するタイミングと回避に徹するタイミングが分かれており、ボスというより的確に操作しなければならない自分との戦いだ。
というわけで、プラットフォームアクションの難しさの方がメインだ。
ゲームシステムの面白さ
探索できる場所が広がっていくテンポが良く操作も気持ち良い、そして展開が気になる物語にも惹き込まれる。時間を忘れ没頭してプレイした。
神レベルのメトロイドヴァニアゲームをプレイすると必ず発症する探索中毒にも冒頭から陥っていた。
空中でのアクションが多彩で、それを活かせるように上下左右に足場が点在するマップ構造はよく練られていて、どこを進んでいても楽しい。
そして、前作にはなかったボス戦もある。タイムアタックもあるし、ウェーブで攻めてくる敵を全て倒すなどバトル要素は前作よりもパワーアップしている。
前作の時点で素晴らしいゲームだったけれど、続編では全てが良い方向に進化して、もはや神の領域に入った。控えめに言っても最高。
やりこみ要素の楽しさ
メトロイドヴァニアなので、まずはマップを隅々まで探索することが最大のやり込み要素だ。
前作よりもボリュームアップしているので、ややボリューム少なめだった前作をプレイ済みの人の探索欲を十分に満たしてくれる。
そしてサブクエストやタイムアタックなどのチャレンジも各地に用意されているので、たっぷり楽しい。
そして、避難所を作っていくサブクエストでは目に見えて避難所が栄えていくので、やりがいを感じやすく、一番コンプリートをおすすめしたいやり込み要素だ。
グラフィックの芸術性
ゲームプレイが最高なのはもちろんだけど、本作は芸術面も最高級だ。
幻想的な雰囲気ムンムンの水彩画っぽい手描き調のグラフィックだ。
背景までしっかり描き込まれていて、雄大な自然の風景を眺めながら探索できる。火山や水中や緑萌える森などエリアによって風景がガラッと変わるのも楽しい。
キャラデザインは可愛くて絵本のようだ。ゲームプレイ画像そのままでも画集に出来そうなほど美しい。
サウンドの魅力
前作に引き続き、BGMが最強。もう、音楽だけで泣いてしまうレベル。
ボス戦などめちゃくちゃ急いで進まないといけない緊急事態の場面に限って、神テーマ曲が盛り上がって流れてくる。
「うわー(汗)うわー(感涙)」と、手が忙しかったり感情が忙しかったり。盛り上がるところで最強に盛り上げて来る。
ゲーム音楽好きな人は必聴!フルオーケストラ演奏で音が良すぎる。
サントラはこちら
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Ori and the Wil of the Wispsレビューのまとめ
おすすめな人
- メトロイドヴァニアが好き
- プラットフォームアクションが好き
- 物語で感動したい
- 前作のファン
おすすめではない人
- バトルをメインに楽しみたい
- 虫が死ぬほど嫌い(一部のエリアが虫の巣)
総合評価良いところ&残念なところ
- 滑らかで気持ち良く、歯ごたえもあるプラットフォームアクション
- 探索が楽しいマップ構造
- 感動する物語と高い芸術性
- サブクエストは単純なおつかいに過ぎない
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関連ゲーム
Ori and the Blind Forest オリとくらやみの森
本作の前の物語。本作よりボリュームは少なめだけど、こちらも感動の物語や高い芸術性が味わえる。
本作よりもプラットフォームアクションの方がメインで、セーブポイントを自分で設定するなど本作と異なるシステムが楽しめる。
No Rest for the Wicked
本作開発元が手がける新たなゲーム。ジャンルが変わり見下ろし型のアクションRPGとなる。
芸術性の高さやアクションの面白さはもちろんのこと、オリシリーズとは異なりダークな雰囲気も魅力。
似ているゲーム
Hollow Knight ホロウナイト
神レベルのメトロイドヴァニアならこちらもおすすめ。
本作よりバトル要素が強めのソウルライクゲームでもある高評価作。
複雑に入り組んだマップ構造の探索が面白く、キャラも魅力的で考察が捗る物語も味わえる。
Guacamelee! 2
プラットフォームアクション度高めなメトロイドヴァニアゲームなら、こちらもおすすめ。
次元を切り替えながら探索するのが面白く、空中でたくさんの操作が求められる歯ごたえが味わえる。
メキシカンな雰囲気やバトルではプロレス技など笑いどころも多い高評価作。
Ori and the Will of the Wisps
© 2020 Microsoft.
https://www.orithegame.com
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