『Hunt the Night』レビュー: 深刻な2頭身
『Hunt the Night』とは、Moonlight Gamesが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
見下ろし視点の2Dアクションでプレイする。
本作は、PCでプレイ可能。私はゲームパッドを使用してプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
昼と夜
本作の世界は、昼と夜が交互に入れ替わっている世界。
「いや、そんなの現実世界と同じだし、当たり前じゃん」と思うけれど、本作の「昼」と「夜」は雨季乾季とか氷河期とか、そういう一定の期間を表している。
ざっくり書くと、「昼」は人類が安全に暮らせる期間で、「夜」はモンスターが世界に溢れ、人間も狂気に堕ちてしまう期間だ。
そんな昼夜サイクルが繰り返されており、「夜」を迎える度に人類は徐々に絶滅に追い込まれていっている。
そうして細々とサイクルを超えて生き延びている人類の第9世代が身を寄せながら暮らす「夜」から物語は始まる。
ストーカーズ
本作の主人公はヴェスパー。
ストーカーズと呼ばれる「夜」に対抗する部隊の一員だ。
ストーカーズは「夜」の力を利用して怪物たちを退治し、生き残った人々を守るだけでなく、「夜」の永久的な封印を目指している。
ヴェスパーも任務に就いており、「夜」の怪物を倒し、避難所となるレイヴンフォードの安全確保と「夜」の封印の糸口を見つけることが出来た。
そこには、他のストーカーズや近くの住民、更には「夜」を崇める人々さえ避難してくる。
訳ありヴェスパー
そんな成果をあげたヴェスパーだけど、皆んなからあまり褒めてはもらえない。
冒頭から頑張って戦ったのに、プレイヤー側も寂しくなってしまう。
しかも、ストーカーズの隊員の中には逆にヴェスパーに疑いの目を向ける者もいる。
なぜかというと、ヴェスパーの父が原因らしい。
ヴェスパーの父もかつてストーカーズの一員だったけれど、以前、彼のせいで「夜」の封印に失敗したという。
しかも、単純に力不足で怪物に負けたとかというわけではなく、「裏切り者」と呼ばれており、何か訳がありそう。
また、他の人には絶対秘密だけど、ヴェスパーは内なる「夜」を抱えている特異体質だ。
というわけで、複雑な事情を抱えているヴェスパーは、家族の汚名を晴らすためにも任務を遂行していく。
ゲームの特徴Features
預言に従え
本作では、拠点であるレイヴンフォードから、各地へと探索しながら進んでいく。
物語が進行しないと進めない場所もあるけれど、拠点にいる預言者からメインストーリーの目的地を教えてもらうことができる。
拠点では、ヴェスパーの武器の強化や買い物などが出来る。
またセーブポイントである石像間ではファストトラベルも可能だ。
「夜」を操る
ヴェスパーは、近接攻撃と遠距離攻撃で戦う。
様々な武器が登場し、攻撃速度や射程などは武器種によって異なる。毒や吸血など追加効果付きの武器も多い。
また、ヴェスパーが属するストーカーズは「夜」の力を使うことが出来て、ステップ回避(足場間を移動出来るので探索でも活躍する)やダークパワーと呼ばれる魔法のようなスキルが使える。
こうした「夜」の力には、時間経過で回復するダークメーターを消費する(ダークパワーは固有のクールタイムも必要なので連発はできない)。
また、ヴェスパーは内なる「夜」であるアンブラを分身のように召喚し、ヴェスパーから離れて移動させ、ヴェスパーだけでは辿り着けない足場にテレポートが出来る。
ひと狩り行こうぜ
本作では、敵を倒すとお金は手に入るけれど、経験値やレベルの概念はない。
装備品でステータスアップすることになるけれど、強化アイテムを手に入れることで永続的なアップグレードも出来る。
永続アップグレードアイテムは探索することで見つかる場合もあるけれど、狩りの報酬でも手に入る。
拠点の酒場でお金を払うと、強敵がいる場所を教えてもらえる。
そして、その場所を見つけて無事に強敵をぶっ倒せば、貴重な強化アイテムの報酬を獲得出来る。
強敵に挑まなければ強くもなれないわけだ。
ちなみに、本作では画面遷移すると一部の雑魚敵は復活する。また、死んだらセーブポイントに戻されるけれどデスペナルティは特にない。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
夜が続くとか血を飲むとか、更に狂気に堕ちる人々や触手も満載で、良い気持ち悪さが楽しめる。
高評価アクションアドベンチャーゲーム『Bloodborne ブラッドボーン』に近い雰囲気だ。
キャラが2頭身なので一見可愛く見えるけれど、世界も物語も不気味さ満点で、人類絶滅の危機な状況なので常に深刻だ。
で、ブラボっぽいということは、そう、スッと分かりやすいわけではない。
悪い予感しかしない誰かの日記や、収集要素でもあるカラスの羽根を読んで考察しながら進んでいくことになる。
でも、父の罪に苦悩するなどヴェスパーの物語は分かりやすいので、ちゃんと感情移入して楽しめる。
不穏な事実が明らかになっていくテンポが良くて、ボスに足止めされつつも先が気になってどんどん進めたくなる。
キャラクターの魅力
4.0
NPCは結構たくさんいる。しかし、みんなアテにはならない。
上述した通り、物語は自力でテキスト情報を探して読み解く。
メインストーリーの目的地を教えてくれる預言者でさえ、フレーバーテキストのような口調だし、みんな完治不可能な厨二病を患っているレベルで、思わせぶりで物騒なことを呟いている(褒めてる)。
