『Serial Cleaner シリアルクリーナー ジョージの裏シゴト』は、Draw Distance(前 iFun4all)が開発したインディーのステルスアクションゲーム。
フラットなイラストで描かれる2Dグラフィックで、見下ろし視点でプレイする。
PS4、Nintendo Switch、PC、iOSでプレイ可能。私はNintendo Switch版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。
ちなみに、本作の続編も開発中であることが発表されている。
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あらすじStory
舞台は、1970年代のアメリカ。石油ショックやディスコなど、当時を彷彿とさせるニュースも登場する。
主人公ジョージは、母親と二人暮らしで実家暮らし。恐らくイイ年なんだが、定職には就かず、「殺人現場のクリーニング」という裏稼業で暮らしている。
警察から依頼される正規のクリーニングではなく、殺人がバレちゃマズい人からの依頼を請け負っている。
といっても、ジョージは「冷徹なプロ」というわけではなく、危ない連中相手にギャンブルで作ってしまった借金返済のために仕方なくクリーニング業をやっている。ごくごく普通のダメ人間。
もちろん、仕事のことは、お母さんには秘密だ。

ヤバイ奴相手の仕事だから仕方ないと言えば仕方ないのだが、ジョージはコロコロとヤバイ事態に巻き込まれていくことになる。

ゲームの特徴Features

1殺人事件現場が1ステージのステージクリア型。
ステージの合間には、お母さんとの心温まる会話がありつつ、ステージが進むごとにストーリーが進んでいく。
ステージ開始の冒頭に「清掃依頼」の電話がかかってきて、愛車で事件現場に向かう。
ステージとなる事件現場には、死体、血痕、証拠品が落ちている。ジョージに依頼してくるのは「犯人側」なので、それら殺人を示すものを回収するのが目的。
殺人現場には見張りの警察官や警備員が巡回している。現場保全のため、それはそれは厳重に警備している。
彼らの目(オレンジ色のエリアが彼らの視界)をかいくぐりながら、証拠品、死体、血痕を全て回収し、愛車で殺人現場を走り去れればステージクリア。

警察に見つかると追いかけられ、逃げきれずに捕まってしまうと、ステージ始めからやり直しになる。
しかも、再スタートの度に、証拠や死体の配置が変わってしまう。しかし、警察の行動やステージの大まかな構造は同じなので、ある程度「覚えゲー」ではある。
Nintendo Switch版では、ZLボタンを押している間は「クリーナーセンス」が発揮され、ステージの構造や警察官の居場所がリアルタイムで分かる。

証拠品は「拾う」だけで完了。
ちなみに、この証拠品は、ジョージが自宅にコレクションとして飾っている。証拠品を持っておくなんてかなりヤバいと思うが、ジョージの収集癖らしいので仕方ない。
死体は「担いで運び」、そして、愛車に「積みこむ」。
しかし、ステージによっては、ワニや魚に食べさせたり、薬品に投入するなどの「遺棄」も可能。
血痕は、どんな洗剤メーカーも驚きのクリーナーで拭き取っていく。掃除機のようなもので血痕の上をウィーンと拭くと消えてしまう。
ステージごとに目標の拭き取る血液量が決まっていて、目標量が達成できればクリア。

現場には、ギミックがたくさんある。
隠れることが出来る箱や植物の茂み。警察に見つかって追い回されても、警察の目の前で隠れたとしても、隠れてしまえば警察はジョージを見失ってしまうという魔法のスポット。
そして、動かせるもの。道を通せんぼする大きな箱や、スイッチでスライドするドアなど。ジョージ自身が通るためだけではなく、警察官の巡回ルートも変えることが出来る。
さらに、ジョージだけが通れる近道もある。しかも、死体を担いだまま通れる。
警察に見つかった時も、近道からワープしてしまえば、警察はジョージを見失ってしまう。ドアを開けてみようとは、微塵も思わないようだ。

