『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』レビュー: 時を超えるエリート戦士
時の力を操る能力でバトルもプラットフォームアクションも、さらにはメトロイドヴァニアまで楽しめてしまう『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』をネタバレなしで要素ごとに詳しくレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
プリンスオブペルシャ失われた王冠製品情報
タイトル | プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠 Prince of Persia: The Lost Crown |
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開発元 | Ubisoft |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC |
ジャンル | 2D横スクロールアクション, メトロイドヴァニア |
シリーズ | プリンス オブ ペルシャ |
プリンスオブペルシャは、1989年から続いているアクションゲームシリーズだ。
近年はリメイクも発表されている『プリンス オブ ペルシャ 時間の砂』など、3Dアクションアドベンチャーゲームとなっている。
しかし、本作はシリーズ原点回帰と銘打たれた2D横スクロールアクションゲームとなっている。ちなみに過去作と物語は繋がっておらず、シリーズに初めて触れる人も安心だ。
プリンスオブペルシャ失われた王冠の攻略
ストーリー
不死隊
舞台はタイトル通りペルシャの国。
30年の日照りが続き、国は弱っていた。このままでは全てが砂漠になってしまう。熱い。
しかし、そんな国難を突いて、東方の国クシャナが攻め入ってくる。辛い。
それでも心配はご無用!ペルシャの国には鉄壁の守りがある。
泣く子も黙るエリート戦士集団の不死隊だ。
ガッサン王子誘拐事件
不死隊の活躍によってクシャナの軍勢を押し返し、王宮の面々はホッとひと息だ。
女王様は、不死隊の一番若手であるものの戦で1番活躍した戦士サルゴンに勲章を授与し、久々に和やかな夜を迎える。
このサルゴンが、本作の主人公だ。そう、冒頭から強キャラ出世街道を歩むエリート戦士だ。
ところが、勝利に酔っている暇はなかった。
なんと女王の息子であるガッサン王子が、誘拐されてしまったのだ。
急いで捜索に出た不死隊の面々が目にしたのは、ガッサン王子を連れ去っていく王宮戦士アナヒータの姿だった。
サルゴンの遺跡探訪
「あいつが裏切り者だぞ!」と叫び散らかしたいところだけど、サルゴンの心境は複雑だ。
実は、アナヒータはサルゴンが信頼してきた師匠だから。
師匠ご乱心の理由を知りたいサルゴン含め、不死隊はアナヒータが向かったカーフ山へと旅立つ。
さて、ここからが大変だ。
不死隊は団体行動が嫌いらしく、散り散りになってガッサン王子の捜索を始める。
しかし、廃れた王国の遺跡が残るカーフ山は呪われており、時間の流れがなんだかおかしい。死人まで起き上がってくる始末だ。
あの、みんなでまとまって行動するべきじゃないでしょうか!?
独立独歩な先輩たちに置いていかれたサルゴンは、仕方なく1人で王子の捜索を始める。
攻略のポイント
探索しながら進むメトロイドヴァニア
本作は、物語に沿ってあっちへこっちへと探索しながらゲームを進めていく。
進むエリアは大まかに順番が決まっているけれど、その道中は寄り道含め自由に探索しつつ攻略できる。
そして各地でメインストーリー上の試練を乗り越えると、新たなスキルを習得できる。すると、探索できる範囲が広がる。まさにメトロイドヴァニアだ。
マップ画面では、実際に訪れた場所が自動的に開示されていく。
しかし、各エリアのマップは不思議な少女ファリバから買うことも出来る(全て開示されるわけではない)。また、ファリバからは次に何をするかヒントをもらうこともできる。
エリート戦士サルゴンの戦い方
主人公サルゴンのメイン武器は双剣だ。
攻撃は地上コンボ、空中打ち上げ、空中コンボ、叩きつけ攻撃など、それに加えてパリィとダッシュ回避も可能。
敵が黄色に光る攻撃をパリィすると大ダメージを与えられる。しかし、敵の赤色に光った時の攻撃はパリィ不可能だ。
また、攻撃を当てたりパリィに成功すると、アスラの神技と呼ばれる強力な攻撃スキルを発動できるアスラゲージが溜まっていく。逆にダメージを受けると減る。
本作では、敵を倒すと時の結晶と呼ばれる通貨が手に入り、装備品の購入やアップグレードに使用することができる。