中には優しい人もいるんだけど、みんな怪しく見えるので完全に信じ切ることもできない。
そんな感じではあるけれど、NPCが多い分、会話する楽しみが味わえる。
操作性
4.0
操作方法はそんなに複雑ではない。が、挙動はちょっと慣れが必要。
ボタン入力した瞬間にシュバッと動くのではなく、ほんの少しタメ時間があるように感じる。
もちろんボスともなると矢継ぎ早に攻めて来るけれど、それでもすごくハイペースというわけではない。
主人公も敵も、やや重ためな動きだ。特に大剣の挙動は重すぎる。
ただ、唯一回避だけは発動が素早い。そのため攻撃時などと同じタイミングで方向指示すると間に合わないことがある。
思わぬ方向に回避してしまい穴に落ちてしまうことも。
見下ろし視点のアクションゲームだとサクサク攻撃出来るゲームが多いけれど、本作はそういった気持ち良い操作感というわけではない。たまに疑惑の当たり判定もある。
でも、本作ならではの挙動に慣れてしまえば、攻略に支障はない。
難易度バランス
4.0
本作は歯ごたえしっかり。特にボス戦だ。
道中では画面遷移で雑魚敵が復活する面倒臭さはあるけれど、お金で主人公を一定量アップグレード出来るので、お金稼ぎになるバトルはあまり苦にならない。
ボス戦では攻撃パターンをしっかり見極めて立ち回るバトルが楽しめる。
でも、デスペナルティはないし、バトルはハイペースというわけではないので、がっつり死にゲーみたいな厳しさはない。もちろん、ボスには苦戦するけれど。
バトルでは遠距離武器がかなり重要なので、残弾数を回復しながら戦うのが面白いところ。
ゲームシステム
4.0
上述した通り、近距離と遠距離を交えた歯ごたえのあるバトルが楽しめる。
武器によって挙動がしっかり変わるし、遠距離攻撃の追加効果やムーンストーンと呼ばれるアクセサリ的な装備品の組み合わせを考えるのも楽しい。
そうしたバトルと共に探索が面白い。
最初から行ける場所がチラチラ見えてワクワクする。
回り道してきて辿り着けたり、他の場所でアイテムを見つけて来てやっと鍵が開いたり、謎解きも楽しめる。
預言者は進む方角は教えてくれるけれど、道中は自分で道を見つけていくことになるので探索がしっかり楽しめる。寄り道も多い。
やりこみ要素
4.0
寄り道とハント攻略がやり込み要素。
様々な武器があちこちに隠されているし、閉ざされた扉を開くアイテムや物語をより理解できるカラスの羽根は各地を隅々まで探さなければならない。
強敵ハントは、ヴェスパーを強化できるのでやる気が湧く。
ただ、酒場で強敵の情報を買う際には場所のヒントが表示されるんだけど、インベントリから場所の情報は見れない。
え、情報を買ったのに!
場所を探すのは楽しいんだけど、酒場に行かないとヒントを見れない面倒くささは必要あるのか。あと討伐済みかどうかも確認できない。ここが本作で1番モヤッとしたところ。
グラフィック
4.0
レトロ感ムンムンなピクセルアートグラフィック。
キャラは2頭身ちびキャラで可愛い。
が、そこかしこに禍々しい黒い触手が蔓延っているし、当たり前だけど敵はみんな顔色が悪い。
画面は全体的に暗めで、惨殺された人や血痕がそこら中に撒き散らされていて、ちびキャラの可愛さは良い意味で完全にかき消されている。
美しい月夜やセリフ時の立ち絵等は描き込まれていて、ピクセルアート好きも満足なクオリティ。
サウンド
4.0
世界設定や物語の様子から分かる通り、BGMは常に不穏だ。バトルになるとテンポはやや上がるけれど、基本的に不気味成分多めなBGM。
また、本作は効果音がしっかり鳴る。
驚かせたり怖がらせる演出があって、突然大きな物音が鳴ったりする。
私はなぜかホラー演出が効かない不便な体質なので程度が分からないけれど、ホラー演出が苦手な人は、おどかされる心構えをしながら進んだ方がいいかも。
ただ、本作では、敵の攻撃を見極めるには効果音をよく聞いておかなければならないので、あんまり音量を低くしない方がいい。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
寄り道が多く探索が面白い
歯ごたえのあるバトル
独創的な世界設定
不気味な雰囲気
残念なところ
重ためな挙動
ハント情報が適時確認できない
オススメな人
歯ごたえのある難易度が好き
探索が好き
物語を考察するのが好き
オススメではない人
軽快な操作性を求めている
不気味な雰囲気が苦手
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本作と同じく見下ろし視点でプレイする歯ごたえのあるアクションアドベンチャーゲーム。こちらも、残弾数を回復しながら近接攻撃と遠距離攻撃を交えて戦う。かなりハイペースな立ち回りが魅力の高評価作。
こちらは3Dアクションだけど、不気味で狂気に堕ちていく街で考察も捗る高難易度アクションが楽しめる。死にゲー要素がしっかり詰め込まれていて、攻防交えたバトルが魅力。
Hunt the Night
深刻な2頭身
「夜」が続く独特で不気味な世界を舞台に歯ごたえのあるバトルが楽しめるアクションアドベンチャーゲーム。
探索要素ややり込み要素と共に考察がはかどる物語に惹き込まれ、レトロゲームさを感じるグラフィックも魅力。
Hunt the Night
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