ステージ内には、クリアに関係ないモノも落ちている。
ファッション雑誌を取ると、ジョージのコスチュームが増える。1970年代を感じさせる、かなりフザケた衣装ばかり。
また、ステージ内には、うまく背景に溶け込んでいるアイテムが落ちている。それを拾うと、対応するボーナスステージが解禁される。
ボーナスステージは、ストーリーとは関係ないけれど、1970年代の映画を彷彿とさせるステージばかりで元ネタを知っているとより楽しめる。
感想Impressions
次の一手を考えながら走る

ステージ内にあるギミック、巡回ルートの決まっている警察官。ということは、パズルだ。ステージ全体を把握して、作戦を立てて最適ルートを考える。
攻略していく順番をアレコレ考えるのが面白いけれど、このゲームを更に面白くしてるのは、アクション要素も大きいこと。
効率の良いルートじゃなくても、ジョージの爆走と「あえて」見つかって巡回ルートを崩すことで、意外な道が見つかることも多い。
警察官複数人の視界と視界の狭間に立って「息を殺せ!かすかにでも動くな!」からの、「走れー!死体を華麗に担ぎ上げつつ一気に突破しろー!」が、最高に気持ちいい。
ジョージに攻撃手段などはないので、丸腰で大胆に豪快に警察官の包囲網に飛び込んでいくヒヤヒヤ感も楽しい。
パズルなんだけど、アクションでもあり、文字通り「考えながら走る」という面白い体験が出来る。
センスの塊

本作には、まず世界設定が面白くて興味惹かれた。
殺人現場で犯人や警察がステルスしていくゲームっていうなら「どこかで見たことがある設定だな」と思うけれど、一般人の非合法掃除屋さんがステルスするという珍しい設定。
そして、うだつの上がらない主人公の映画にありそうな「いつの間にか大事件に巻き込まれていく」的なストーリー。良いくらいのボリュームに上手くまとまっていて、テンポ良く急展開していく。
そして、なんといってもグラフィックと音楽が最高。どこを撮っても、そのままポスターに出来そうなデザイン性の高さ。
殺人現場というグロい舞台だけれど全くグロさは感じない。
殺人現場でステルスなんて、不気味で怖くてハードボイルドにでもなりそうなテーマなのに、一貫していい感じに気の抜けたオシャレさ。
ハイセンスに追いつかない空間認知

ステージもすべてフラットデザインなので、「段差があって通れない」とか「行き止まりになっている、隙間がある」といったところが分かりにくい箇所がいくつかあった。
かなり上手く進んで「最後一個の証拠品拾うのみ!」といった時に限って、通れると思っていた場所が通れないことがあって「グラフィックがハイセンスすぎかー!」と焦る。
苦手なルートに死体が転がっている絶望感

ステージによって「あ、ここは警察を上手くかわせるな」というエリアがある。一方、「ここは嫌だな」というエリアも。
警察に捕まるとリスタートになってしまうけれど、そのたびに死体や証拠品の配置がランダムに変わる(ある程度パターンはある)。「上手くいく」エリアに証拠も死体も集まってると「あ、勝ち確定」となる。
一方、苦手なエリアに死体が2体も転がってる時なんて、「うわ、絶対ミスりそう」とスタート時点から敗北を感じる。
何回もリスタートすれば、いつかはクリア出来る配置になるぞっていう優しさだと思うけれど、難易度がかなり変わる時があって、「あれ?」と拍子抜けになることも。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
頭を使いながらのアクション
とにかくハイセンス
いいぐらいで終わるまとまったコンパクト感
先が気になるストーリー
残念なところ
フラットすぎて分からない道
ランダム配置による難易度の振れ幅
オススメな人
アクションとパズルの両方が好き
芸術性の高いゲームが好き
ヴィンテージな雰囲気が好き
オススメではない人
ステルスが苦手
敵と真正面から戦いたい
本作が好きならオススメRecommendation
本作と同じく丸腰の主人公が知恵を絞って進むステルスアクションゲーム。様々な道具を使い分ける自由度の高いステルスが楽しめる。

武器で戦えるステルスならコチラ。過酷な物語で歯応えのあるサバイバルとステルスプレイが味わえる高評価タイトル。


Serial Cleaner シリアルクリーナー ジョージの裏シゴト
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Serial Cleaner ™ & © iFun4All S.A. Licensed by Curve Digital. Licensed to and published in Japan by Teyon Japan.