ちなみにゲームオーバーになると所持している時の水晶を一部失ってしまう(ソウルライクゲームのように回収は不可能)。
サルゴンは装備で強くなる
サルゴンは上半身には服を着ておらず、戦士の防具としてはちょっと心配になる。
しかし、ちゃんと装備品はある。首に掛けるアミュレットだ。
アミュレットは、パッシブスキルなど様々な効果を追加してくれるもので、たくさんの種類がある。
ただし装備できる数には限りがあり、どのアミュレットを装備するかの組み合わせはプレイヤー次第だ。
ちなみに、武器もアミュレットも鍛冶屋さんでアップグレードすることができる。
山の住人からのサイドクエスト
カーフ山は、呪われていてめちゃくちゃ危険だ。いつの時代のものか分からない死体もゴロゴロ転がっている。
が、しかし、住んでいる人がいる。
こんな山での毎日の生活ぶりが気になるところだけど、彼らからはサブクエストを依頼されることがある。
クリアすると、主人公を強化できる報酬などがしっかり貰えるので、寄り道もお忘れなく。
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プリンスオブペルシャ失われた王冠の評価と感想
物語の面白さ
物語はズバズバ進む。
カットシーンは紙芝居的な演出が多く、正直なところ物足りなさはあるけれど、意外な展開も起こる。
「不死隊です、最強です」から唐突に始まるけれど、その後は小刻みにイベントが起こり、ちゃんとキャラや国の事情も知ることができる。
しかし、サルゴン自身よりも、「時は早く進んでいるのか、いやゆっくりなのか?」「異なる次元…だと?」などなど、カーフ山の謎の方に興味津々になる。
ただ、そうした情報は各地の石碑などテキストで読ませるのみの形が多く、物語の描写は軽めだ。
キャラクターの魅力
サルゴンは、俺が1番強い!俺が全てを救う!という少年漫画の主人公みたいだ。
ところが、カーフ山で起こる出来事を通して挫折するし戸惑いもする。それでも自分自身と向き合い、精神的に成長していく。
分かりやすい主人公だ!
不死隊の他のメンバーも、見た目から想像できる通りのキャラをしており、分かりやすい。
一方で、時間の流れが異常なカーフ山のせいなのか、住民達の言動はかなり怪しい。
それでも、サルゴンは意外と相手の意味不明なセリフに付き合ってあげることが多く、なんだか見ていて微笑ましい。いいヤツだな、サルゴン。
操作の快適さ
サルゴンはエリート戦士なので、最初からたくさんの立ち回りが出来る。
空中や方向転換時など細かくバク転やキックなど動きが自動で変わるので、多彩なアクションを流れるように繋げることができる。
サルゴンはキビキビと動き、パリィのボタン入力受付時間も妥当で、ストレスなくプレイできる。
また、最初から走って基本移動が出来る(通常移動よりしっかり速い)のが嬉しいところ。
そして、今は取れない宝箱などを見つけた際には、地図上にいちいちマップを開かずに今見ている光景そのままを保存出来る「時の記憶」を残すことができる(ゲーム内スクショみたいな感じ)。
ただ、気になったのはアスラの神技の誤発しやすさ。PS版では、パリィはL2ボタンで、通常攻撃は四角□ボタンだ。そして、アスラの神技発動はL2ボタン+四角□ボタンだ。
攻撃とパリィを素早く繰り返していると、同時押しと判定されてアスラスキルを誤発しやすい。
また、ゲームがフリーズしてしまうバグも発生した。再起動すれば直ったし、それ以外では特にプレイに困るようなバグには遭遇していない。
難易度バランス
ゲーム開始時に4段階から難易度選択できる。さらに敵の強さなどを好みにカスタマイズも出来る。
私は、デフォルトのノーマル難易度(下から2番目)でプレイした。
ボスも雑魚敵も攻撃パターンが何種類かあり、攻防交えたバトルが楽しめる。
でも、パリィとアミュレットが強力だ。アスラの神技もしっかり強いので、程よい歯ごたえでズンズン進める。バトルで苦戦することはほぼない。
敵よりも地形トラップの方が殺傷能力が高いので、プラットフォームアクションの難易度の方が高め。
また、探索が苦手な人向けに目的地を表示してくれるモードもある。
メトロイドヴァニア好きな人は目的地非表示で、探索やパリィが苦手な人はイージー難易度+目的地表示でプレイするのがおすすめ。
プレイヤーが、それぞれに合った難易度で遊べる良心的なゲームだ。
ゲームシステムの面白さ
サルゴンは基本攻撃だけでも多彩な立ち回りができる。
一方で、道中は地形罠だらけ(建築した現場作業員が事故りまくったというテキスト情報もあるので、工事する側もさぞや大変だったんだろう)。
探索やバトルも楽しいけれど、プラットフォームアクションが本作の魅力だ。
そこに本作ならではの時を操る力が加わる。
残像を残しておいて、後から残像の位置にワープ出来るというスキル。これが面白い。
