『Let’s Build a Zoo』レビュー: 悪い顔になっていく園長
『Let’s Build a Zoo』とは、Springloadedが開発した経営系シミュレーションゲーム。
本作は、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
動物園作っちゃおう
ゲームが始まると主人公の見た目を選び、動物園の名前を好きに付ける。
そこからは、とある投資家からの資金を得て、土地と動物園運営事務所だけがある空っぽの土地に動物園を作っていく。
物語の設定は、それだけだ。
動物園は園長次第
動物を繁殖させ、動物の種類を増やし、動物園はどんどんにぎやかになっていく。
しかし、動物園が大きくなっていくにつれ、怪しげな業者がうまい話をもちかけてくる。
そして、自然界に存在しないような動物を生み出したり。
更には、お客様には絶対見せられないような裏の事業に手を染めてしまったり。
いやいや、動物とお客様、そして自然に優しい動物園にするべきだ。
どうすればいいんだ。なんでも出来るぞ。
そう、動物園の行く末は園長次第だ。
ゲームの特徴Features
動物園の1日
本作は、動物園経営のシミュレーションゲーム。
基本は、より多く、多種類の動物を展示することで、より多くのお客さんを呼び込み、入場チケット代でお金を稼ぐ。
稼いだお金は、従業員への給料や新たな動物園施設の建設費用、そして動物の飼育費に当てることになる。
ゲーム内では常に時間が流れており(一時停止や早送りも可能)、動物園の開園時刻から閉園時刻までお客さんや従業員が自動で動く。
閉園時刻になると、その日の収益や来園者数が表示され、次の日が始まる。
稼ぎ方
入場チケット代の価格は自分で設定することができる。
動物園の評価が重要で、動物園の内容が充実していないのに高過ぎるチケット代に設定すると、お客さんはチケットを買わずに怒って帰ってしまう。
また、チケット代以外にも稼ぐ方法はある。
園内に飲食店やお土産屋さんなどのショップを設置し、チケット代以上のお金を落として帰ってもらうのだ。
しかし、それには、園内の清掃状態や休憩場所など快適な園内でなければならない。
また、ゲームが進むと、農作物を育てたり動物の「何か」を使った商品を作って売ることも出来る。
動物を増やす
動物園の評価に直結する肝心の動物たちの増やし方。
繁殖によって、同じ種のバリエーションが異なる(毛色や柄が親と違うなど)子供が生まれることがある。そこから更に多様な子供が生まれていく。
また、他の動物園と動物をトレードしたり、アニマルシェルターから新たな種を迎え入れることもできる。
こうして少しずつ種類を増やしていく。
また、本作ではハイブリット動物を生み出すことが可能で、各動物種のDNAを解析することで異種交配が可能になり、キメラのような動物が生まれる。
こうしたハイブリット動物は人気が出やすく、動物園の評価が上がりやすい。
展示されている動物たちにはそれぞれ幸福度があり、水やエサや遊具を用意してあげることでより長生きしやすくなる。
モラルで成り立つ研究
園内の研究施設では、新たな施設や装飾物などをアンロックできる。
研究できる内容はタイルのようになっていて、アンロックしたタイルのすぐ隣のタイルをアンロックしていくことができる。
しかし、特定のタイルは一定以上か一定以下のモラル状態じゃないとアンロックできない。
本作では、たまに起こるイベントでの2択でどちらを選ぶか、また園内にどの施設を建てるかによってモラルが変動する。
例えば、環境保護団体から連絡が来た際には、寄付するとモラルが上がる。
一方で、闇ディーラーから動物の売買を持ちかけられた際に応じてしまうと、モラルが下がる。
ただし、モラルが低くないとアンロックできない便利施設もあるので、必ずしもモラルが高ければいいというわけではない。
どんな方針で動物園を経営していくのかはプレイヤー次第だ。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
本作に物語要素はほぼない。
でも、どんな動物園にするのか、どんな園長になるのか自由に決められるのが面白いところ。
自分で物語を作ってしまえる。ドラマ的な演出があるわけではないんだけど。
NPCから依頼が発生することがあり「特定の動物を展示してほしい」といった内容のものから、「アヒルにクジャクの格好をさせてみて」という意味不明なもの、更にはかなり非合法な内容のものもあり全く平和ではない。
ゲーム内であっても動物に対してモラルを欠いた行動をすることに抵抗がある人には、本作はあまりおすすめできないほど驚きとネタが満載。
キャラクターの魅力
4.0
特定のキャラに愛着が湧くということはないけれど、園内ぎっしりのお客さんが動いているのを見るのは楽しい。
動物園なんだけど、人間の方も1人1人を眺めていたくなる。
そして、たまにVIP客が現れる。インフルエンサーたちや闇ディーラーだ。
インフルエンサーはおもてなしすると良い評価を付けて宣伝してくれるし、闇ディーラーはなかな手に入らない珍しい動物を売ってくれる。せちがらい。
ちなみに闇ディーラーは通報することも出来る(関係性が悪くなるけど)。
そして、本作のメインとなる動物たち。可愛い。
