『Tails Noir』レビュー: 衝撃の背骨(旧題: Backbone)
『Tails Noir』は、EggNutが開発したアドベンチャーゲーム。発売当初の『Backbone』から改題されている。
公式によると本作の特徴はポスト・ノワール調と表現されている。
闇社会や犯罪、殺伐とした都市が描かれ、渋いおじさんや謎多き女性が登場するのがノワールの特徴。本作はその進化系ということだ。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
また、本作の前日譚が描かれるシリーズ第2作目『Tails Noir Preludes』も発売されている。
『Tails Noir』とはどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
アライグマ探偵
薄汚れた事務所で依頼を受けている探偵のアライグマ。
このアライグマこそが、本作の主人公であるハワード。
本作は、擬人化された動物たちが暮らす都市が舞台。みんな喋りまくるし二足歩行だ。
ところが、「わぁ、メルヘンな世界!」ではない。残念ながら。
動物の種類によって差別や階級があるようだ。動物みんな仲良しというわけではない。
社会の闇を覗く
ハワードが今回受けた依頼は、とある女性から失踪した夫を探して欲しいという内容。
ハワードは夫につながる手がかりを集めながら、彼が足繁く通っていたらしいバーを行き着く。
街の大物をクラリッサが経営するバイツという名のバーだ。
しかし、そこで、夫の消息どころか、クラリッサのとんでもない商売を目撃することになる。
巻き込まれ体質
とんでもない事実を知ってしまったハワードは、レニーという魅力的なキツネから「相棒にならないか?」という誘いを持ちかけられる。
レニーは社会の闇を暴こうとしている、やる気に満ち溢れた記者だ。
レニーからの情報に助けられつつ、ハワードは更にクラリッサの「商売」に迫っていくことになる。
それが、巨大な陰謀ととてつもない急展開へと繋がっていくとも知らず。
壮大な事件に巻き込まれていくハワードは一体どうなるのか。
ゲームの特徴Features
お喋りお喋りお喋り
本作は2D横スクロールでプレイする、物語主導型のアドベンチャーゲーム。
ゲームの進行に沿って舞台が変わり(自分で自由にエリアを行き来出来ないし、チャプター選択もできない)、その街にいる人に話しかけたり、特定の物を調べることで物語が進む。
会話中には選択肢がたくさん登場するけれど、好きな選択肢を選べばいい。
物語中には、ほんのり謎解き要素もある。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
「犯罪を暴けばいいんだな、オッケー!」と思って聞き込み捜査しながら推理。ふむふむ。
が、物語の中盤から物語の様相がガラリと変わる。ちょっとどころじゃない、ものすごい豹変ぶり。
そんな話になる!?なっちゃっていいのか!?
本作序盤の雰囲気が気に入っていた人にとっては、「え!話が違うんだが!」となってしまうかも。
でも、劇的な展開があるとはいえ、ノワール調でありセリフのみで進んでいくので、全体的には落ち着いた雰囲気でミステリーが楽しめる。
キャラクターの魅力
3.5
物の内容を一切無視したら、可愛らしく見える動物キャラばかり。
でも、実際には、腹黒かったり、ひねくれてたり、やさぐれてたり、薬物中毒だったり。可愛いとは程遠いヤツらばかり。
その分、人間味溢れていて、本作の物語が寓話に思えてくる。人間社会の縮図のようだ。
渋いハードボイルド小説などに出てきそうなキャラばかり。
操作性
3.5
会話するだけなので、複雑な操作や高い精度が求められることもない。
調べられる物や話しかけられるNPCの近くに行くとアイコンが表示されるので迷うことはない。
ゆったりしたペースのゲームだけど、ダッシュが可能だし、カットシーンのスキップも可能。
難易度バランス
3.5
ほんのり謎解きがあるけど、本当にほんのり。難しくもない。
会話中には選択肢が登場する場面が多いけれど、どれを選んでもちゃんと話は進んでいく。
一見、物語が分岐しそうに見えるものの、選択によって失敗とか手詰まりになることはない。
純粋に物語を楽しむゲームだ。
ゲームシステム
3.5
本作は、本作の世界設定や雰囲気が好みかどうかによって、面白いと感じるかが変わると思う。
好みなら、グラフィックや雰囲気を堪能しつつ、「へえー、そんな結末になるのかあ」と小説のように楽しめる。
好みじゃなければ、途中から「え、何これ?何やらされてんの?」と引いていってしまうかも。
ゲーム性は低めで、テキストを読んでいる時間が1番長い。
やりこみ要素
3.0
そこら中の物を調べまくたり、通りすがりの人に喋りかけたり、攻略に関係ないことも出来る。
あとは、周回プレイで別の選択肢を選んでみるくらいがやり込み要素だけど、細かくチャプター選択も出来ないし、劇的に変わるわけでもないので、あまりやる気は湧かない。
グラフィック
5.0
ピクセルアート好きなら、本作の緻密に描き込まれたドット絵目的だけでも本作をプレイして欲しいくらい完成度が高いグラフィック。
ノワールな雰囲気も、擬人化された動物キャラたちも、かなり細かく描き込まれている。
更に、チャプター間のカットシーンなどは手描きイラスト調のグラフィックになるんだけど、それもまた芸術性が高い。
物語を読み、そして目で見て楽しむゲームだ。
サウンド
3.5
完全にノワール。
葉巻の匂いが漂い、ジャズが流れてきて…みたいな雰囲気。
物語は急展開しても、BGMは常に落ち着いている。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
ノワールな雰囲気満点
緻密で美しいピクセルアート
残念なところ
謎解き要素は少し
物語が突然変わり人を選ぶ内容
オススメな人
ピクセルアートが好き
物語を読むのが好き
短時間でクリアできるゲームを探している
オススメではない人
ゲーム性を楽しみたい
テキストを読むのが面倒くさい
派手な演出が好き
Genesis Noir
芸術的なグラフィックとノワール調の雰囲気が好きならコチラもオススメ。宇宙の起源になぞらえた物語と謎解きが楽しめる。
和階堂真シリーズ
こちらも、ハードボイルドな刑事が殺人事件を解決していくポイント&クリック型のアドベンチャーゲーム。ミニマルなピクセルアートも魅力。現在、3作配信されている。
Backbone
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