探索中の謎解きでもバトルでも活用出来るので、先を読んで残像を利用しつつハイペースなアクションを正確に行うという、頭も手も忙しくなるプレイに熱中していく。
時間は物語上でも大きな役割を担っており、ゲームプレイにも物語にも「時間を操る」というシリーズの魅力が上手く落とし込まれていて、「よく出来たゲームだな!」と感心してしまう。
やりこみ要素の楽しさ
主人公の強化にもつながるやり込み要素は、アミュレット集めや装備品のアップグレード。
また、ソーマの花弁を各地で集めると体力上限を上げることもできる。
サブクエストを攻略するのもやり込み要素だ。新たなアミュレットなど報酬もしっかり貰えるので、挑戦しながら進むのがおすすめ。
また、各地にあるテキスト情報を読んでいくのもやり込み要素だ。
上述した通り、物語の描写は軽めなので、世界設定などはテキスト情報で補完していくことになる。
そして、各地にある壺。これを壊すと本作の物語の肝になる預言が明らかになっていくので、ひたすら壊して回った方が良い。
グラフィックの芸術性
背景まで奥行きを感じる2.5Dの3DCGで描かれる。
高精細というわけではないけれど、ペルシャの砂漠地帯の雰囲気や神秘的な遺跡の風景が美しい。
また、敵にとどめを刺したり、アスラの神技発動時には、サルゴンの顔がアップになってダイナミックな演出が挿入される。
こうした演出は「やってやったぜー!」という爽快感が味わえて気持ち良い。
2D横スクロールゲームというと遠目の視点になりがちだけど、本作では画面いっぱい豪快に暴れ回っている気分が味わえる。
サウンドの魅力
カーフ山は不思議な山なので、その雰囲気を高めてくれるBGMが多い。
あまり主張する曲ではなく、でも静かすぎるわけでもなく、楽しく冒険できる。
ペルシャということもあってか、アラビアンナイトっぽい曲調が多め。
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本作に似ているゲームや関連作は更に下へ
プリンスオブペルシャ失われた王冠のレビューまとめ
おすすめな人
- ハイペースなアクションゲームが好き
- 寄り道やサブクエストが好き
- 残像を操る強キャラになってみたい
おすすめではない人
- 複雑なマップ構造を楽しみたい
- プラットフォームアクションが苦手
総合評価良いところ&残念なところ
- バトルも探索も物語もバランス良く楽しめる
- プレイヤーごと好みのプレイスタイルや難易度でプレイできる
- 本作ならではの時を操る能力が面白い
- 物語描写が少し物足りない
- スキルを誤発しやすいボタン割り振り
プリンスオブペルシャが好きならおすすめゲーム
関連ゲーム
プリンス オブ ペルシャ 時間の砂 リメイク
プリンスオブペルシャシリーズの中でも特に人気が高い「時間の砂」のリメイクが発表されている。
こちらは3Dアクションアドベンチャーゲーム。発売延期となり、現在のところ発売時期は未定になっている。
オリジナル版の人気が高く、映画化もされている。
似ているゲーム
Ori and the Will of the Wisps
プラットフォームアクション要素強めなメトロイドヴァニアゲームが好きなら、こちらもおすすめ。
空中で正確な操作が求められる歯ごたえのあるアクションが楽しめる。
美しいグラフィックや音楽、泣ける物語も魅力の高評価作。
Timespinner タイムスピナー
時間を操るメトロイドヴァニアゲームなら、こちらもおすすめ。
敵含め時間を一時停止する能力を使って探索とバトルを攻略する。
異なる時代の同じ場所を探索していくのも魅力。
プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠 Prince of Persia: The Lost Crown
© 2023 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Based on Prince of Persia® created by Jordan Mechner. Ubisoft and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. Prince of Persia is a trademark of Waterwheel Licensing LLC in the US and/or other countries used under license.
https://www.ubisoft.com/ja-jp/game/prince-of-persia/the-lost-crown
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