囲いにトランポリンを設置すると、蛇でさえボインボインとジャンプして遊んでくれるし、単純に飼育するのが楽しい。
操作性
4.0
本作のようなシミュレーションゲームは、マウスとキーボード操作の方が快適だ。
私はゲームパッドでプレイしたので快適さはやや劣るものの、それでも特に問題はない。
UIは見やすく、早送り機能もあるし、操作性は良好。
しかし、なぜかフォントがめちゃくちゃ小さい。
依頼内容の本文などのフォントが極小だ。
フォントサイズは大小選べるんだけど、大を選んでも文字がミリサイズ。なぜ…。
難易度バランス
4.0
難易度は良いバランス。
施設を充実させていると、どんどんお金が減っていく。給与支払いもあるし。
でも、チケット代を高くすれば、ジャカジャカお金が貯まっていく。ところが。高すぎると評判は落ちていく。
従業員を的確に配置しないとあっという間にゴミだらけになるし、従業員一人一人にやる気などがあり給与や業務内容の調整が大切だ。
エサ代がかさむので、動物の家族計画もちゃんと管理しなければならない。
そして、モラルだ。これが1番難しいところ。
考えなしにプレイしていても上手くいかず、モラルを高めるか低くするかちゃんと狙って行動しなければ便利な施設はアンロックできない。
というわけで、単にお金を稼げばいいわけではなく、細々と気を配らなければならない良い難易度バランスになっている。
ゲームシステム
4.5
好きな動物園を作るサンドボックス要素も味わえる経営シミュレーションとして面白い。
お金勘定はそこまで複雑ではないものの、発電して電気代を安くしたり、お客さんの動線を考えてお店を配置するなど経営が楽しめる(混雑するとお店の収益が下がる)。
そして、ハイブリット動物を生み出したり、動物たちを精肉して売ったり、様々な事業に乗り出せるのも面白いところ。
上述してきたけれど、モラルの変動が本作の大きな魅力だ。
2択を迫られた際に返答によってモラルが変動するのは分かりやすいけれど、環境に配慮しているかや動物をどう扱っているかなどによっても刻々と変動するのが面白い。
動物たちの幸福度も大事で、ぞんざいに扱っていると動物愛護団体の方たちがプラカードを掲げて園内でデモ行進し始めてしまう。
やりこみ要素
5.0
かなりやり込める。かなり作り込まれている。
プレイする手が止まらなくなる。
動物園の隣接する空き地を買ってどんどん広くすることができるし、アンロック出来る施設も装飾物もかなり大量。
動物の種類が多いので、繁殖させる組み合わせも多く、更にハイブリッド動物ともなると本気で多種多様。
園内で農業や工場を始めたりすると、もはや何が目的だったのか分からなくなるほど商売が多岐に渡る。
モラルを上手く調整して、より多くの施設をアンロックするのもやり込み要素だ。
また、動物ではなくジュラシックパークさながらに恐竜を飼育する『ダイナソーアイランド』や彗星生物も登場する追加DLCもある。
グラフィック
4.0
可愛い素朴なピクセルアートだ。
装飾品や各施設の外観はにぎやかで、経営そっちのけで飾り立てたくなる。ドット絵好きにはたまらない。
そして、ハイブリッド動物の珍妙さが面白い。頭はヘビで身体がガチョウとか。
生命に対する冒涜っぷりが甚だしいけれど、見た目はキュートだ。
サウンド
3.5
基本的には穏やかなBGMが流れていて、動物の鳴き声も聞こえてくるし、没頭してプレイするのに邪魔にならない。
ところが、怪しいビジネスもできるせいか、たまに不穏なBGMに変わる。
本作はかなり長時間プレイしてしまうゲームであるもののBGMのバリエーションが少なめなので、もう少し曲数が増えると嬉しい。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
サンドボックスも経営も楽しめる
モラル変動による影響が面白い
動物飼育以外の事業も営める
ハイブリッド動物の奇抜さ
テンポが良く没頭出来る
残念なところ
フォントが異常に小さい
1日が終わる時点でしかセーブできない
オススメな人
経営シミュレーションゲームが好き
サンドボックスゲームが好き
長時間没頭できるゲームを探している
ピクセルアートが好き
オススメではない人
ゲーム内でもモラルを欠いた行動に抵抗がある
ちまちました作業が苦手
物語を楽しみたい
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にぎやかで楽しい雰囲気の経営シミュレーションなら、こちらもおすすめ。奇抜な学科ばかり登場する大学経営が楽しめる。
モラルを無視した経営シミュレーションなら、こちらもおすすめ。悪の組織のボスとなりアジトを充実させていく。正義のヒーローからアジトを守る基地防衛要素もあり。
Let's Build a Zoo
悪い顔になっていく園長
動物の展示や繁殖だけでなく、サイドビジネスにも手を出せる動物園経営シミュレーションゲーム。
経営方針によってモラルが変動し出来ることが変わっていくのが面白いところ。
珍妙なハイブリッド動物を生み出したり、動物園を好きに飾ったり、やり込み要素もたっぷりあって熱中してしまう時間泥棒ゲーム。
Let’s Build a Zoo
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