『El Hijo A Wild West Tale エル イホ』レビュー: 母をたずねてコソコソ三千里
『El Hijo A Wild West Tale エル イホ』とは、Honig StudiosとQuantumfrogが開発したステルスアクションゲーム。
見下ろし視点の2Dアクションでプレイする。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PC、iOS、Androidでプレイ可能。私はPS版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。また、本作と似ているゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
メキシカンな西部劇
本作の舞台は西部開拓時代の西部のどこか。
主人公は6歳の少年エル・イホ。素敵なポンチョを着ていて、メキシコ系っぽい。恐らく舞台はメキシコ近くの西部だ。
本作は、アメリカンな西部劇ではなく、マカロニ・ウェスタン系(イタリア系西部劇)と呼ばれるジャンルのメキシコ革命な物語となっている。
保安官が出てきて「早撃ち対決だ!」とか、カウボーイが「ヒーハーッ!」というのとは違った西部劇だ。
脅かされる平和
主人公のエル・イホは、のどかな農場で大好きなお母さんと2人でほのぼの暮らしている。
が、西部劇のお決まり。ならず者達がやってくる。農場に火を放ち、やりたい放題。
母とエルはなんとか逃げ延びたけど、母は何かを決意したようだ。
そして、エルを修道院に預けて、どこかへ行ってしまう。
お母さーーん!
修道院で暮らしていたエルだけど、胸騒ぎがする。お母さんが危ない!気がする!
居ても立っても居られなくなったエルは、修道院から抜け出して、お母さんを探しに行くことに。
なんて勇敢な少年なんだ。がんばれ!エル・イホ!
というナレーションを付けたくなるくらい、小さい少年が奮闘する物語が始まる。
ゲームの特徴Features
倒せない
本作はステルスアクションゲームであり、ステルスがメイン。敵を倒すことは出来ない。
巡回したり見張っている敵に見つかってしまうとゲームオーバーとなり、チェックポイントからやり直し。
でも、主人公は小鳥を連れている。小鳥を上空に飛ばすと、広い範囲を見渡すことができて、隠れる場所や敵の視界を把握することが出来る。
ゲームは物語の進行に合わせてステージが変わり、各ステージではスタート地点からゴールを目指して隠れて進んでいくことになる。
おもちゃで切り抜ける
敵の視線をくぐり抜けて物影に隠れながら進んでいくのが基本の攻略法。
だけど、万全の体制で警備されているところもあるし、絶妙な位置に立ったままの敵もいる。
そんな時は、おもちゃの出番。
オモチャには、パチンコやカタカタ歩く兵隊のオモチャや花火などがあり、ゲーム進行と共に使えるオモチャの種類は増えていく。
音を鳴らして敵を誘導したり、一定時間敵の視界を無効化したりと、それぞれ効果は違う。
便利なものではあるけれど、パチンコ以外のオモチャはそれぞれ3個までしか所持出来ないので、やりくりしなければいけない。
子供たちのヒーロー!
各ステージでのゴールまでの正解ルートは必ずしも一本ではない。
更にステージ上には働いている子供や捕まっている子供もいる。
彼らの元に立ち寄って励ましてあげるのが本作のやり込み要素。
何人を励ますことが出来たかによって、ギャラリーで見れるコンセプトアートなどがアンロックされる。
それだけでなく、オモチャを補充してくれたり、近道になるルートに案内してくれたり、ゲームプレイ上でも恩恵がある。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
3.5
少年がお母さんに会いに行こう!っていう、まさに「母をたずねて三千里」。
でも、この母はじっと待ってるわけではない。お母さんを操作するパートもあって、意外な展開に。お母さんは勇敢すぎてカッコイイ!
ゲーム内にはセリフはないし、複雑なストーリーっていうわけでもない。
でも、ならず者、修道士、開拓者たち敵側は、よく見ているとこれまた意外な関係が分かってくる。ゲスな奴らめ!
しっかり先が気になる展開でテンポも良い。が、物語の描写は少なめだ。
キャラクターの魅力
3.5
主人公はまだ幼い少年であることを忘れるくらい、度胸も勇気もいっぱい。
キャラクターの描写も少なめなので、愛着は湧きにくい。でも、親子愛はしっかり感じとれて、なんとか2人を無事に再会させてあげたくなる。
操作性
3.0
操作性は気になるところあり。
妙なところに引っかかって動きにくくなったり、物陰に隠れるコマンドが上手く表示されなかったり。
そうなると「ちょちょちょちょちょ、隠れないと見つかるでしょーが!」と焦り、案の定捕まっちゃう。あーあ。
ということが、所々で起きる。
でも、チェックポイントは小刻みに用意されているので、コマンドが表示される位置どりを覚えてやり直せば大丈夫。
操作方法自体はそんなに複雑ではない。
難易度バランス
4.0
ステルスゲームだけど、めちゃくちゃ難しすぎたり、敵が賢すぎることもない。
敵の視力と聴覚が心配になるくらい主人公をすぐ見失ってくれるので、「あれ、通っていいの?」とスイスイッと進めてしまうところもある。
意外と大胆に進むと上手くいってしまうことも。
でも、ゲームが進むごとに敵の配置がいやらしくなってきて、走り抜るだけでは上手くいかなくなってくる。
おもちゃの使いどころを考えたり、通っていく道順を試行錯誤するステルスの楽しさがしっかり味わえる。
ゲームシステム
4.0
ステルスゲームだけど、主人公が走った時しか足音は鳴らないし、敵の視界は広くなく、追跡や警戒もしつこくない。
息を殺しながらアクションの上手さや慎重さで切り抜けるというより、パズルを解くように楽しめる。
主人公が丸腰であること、子供ならではのオモチャを使ったり狭い場所を利用するというのが本作の面白さ。
その分、横着は出来ず、タイミングを見計らって無理なく動ける道を見つけなければならない。
おもちゃの使い所を考えるのも面白くて、ステージ上で補充も出来るけれど、使いまくっているとステージの後半で自分の首を絞めることになる。
ステージごとにギミックも違うし、ボリュームもしっかりある。
やりこみ要素
4.0
やり込み要素は上述したステージ上の各所にいる子どもを励まして回ること。
これをやるかどうかで、各ステージの難しさも面白さもかなり変わるので、積極的に挑戦した方が圧倒的に楽しい。
もちろん、子ども達の元に辿り着くのは、単純にクリアするより難しい道のりが多い。貴重なおもちゃを使わないといけない場合も多いし。
でも、励した子に主人公がイタズラや遊びを教えてあげるんだけど、これが大人を上手く懲らしめるイタズラばかりで、個人的にお気に入り。
死んだような目で労働していた子供たちが活き活きとしてきて微笑ましい。やる気が湧くやり込み要素だ。
グラフィック
3.5
ところどころでカットシーンもある。全体的にイラスト調のグラフィック。
特に高画質というわけではないけれど良い雰囲気。
サウンド
3.0
音楽は、西部劇というよりメキシカンな雰囲気の方が強め。
でも、BGMより敵の鼻歌の方が耳に残る(鼻歌歌ってる敵は音を立てても気づかない。すぐ近くで花火が暴発しても気づかないほど爆音で歌ってるようだ)。
総合評価Summary
3.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
ルートを考えるのが面白い
パズルのようなステルス
ボリュームたっぷり
やり込み要素が面白い
残念なところ
操作性に気になるところあり
敵が追跡を諦めがち
オススメな人
ステルスが好き
頭を使うゲームを探している
バトルがないゲームが好き
オススメではない人
敵を倒したい
じっくり進むのが面倒くさい
本作のようなパズルのように攻略するステルスアクションゲーム。本作より敵がしつこくてアクション性が高いけれど、こちらも主人公が丸腰なので、より緊張感が味わえる。
もっと本格的なステルスを楽しむなら、こちらがおすすめ。敵が賢く、資源管理するサバイバルしながら手に汗握るステルスが楽しめる高評価作。
El Hijo A Wild West Tale エル イホ
http://www.elhijogame.com
© 2020 Honig Studios. Developed by Honig Studios, co-developed by Quantumfrog and published by www.Handy-Games.com GmbH, Germany. Honig Studios, El Hijo and their respective logos are trademarks and/or registered trademarks of Honig Studios. All other brands, product names, and logos are trademarks or registered trademarks of their respective owners. All rights reserved. Funded by nordmedia – Film- und Mediengesellschaft Niedersachsen/Bremen mbH.